草薙先生は試されている。

好きだった親友の娘がグイグイくる。

草薙先生は試されている。 安田剛助
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

昔恋していた親友(女性)の、中一の娘を担任することになった草薙先生(女性)。気にしないようにしていたのに、親友の娘の久保田一姫は初っ端から「先生が好き!」と攻めてくる。拒み続けるも、なんかもう敵いそうにない……陥落寸前!どうしよう……? ♡♡♡♡♡ 先生と生徒の秘めた恋模様、という定番テーマのほかに、この二人の間にはもう一つのテーマがある。それは「かつての想い人の娘は恋愛対象にしていいのか」ということ。 草薙先生は一姫に親友の面影を見出し苦しむ。忘れられないかつての恋と、目の前の一姫への日毎に増す恋と……。一方、強気でありながら、草薙先生の中にいる自分の母親の存在感に苦しむ一姫も切ない。 それでも一姫は、様々に逡巡する草薙先生を強い想いで押して、目の前の一姫と、草薙先生の本心に向き合わせようとする。幼き者の純粋で向こう見ずな意思は、こんがらがった大人を解きほどくのか……。 二人の物語はしかし、二人だけの問題ではない。二人に恋する女性は他にもいたし、一姫の母親はどこまでも親友として、草薙先生を惑わせる。安易に恋愛を謳歌させない、喜びも苦しみも正面から描いた物語。読後の心には甘さと共に、若干の重さが残る。

私たち家族に必要な時間

地味だけど良作の予感 #1巻応援

私たち家族に必要な時間 こじまなおなり
六文銭
六文銭

読んでまず、すごく丁寧につくっている作品だなという印象でした。 自分が好きな作家八十八良先生(「不死の猟犬」「ウワガキ」)のようなやわらかい絵柄で読みやすく、昨今のストーリー漫画に多い、飽きさせないようにやたらとヒキをつくり「がち」なものが、この作品にはない。 (ない…は言いすぎたが、無理がなく、仰々しくもない。) 悪く言うと地味なのかもしれないが、家族を題材とした内容とよく合っており、個人的に好感がもてる。 さて、大まかなストーリーだが、地元でワルだった父親と娘の二人の話。 母はすでに他界しており、いない。 素行不良だった父親のせいで、周囲から孤立してしまった娘は、いつしか父親を恨み、避けるようになる。 父親も父親で「過去は変えられないから」と、昔に何があったか話そうとしない。 そんな父親の煮え切らない態度が原因で大喧嘩をし、父親が出ていってしまう。 数日後、帰ってきたときは、なぜか赤ちゃんになっていて…という話。 赤ちゃんになった父親とともに現れた、死神を自称する猫サンシロウ。 なんでも彼がミスったことが原因で、父親の肉体までもリセットしてしまったという。 しかも、成長速度が早い状態で。 そんな感じで、子供に戻った父親と娘の、少し変わった親子の物語。 面白いなと思うのは、娘に育てられてワルだった父親はどう変わるのかということと、結果娘と父親の関係はどうなるのかというところ。 過去は変えられないという父が、子供からやり直し、何かを変えていくのか。 父親がいなくなったことで、少しづつ明らかになる、子供になる前の父親の素顔と、それに伴って起きる娘の心境変化。 親子関係を中心に面白くなりそうな仕掛けが色々あり、どう転ぶのか楽しみです。また娘が現実を受け入れながら、学校と育児をこなして成長していく姿は、素直に応援したくなります。 大変で、愚痴るときもあるけど、何だかんだ頑張ってしまう姿は、リアリティあってグッときます。 久しぶりに完結まで続いて欲しいと思った作品でした。

いっしょにねようよ

ある意味ずっしり重い、全6巻。

いっしょにねようよ 高尾滋
nyae
nyae

他人同士がひとつ屋根の下でわちゃわちゃしてるんですが、お面の男の子・古白くんと主人公・一子ちゃんが抱える心の傷や抗えない境遇がわりとショッキングなので読んでる間はずっと心がざわざわしてる。 ひとつ前にクチコミを書いた「ディア マイン」と比べると、けっこうシリアス多めです。 ディアマインとの共通点としては、主人公がほんわかしていて自分より他人の気持ちを優先しがちなんだけど、いざという時に芯の強さを発揮すること、あと小さい子供が出てきてやっぱり可愛い(ディアマインでは寿千代、こっちでは寅次郎と名前はごっつめ)。あと、なにかと苦労している子どもの近くに、保護能力があるかっこいい大人がいること(←個人的にはこれがいちばん高尾先生の漫画の好きなところ)。 見たくないものが見えてしまう古白と、あるものだけが見えなくなってしまった一子が、お互いが幸せになってもらうために、そして自分も幸せになるために努力した結果がこれなんだなと思うと、やっぱ最後は泣けてきますね… ある出来事をきっかけに古白がお面を取るんですが、そこからの2人の恋の進行の速さったら、すごかった。 今あらためて読むと、若干6冊の中にいろんなことを詰め込み過ぎかも?もっと学校生活を描いたり、サブキャラの人となりを掘り下げる回があっても良かったかなと思いました。 家族とか血の繋がりとか、年齢や見た目、職業…人間の大事なところはそこじゃないというのが一貫してるテーマかなと思います。