誰にどういうシチュエーションで持っていくかまで考えられているため、ただのグルメ漫画でなく、きちんとした「お土産漫画」として成立している。お土産にまつわる雑学なども面白い。個人的にはニッチな文学の話も興味深かった。もっともっと読みたかったが、三巻完結。まぁ腹八分目がちょうどいいということだろう。

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主人公の寅子さんは文学とか出版業界とかの業界で
働いているらしく、資料の貸し借りなどでなにかと
他家を訪問することが多いみたい。
そして必ず手土産として食べ物を「おもたせ」する。
少しだけ一般人とは違うハイソな世界のようにも感じるし、
「おもたせ」するものも少々値が張りそうなものが多い。
だが気取ったり嫌味な感じはまるでない。
そして食べ物話からの繋がりで文学作品の話題等に
なることも多いが、小難しい文学論にはならず、
文豪や当時の庶民の穏やかな日常を思い浮かばされる。
小粋でオシャレな話だが、お高くとまった点はまるでない。
いいお土産、いいお土産話を読ませてくれる漫画だ。

常に和服で、文学や食文化に詳しく、
美味しい老舗店の食べ物を「おもたせ」
してくれる寅子さんからは、
モダンというかモボとでもいうのか
大正ロマン的な和風文化の良さ、みたいなものも感じる。
そもそも通販だとかオトリヨセだとかが充実し、
仕事でも私事でもネットやメールなどの比重が増えて
他者と顔をあわせての交わりが薄くなっている今時では、
若い和服美女が美味しいものを持参してくれる、
というシチュエーションは、なかなか体験しがたくなっている
貴重なことのようにすら感じる。

だが寅子さんは大正ロマンがすべての人ではない。
スマホでのLineでの会話を楽しんでいたり、
今風な平成の女性的な日常生活もしていたりする。

この辺がこの漫画から感じる良い雰囲気のひとつでもある。
単なる「昔は良かった」という懐古趣味だけではない感じがする。

インフラや衛生や安全面が充実し、時間やコストを効率的に
活用できる社会になった。
そういった便利で効率がいい時代をけして否定はしないが
やっぱりこういうのもいいでしょ、と言われている感じがする。
それでいて単なる懐古趣味でもない。
いい感じにホッとする話の漫画だ。

ようやく全3巻を読めた。
本屋さん、単行本を置か無さすぎ(哀)。
けして長編漫画ではないが、全3巻の話が
ほぼ全て面白かった。
登場人物のキャラのブレのなさとかは
ともすればマンネリになりかねないのだけれど
むしろ読んでいくうちに深みが増していった。
そして最終話。
主要キャラの「さくらちゃん」
(添付画像のLineシーンで桜印の白背景コメントをしている人)
の扱いも含めて
こうなるんじゃないかな、みたいに
予想していた感じの最終回ではあったけれど、
予想よりも遥かに読後感の良い最終回だった。

この漫画に登場したあれこれの食べ物を
いつかだれかに
おもたせしました。
と、したりされたりしたい。

ようやく全3巻を読めた。
本屋さん、単行本を置か無さすぎ(哀)。
けして長編漫画ではないが...
おもたせしました
おもたせしました。 1巻
おもたせしました。 2巻
おもたせしました。 3巻(完)
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