美麗な絵で描かれる15世紀ヨーロッパ紀行。それだけでも堪らないのですが、内容的にもとても良くお薦めしたい作品です。 イタリアのフェラーラから始まり、ヴェネツィアやクレタ島など諸国を少女たちが旅して行く様子が描かれて行きます。 ヴェネツィアのゴンドラやクロアチアの民族衣装などの名物が華やかなヴィジュアルで紹介され、実際に旅をしているような楽しい気分にさせてくれます。特に、丁寧に描かれる世界各地の名物料理は実食したくなること請け合いです。 丁度個人的に今年の初めにアテネからエーゲ海を渡ってギリシャの島に行ったり、そこからローマやヴェネツィアを旅して来たこともあって「あー、ここはこの前行った!」と、より楽しめる部分が多かったです。またいつか行きたいと思ったのですが、この作品を読んだことでその想いがまた一際強くなりました。 明るく和やかな雰囲気で進行する物語に、読んだ後は心も解きほぐれます。 中心人物が二人の少女なので、百合好きの方にもお薦めです。
『彼女のいる彼氏』の矢島光さんによる新作です。 矢島さんとは活動初期の頃から知り合いで、矢島さんが人生史上初めて描くというサイン色紙も頂きお店に飾っておりました。 それから2年と少し経ってから再びサイン色紙を頂いた時、見違えるほど画力が上達していて驚きました。 そして、この『バトンの星』を読んだ時に画力のみならず漫画力そのものが圧倒的に上がっていると感じました。 『潔癖男子!青山くん』の坂本拓さんの下でアシスタントをしながら美術予備校でデッサンなどの修行も積んだとのことですが、この短期間でここまで総合力が上がった方はなかなか見たことがありません。 テーマとなるバトントワリングへの愛。バトンを知らない読者をも惹きつけるバトンアクションのカッコよさ。イケメンと可愛い女の子を始めとする魅力的なキャラクターたち。テンポの良さ。 昔から「バトンマンガを描きたいんです!」と仰っており、原型となる作品のネームを見せて頂いたこともあって僭越ながらアドバイスもさせて頂いたのですが、『バトンの星』は本当に素晴らしい作品として結実したと思います。 連載は終わってしまっていましたがもっともっと見ていたい物語でした。矢島さんの今後の活躍もとても楽しみです。
2月発売の単巻作品一押しです。 読み味として近いと感じたのは、星新一や筒井康隆のショートショートでした。 「見る人の五感を騙して周辺認識まで歪める万能デザイン人形」 「分岐し続ける多重世界を観測できるバッヂ」 「脳の全情報をコピーして醒めない夢を見続ける小箱」 など、表題作の「有害無罪玩具」の中には短いお話の中に短編を5個も6個も書けそうな奇想や思考実験的なものを盛り込んだアイテムが登場します。 また別のお話の「虚数時間の遊び」や「金魚の人魚は人魚の金魚」では、人が生きられる時間の限界を遥かに超えた遠大なスケールの物語が描かれます。 全体を通して、あまり他で見ないマンガという媒体で成し得る様々な実験的な表現手法が沢山登場するのも特色。それもまた、小説の既存の作法を大きく逸脱した筒井康隆の野心的な文体と演出を髣髴とさせました。 物語と演出が上手く相乗して、読む者の想像力や知的好奇心を激しく刺激してくれます。そして、それが不思議な快感をもたらしてくれる作品です。 尖った作品や少し変わったマンガを好む方、あるいは哲学的なものが好きな方にはぜひとも触れてみて欲しいと思います。
いわゆるスポーツ漫画一般を分類する言葉として「スポ根」というものがあるが、ちばあきおの『キャプテン』ならびにその続編の『プレイボール』は、その内容的には「スポ根」と呼べそうな要素を多分にもっていながら、どうしても「スポ根」とはいいがたい何かがあるように思う。それはいったい何なのか。 スポーツとはそもそもが不平等である。そんなスポーツ界で頂点に立つような人々というのは、生まれながらにして神に愛されており、尚且つ、努力にいっさいの身を惜しまないような人であろうと思う。それはそれは残酷で切ないことではありませんか。 そうであれば、少なくとも、青葉から墨谷二中に転校してきた谷口タカオをはじめ、体格にも才能にも恵まれない人々は二倍も三倍も、もっともっと、もっともっと、がんばらなくっちゃならない、その間にも、生まれながらにして神に愛されており、尚且つ、努力に身を惜しまない人々は先へ先へと進んでいくのだから。しかし、あえて言及してみるまでもなく、これほど当然の理屈もないだろう。劣っているものが優れたものに勝つには、もっともっと、もっともっと、がんばらなくっちゃならない。三分の一ノックで身体がボロボロになろうとも、向こう見ずのダイビングキャッチで脳震盪を起こそうとも、それでも、それでも、がんばらなくっちゃならない。なにせ相手は生まれながらにして神に愛されており、尚且つ、努力に身を惜しむことのない猛者たちなのだ、これほど至極当然の理屈がこの世にほかにあるだろうか。これほど残酷で切ないはなしがほかにあるだろうか。 しかし、ちばあきおという作家は、この残酷で切ない至極当然の法則から目を背けることはけっしてしない。むしろ、それを剥き出しの状態のまま直視しようとしているようにみえる。この眼差しには、残酷で切ないだけではない、どこか優しさめいたものがあるように思う。この優しさは、けっして、困っているひとを、あるいは劣っているひとを、助けるといったたぐいの優しさではない。もし、そうであれば、島田は二度も三度もフェンスに激突して脳震盪を起こさずに済んだにちがいない。 思うに、いわゆる「スポ根」なるものは、当然なるものを当然のこととして描くのではなく、この残酷で切ないがんばりそのものを直視するのではなく、それを問題的に、あるいは問題-解決的に覆うことで物語を構築しているのではないか。そうすることで残酷で切ないがんばりそのものは問題的なもののベールに包まれて見えにくくはなるが、登場人物たちは野性的で不平等きわまりない野晒しの世界からは守られることになる、しかし、これもある種の優しさではあろう。 それにしても、この野晒しの世界で、墨谷二中はどうなったか。なんと全国制覇を成し遂げたのである。当然のことを当然のこととして丹念に描いた結果が、荒唐無稽な夢のよう話になってしまうという、これほど感動的な事態がほかにあり得ようか。数あるスポ根の登場人物たちには勝つために理由-問題が必要だった、裏を返してみれば、彼らの勝利にはそれ相応の理由があった。そうと理由があるのなら、なんだ、そういうことかと腑に落ちることができる。しかし、ほんとうに感動的な体験とは、まだ見たことのない信じられないようなものを目の当たりにするときに起こるのではないだろうか。そして、それを少なくとも可能にするのは、努力は必ずしも、いや、ほとんど場合において実を結びはしないが、それでも、それでも、がんばらなくっちゃと思う、なにか対象のない漠とした祈りのような姿勢のなかにあるということを谷口たちは身をもって教えてくれる。
※ネタバレを含むクチコミです。
ゆうきまさみが描くパトレイバー は本当によく出来た作品だと思います。週刊連載なのでそれなりの話数にはなるのですが、1話その1のように話が区切られているので、全体としては20数話構成。ストーリーも細かいところへ枝分かれはしますが、基本的には謎のレイバーグリフォンとの戦いに終始しているので、話にブレがありません。一つの話を長く続けてここまで深めていけたのはパトレイバー シリーズの中でも、飛び抜けている点ではないかなと思います。 また、これは作家性の領域、あるいは漫画家という職業の強みかもしれませんが、キャラクターの魅力がずいぶん引き出されてます。特に主人公の野明のかわいさは全パトレイバーの中でピカイチ。そればかりか、あの太田さんまでも時折深みのようなものを見せるのですから、たいしたものです。 個人的に残念だった点をあげるのなら、野明がレイバーのことをイングラムと機体名で呼んでることですかね。アーリーデイズから入った人間としてはアルフォンスと呼んで欲しかった。完全に私の趣味ですが。 パトレイバーはゆうきまさみもTwitterなどで公言しているように、マルチメディア展開を念頭に置いた企画のようで、アニメが先、漫画が先ということはないらしいようです。あるのはどれが好きかでしょう。話として通ずるものも多く、例えばアーリーデイズと漫画には、海に現れた謎の巨大生命体を扱った話がありますが、前者ではハイドロジェンデストロイヤーで撃退しようとする本多猪四郎版ゴジラのパロディとして、後者として人間ドラマを織り交ぜたシリアスなストーリーとして仕上げていたりします。マルチメディア展開が故に楽しめる要素として、それぞれが楽しいですので、漫画共々パトレイバーは読まれ見られ続けて欲しいです。
webで見たことある気がしましたがコミックス手に取りました。全フルカラー…! すごい好きが溢れている!! 好きなこのためなら宇宙間でも追いかけていくサザン、いいですね! ちょっと懐かしい感じもする絵柄と話がさらに好感持てます。上巻読了!
大人の女性向けマンガとしてすごく人気のある作品だと思います。あまりこのジャンルに手を出してこなかったのですが、もんでんあきこ先生なら画力もストーリーも上手いのは知ってるし安心だと思って読み始めたら、想像以上に魅了されてしまいました。エロスの種子とは違う愛の物語。甘々なので癒されます。
私立探偵が社長令嬢マリアの捜索を依頼される。捜索場所はなんと一軒の家。家出でも誘拐でもなく家の中で行方不明になったという…。試し読みができる物語の導入部分でもだいぶ面白いんだけど、読み進めるほどに展開も広がってノンストップで読み終えてしまった。独特のホラーな世界観の描写は、作者の無意識的な素描から生まれたものらしい。これがいい味を醸しだして他にはない面白さに繋がっている。夢で見る風景みたいな描写にも心惹かれた。怖いんだけどセンスも感じる。ぜひまたホラー漫画を描いて欲しいなぁ。
米4合は炊きすぎだろ…3合でいいよ。 いや、わかるよ? 「3合だと少ないかな…」って思っちゃうよね。 そんで炊きっぱで放置しちゃうのもわかる。 たまにしか自炊しないから忘れちゃうのよ、炊いたこと。 んで、ジャーの中で保温(もしくは常温)で放置された米の状態が気になっちゃうのも、すごーくよくわかる。 ①工夫して料理して、②料理して、③料理して、からのオチはズルい…!!! めちゃめちゃフツーの1人暮らしあるあるとして読んでいたところに、あのくだらない完成品はズルいって!! 最後まで読んでから1ページ目の作者名を読むとフフッとなる。好き
盛るよなァ〜〜〜要素をさァ〜〜〜。 しかしながらこのマンガが真に素晴らしいのは 異常な射撃の腕を持つメイド服の青年と親の仇への復讐に燃える少女のコンビが ゾンビやナチスとガチバトルを繰り広げるっていう キャッチーな要素の底の底に、血の通った人間のあったかさが しっかりと敷き詰められているところです。 食事のシーンとか、ちょっとしたふたりのやりとりとか、ゾンビを前にいがみ合っていた人間が手を取り合うとか…。 本格ゾンビ・アクション・ホラーの中に 片山ユキヲ先生の「やさしさ」の芯がきちんと通っているので ゾンビものの枠組みを超えて「人間ていいよね…」ってなっちゃうこと間違いなしの良作です。
ボケのギア入れるタイミング大好き!笑わざる得ない 「1カ月後に自殺すると決めた男の日常」というヘビーなシチュエーションの中で、自然に笑わせてくるところがすごい。 そして絵やストーリーで妙なひねりを入れてない、ストレートなお話の描き方が読みやすくていい。 シリアスと笑いのバランスが超絶妙ないい読切でした。
全1巻とコンパクトにまとめられつつも水上ワールド全開。濃いキャラが休む暇なく現れてツッコミが追いつかないうちに楽しく読み終わっている。 座敷童や雪女が大立ち回りをしたと思っていたらクソデカいメカが登場したり滅茶苦茶ですw タイトルにもある「木造渓谷」の、何というか「世界の裏側感」は「百万畳ラビリンス」を彷彿とさせますね。「冒険」だけあってワクワク感ぱないです。ほんで最後には心にぐっと来てる。全1巻の良作。 妖怪相手にもきっちり報酬は請求する自営業ヒーロー・二本松兄妹もまた、変わり者だけど不思議と好感の持てる良主人公でした。変身のトリガーが××ってところも尖ってて良いw
魔人を従え異形を斃す、「魔女の心臓」を継ぐ少女のダークファンタジーです。トリニティセブン外伝のコンビによるオリジナルということで期待大。 制御できない異能で周囲の人間を苦しめてしまう罪の意識に苛まれる魔人と、背負った宿命ゆえ「異形と化してしまった元人間」を狩ることに心を痛め続ける魔女が、一蓮托生の契約を結ぶというストーリーはなかなかエモいです。 阿倍野ちゃこ先生好きなので半ばジャケ買いでしたが、悪くない買い物でした。
20歳でデビュー!イキナリ新連載!すごい。 第1話は、かなり歪んだ片思いをしている女の子が主人公で、好意を抱いてる相手は同じクラスの女の子。同性愛です。人を疑うことを知らないような純粋な彼女を落とし入れて傷ついてる姿に興奮する主人公。あらすじだと割とよくあるストーリーですが、独特なセンス(言葉とか)を感じます。煽り文にオムニバスとありますが、第2話もこの二人の女の子の話のようなので、ここからの展開にも期待大。
まじめっぽい小学生男子が橋の下で出会った女の子は…実は龍神様!ひょんな流れで一緒に暮らすことに!ちなみに二人っきりではなくイケイケなお姉ちゃんもいます。ふとしたキャラクターの表情がかわいいです。
マンバで見つけて読んだ作品。 ギャグ漫画らしい絵柄がすき ギャグということで最初は主人公・うましの探偵ぶりに不安があった(※状況を悪化させる能無しの探偵が好きじゃない)けど、蓋を開けたら探偵としての能力はメッチャ高いのが意外だった。 「人の不幸でモリモリ白米を食うの、面白いけど昨今の社会を鑑みてコンプライアンス的にどうなの…?」と心の片隅で思ったが、読んでいけばそこはキチンと考えられておりよく出来てると関心。 気になるところといえば、不謹慎刑事(父親)が登場しているのに、主人公(と兄)の生い立ちが明らかになってないとこ。 何をどうしたらあんな人間に育つんだ、座間家とは一体…
1巻読了。 かなり面白いが、破壊の鉄球とおなべのふたタイプの漫画。メジャー誌ならもっと人気でたかもしれないものの、面白さのわりに大して話題にならないまま3巻で終わってしまったのもまぁ納得できなくはない惜しさがある。 「民俗芸能」というレアで興味深い題材(よさこいや盆踊りよりさらにマイナーな岩手の「鬼剣舞」←検索で出るw)。文化系漫画として貴重で雰囲気も良い一方、論理的な会話の構築ができていなかったり噛み合っていなかったり、稚拙さも目立つ。会話や言葉選びのセンスが悪いのは本人の能力なのか編集の質が低いのか…… おっさんが主人公だが、少女漫画かそれに類する畑の作者だと思われるのでどうしても「おっさん漫画」っぽくはないですね。逆に画面がキラキラしてるのが気にならない読者であれば、心情描写などを楽しむことができると思います。
おもしろい!自分の中の小学生の部分が喜んでいる…!! この「サッカーで悪者に勝って日本全国でパワーを集める」という、アタマ空っぽで楽しめる王道少年漫画らしい設定が最高。 チェアマンがフリーザ様みたいなやつに乗ってたり、子どもが日本中旅したり、こういう「ファンタジー」な要素がたまらない!!そうそう、少年はこれだよ…!! このマンガ自体が「オフィシャルライセンスグッズ」ということで、実在のチーム名がそのまま使われ、選手が登場するところも熱い。 (少年誌でよくある「〇〇選手物語」みたい) アニメ化の際はぜひレベルファイブでお願いします!
入浴しながら偶然宣伝された思いでの作品です。 一件くだらないように見えてリアル。
釣りのことは全然わからないから、釣りの描写を真に楽しめてはいないと思うんだけど、それ以外の自然の描写とか小学生男女のやり取りが生み出す空気感が良かった
自分でもまさか転シマで『島耕作』デビューを果たすとは夢にも思ってなかった。 自分は右も左もわからぬまま課長島耕作の世界に飛び込んでいるので、主人公と同じように「あ~!この頃か」とか「はいはい、コイツね!」とか理解しながら楽しめる人はめちゃめちゃ楽しいんだろうな〜と羨ましく思う。 シリーズを読んでいない自分ですら「島耕作といえば性に奔放で一寸先はセックス」というイメージなだけに、「主人公37歳(童貞)」がどう乗り切っていくのか4月の後編が楽しみ!! (このセリフオタクなら一度は考えたことがあるよね)
進撃とアル戦に挟まれた掲載順、そんなの読むしかないじゃん。 「笑ってはいけない」というシチュエーションを、高い画力で描かれたら…そんなの面白いじゃん! たった8ページしかないので終わり方が超アッサリ(むしろちょっと唐突)なのが、そこもまた「終わりなのかよwww」という笑いを誘う。 もっとページ数たっぷりで読んでみたい作品でした。
「酒を飲むとカワウソと話せるようになる」という、ナチュラルにキマってる設定に笑った。 これを機に「カワウソ」でググったら、予測変換に「獺」と出てビックリ!(ちゃんと店長の飲んでる酒が「だっさい酒」なのもそういうことか!) ぬいぐるみみたいにキュートなカワウソより、逆作画崩壊してるおっさんみたいなカワウソの方が好き
字を書くのが苦手な主人公を通じて「鶯ちゃんが字を極める理由」描かれている作品。 その「理由」は、鶯ちゃんの字を見ればちゃんと伝わるようになっているのがうまい! あわあわしながら『快諾』するところで、いっきに好きになった。 ただ作者の描き文字から判断するに、作者の方はどちらかというと主人公側だから着想を得られたのかな〜と思った笑
かつて中学生だった大人達みんなに読んでもらいたい。 効き目のない薬を飲んでも患者さん自身が効き目があると思い込むことで症状が改善することをプラセボ効果といいますが、その「ぷらせぼ(偽薬)」がタイトルに付いています。思春期の頃って自分や他人に期待し過ぎることがあると思うんです。その過剰な思い込みによってネガティブになったりナイーブになったりするんじゃないかな。主人公の岡ちゃん(表紙の二頭身キャラ)がまさしくその葛藤の真っ只中で、大人になった今は「ありのままの岡ちゃんでいいんだよ」と言ってあげたくなりますが、当時は自分も色々夢中だったかもと懐かしくなりました。岡ちゃんが脇役として登場する回はクラスメイト達の話になるのですが、完璧じゃない恋や友情が物語として特別なものになっています。ちょっと泣けるし、めっちゃ笑えます。
実はすごく気があって二人は親友になれそうだったのに、ちょっとした誤解でスレ違ったまま不慮の事故で死んでしまったクラスメイト。割とよくある筋書きだけど、この作品には光るものがあると感じた。なんてことないクラスの中の一人だったし、パンツを覗くのが趣味なんて変わってる。けど単純ないいやつじゃないからこそ惹かれるんだろうな。人間の内面の複雑さが磯辺くんというキャラはよく描かれていると思う。コマ割りもパンツの描写もすごく魅せられた。
吸血鬼になって以来、100年近く『陰キャラ』として高校に通い続けている小出くんの日常を描いたコメディ。 新一年生と同クラになって早々、女の子に「高校生活なんて対して面白くない」と無神経なことを言ったり、100年分の学力で授業中マウントをとったり…。 空回りしてちょっぴり痛々しい小出くんが、今年こそは陽キャになるため、クラスメイトのクールな吸血鬼・三浦の手を借りつつ奮闘します。 ドタバタ学園コメディかと思いきや、急に吸血鬼ならではのシリアスをぶっ込んでくるところが堪らなくエモい…!! 2人でお馬鹿なギャグをやってても、ふとした瞬間に見せる「アランとエドガーみ」にグッと来てしまう。 ポーの一族を読んで育った人に読んでほしい吸血鬼ギャグマンガです…! https://comic.pixiv.net/works/2010
アニメーターとしても活躍されている海島さんの初短編集。 まず絵が気絶するくらいうまい。ほんとに。マジで。 どの話も絵的に派手なことが起きるわけではないんですが キャラクターの気持ちがイッパツで流れ込んでくる圧倒的・絵・パワーによって、感情の機微をミリ単位で調節するかのような繊細な物語が見事に成立しています。 これだけ絶妙な表情が描けるのは本当にすごい。 今年読んだ短編集ではダントツに好きでした!ありがとうございます!!!!
白い天使と黒い邪神、どっちが好き? 自分は圧倒的に邪神ゆいちゃん!! 格好良くて挑発的で暴力的で一人称が「ゆい」で返り血が似合う黒セーラーの美少女。 性癖がこじ開けられる…! 椎橋先生の描く二面性、最高です
普段BLはそんなに読みませんが、たまに読むと設定がぶっ飛んでて面白いですね! これを機にいろんなBLを読んでみようと思います。
なんでか知らないけど、見た人を惹きつける
https://twitter.com/aizawa_ikue/status/840363234242707456?s=21 著者が震災について語っていた。沁みる
表紙買いというかなんとなく雰囲気買いをしてしまったBL本ですがすごくいい気分になれる漫画でした。 ぼやっとした感想にしかなりませんが、真逆でいて、しかしどこか似た者同士のふたりが一歩歩み寄り時に一歩離れる感じたまりません! どこかひだまりでゴロゴロしてるような暖かい感じが好きです。 コマ運びなのかセリフの間のせいかわかりませんが、スッと読みやすくて落ち着いてる雰囲気です。 なんだろうこの多幸感、一回読んでみてほしい。
スーパーノーマルを読んだのをキッカケに、過去の読切も読んでみた。 個人的にはスーパーノーマルよりこっちキャラデザや描き込みの方が美麗で好み(FEEL YOUNGとかITANと雰囲気が合いそう) https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156632555311 扉絵で伏線を仕込み、後半に真実を明かすやり方がよかった。 あと3P目の最後のコマの世界観すごいすき
どことなく小西明日翔とか市川春子とかっぽくて、マガジンよりもっと大人っぽい感じの画風が好き 「平凡な主人公が女優のヒロインを誰にもバレずに教室に連れて行く」だけの、平凡で王道なストーリーなんだけど、絵柄は「少年誌らしくないデフォルメと塗り」というギャップが面白かった。
おじいちゃんおばあちゃんしか入ってないサウナ、そんなのもう古い。 若い人もサウナ行ったスパ行ったと言っていて流行ってきたな〜という今日この頃。おすすめしたいこの一冊!私もスカイスパyokohamaとか行ってみたい〜!最近のサウナ本当おしゃれなんですね。 自律神経を整えて、老廃物を出して言ってみたい「整いました!」
フイチンは、女流漫画家が描くキャラクターの名前です。 古き良き中国(日本もですが)の雰囲気がとても良く出ていて、年齢高めの人にも薦められるのがいいです!自分で持っていたい本だな~と思いました。
題名の「やわらか」は柔道漫画であることの 柔(やわら)ということと、 女子柔道漫画の名作「YAWARA!」にも ひっかけた題名だと思う。 女子高柔道部を舞台にしたちょっと緩い4コマ漫画なので この命名は上手いなあと思った。 絵柄は新鮮な果物のような綺麗な感じがある。 女子高生ものらしいサービスカットもあるが 逆に絵が綺麗すぎるせいかエロさは少ない。 ギャグも新鮮なフルーツ味みたいな感じで 甘みや苦味は少なめ。 アルコール(エロ)も入ってはいるが控え目の フルーツカクテルみたいな味の漫画。
深キョンもかわいいですが、やっぱりマンガの方がいいです。 主任は私の中では、ディーンフジオカさんではありません。 やっぱり自分の好きなように想像できて、ドラマより良かったです。
たまたま第三話を読みましたが…絵の情感といい、セリフ回しのセンスの良さといい、昭和の空気を濃厚に感じさせる時代考証の見事さといい、こんな才能のある人がいるんだ…と思いました。 隔月のようですが…これ描くために相当な力量を注いでるのでしょうね。 戦争の影を感じさせるという点では、こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」以来です。ひさひざに心に刺さるマンガに出会いました。
第100目の開催となった夏の甲子園~ドラフト会議までのあいだには数々のドラマがあったと思いますが、そのなかにひとつ、遊撃手対決というのがありましたね。立役者はもちろん、報徳学園→広島東洋カープに入団した小園選手と、大阪桐蔭→中日ドラゴンズに入団した根尾選手、野手の華とも言われる遊撃手というポジションをめぐる二人の関係はそろって4球団競合ドラフト1位という決着に一旦終止符を打ちました。 しかし、それにしても、小園選手は見事なまでのショート顔をしている。将来は球界を代表する名ショートストップになること間違いナシと太鼓判を押したくなります。内野手の要として、すえながく渋い活躍でチームのピンチを救ってくれそうな選手です。いっぽうで根尾選手はと言うと、どうやら、必ずしも遊撃の名手としてドラフト指名されたのではないらしい、しかも、プロでは二刀流とは決別して野手一本でいくと表明していたのにも関わらずです。根尾選手は、いちプレーヤーとしての質の高さだけではなく彼の人間性全体からくる伸びしろの高さを評価されているらしいのです。 根尾選手にまつわる各界からのコメントをみてみますと、これが実にバラエティにとんでいて非常におもしろい。ショートの他にも、いまだピッチャー説もあれば、センター説もあり、挙句の果てにはキャッチャー説まででてくる始末。さらに特筆すべきはチームリーダーとしての資質です。単なるチームのまとめ役ではなく、根尾ひとりがいるだけで他のチームメイトにも良い影響を及ぼしてチーム全体の力能がこぞって向上するような類のチームリーダーとしての資質です。 こんな選手がかつていただろうかと思い巡らせてみますと、そんな選手をわたしはひとりよく知っているのです。そう、墨谷二中を全国優勝に導いたイガラシです。もう、見た目からして、あの猿か忍者のような身のこなし、ひん曲がった眉毛、根尾くんはまさにイガラシの体現だとしか思えないのです。
ヤクザモの好きなら最高です。
異常気象とエネルギー不足で崩壊しかけた世界。忌み嫌われている「異能」を唯一活かして役立てることのできる仕事、電気の輸送人「ポーター」。ポーターは「蓄電官」「放電官」でバディを組み、彼らはなんやかんや理由のあって粘膜同士の接触(=性行為)が禁じられているので間違いが起こらないように同性同士でペアを組まされている。合法的に百合とホモを量産できる画期的な設定、素晴らしいです。 百合もホモもべつに構わないのですが、個人的な好みでいうと何らかの緊急避難的な措置で男女で組まざるを得なくなり、間違いが起きそうになるドッキドキ展開に内心期待してしまうというのは無粋でしょうか。 あと、役割分担したバディもの良いですよね。警察モノでは基本ですし、最近だと「ファブル」もそうだとヨーコやユーカリが話してました。あっちは確か「アタッカー」と「ドライバー」だったかな。
「卒業」で検索して偶然知った1冊。 もう、ひたすら自分の感性にビンビンくるノスタルジー全開の作品で最高…好き…! 10代の学校生活の空気感。 家族やクラスメイトとの乖離。 自分の考えと能力を信じて行動する勇気。 不思議な引力があるユニークな友人。 シンプルで柔らかい絵のタッチと知的さがにじむモノローグの調和がただただ素晴らしく、絵で描かれた小説を読んでいるよう。 エモさとは似て非なる、ジワッとした懐かしさと寂しさに包まれる読後感を、ぜひ読んで味わってください!
すごく良かった。 すごく良かった! 舞台はそう遠くない近未来である2033年。 主人公の表紙の女性は新聞記者で、とあるテロの被害者たちの追悼記事を書くために故人の遺族や友人・知人に取材してわまっていく。 故人に寄り添った丁寧な取材を通して、この社会における「恋愛」や「結婚」の輪郭を少しずつ捉えていくことになる。 ずっと読みたいと思っていたのに、こんなにいい作品と知ってたらもっと早くに読んでおくんだったと後悔・・。 何がいいって、人物と社会をすごく良く描けてるんですよねー。 それぞれの個人が抱えてる感情や悩みはあくまで秘匿されるべき個人のものなんだけど、それを取材を通していろんな人物の視点からつまびらかにしていくと、それまで外側から見えていた一面的なレッテルでは推し量れない立体的で複雑な人物像が浮き上がってくる。 「恋愛」を"飛ばし"て「結婚」するための出会い目的のシェアハウスでテロが行われるが、同じ目的のもと集まったはずの被害者たちにもそれぞれ全く事情があった。 ここでのテーマは、「恋愛」をダサいもの、古いとする潮流とそれを取り巻くいろんな事情と感情をもった人々、「結婚」、そして「性」だ。 骨太かつ心に優しく触れる繊細な描写に感動した。 恋愛なんてイマドキ流行らないよね、という風潮から逆説的に恋愛の良さ、そして悪さが浮き上がってくるなんて素敵すぎる。 この風潮に救われたように感じる人もいれば、行き場がなくなってしまう人もいる。 いたずらな社会の変化に、もてあそばれてしまった人たちがいる。 確かに、結婚という制度は時代によってどんどん変わってきている。 かつては家同士の政略結婚の意味合いが強かったが、欧米からの流れでトレンディドラマなども流行って恋愛結婚が主流になった。 そして、現代ではこの漫画の設定に少し近い現実的なもの、「婚活」という言葉が示すように就職のような「利」をとった考えで結婚する人が増えている。 恋愛自体が持つ社会における相対的な重要性は目に見えないスピードで日に日に変化していっているけど、実は「恋」の絶対的かつ本質的な部分って変わらないよね、というメッセージを感じた。 「恋」は本質的には「する」ものじゃない。 予期せず落ちるもので、突然で、とても理不尽だ。 社会的恋愛と本質的恋愛を混同するものじゃない。 本質的恋愛は、とてもロマンチックでとても残酷だ。 だから、どの時代においても社会制度が変わっても描かれるのだ。 取材を通して「恋」と一歩距離を置きつつも、「恋」を知り変わっていく主人公が愛しくてしょうがない。 あと、主人公の目が最高。 内容も最高なのだけど、なによりもあのじっとりとした色気のある目。 近年で最推しヒロインかもしれない。 素晴らしい読後感だったので、『ルポルタージュ‐追悼記事‐』での続きを楽しみにしている。
美麗な絵で描かれる15世紀ヨーロッパ紀行。それだけでも堪らないのですが、内容的にもとても良くお薦めしたい作品です。 イタリアのフェラーラから始まり、ヴェネツィアやクレタ島など諸国を少女たちが旅して行く様子が描かれて行きます。 ヴェネツィアのゴンドラやクロアチアの民族衣装などの名物が華やかなヴィジュアルで紹介され、実際に旅をしているような楽しい気分にさせてくれます。特に、丁寧に描かれる世界各地の名物料理は実食したくなること請け合いです。 丁度個人的に今年の初めにアテネからエーゲ海を渡ってギリシャの島に行ったり、そこからローマやヴェネツィアを旅して来たこともあって「あー、ここはこの前行った!」と、より楽しめる部分が多かったです。またいつか行きたいと思ったのですが、この作品を読んだことでその想いがまた一際強くなりました。 明るく和やかな雰囲気で進行する物語に、読んだ後は心も解きほぐれます。 中心人物が二人の少女なので、百合好きの方にもお薦めです。