太田出版マンガの感想・レビュー169件<<12345>>『まんぼう』って聞くとこの漫画を思い出す掃除当番 武富健治starstarstarstarstarひさぴよニュースで『まんぼう』って聞くたびにこの短編集の話を思い出す。何回読んでも新鮮な面白さがあって、オチまで含めてやはり傑作だと思う。この短編集は武富健治先生の”原点”とされている初期作品を収録しており、主に思春期の中高生を描いた作品が中心となっている。表題作『掃除当番』『ポケットにナイフ』は、後の鈴木先生に繋がるお話で、切なくも崇高さを感じさせる素晴らしい短編だ。『シャイ子は本の虫』は、”本好き”だった学生に刺さる内容で、特に気に入ってる。まさに珠玉の短編集だ。『それはただの先輩のチンコ』阿部洋一 総合マンガ誌キッチュ 3.5復活号 (2012年12月)それはただの先輩のチンコ 阿部洋一片桐安十郎阿部洋一先生がキッチュというガロっぽい雑誌に掲載した読み切りです。 最近Webで公開されました 凄いシュールですクリームソーダシティの完全版について語ろうクリームソーダシティ 完全版 長尾謙一郎名無し『クリームソーダシティ』といえばなぜか未完のまま打ち切られてしまった作品として有名だと思うが、クラウドファンディングなどを経てついにきちんとした完結を迎えた。感想を書こうにもうまくまとめられないので、一言残して行く感じの方がいいなって思った。結末が二重にあるバベルの図書館 つばな名無しみんながつばな先生を面白いと言っている理由を今更ながら理解した。絵柄がほわ〜んとして可愛いので今まで食わず嫌いしてしまっていたが、そんな自分を恥じたい…!「バベルの図書館」は紙に書かれた文字なら何でも読み取ることが出来てしまう不思議な超能力を持った男の子と、この世ではない世界に憧れていて自分の想像の天使を信仰している女の子の話で、スラスラ読めるのにどんどん内容がダークになっていって、最終的には意外な結末にたどり着くのが面白かった。SFが好きな人、短編が好きな人にはもちろんだけど、ストーリーテーリングに興味がある人にぜひ読んでもらいたいと思いました。 世界の真実、国民クイズ!国民クイズ 加藤伸吉 杉元伶一ろーじー※ネタバレを含むクチコミです。作者の私信が漫画になってるけどそれが一番よかった愛を喰らえ!! ルネッサンス吉田名無しルネッサンス吉田先生の代表作といえばこれなのかなと思って読んでみました。古い花街の風俗店で店長をしている百花の話が中心になっていますが、百花の祖母の若い頃の話だったり、百花の店で働いてる優美の話もあります。優美の話にはタイトルに「私信」と付け加えられていたり、優美がこの漫画を描いたというラストになっていたので、作者自身の体験がモチーフになっているのかなと思いましたが、どれくらいの割合で事実なのか創作なのかは分かりません…。でも私は優美の話が一番好きでした。恋の舞台裏は、みっともない。青い花 志村貴子あうしぃ@カワイイマンガ『青い花』の中で一番印象的な人、と問われると、私は実のところ、主人公の奥平あきら(あーちゃん)や幼馴染の万城目ふみ(ふみちゃん)よりも、ふみちゃんの先輩の杉本恭己を思ってしまう。 杉本先輩は所謂「王子様」。あらゆる女子の好意を一身に浴びる彼女は、ひと時ふみちゃんと付き合うものの、すぐに破局する。 彼女を印象付けるのは、完璧な仮面の裏に潜ませた、どうしようもなく幼い片想い。そのみっともなさは、美しい外面と落差がありすぎる……まるで派手な舞台と、その舞台裏の埃臭さのような。 舞台裏は暴かれてしまえば、表の煌びやかさを失わせる。しかしそれを観る事もまた、興味深い。舞台裏の必死さとツギハギな工夫、人間ドラマは、飾った美しさとはまた別な良さがある。 ◉◉◉◉◉ 演劇部の活動を通じて、しっかり者だがどこか幼いあーちゃんは、裏方からメインキャスト、部長として大きく成長し、幼さを捨てて変貌していく。一方ふみちゃんは、自分を振った先輩を叱り、あーちゃんに対する恋心から逃げないと覚悟する強さを得る。 しかしそんな二人の裏には、やはり美しくない物が隠される。 成長したあーちゃんだが依然恋心が分からず、それでもふみちゃんを傷つけたくなくて付き合う事に苦しむ。そしてふみちゃんは、この恋で傷ついてもいいと思いながら、いざ傷つくと泣いて執着する。 真摯で優しい二人の物語だが、決して美しい所ばかりでは無い。こうありたいと願う美しさの裏に、ままならなさと必死さを隠して、それはある時、ふと見えてしまう。しかしそんな彼女達の覚束なさを見る時、私は演劇公演の舞台裏を覗く様にドキドキし、剥き出しの心に同調する。うん、そういうこともあるよね、と。 心は不可解で、美しいのにみっともない。そう『青い花』は繰り返し描く。私はそんな美しさもみっともなさも、どうしようもなく好きなので、何度でも『青い花』を手にするのだ。 フレッシュでエロティック?な新連載山本直樹 最新作品集 山本直樹名無し※ネタバレを含むクチコミです。エクレアおじさんケーキを買いに 河内遙かしこ初めて読んだ時は「普通のエロじゃない!」「なんてハレンチなんだろう…」と思って続きを読めなかったくらいなのですが今はすごく好きです。エクレアおじさんが頭の中で何を想像していたっていいじゃないか…。個人的には河内遙先生の作品で一番好きな「関根くんの恋」のプロトタイプのような話も収録されていたのでテンション上がりました。それにしてもこれが初単行本とは驚きです。クォリティー高ぇ!アングラ的あたおか案件ミミクリ ai7nさいろく「あたおか」って使っても大丈夫なのかちょっと不安になったけどまさにあたおかな作品。 最後まで謎のままな部分が多いけど、基本的にずっと超小さくて裸の少女達が人間に食べられていく(人間にはその姿が食材のように見えている)というエログロなシーンが続く。 少女達はみんなかわいく描かれているけど、後半はちょっとキツイ描写が多かった。そして物語はよくわからなかったw 添加物の一種というわけでもなさそうだし…答えは謎のまま、だと思ってますが読んだ人いたら感想求む。 ハズレなしの短編集革命家の午後 松本次郎名無し作者のやる気さえあればどれも連載化してほしいくらい面白い短編集だった。読んでる最中は、ひ弱で現代っ子な吸血鬼が主役の「竹山くんの日常」が読みやすくていいなと思ってたけど、読み終わって一番印象に残ってるのは「砂漠の魔女」かも。殺し屋に追われて瀕死の男が不思議な力がある魔女の糞尿を食べて生き延びようとする話で、糞尿を食べるとか普通だったら読みたくないけど松本次郎の絵柄だから読めちゃう。最後に収録されてた「雑兵敗走記」は見開きの合戦のシーンがすごかった。クマー!逃げる男 オノ・ナツメさいろく定期的にオノ・ナツメを摂取しないと死ぬ私は今回は少し古いのに手を出しました(読んでなかったので) 単巻できれいにまとまっているというのも好印象。オノ・ナツメは短いのが多いですが、1冊だとリストランテ・パラディーゾとDanzaぐらいしか持ってなかったのでした。 そしてこちらではクマが出てきます。釣られてたまるかという気持ちと共に釣られる喜びもまた楽しめるのがマンガのいいところですね。 最初の2話ぐらいでどういう話なのか理解しきれず、後半の展開で「おおっ」という気持ちになって清々しい気持ちで読了。 オノ・ナツメ最高です。頭の中で何度もシーンを反芻してしまう岸虎次郎作品集 冗談だよ、バカだな 岸虎次郎名無し発売当時もよく本屋で見かけていて「すごいエロそうだな…」と思っていたのですが、やっぱりそうでした。マンガ・エロティクス・エフに掲載されていた作品なのでテーマがエロなのは当たり前なんですけど、読んだ次の日も頭の中で何度もシーンを反芻してしまう中毒性がありました。新しい性癖に目覚めそうです。 失恋して入水自殺しようとしたお姉さんと少年、女の子より可愛い男子高校生と男友達、女学生に襲われる教師、太宰治に心酔している少女達…。どれもインパクトある話ばかりなので、一人でこっそり読むのがオススメです。 練習山本直樹 最新作品集 山本直樹名無し読んでいて何故か 日本赤軍?を彷彿とさせた。 何か狂ったおじさん二人とおばさん二人に見えた…何故?? と思ったら作者様60歳!!!? エロ漫画ではない気がします。 ギャグホラーかないろんな雑誌に掲載された傑作集おれは魔物とくらしてる ルノアール兄弟作品集 ルノアール兄弟starstarstarstarstarマンガトリツカレ男ルノアール兄弟がいろんな雑誌で書いた物を集めた傑作集。 定期的に読み返してしまう名作「武蔵野最高クリエイター学院」 手塚治虫がカブラペンで攻撃してくる「プロレスのこちら側」 キャラクターのネーミングが素晴らしい「スイートマウンテン物語」 と色々傑作ぞろいですが一番のお気に入りは『ユビキタス大和 セクシーDANSU☆GAI』にも登場する八戸流星の短編 「アックス エフェクト」という実在の商品を使った回がすげー好き 単行本の最後にある「ルノアール兄弟」自作解説も熟読するのをおすすめします。わたしの初・雁須磨子はこれファミリーレストラン 雁須磨子nyae雁須磨子ってすごい名前だからふざけた漫画を描く人なんだろうと思いながら、表紙の可愛さだけで読んでみたら面白かったという1冊。携帯もパカパカだしそれなりに前の漫画だっていうのはあるんですが、"ファミリー"レストランといいながら実にいろんな人間が入り交じる雑然とした感じはいつ読んでも面白いです。ウエイトレスの子たちもちょっとやさぐれてたり不良っぽかったり、店長は冴えなかったり…。ところどころちょっとエッチなのも想像力を掻き立てられます。"ちょっとエッチ"の程度が上手いんです。 なんか見たことある顔だけど知り合いじゃないし、どこで会ったっけ?と思ったら行きつけの店の店員だったとか、あるあるだなと思って可笑しかったです。 吉本浩二先生の幻の青春恋愛作東京の兄貴 吉本浩二starstarstarstarstarひさぴよイーブックジャパンのリニューアル前に読んだ覚えがあるのですが、今はもう公開されておらず読めなくなってますかね…。 一度読んだきりで内容はうろ覚えですけど、主人公を慕って後輩の子が上京してきて、イイ感じになったけど最後は…みたいなストーリーだったかと。たしか舞台は上野駅。信じられないくらいマジメで純情な青春漫画だった印象あります。何となくもう一度読みたくなりました。夏の思い出というタイトル夏の思い出 山本直樹nyae表題の短編、連続婦女暴行殺人犯の供述に翻弄される刑事の話。最低最悪の事件が、じわじわと夏の暑さに混ざり込んでなすり付けられていくような感覚です。 そういう話のタイトルに「夏の思い出」とつけるセンス。痺れます。中学生の女の子とエロ漫画家の禁断すぎる恋愛漫画こいのことば 緑のルーペバロバロ※ネタバレを含むクチコミです。 劇薬的漫画秘密 カイトモアキ名無し語るに語り難い。男性生理のインモラルな部分が露悪(?)ともいえるかたちで描かれているようでもあるし、内省的な癖を追求した結果にそういったものにぶつかった作品にも思える。個人的には「気つけ薬」の強烈な「匂い」に驚きながらも作品世界に意識を持ってかれた。劇薬。安永知澄先生の漫画を初めて読みましたあけぼのソックス 安永知澄名無し短編集だから読みやすいだろうと思ってこちらを選んだのですが、最初に収録されてる長〜〜〜〜い脇毛が一本だけ生えてくる男の子の話でもう面食らいました。なんだこれは…!後半からは雑誌「本人」に掲載された自伝的な作品が収録されています。自分の身の回りで起きた出来事を描いているのでジャンル分けするとしたらエッセイ漫画になると思うのですが、なぜかストーリー漫画を読んでいるような気持ちになる話ばかりでした。とても面白いのですが初めましての作品としては適さないかもしれません。他の作品を読んでからの方がより楽しめそうだなと思いました。エロいだけじゃなかったうみべの女の子 浅野いにお名無し※ネタバレを含むクチコミです。 ただのエロマンガ…なのか?田舎 山本直樹名無し”『レッド』完結から2年、山本直樹の辿り着いた、結論にして新境地。”という帯のふれこみに期待して、ストーリー漫画+エロくらいの気持ちで買ったのだが、最初から最後までガチガチのエロマンガだった。山本直樹の本を買ったつもりが、蓋を開けてみたら森山塔のマンガだったのだ。新境地=ロリってことなのだろうか?まあ、川端康成だってロリ小説書いてたのだから同じようなものかもしれない。 よほどレッドの執筆でストレスが貯まってたのか、エロが描きたくて仕方ないんだっていう気持ちが抑えきれず、吹き出しているかの如し。60代にしてこれほどのリビドーがまだまだある山本直樹、恐るべしといった感じだ。 繰り返しになるが、このマンガの大部分はエロだ。しかし単なる性表現に留まらないノスタルジックで儚げな描写も多い。だけど真面目に官能的な表現を分析をするのも何だか気恥ずかしい。山本直樹氏も、『ただのエロマンガです』とコメントを残してるし、それ以上の何かを見出そうとするのも野暮かもしれない。 https://cdnx.natalie.mu/media/news/comic/2018/0515/inaka_0002_fixw_640_hq.jpgなるほど赤裸々mon*mon シモダアサミさいろくマンバで教えてもらって読んだ作品。 エロティクスFの作品だけあって割とストレートなんだけど、女性視点で展開していくのが面白かった。 コンセプトを統一した短編集的なものかなと思っていたがちゃんと繋がってきたりして、自分がこういうの好きなんだなと実感。 最終的なまとめ方も非常に良かった、締め括りというか。 学生編もあって、当然そっちも繋がっていてあそこで出てきたあの子の話だ!ってなる。 こちらを読み終わったら学生編もどうぞ。<<12345>>
ニュースで『まんぼう』って聞くたびにこの短編集の話を思い出す。何回読んでも新鮮な面白さがあって、オチまで含めてやはり傑作だと思う。この短編集は武富健治先生の”原点”とされている初期作品を収録しており、主に思春期の中高生を描いた作品が中心となっている。表題作『掃除当番』『ポケットにナイフ』は、後の鈴木先生に繋がるお話で、切なくも崇高さを感じさせる素晴らしい短編だ。『シャイ子は本の虫』は、”本好き”だった学生に刺さる内容で、特に気に入ってる。まさに珠玉の短編集だ。