シュトヘル

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シュトヘル』は、自分が何の為に生きて闘うかを強烈に問うて来る作品です。

人は誰もが例外なく、死という絶対的で問答無用な消滅を迎えます。そこに至ってしまえば、それまでに築き上げた知識、技術、経験、財産、人間関係……全てがゼロとなります。
一方で、当人が鬼籍に入った後も、人の世の中で受け継がれて行くモノがあります。人の想いを紡ぎ、時代を越えて大きな影響を与え続けるモノがあります。
「それは百年先でも価値を持つか?」という問は物事を推し量る一つのものさしですが、百年千年と人の寿命の何倍も何十倍も連綿と人の世に残りその価値を受容されるモノというのは、ある種、人が人のままで人の領域を超えた部分に触れているようにも感じられます。
それは例えば書かれた物語であったり、描かれた絵画であったり、建築であったり思想であったり……勿論、漫画もその一つとなり得るでしょう。もし自分が死んでも、自分の遺したモノによって、どこかの誰かに感動や安らぎを与えられ、より良き未来を作る一助を担えたとしたら、そんな素晴らしいことはありません。
『シュトヘル』で描かれる高潔なる志と闘いを目の当たりにすると、自分もそういったモノに焦がれる気持ちを掻き立てられてしまいます。ただの歴史物とは一線を画す、魂に訴えかける叫びが聞こえて来るような漫画です。

一風変わった、歴史物

『シュトヘル』の舞台となるのは、13世紀初頭のユーラシア大陸。
13世紀といえば、モンゴル帝国が歴史的な躍進と繁栄を遂げた時代です。
チンギスハンがモンゴル帝国を建国してから3年経った1209年から物語は語られ始めます。
モンゴルの末席であるツォグ族の皇子として育てられたユルールは、戦を好まず書に張り付き、文字を愛する幼い少年。そんな彼は、実はチンギスハンの息子です。一方、モンゴル族の頂点に立つ大ハンことチンギスハンは、ある理由から敵国・西夏の文字に対して異常とも思える程の憎悪を持っており、地上から根絶やしにしようとします。ユルールは、そうして西夏文字が滅び行くことを嘆き、憂いていました。煩悶の末、ユルールは兄を始め一族郎党を敵に回し、西夏文字を守る為の闘いを始めます。
正直、私はこの辺りの歴史に詳しくはありません。しかし、『シュトヘル』はそんなことは関係なく、それぞれの人間の感情に移入しながら楽しめますので、歴史物は今一つ苦手、という人も食わず嫌いせずにてに取ってみて欲しいです。

文字を巡る物語

ユルールが文字に対して語る言葉に込める熱量は凄まじく、そして美しいものです。

文字は生き物みたいだ。
> 記した人の思い ねがいを伝えようとする。
> その人が死んでも文字は託された願いを抱きしめているようで…

文字は、人を憶えておくために生まれた。遠くにあっても、時を越えても、人と人とが交わした心を伝え続ける……
だから心底美しい。
> おれはあこがれる――
この文字でしかあらわせないものがあって、この文字でしかあらわせない心がある。おれはそれと生きている。

文字という物が如何に素晴らしい創出物であるか、それがどんなに人類にとって大事な可能性であるか……。幼くも透徹した眼差しを伴いながら、折に触れて語られて行きます。普通の歴史物や戦記物であれば、家族や恋人や友人や同胞、国や故郷を守る為に闘うのが王道です。しかし、ユルールはそうではありません。彼は文字を守る為に、もっと言えば未来に存在する人の持つ可能性の為に、兄や実の父をも敵に回して闘うのです。
他方、「今日を生きる者のためでなければ、死屍を越えては往けないのだ」と語る、ユルールの兄である勇猛な戦士ハラバルの気持ちも解ります。甘い考えは捨てて闘いに身を投じなければ、自らの一族を、女子供をも死の淵に立たせることになる。最も大切なものは今生きている人間であり、その為に自分は闘う。全くもって正論です。現実を受け止め、自らの責務を全うする彼も、主人公であっても良いほどに器が大きく、魅力的な人物です。
それでも、どちらにより憧れを抱くかと言われれば、私は圧倒的にユルールなのです。現実に向き合わない夢想と断じられたとしても、文字を通して生まれる奇跡のような感情の紡ぎ合いの暖かさ、ユルールが文字の力に感じる可能性は否定しようがありません。それは、『ガンダムUC』で「可能性の獣」と呼ばれた概念にも似ています。ある側面から見れば愚かしくすらありながらも、それでもより高貴なあるべき姿を追求しようとする人の心。私はそれは掛け値なしに美しいものだと思います。
西夏文字の総本山である、番大学院が焼き討ちに掛けられる時、その院長である吉祥山がハラバルとなす対話も秀逸です。

「殺し合いに明け暮れる者にはわからぬ。生涯をかけた仕事は命そのものになる。命をかけるべきものになる」
「命をかけるべきものがあるという言葉は病だ。この病が跋扈する度に大勢が死ぬ。この病の者は目の前の人間を見ない。人間をを道具とし恥じることもなく同胞・眷属を顧みない。…守るべき者を」
「――血や一族のみを守るならば人間は永遠に縄張りを奪い合うだけの獣ではないか」

このシーンはセリフだけでも痺れますが、それを語る表情、そしてその背後に映るものとモノローグによって示される、互いの想いの丈とそのルーツ、更にはその先で明かされる真実、全てが渾然となって心と魂に響いて来ます。それぞれにもっともだと思わせるものがある、確固たる信条のぶつかり合い、鬩ぎ合いは堪らなく面白いものです。
『シュトヘル』には、これ以外にも数え切れない程の名言や名シーンが溢れているので、苛烈な時代に生きる人々の熱き想いの数々を是非直に堪能して欲しいです。

絵の魅力

伊藤悠先生は、一枚絵も魅力的ですが、それ以上にアクションを描くことに秀でています。それは、全五巻以下の漫画で傑作を挙げるとすると往々にして名前の挙がる『皇国の守護者』でも証明して見せた通り。

静と動を巧みに使い分けて、これだけ動きを上手に表現できる女性作家は、とても稀有です。変形ゴマは少なく、長方形のコマが主なのですが、それでも動作が非常に栄えているのが特徴的。
ここまで全く名前を出してきませんでしたが、もう一人の主人公であるシュトヘルの獣のような動きの殺陣は、妖しくも美しいです。
そして、何よりも伊藤悠先生の絵で魅力的なのは、表情。

ゾクゾクするような相貌、射抜かれるような眼力が頻出します。もう、この魔的な表情の数々を眺めているだけで楽しめる位です。伊藤先生の漫画を読んでいると、表情の描き分けの大事さを思わせられます。その結果、シュトヘルになら噛み殺されても良いかも、と割と本気で思える程にキャラクターに魅力を感じていきます。あの荒川弘先生をして「投稿雑誌で伊藤先生のハガキだけオーラが違って当時からファンだった」と言わせるのも道理です。
 

『シュトヘル』という祝福

13世紀のユーラシア大陸を舞台にしている作品というのは貴重で、そこで少年と美女と老人と大鷲が旅をするというシチュエーション一つとっても独特の魅力を持った作品です。又、喪われた文字を巡る物語、という題材だけでもロマンを掻き立てられる人もいることでしょう。
ユルールが本懐を遂げられず文字が完全に喪われていたとしても、どこかの誰かの未来のために闘った彼の覚悟と勇気が、時間や空間を越えて人の心を奮い立たせるでしょう。そして、あるいはその人が可能性として描いた理想の未来を作っていくのかもしれません。そうなれば、それこそ人に与えられた「祝福(ユルール)」ではないでしょうか。

『シュトヘル』は、自分が何の為に生きて闘うかを強烈に問うて来る作品です。

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数日前から、新幹線の自由席で横に乗ってきた異性の話を巡ってネット上で大激論が巻き起こっています。 「男性は〜」「女性は〜」という主語で意見を述べている人に1度この作品を読んで欲しいなと思います。 本作は、人間が皆″男性″として生まれてきて、その中の1割が14〜20歳ごろを境に性転換して″女性″になり、声が低くなり乳房が大きくなり子宮が発達し男性器が縮小し筋肉・脂肪が増加していくという世界を描いています。社会は″女性″が主導していくもので、″男性″はそれを支える存在。 ただ、少しややこしいのですがこの作中での″男性″は現実世界の女性的な外見をしており、″女性″は男性的な外見で発達した乳房を持っています。 最後にあとがきで明示されているように、単なる男女の反転ではなくマーブルな状態を描いているのが特徴です。 この作品の中で、それぞれのキャラクターが語る性別ごとの役割の話や、「″女性″は」「″男性″は」という話や異性に対する態度は、読み手に応じてさまざまな感情を引き起こしてくれるであろうと思います。現実世界に照応してある人にとっては何も引っ掛からず、ある人にとってはこの上ないもやもやが生じるであろうことをつぶさに描いています。 男性だから、女性だから、″女性″だから、″男性″だから有利なこともあれば、不都合なこともある。ときにはそれに対して、過去から長い時間大量に蓄積したものも含めた不平不満を述べたくなることもあるのは否定し得ません。 ただ、筆者の御厨さんが ″性別や属性で人の中身ややるべきことをひとくくりにするのは、個人の理解をなまけたいがための単なる省エネモードのおこないだと思っています。  何かを集団でくくって語るとき、「今の自分は省エネモードになっている」という自覚はしていたいと思います″ と述べたあとがきにあるように、より本質的には個々人に依拠するものに対して意識せずに大きい主語で語ってしまいがちな状況はあると思います。 どういったものに対して自分の心はどういった動き方をするのか。その形を改めて把捉しておくのに、この作品はとても優れています。 何も個人としての意見を表出するなという気はまったくありませんが、省エネモードで雑な結論に結びつけて誰も幸せになれない不毛なやり取りに発展する前に、今一度立ち止まって一呼吸を置いて本作を読んでから、改めて熟考した後に言葉を紡いで発しても遅くはないでしょう。
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兎来栄寿
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世の中には、最早どうしようもなく距離を置く以外に対処のしようがない人や物事が存在します。しかし、それが実の親であり自分がまだ経済的に自立できない子供であった場合は最悪です。絶対に離れた方が良いのに、離れる術がなくその手段を考えることすら封じられたままそれが当たり前なのだと刷り込まれて心身を壊されていってしまいます。 本作の第1話はとにかく読んでいて辛いものでした。小学生の少女トワが、毒親の極みのような実母の星羅とその愛人であるみちおから最悪の虐待を恒常的に受け続ける惨状が描写されます。ゴミ屋敷でまともな暮らしもできず、学校に通う時間に酒を買いに行かされ、些細なことで当たり散らされ暴力を振るわれ、あまつさえ……。現実にも、今も同様の被害を受けて生きている子がいるのだろうと思うと居た堪れなくなります。 この物語は、そんな残酷な現実へ手向けられた人匙の救いです。リカワリ星からやってきた異星人によって、母親の存在は乗っ取られ、体はそのままでも中身はまったくの別人になりかわりトワは新たな生活を歩み出すこととなります。 虐待だけでなく、保護者間のカーストやそれが子供たちに伝播してのいじめなど現代社会の闇の部分が多く描かれます。子供同士のやり取りや、心の移り変わりの部分にもリアリティを感じます。ただ、そうした不条理をリカワリ星人が縦横無尽に切り開いていってみせてくれる様はカタルシスがあります。 兎屋まめさんの絵も綺麗で、序盤の星羅の描き方のおぞましさの迫力、さまざまなヴィヴィッドな表情の描き分けも良いです。 余談ですが、街並みの様子からも治安の悪さで知られる東京の某所を舞台にしていると感じられるのは気のせいでしょうか。
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兎来栄寿
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『ムムリン』や『オオカミの子』の佐々木順一郎さんのかわいい絵柄で描かれる、残酷なバトルロワイアル。 そう、まさに高見広春さんの『バトル・ロワイアル』と同じようなクラスメイト同士の殺し合いが描かれていきます。1999年に出てリアルタイムで読んだ小説が、四半世紀経った今でもこうして色濃く影響を与え続けてフォロワーを生んでいるのは感慨深いです。 基本的なルールも『バトル・ロワイアル』に準拠しており ・殺し合いは島で行われる ・生徒たちには全員爆発する首輪が付けられている ・島にはランダムで刃物や銃器など武器が配置されている ・1日ごとに禁止エリアが設定され行動エリアが狭まっていく といった具合です。進化しているのは、スマホのような携帯端末でさまざまな情報を得られるということ。ただそれもどこかで充電ができないとずっと使い続けることはできないという制約も面白いです。 殺し合いのゲームが進行する傍らで頻繁にエモーショナルな回想が挟まっていく構成もまた『バトル・ロワイアル』を思い出します。それぞれの同級生たちが、普段の学校生活では見られない陰の姿を持っていたり、非日常だからこそ剥き出しになる感情を表したりといった醍醐味の部分もしっかり描かれていて刺さります。本家も、もちろんゲーム的な部分の面白さもありつつ思春期の少年少女たちが織りなす人間ドラマの模様が名作を名作たらしめた部分ですからね。 同じネズミでありながらそれぞれのキャラクターがしっかり描き分けられているのもすごいです。外見は似ているにも関わらず、それぞれがちゃんと個性的に立てられています。そして、このかわいさがあればこそ本家さながらの酷薄な展開が引き立ちます。 血と裏切りに塗れた島で、彼らの運命はどうなるのか。どのような結末を見せてくれるのか。目が離せません。
れいしょくガール!
冷食グルメ×少女マンガ編集! #1巻応援
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兎来栄寿
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皆さんは普段、冷凍食品は食べますでしょうか。私は10年前くらいに食べたとある逸品で完全に冷凍食品を見る目が変わってしまい、それ以来冷凍庫には常に常備してあります。忙しい時には調理の簡便さがありがたく、それでいて最近のものは味も良いものが多いです。冷凍茶豆やブロッコリー、ブルーベリーも愛食していたのですが最近はそれらも高くなってしまって物価高を感じます。 タイトルと表紙から想像される通り、冷凍食品に特化したグルメマンガです。ただ、それに加えて入社1年でまっく興味のない少女マンガ編集部に異動になってしまった青年・聖と彼の教育係である宇津木のふたりを中心とした、編集者マンガとしての側面も持ち合わせています。少女マンガのことを微塵も知らないところから、巨大な同人イベントで出会った作家さんの同人誌に心惹かれて担当し、一緒に作品作りをしていくまでに成長する姿は、胸が熱くなります。 登場する冷凍食品は、実在するものばかり。名だたるメーカーの協力のもとに描かれており、そのまま食べてももちろん美味しいのですが料理のできる聖によってアレンジを加えられるレシピも見所です。エビシューマイから作るエビチリや、チャーハンクッパなどはとても美味しそうで実際に作ってみたくなります。 また、グルメマンガといえば食べる際のリアクションがクライマックスですか本作では毎回少女マンガにありがちなシチュエーションで美味しさや味わいを例えられるのが特徴的で面白いです。 キャラクターとしては、マンガ好きでエビ好きの黒髪ロングストレートつり目美人の宇津木さんを私が推さないわけもなく。 ″ 冷凍食品は「手抜き」じゃなくて「手間抜き」なの!″ などのセリフに表れる、冷食愛の強さも良いです。彼女と聖の間に芽生える、まさに少女マンガ的な関係性にもにっこりしてしまいます。 味の素の海老大餃子、見つけたら買い込みたいです。
ボルカルス
ボードゲーム発、タイムリープ怪獣バトル #1巻応援
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兎来栄寿
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『放課後さいころ倶楽部』の中道裕大さんがボードゲーム原作のマンガを描くと聞いたときは、特大の「むべなるかな!」という気持ちが湧き起こりました。 原作者はドロッセルマイヤーズの渡辺範明さん。原作となっているボードゲーム 『Kaiju on the Earth』シリーズは遊んだことがないですが、非常に力を入れて作られており、グッズも多数つくられ『ゴジラ』などともコラボしているようでとても面白そうですね。 どこかから現れ人類を脅かす謎の怪獣という、『ウルトラマン』などでお馴染みの王道展開。故に熱く、燃えそうです。 それをマンガとして非常に上手く盛り立てているのが本作です。 一見すれば怪獣との戦いを描くパニックホラー的なものを想像しそうですが、蓋を開けてみると読めば読むほど続きが気になってくるタイムリープサスペンスとなっています。 一度は現れた怪獣によって滅ぼされかけた39歳の主人公は、気付くと記憶を保ったまま小学生へと戻っておりそこから人類を救う道を模索するべく立ち上がっていきます。 タイムリープしてやり直しを行う作品は多いですが、そうしたタイプの作品の中ではちょっと珍しい展開がありそこに面白さを感じました。 個人的には黒髪ロングストレートのヒロイン藍田さん激推しです。藍田さんの設定も王道からは外れたところがあって、今後どのように扱われていくのか気になります。 牧歌的であった『放課後さいころ倶楽部』とはまた全然違ったテイストで大ゴマや激しいアクションシーンもしばしば登場しますが、中道さんの絵も物語にフィットしていて魅力的です。 原作好きな方だとニヤリとできる部分などもあるのかもしれませんが、原作未読でもまったく問題なく単体で面白く読めます。今後、他のシリーズもマンガ化されていくのかどうかも気になります。
ホントは出汁たい山車さん
温かいお出汁と愛情と #1巻応援
ホントは出汁たい山車さん
兎来栄寿
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『ちいかわ』で出汁編が繰り広げられているいる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 出汁、良いですよね。 普段は昆布や鰹節から取るような手間暇はなかなかかけられないですが、たまに旨味たっぷりの出汁を取って美味しくいただく贅沢はたまりません。イノシン酸とグルタミン酸が生み出す旨味は脳と体に刻み込まれています。 『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』や『森田さんは無口』の佐野妙さんが描くこの作品は、営業2課の佐藤類(さとうるい)と経理部の山車香織(やまぐるまかおり)のふたりを中心にした、冒頭からハッピーエンドがカットバックして始まるほんわか社内ラブコメ×出汁グルメマンガです。 会社内でも出汁を引くほどさまざまな出汁に精通している山車さんから、奥深くありながらも以外と簡単に楽しむことができる出汁のいろはを伝導されていく類。 基本の鰹節や昆布から始まり、コハク酸たっぷりのアサリやグアニル酸がたっぷりながら類が苦手な干し椎茸などさまざまな種類の出汁の産地やそれらを用いた美味しいレシピなどの蘊蓄を読みながら楽しく類と一緒に学んでいけます。 出汁というと手間暇がかかるイメージが強いと思いますが、忙しい日常でも意外と手軽にできるもの(カップ麺にひとかけらの真昆布を入れるなど)も紹介されており、自分でも実践したくなります。ハンバーグにとろろ昆布を入れるのも美味しそうです。 そして、この作品はラブコメとしてもとても上質。会社ではクールで少し怖いイメージすらあった香織が、出汁のことになると饒舌になり柔らかく温かい雰囲気を出しながら美味しい料理を提供してくれるギャップ。四字熟語を多用する黒髪セミロングストレートヒロインを私が好きでないはずはありません。類も類で、素直で明るく真面目で少しヘタレな性格が好感を持てる主人公で、彼らをはよくっつかんかい! とばかりに煽り立てるサブキャラクターたちに同調しながら応援したくなるナイスカップルです。 優しく穏やかなふたりが、少しずつ少しずつ距離を縮めていくこの感じ。社会人の恋愛としては非常に純朴なやり取りが、まさに滋養に満ちた温かい出汁をいただいているときのようなほっと安心する満足感を得られます。たまにはこういう澄んだものをいただきたい……そんな気持ちが充足します。 出汁に詳しくなりたい方、穏やかな大人の恋愛物語を楽しみたい方におすすめです。
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兎来栄寿
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日進月歩のテクノロジーによって世界は日々便利で豊かになっていきます。その陰で、古び消えていく技術や文化もあります。 マンガ業界においても電子書籍が圧倒的な勢いで伸びてきており、その分紙の書籍、特に雑誌の部数は大きく落ち込んでいる昨今。紙の本は段々と贅沢品でロマンの対象としての意味合いを強めていくことでしょう。 また、描き手においても若手はもちろんのことベテランもデジタルに移行する方が増えてきて、スクリーントーンやペン先などはどんどん絶版となってきています。もうアートナイフでトーンを削って気付かない内に爪の間に挟まっていたトーンカスが公の場で突然出てくることもないのだなぁと思うと一抹の寂しさに駆られます。 しかし、荒木飛呂彦さんのようにあくまでフルアナログにこだわる方も一部にはいます。どんな世界にも一定数いる、古き良きものを愛し続ける人の姿は良いものです。 『頭文字D』で、ハチロクに乗り続ける拓海のこだわり。 『16bitセンセーション』で、守が見せるPC98へのこだわり。 太正浪漫であったり、昭和レトロであったりに惹かれる心は多くの人にあるものでしょう。 変化こそが世界の摂理であり、たゆまなく変動していく環境に適応できなかった者から亡びていくのが定めです。それなのになぜ人はこうもレトロなものに言いようもない憧憬を覚えるのでしょう。 人間も必ず老いる生き物であり、自分もいつか古い人間になってしまう瞬間が訪れるのでそんな自分に重ねる部分もあるでしょうか。 古いものであるが故に蓄積された物語や思い出があり、そこに惹かれるからでしょうか。 ともあれレコードというのもまたノスタルジーと共に憧れをもたらしてくれる存在です。 本作は、レコードを愛し日本一のレコード屋になることを夢見る少年カケルが、周囲の友人たちを巻き込みレコード道を邁進する物語です。 『ドラえもん』のパロディである絵柄とキャラクター配置でかなりギャグ色も強いのですが、その中で本気で奏でられるレコードへの愛の調べが秀逸です。 「ゆで卵カッターで全身をスライスされたような衝撃」 というカケルの原体験。 そのカケルとまったく同じ所感を抱き、 「レコードには…スマホにない音の奥行きや広がりを感じる! 音像がまるで別物だ…」 と初めて触れる魅力に打ちのめされながらも相撲部としての活動の合間で翻弄されるデス夫(1P目の登場シーンで「俺様の夢はGAFAを買収してIT企業の頂点に立つことです!」と言い放つのも最高です)。 デス夫の思い人であり、カケルを通して初めてレコードに触れるヒロインのえみるちゃん。 彼女もまた 「フードプロセッサーで粗挽きにされた感じ」 というインプレッシブな表現力と、レコードをフォークボールの握りで持つなど独自の世界観を持つ少女です。 その他にも癖の強い特徴的なサブキャラクターたちが多数登場し、カケルのレコード道を盛り立てていきます。 おおひなたごうさんらしい、シュールな笑いもそこかしこに散りばめられています。個人的にお昼休みの放送の校長インタビューのテーマが「なぜ作文の宿題にChatGPTの使用を許可したのか?」なのも好きです。デス夫がカケルに対して持つ複雑な感情を基軸に物語がパワフルに駆動していくのも良いです。 しかし、何より最高なのはやはりレコードに対する並々ならぬパッションです。レコードにまったく触れたことがない人であっても、ここまで熱くレコードの魅力を語られてしまっては「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」や聖子ちゃんの曲をレコードで聴きたくなることでしょう。 あとがきを読むと、この作中の熱量も納得です。今は自宅にもうレコードを聴ける環境はないですが、レコードをかけてくれるお店に行ってその音色に耳を傾けながら改めて読み直したくなる作品です。
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皇国の守護者

地球に似ているとある星、その海に浮かぶ島国である<皇国>に北方より<帝国>が突如来襲した。一介の兵站将校に過ぎぬ新城直衛(しんじょう・なおえ)は惨敗を喫して撤退する味方の時間稼ぎのために<帝国>の進撃を食い止めることを命ぜられ…
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ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!
ヴィンランド・サガ

ヴィンランド・サガ

千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!!『プラネテス』の幸村誠が描く最強民族(ヴァイキング)叙事詩、堂々登場!
鬼滅の刃

鬼滅の刃

時は大正時代。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変する。唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!! 血風剣戟冒険譚、開幕!!
ドリフターズ

ドリフターズ

紀元1600年、天下分け目の関ヶ原……敵陣突破の撤退戦「島津の退き口」「捨てがまり」で敵将の首を狙うは島津豊久!!生死の狭間で開いた異世界への扉……現在では無い何時か、現実では無い何処かへ、戦国最強のサムライは、新たな戦世界へ招かれる!!異才・平野耕太が描く新世界が今、拡がる……
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園。そして日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場。当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に襲い掛かる米軍の精鋭4万。迎え撃つは『徹底持久』を命じられた日本軍守備隊1万。祖国から遠く離れた小さな島で、彼らは何のために戦い、何を思い生きたのか――!?『戦争』の時代に生きた若者の長く忘れ去られた真実の記録!
大奥

大奥

男子のみを襲う謎の疫病が国中に流行り、男子の数が激減。男女の立場が逆転した世界に生まれた貧乏旗本の水野は、大奥へ奉公することを決意する。女性の将軍に仕える美男三千人が集められた女人禁制の場所・大奥で巻き起こる事件とは…!?
チ。―地球の運動について―

チ。―地球の運動について―

動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった―― 命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
呪術廻戦

呪術廻戦

類稀な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)は、病床に伏せる祖父の見舞いを日課にしていた。だがある日学校に眠る「呪物」の封印が解かれ、化物が現れてしまう。取り残された先輩を救う為、校舎へ乗り込む虎杖だが!?
SPY×FAMILY

SPY×FAMILY

名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!
宇宙兄弟

宇宙兄弟

2025年。兄は、もう一度だけ自分を信じた。筑波経由火星行きの物語がはじまる!本格兄弟宇宙漫画発進!幼少時代、星空を眺めながら約束を交わした兄・六太と弟・日々人。2025年、弟は約束どおり宇宙飛行士となり、月面の第1次長期滞在クルーの一員となっていた。一方、会社をクビになり、無職の兄・六太。弟からの1通のメールで、兄は再び宇宙を目指しはじめる!
葬送のフリーレン

葬送のフリーレン

魔王を倒した勇者一行の後日譚ファンタジー 魔王を倒した勇者一行の“その後”。魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。彼女が“後”の世界で生きること、感じることとは―― 残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは―― 物語は“冒険の終わり”から始まる。英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚(アフター)ファンタジー!
東京卍リベンジャーズ

東京卍リベンジャーズ

【講談社販売部驚愕!空前の重版!】実写映画化で話題!『新宿スワン』作者の和久井健が贈る、最新巨編!!ダメフリーター花垣武道は、ある日ニュースを見ていると、最凶最悪の悪党連合”東京卍會”に、中学時代に付き合っていた人生唯一の恋人が殺されたことを知る。壁の薄いボロアパートに住み、レンタルショップでバイトしながら6歳年下の店長にこき使われる日々。人生のピークは確実に彼女がいた中学時代だけだった……。そんなどん底人生まっただ中のある日、突如12年前へタイムリープ!!恋人を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、人生のリベンジを開始する!!【各方面から称賛の声!!】2017年の新連載で1番売れたサスペンス漫画!&2017年の新連載で1番売れたタイムリープ漫画!!LINEマンガ総合ランキング1位獲得!!ホリエモンが選ぶ今読むべき漫画11選ノミネート!!鈴木達央 VS. 島崎信長!? 一人三役で熱い掛け合いをした最新PVがYoutubeで公開中!!「鈴木達央 島崎信長 東卍」で検索!!
Dr.STONE

Dr.STONE

【デジタル版限定!巻末に描き下ろし特典イラスト付き!】一瞬にして世界中すべての人間が石と化す、謎の現象に巻き込まれた高校生の大樹。数千年後――。目覚めた大樹とその友・千空はゼロから文明を作ることを決意する!! 空前絶後のSFサバイバル冒険譚、開幕!!
7SEEDS

7SEEDS

ごちそうを食べて自分の部屋で寝たはず…だが目覚めると、ナツは荒れ狂う海の上にいた。どうして自分がここにいるのかわからない。やがて流れ着いた無人島。生きるための過酷な冒険が始まった!!
ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!
カムイ伝全集 第一部

カムイ伝全集 第一部

▼「決定版 カムイ伝全集」刊行にあたって▼第1章/誕生(怪声、ダンズリ、犬追物、山狩り、地擦り、緑の目、誕生)▼第2章/カガリ(根ビラキ、カガリ、フッカケ、犬、草場、カムイ)▼第3章/剣(雪割、見分、血、剣、一本杉、流星)▼第4章/マス取り(蔵方役、遊猟、検見、マスどり、刺客)●主な登場人物/カムイ(差別の壁を力で乗り越えようとする夙谷の少年)、正助(才覚あふれる貧しい農民の子)、草加竜之進(次席家老のひとり息子)●あらすじ/幕府による厳しい身分制度がしかれていた江戸時代。その寛永年間(1624~34年)末の日置藩領内。厳しい差別を受けていた人々の集落は、夙谷(しゅくだに)という地域にあった。そこで生まれたカムイは“生きる誇りと自由”を得るためには、強くなる以外に方法はないという信念を持つ。そんなカムイがふとしたことで知り合った少年の正助。貧しい下人(自分の田を持たない小作農民)の子として生まれた彼も、いつかは自分の家や田が持てる立場になりたいと願っていた。ある日、カムイの母親が重い病にかかるが、夙谷の病人ということで町の医者から診察を拒否される。自分の母親が、ろくな手当ても受けずに死んでしまったことで、言いようのない怒りを感じたカムイは、その怒りを森で出会ったイノシシと戦うことで晴らそうとする。しかし、逆にカムイは傷ついて意識を失ってしまう。そこに偶然、あの正助が通りかかる…(第1章)。●その他の登場人物/日置藩主、弥助(カムイの父)、ダンズリ(正助の父)、花巻村の庄屋、草加勘兵衛(日置藩の次席家老)、橘軍太夫(草加勘兵衛に敵意を抱いている日置藩の目付)、橘一馬(軍太夫の息子)、横目(目付けの手先となって働く夙谷の頭)、笹一角(日置藩の剣法指南役)、水無月右近(笹一角を打ち負かした浪人)、笹兵庫(水無月右近に敗れて脱藩した兄の代わりに剣法指南役となる)
RED

RED

19世紀末、アメリカ西部。日本を逃げ出した肥後士族のサムライ・伊東伊衛郎(いえろう)は、1人のインディアンと出会う。彼の名は、レッド。夕焼け空の赤色をさすという……。そして、街の保安官・バーンズの持つ合衆国騎兵隊の階級章をレッドが見た夜、慟哭と共に大殺戮が始まる――。勝者の歴史に牙を剥く、叛骨の崖っぷちウエスタン、ここに開幕!!
シートン動物記

シートン動物記

大自然を生きる動物たちを描いたシートンの名作を、白土三平がリアルタッチで劇画化。高い評価を得た、正確な動物描写の傑作。▼第1話/ワーブの少年時代▼第2話/ワーブの青年時代▼第3話/ワーブの壮年時代▼第4話/ワーブの老衰時代●あらすじ/灰色熊の仔・ワーブは人が未だ訪れたことのない未開の地で生まれた。力持ちで優しい母のもと、3匹の兄弟とともに元気よく、すくすくと成長していった。しかし、ワーブたちの平穏な暮らしは人間の放つ銃弾によって一気に崩壊させられてしまう。母熊と格闘し、傷ついた家畜の雄牛を見つけた家畜王・ピケット老大佐が家畜の安全のため、熊狩りを行ったのだった。母、そして兄弟たちが次々と倒れていくなか、ワーブは運良く九死に一生を得る。しかし、まだ自分の力でエサを確保できない小熊には、厳しい自然の摂理が待ち構えていた!(第1話)
カムイ伝全集 第二部

カムイ伝全集 第二部

▼第1章/猿山(カミナリ/孤猿/伏兵/旅立ち/恋鳴き/逃げ水/帰還)▼第2章/谷地湯(道づれ/下剋上) ●主な登場人物/カミナリ(第一位のボス猿。メスたちからの信頼も厚く、確固とした地位を保つ)、ダルマ(第二位のボス。おっとりした性格)、キズ(第三位のボス。気性の激しい性格)、歯ッカケ(第四位のボス。四匹の中で一番若い) ●あらすじ/領地没収になった日置藩領内に、廃城をねぐらにする猿の群れがあった。第一位のボス・カミナリを筆頭に四匹のボス猿たちが群れを統括していたが、ある日、テリトリー内に一匹のよそ者が現われる事件が発生。さっそく第二位以下のボス猿が撃退に向かうが、あっけなく敗北し、ついにカミナリとの睨み合いとなる。よそ者は何を思ったか、その場は戦わずに森へと帰っていくが、その後も群れの付近につかず離れずで居座り続け…(第1章)。
ブランカ

ブランカ

▼第1話/凍土(ツンドラ)の犬▼第2話/白い牙▼第3話/悪霊▼第4話/標的▼第5話/追跡者▼第6話/トリガー▼第7話/手負い▼第8話/ル・シアン―友は西から▼第9話/荒野へ▼第10話/帰巣本能▼あとがき ●主な登場人物/ブランカ(R共和国軍部の遺伝子操作技術によって生み出された軍事戦闘犬)、シバ(アラスカで密猟をする日本人、殺された仲間の復讐のためブランカを追う) ●あらすじ/厳冬のアラスカ・ブルックス山脈で、密猟者のディックとシバは、見事な角の鹿をむさぼり食うオオカミの群れを発見する。ディックはこれ幸いと、その鹿の角を奪い取るためにオオカミに向かって発砲する。すると、そのオオカミの群れに交じっていた一匹の白い犬が突然彼を襲い、アッと言う間に首を食いちぎってしまった。あまりのことに呆然とし、立つことができなくなってしまったシバに、その白い犬は悲しい視線を落とし、山に戻っていく…(第1話)。▼ブルックス山脈で密猟を続けるグループの所に、ある男が犬を一匹殺してほしいと現われた。報酬は10万ドル。あまりの大金にみな驚き不審がるも、結局この仕事を引き受ける。ただ、そ の犬を実際に見たことがあるシバだけは、「あんな恐ろしい犬は見たことがない」と仕事を拒む。実はこの白い犬には、どこかの国の重要な軍事秘密が隠されているらしいのだが…(第2話)。●その他の登場キャラクター/軍事戦闘犬を養成しているR共和国軍部の中心人物・シュミット大佐(第3~5、9、10話)、R共和国軍部特殊戦闘犬訓練士・モーリ・ワーレン中尉(第3~9話)
神の犬

神の犬

▼第1話/狼の時▼第2話/黒と銀▼第3話/出逢い▼第4話/力を与うもの▼第5話/銀色の風▼第6話/特殊軍事戦闘犬▼第7話/制御不能▼第8話/追う者▼第9話/狙撃▼第10話/谺(こだま)する牙▼第11話/彼方への咆哮 ●主な登場人物/タイガ(軍事戦闘犬・ブランカと野生の狼との子供)、ナギ(軍事戦闘犬・ブランカと野生の狼との子供、タイガの兄弟) ●あらすじ/カナダのグレイト・ベア・レイクでオオカミの生態を追い続けている学者・エリック教授と助手の矢野健太郎は、不思議な光景を目にする。生後6か月の2匹の仔オオカミが、ほかの野生の成獣たちと変わらぬ動きで、狩りに参加しているのだ。ふたりは生命の底知れぬ神秘さに驚嘆する。一方、ロシア共和国のサンクト・ペテルブルグでは、軍事戦闘犬・ブランカを生み出したR共和国が、新たに育てた戦闘犬を使って、ルージン大統領暗殺のチャンスを狙っている……(第1話)。▼グレイト・ベア・レイクにブランカの子供がいるらしいとの情報を得たR共和国軍部は、早速捕獲を開始。仔オオカミの筋力をはるかに超えた跳躍をみせる黒いオオカミ・タイガを捕まえる。銀色の毛を持つタイガの兄弟・ナギは、たった一匹で荒野に残され……(第2話)。 ●本巻の特徴/R共和国に捕獲されたタイガが、特殊訓練によって徐々に秘めた能力を開花させていく。 ●その他の登場キャラクター/軍事戦闘犬を養成しているR共和国軍部の中心人物・シュミット大佐(第1~9、11話)、R共和国特殊軍事戦闘犬訓練士でブランカの育ての親・モーリ・ワーレン中尉(第1~11話)、オオカミの生態を研究するエリック教授の助手・鈴木健太郎(第1~11話)
動物記 -まんがで読破-

動物記 -まんがで読破-

動物文学の父が描く悲劇と感動のドラマ!19世紀、文明化の波が広がり野生動物の乱獲が進むアメリカ開拓時代。猟師として、画家として動物の生態を研究していたシートンのもとに狼退治の依頼が舞い込む。そこで出会った狼たちの、決して人間に屈しない姿が、彼の人生に大きな転機をもたらす。総数55編にも及ぷ「動物記」の中でも傑作とされる「オオカミ王ロボ」と他2編を漫画化!
天幕のジャードゥーガル

天幕のジャードゥーガル

後宮では賢さこそが美しさ。13世紀、地上最強の大帝国「モンゴル帝国」の捕虜となり、後宮に仕えることになった女・ファーティマは、当時世界最高レベルの医療技術や科学知識を誇るイランの出身。その知識と知恵を持ち、自分の才能を発揮できる世界を求めていたファーティマは、第2代皇帝・オゴタイの第6夫人でモンゴル帝国に複雑な思いを抱く女・ドレゲネと出会い、そして……!? 大帝国を揺るがす女ふたりのモンゴル後宮譚!
ハーン ‐草と鉄と羊‐

ハーン ‐草と鉄と羊‐

蝦夷地に住んでいた源義経は、兄・頼朝から追われていた。船に乗り込んで逃げようとしたが、その船は難破、着いた先はだだっ広い大陸。彼は復讐に囚われた人生を捨て、新たに生きることを決意した。裸一貫! 土地、人種、しがらみ。義経はすべてを飛び越え、曲者だらけのユーラシア大陸を駆け廻る! そして人類史最大の支配者になることができるのか!?
夢幻の如く

夢幻の如く

天正十年六月に、本能寺で明智光秀に討たれて死んだはずの織田信長が、なんと生きていた!!復活した信長が抱く、壮大な野望とは果たして…!?本宮ひろ志が描く、新たなる織田信長の伝説が、今ここに始まる!!
虹色のトロツキー

虹色のトロツキー

幼い頃に記憶と家族を失った日蒙二世の青年・ウムボルトは、赤化運動の折、憲兵に捕まり拷問を受ける。しかし、関東軍参謀・辻政信によって釈放され、日本軍統治下の満州に建てられた建国大学に入学する事になった。そこで、ロシア赤軍を創ったトロツキーが父の知り合いであること、自分はトロツキーを招き入れる為に軍上層部の思惑によって学校に入れられた事を知らされる。旧満州を舞台に日本軍の政治的陰謀に巻き込まれながらも、強く生き抜く青年の物語が今はじまる。
花音

花音

バイオリンを天才的に弾きこなす、モンゴルで生まれ育った日本人少女・花音(かのん)。父親を知らずに育った花音は、母親が事故死したあと、音楽家以外なんの手がかりもない父親を捜すため、バイオリニストへの道を歩む決意をする…。天才少女・花音の華麗な恋の物語!!
RIDE ON!

RIDE ON!

中学3年の来人(らいと)は陸上短距離選手。ようやく大会に出られることになった矢先、交通事故で大事な足を骨折し、大会出場を断念せざるをえなかった。そして3か月後、心の傷が癒えない来人は、周囲の勧めで気分転換の旅行に出る。ふらりとやって来た高原の牧場で、乗馬クラブ「テイル・ロッジ」の調教師・有華と馬のレヴェリーに出会い、成り行きで馬に乗ることになった来人は、初めて観る馬からの景色と、馬を操るスリルと気持ち良さに大感動。すっかり馬の虜になった来人は、休みの日ごとに牧場を訪れ、おしかけバイトとして有華の手伝いをするようになった。馬と接するたびに、どんどん馬が好きになっていく来人。やっと陸上以外の楽しみを見つけた来人は、乗馬の大会に出ることを決意する!馬に魅せられ、馬に青春をかけた少年・来人が、人と馬との触れ合いを通じて成長していく姿を爽やかに描いた意欲作、第1巻(全2巻)!
蒼き大地ブフ

蒼き大地ブフ

英雄(アブラガ)と呼ばれる父がモンゴルにいることを、母の死の際に初めて知らされた小学生・蒼空武夫。“英雄”とはモンゴル相撲(ブフ)で強い男を指す特別な称号。愛した母が、かつて父に見捨てられたと思い込んだ武夫は、彼を“殴り”に単身モンゴルへ。が、広大な自然に囲まれた蒼き大地には過酷な試練が…。強く生きたいと願う武夫だが!?
チンギス・ハーン

チンギス・ハーン

十二世紀、モンゴル高原には、多くの異種族の遊牧民が住んでいた。一つの部族はいくつかの同族が集まって、集落を作りくらしていた。各部族は、水と草を求めて、互いに争いをくり返していた。広大な土地に暮らしながら、互いに略奪や殺戮を繰り返す遊牧民達…そして、モンゴルの偉大な英雄チンギス・ハーンの物語が始まる。※秋田書店刊ハードカバー版を分冊しています。
モンゴリアンメッセージ二〇二〇

モンゴリアンメッセージ二〇二〇

南モンゴルをご存知ですか。北にあるモンゴル国とは別の、中国にあるいわゆる「内モンゴル自治区」のことです。戦後、この場所で起きたことは、日本と深く関りがありながら、何故か教えられることもなく、知られていませんでした。モンゴル人の人口は全体の一割、消えようとしている国が世界に必死で訴えています。その声をどうか聴いて下さい。
死して後も残る価値を、この世に刻め『シュトヘル』にコメントする