優等生にも極悪人にもなれない。敗北や挫折も味わった。
硬派を気取ってメインストリートを我が物顔で
歩くほどにも突っ張れなかった。
イケテないチームに入って、くすぶっていた。
ただ触れるもの皆、殴り倒していた。
猿山のボスになって、勘違いしていた。
そんな男達の前に大鳥大悟が現われて変化が起きた。
やっぱり、本物の男になってみたい。
本物の男になろうとあがけるだけあがきたい。
路地裏でもいいから自分達の旗を掲げて進んで生きたい。
そして自分がダメだったとしても、
その背中を仲間や後輩に示したい。
そんな男達のチョットだけ古い時代のストーリー。
ツッコミや茶化しを入れようと思えば随分と入れられる。
チームってそんなたいそうなもんか、とか。
不良チームったって、そんなに戦争ばっかりしないだろ、とか。
命までヤリトリするわけでもないだろ、とか。
けれど重箱の隅をつつくよりも
大鳥大悟やCOBRAや輪蛇の面々が
これでもかと詰まった重箱弁当を、
ひたすらガツガツと喰って味わいたくなる漫画。
第三巻くらいから話の流れがすこし変わる。
へっぽこ集団だったCOBRAが少数精鋭になり、
一流チームへと歩み出すようになる。
吉田先生ってどうも、描いているうちにキャラに
対する思い入れが強くなる人のように思う。
最初はいかにも脇役、憎まれ役、ザコキャラだった
登場人物が、だんだんと実力もあり思考が深い
重要キャラになっていくパターンが多いように思う。
恐らく、大鳥大悟も他のCOBRAメンバーも、
連載開始時の想定よりも先生の思い入れがドンドン
深くなっていってストーリーも結構変更が
あったんじゃないかなあ、と思う。
作品としてはそれで面白くなっていると思うが。
ただしネギ先輩に付いては、
後付で急に大人物にされた感じで違和感を感じた。
不良少年達の抗争物って漫画は多いけれど、
物語として
「死人を出す」
というラインを超えるか超えないかっていう制約というか
ハードルがあると思う。
喧嘩ぐらいならともかく、さすがに殺人を出すと、
物語りが殺伐としてしまうし、
一歩間違えると殺人賛美・肯定になって
漫画自体が社会から叩かれかねない。
とはいえ「最大最悪の抗争」みたいなものを描こうと
するなら究極は死人が出ないとおかしい、ってなりかねない。
その辺をどう処理して読者に納得させるかってのも
作品の面白さであり作者の力量ではないかと思う。
吉田先生はそのあたりを上手く浪漫的にまとめていると思う。
荒くれKNIGHT(全28巻)
荒くれKNIGHT高校爆走編(全11巻)
があり、どちらも輪蛇の三代目リーダー
善波七五十が主人公で、善波をしたう春間勇樹が
主要キャラ。
この2作は時間の流れとしては
荒くれKnight→高校爆走編の形で
まとめて一つの作品と言っていいとも思います。
黒い残響完結編は春間がいよいよ輪蛇の四代目を次ぐ
準備に入った時期に、これからの若い世代が
かつての輪蛇二代目時代のことや
輪蛇二代目と張り合ったライバルチームCOBRAのことを
回想譚として聞く、という内容です。
いってみれば黒い残響完結編は、荒くれKnight2作の
プロローグとエピローグを同時語りするような話です。
だから荒くれを読んで、次に荒くれ高校爆走編を読んでから
残響編を読んだほうが話は理解しやすいし楽しめるとは思います。
なのでお勧めは他2作の荒くれ読後に黒い残響を
読まれるパターンですが、
善波が輪蛇三代目で春間が四代目になるんだろうな、
ということ、輪蛇のライバルチームにCOBRAがあって
伊武がリーダーで率いているチームだということ、
そのくらい理解しているのであれば
そこから黒い残響完結編をよんでも、ほぼ話の流れは判る
と思うし充分に楽しめるとも思います。
ありがとうございます!!
思ったより巻数がありますね...
喧嘩であれスポーツであれ、格闘が絡む漫画は
強さのインフレ現象が起こりやすいと思う。
ハイレベルで強い主人公とライバルが激突し、
主人公が僅かの差で勝利する。
場合によっては敗れたライバルは
主人公の軍門に下ったりダチになる。
次に新ライバルが現れ、あれほど強かった旧ライバルを
圧倒的な力量の差で葬り去る。
その新ライバルに主人公がまた辛勝し・・・
黒い残響完結編も一部はそういう部分を含むが、
大鳥大悟とライバル木原の実力差、
赤蛇、青蛇、四天王それぞれの力と格。
輪蛇やCOBRAの面々のキャラや強さの質。
それらの設定が絶妙だったという感じがする。
基本的には大鳥大悟は超絶的に強いのだが、
過去の無理や悪行が祟って、体は壊れていき、
強さを失い気味になっていく。
だがそこに、だからこそそこに
強いということの意味が問われて行く。
大鳥にもライバル木原にも。
チームリーダーとしての強さが問われ、
大鳥や木原を支えるメンバーにも問われて行く。
リーダーが強いから従うのか
リーダーが強いだけだから従うのか。
大鳥と、四天王や青蛇との対戦や、
終盤での木原との対戦は、
色々な角度からのチームの意味や強さを
考えさせられるものがある。
所詮は青春時代にイキガッている若者の
熱病的な一瞬の熱さのイマドキはやらない物語
なのかもしれないが。
だからこそ𠮷田聡先生も、
少しだけ昔の時代の話として描いたのかも知れない。
村雨もLINDAに入ったみたいだし(今、Wikipediaで知った。)また、買って読みたいと思います。
輪蛇の次世代リーダー候補、春間勇樹と競い合う男・井脇。弱小チームを離れ虎武羅の門を叩いた彼は、その昔“COBRA”を輪蛇と肩を並べるまでの存在へと導いた一人の男を知ることになる……。輪蛇の、そして虎武羅の血脈を追う“黒い残響”完結編、ここに開幕!!
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