アララさん

クスッと笑える、ほのぼのファミリー漫画

アララさん みつはしちかこ
名無し

かつて大ブームを起こした「ちいさな恋のものがたり」の作者、みつはしちかこ先生のほのぼのファミリー漫画です。今回、「ハーイあっこです」も描かれているということもはじめて知りました。長年渡ってご活躍されているその凄さにも感動です。 漫画家のお姑さん"オヨヨさん"はおっちょこちょいで天然。お嫁さんの"アララさん"は明るいしっかり者。時々、お互いの失敗に呆れたり、辛口のコメントを口にしたりするのですが、困った時にはお互いに助け合ったり、フォローし合ったり、といいコンビぶりを見せてくれます。お姑さんとお嫁さんというより、お母さんと娘って感じかな。なんだかとっても良い関係で、羨ましくなります。かと言って、単に漫画の世界の夢物語に終わらず、結構現実味を帯びた"嫁&姑のあるある"シーンも多いんですよ。ただ、それに陰湿さを感じさせないのは、みつはし先生の作品らしく、どのキャラクターの短所にも愛すべき点があるのを基本に描いているからだと思います。クスッと笑える4コマ漫画仕立てで、軽く読めるので、仕事の合間やちょっと疲れた時の気分転換にページを開いてみるのもおススメです。

大長編ドラえもん

のび太と鉄人兵団

大長編ドラえもん 藤子・F・不二雄
なかやま
なかやま

私が初めて観たドラえもん映画、はじめて買ったドラえもんコミックス、新ドラに呼び戻してくれた作品、思い出いっぱいです。 大長編ドラえもんの中では、珍しいと思われる 「のび太たちの世界の直接の危機」 終始ミリタリー風味が感じられ、限られたリソースと鹵獲したザンダクロスでどのように鉄人兵団を迎え撃つか? ドラえもん作品と言うより、「ひとりぼっちの宇宙戦争」などのハードSF寄りな異色作では無いかと思っています。 敵である鉄人側にも彼らなりの正義で動いており、「ロボット奴隷を開放するために人間を労働力として使う、奴隷ロボットは幸せになれる」が、40年近くたっても刺さる内容です。 そしてゲストキャラクタであるリルルとしずかちゃんの交流もまた刺さる 「やっぱりほっとけないわ・・・。」刺さる ラストについては、藤子・F・不二雄先生自身「納得がいっていない」と何処かのあとがきに書かれていたと思います。(ソースは忘れしまいましたが・・・) 私は、あのラストには結構納得しており「藤子先生でも、ああする意外のび太たちを勝たせる術がなかったのだ」と思っています。 また、これは意見が別れるかもですが、 この作品は「原作漫画」「旧映画」「新映画」の3つのタイプで楽しむことができます。私的にどれが一番かと言うと、圧倒的に「新映画」となります。 原作・旧映画で薄かった、のび太サイドがキレイに補完されいるのが、原作主義派だった私に「ドラえもんと言うコンテンツが、藤子先生の手を離れた今でも、まだ生きているコンテツ」だという事を実感させてくれました。 好きすぎて映画館に毎週行っていた 「新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」超名作だから観てくれ・・・頼む・・・

松苗あけみの少女まんが道

少女漫画の歴史を知れる貴重な一冊

松苗あけみの少女まんが道 松苗あけみ
かしこ
かしこ

装丁がぶ〜けコミックス風なのもとっても素敵!出版社が違うのに実現したのは松苗あけみ先生だからこそなんでしょうね。生い立ちから始まり、色んな漫画家さんのアシスタント経験談、連載秘話など、内容に関しては読み応えあり過ぎるくらいです!デビュー後もストーリー作りがなかなか出来なくて苦労したというお話はとても意外でしたが、松苗先生が謙遜してるだけで本当はそんなことないんじゃないのかな?という気もします。一条ゆかり先生のアシスタントをされていて一緒に旅行に行ったりするほど仲良しということはお互いの漫画にもよく描かれているので知っていましたが、内田善美先生ともお若い頃から交流があったとは驚きました。内田先生の作品は今だと普通に手に入れることは難しいし幻の作家さんだと思い込んでいたのでこんなに気さくな方だとは思いませんでした!内田先生のアシスタントさんが消失点を取る為に部屋いっぱいに紙を広げて奮闘しているシーンは感動しました。松苗先生ファンはもちろんのこと、熱意と努力によって生み出された華やかな少女漫画の歴史を知れる貴重な一冊です。

さよならフォークロア

月曜の呪いを、惑わぬ恋が解く。

さよならフォークロア かずまこを
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

その女子校で、まことしやかに囁かれる噂。月曜日に女子に触れると、心中した生徒に呪われる……皆がその噂に怯える中、転校生の真白は、タブーを犯す様に皆とスキンシップを取り、恐れられる。 何故そんな事をするのか……真白の涙と本心を見てしまった先輩の高瀬は、真白に惚れつつも、彼女の願いを叶えてやろうとする。 真白の願いは…… 「恋人のふりをして」 ♡♡♡♡♡ ある目的の為にタブーを犯す真白。自我を通す彼女の真っ直ぐさは(強気な時も涙する時も)最初から最後まで、強烈だ。 先輩の高瀬をからかううちに、変化していく真白だが、その時々の真っ直ぐさは変わらない。 一方、そんな真白に惚れ、彼女の願いのために何かしたいと願う高瀬は、次第に従順な生徒の群れから離れ、自分の意思を表明する様になる。最初弱々しかった高瀬の視線は、次第に強い眼差しとなり、恋と決意の表情にドキッとさせられる。 大切な人の為に、強く真っ直ぐであろうとする二人は、学園の呪いに打ち克つことが出来るのか……。 高瀬が入れられた反省室に隠された、過去の恋人達の手紙など、謎めいた雰囲気に心ときめく。手紙のイニシャルが仄めかすものとは……分かりにくいけどそれがいい!

統合失調症日記

当事者によるユーモアにあふれたエッセイ漫画

統合失調症日記 木村きこり
ひさぴよ
ひさぴよ

1巻が面白かったので2巻も購入。「面白い」という言葉が適切かどうかわからないけど。わたしが知ってる統合失調症の知識というのはネットやテレビで聞きかじった程度のものなので、何かを知った気になるつもりもないのだけど、それでもこのマンガは何かが凄い作品なのではないかと思うに至った。 そもそも、精神性疾患を取り上げた作品は世に数多くあるものの、自分の知る限りでは統合失調症を描いた作品はあまり見かけない。 外部からの視点で描かれた作品はあるにせよ、本人が自ら筆をとった漫画となると、さらに少ないはず。 (パッと思い浮かぶのは卯月妙子先生の作品くらい) これは、当事者が「自己を客観視」して表現するということが、いかに難しいかを物語っていると思うし、まだ世間の関心や理解度が追いついてないという事かもしれない。 「統合失調症日記」というストレートなタイトルの為、誤解されたり、敬遠されてほしくなくて、まず作者のきこりさんの独特の世界観だったり、ユーモアセンスがあって漫画として面白いので、少しでも興味があれば読んでみてほしい。 ちなみに、紙の単行本の値段設定は1100円ほどで、電子書籍版だと600円ほどで購入できる。