太田出版マンガの感想・レビュー169件<<12345>>旦那さんの話がすごい!実録企画モノ 卯月妙子starstarstarstarstar_borderかしこマニアックなAVの撮影を仕事として楽しそうにしてるのが印象的でした(自分は漫画で読むだけでも結構キツかったので、元気な時に読むことをオススメします)。でもそんな卯月さんがエロに開眼したルーツが某少年漫画のハードコアやおい同人だったのはすごく意外でした。 エロ話の合間に息子さんとか旦那さんの話も出てくるんですが、特に最後の旦那さんの話がすごかったです(たまたまその日がクリスマスイブだったので、ものすごくタイミングがいい日に読んでしまったなと思いながら今クチコミを書いてます)。壮絶な内容なのにテンションが普段と変わらなくて、お互いに「いってきます」「いってらっしゃ〜い」で見送り合えるのがすごい。お似合いのカップルだったんですね。優しくてほろ苦い深夜ラジオのお話深夜0時にこんばんは 冬川智子野愛深夜にこっそり聴くラジオっていいですよね。 今はSNS全盛期なので薄れていますが、自分しか知らない秘密基地感がある気がします。 イラストレーターのカホ、中学生のアキラ、主婦の由美。 ミネラルラジオという番組のリスナー3人が、それぞれの生活を送るだけのお話。 人生も恋愛も家庭も夢も、自分の思い通りになることなんてほとんどなくて。でも、なんとなく幸せなふりして生きていく。 ラジオきっかけに少しだけ人生が動く3人ですが、いい方向に進むわけでもないのがとってもリアルです。 ラジオが終わっても恋が終わっても人生は続いていきます。 ほろ苦いけど人生悪いことばっかりじゃない、そう思える作品です。サブカルクソ野郎とドMJKのピュアすぎる恋愛さよなら、またあした 松本藍野愛不器用でもどかしくて、思い通りにならないのにやめられない。SだMだと言いますが、恋する人たちは皆ドMかもしれません。 ドMな自分をもてあます女子高生・和輝。彼女が恋したのは熱烈ハルキストの書店員・上田。 和輝も上田も超恋愛初心者すぎて、もどかしさに思わず悶えてしまいます。 距離を縮めようと踏み込みすぎたり、理解できなくて拒否したり、不器用すぎる2人がなんともいじらしい……! 女子高生を家に連れ込んでSMに挑戦するという大アウトな行動も、恋愛初心者かつ不器用ゆえ。 頭抱えたくなるほど甘酸っぱくて危うくて全部がたまらないのです。 上田のサブカルクソ野郎っぷりがめちゃくちゃリアルで良きです。性格も身長も正反対の2人幾百星霜 雁須磨子かしこ170センチの高身長がコンプレックスの敦子さんと、小柄だけど態度はでかい千賀子さんはひょんなことから親友になります。ノッポの敦子さんには子供の頃からの許嫁がいましたが、身長が高すぎるという理由で婚約破棄されてしまいます。面白半分の千賀子さんの提案で元許嫁の顔を見に行くと、敦子さんよりも随分と背は小さいけど優しそうな相手で、お祖母様が勝手に婚約破棄したけど、実は敦子さんのことを想い続けていたことが判明するのです…! 恋愛模様もストーリーの大事な要素ですが、基本はコメディです。元許嫁の美人姉は男装してカフェで給仕をしていたり、ベースボールをしたり、舞台が明治時代という設定が活かされまくりです。そこで性格も身長も正反対の女学生2人がワチャワチャするのがめっちゃ楽しい!特にいつも大人しい敦子さんが家ではお母さんに甘えてたり、意外とムッツリなところがあるのが私の好きなところです。 無常観と青春さきくさの咲く頃 ふみふみこ野愛青春は儚いし、時は無常だ。 同じ春は二度とやって来ない。また三人で笑い合えたとしても、あの頃には戻れない。 渦中にいると苦しいのに、振り返りたくなるほど眩しいのが青春なんだと感じた。 第四話の冬の三人に青春のすべてが詰まっている。 どうしようもない恋に振り回されて変わってしまった三人が、幼い頃のように笑い合う場面。 幸せすぎる時間だからこそ、終わりを予感させて寂しくなった。 青春の儚さと美しさが描かれた作品でした。夢とか持つのもNGなのか、40代よ。あした死ぬには、 雁須磨子Pom こちらも、終始ドキドキしてしまう話の展開の数々。 40を超えて次々起こる身体の不調、どんだけ病院行くんだとか。突然訪れる親の介護、パート先の年下男子へのときめいてしまう、、などなど。 必ず自分も通る道、近づいてきたな、現実すぎて怖い!笑 ドキドキしながら、あぁ、続き読むの怖い、と思いながらも読んでしまうんだろうなぁ。。紺野さんの手の上で遊ばせていただきます紺野さんと遊ぼう 安田弘之野愛何がおこるわけでもなく、ただそこに紺野さんがいるだけ。 微妙に変化する表情、意外と大胆な行動、大人しそうな女の子に見えるのに妙に艶めかしい。 シュールでバカバカしくてニヤニヤしながら読んでるのに、紺野さんの色気にやられてドキドキしちゃう。 耳のアップ、やかんと佇む姿、いろんなものの匂いを嗅ぐ姿、白い肌に浮かぶ静脈。 どれもこれも生々しい。とんでもなくエロい。 紺野さんと遊ぼうというより遊ばせていただいてるみたいな気持ちになりました。 「人間仮免中」から早9年鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟 卯月妙子さいろく20代の頃のお話、ということで夫が投身自殺未遂をしてからの精神病院での出来事などを中心に語られています。 ザックリ言うと絵柄が「人間仮免中」のように途中からヤバい状態になることも少なく、安定してるのかなとひと安心。 でも卯月妙子さんの今、ボビーさんとの現在はどうなのかなーっていうのが読めるかと期待してしまってたのでそこはちょっと残念。初めて華倫変を読んだぞ高速回線は光うさぎの夢を見るか 華倫変かしこマンバで華倫変のページを見ていて、ただのファンが書いたようなあらすじ(こうした題材を取り上げながらも、ただ暗いだけでなく、かといって分かりやすいハッピーエンドにも行かずに話を進め、絶妙な感覚を引き出します。たまに救いを感じさせるのが凄いですね。)が気になって読んでみました! 華倫変って今もカルト漫画家として有名だし気になってる作家だったけど、致命的に痛いとかグロい話はないのに、夜に読んで寝たのに朝起きたらダウナーな気分が残ってて、なるほどこういうことか…と理解した。でもあらすじ以上の感想が書けなかったので、他作品を読み込んでから出直したいと思います。卯月妙子さんの最新作鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟 卯月妙子かしこ「人間仮免中」以前の卯月妙子さんが20代の頃のお話です。2003年から連載が企画されて1話目は掲載されたものの、その後は「ネームを描く→症状悪化→入院」を繰り返して断筆されていたものが、2021年に完成、めでたく出版!!という経緯があるそうです。個人的には3つの章に分けられて、それぞれの面白さがあると思っています。まずは旦那さんの自殺がきっかけで最初の病院に入院するところ、次に警察に保護してもらって入院した別の病院で他の患者さんと交流するところ、そして退院後にそれまでの出来事を漫画にするまで、です。 最初のエピソードを読んで「自分には合わないかも…」と敬遠してしまった人も、卯月さんの目線で語られる他の患者さんの話がすっごく面白いので、絶対に最後まで読むことをオススメします。酔っ払って警察を殴っちゃった人が精神的に異常はないけど捕まるよりいいだろうって入院させられてきたりとか、そんなこともあるんだ!?って驚くことが明るく楽しく描かれています。なかなか漫画が描けなくて苦心するクライマックスでは、漫画というものの核心に触れるような深い話がありました。とにかく濃密な一冊です!! 失われていく自分のお話U[ユー] 今日マチ子野愛理想の自分をつくるため、自分のコピーをつくりだす。 オリジナルが失われてコピーだけが残ったら、それは何になるのか。 引っ込み思案で恋愛に臆病な女子大生のユウ。大学でクローン技術を研究する彼女が、理想の自分のコピーロボットをつくるところから物語が始まります。 コピーのおかげで大好きな先生と付き合えることとなり、ユウとコピーに友情が芽生えていきますが…。 コピーがオリジナルよりも優れてしまったら、オリジナルはいらない? オリジナルが消えてしまったら、残されたのはコピー?オリジナル? 考えはじめるときりがない問いをふわふわと投げかけられて、自分の輪郭も揺らいでしまうような作品でした。 コピーの培養方法の描写が素晴らしいです。嘘をつくと地獄で舌を抜かれるという話を思い起こさせます。 ふんわりと残り続ける後味の悪さが最高でした。人はそれを青春と呼ぶ純情バタフライ 熊鹿るり野愛生々しくて甘酸っぱくて、こんな日々のことをずるい大人たちは青春とか初恋とか言いたくなるんだよなあ、とたまらない気持ちになりました。 柔道部の少年少女たちの恋物語ではなく、あの子の匂い嗅ぎたいとかおっぱい触りたいとか、あいつをどうにかしてやりたいとか、馬鹿みたいで幼くて暴れ出しそうな劣情が爽やかに描かれています。 その渦中にいる少年少女たちにとってはちっともキラキラしていなくてドロドロした日々なんだろうけど、青春でしかないんですよね。性欲と恋心の区別もつかず、悩んだり暴走したりかっこつけてみたり。眩しいです。 タイトルにもなっているバタフライですが、汗の匂いの表現として登場するのが素晴らしいです。いつでも妄想にトリップできちゃう思春期のあの感じが伝わってきます。2巻にあたる単行本未収録話のメモ終わりと始まりのマイルス1 鬼頭莫宏キキ鬼頭莫宏先生がTwitter上に投稿された単行本未収録話(10話〜15話)のまとめ。 太田出版『マンガ・エロティクス・エフ』 Vol.58 第10話「もうひとつの戦闘」 https://twitter.com/mohiro_kitoh/status/1291666937374679041 Vol.59 第11話「本日戦果、二機撃墜」 https://twitter.com/mohiro_kitoh/status/1294199395416596480 Vol.62 第12話「ねむる女神たち」 https://twitter.com/mohiro_kitoh/status/1296746022249537536 Vol.66 第13話「未来のお手伝い」 https://twitter.com/mohiro_kitoh/status/1299287429036167168 Vol.72 第14話「海で」 https://twitter.com/mohiro_kitoh/status/1301796554773209089 Vol.74 第15話「海からの風邪」 https://twitter.com/mohiro_kitoh/status/1304313350445133824 みっちゃんのママの嘘甘えんじゃねえよ! 吉田戦車starstarstarstarstarひさぴよめちゃくちゃな嘘をつくことを生きがいとする「みっちゃんのママ」を中心とした、アットホームなファミリーコメディ。吉田戦車作品は、フィーリングが合う漫画も合わない漫画もあるが、この「甘えんじゃねえよ!」は全体的に好きだ。シュール過ぎず、キャラクターと面白さのバランスがちょうどいいので読みやすい。実際にみっちゃんのママがどういう嘘をついてるか紹介しようと思ったが、なんとWikipediaにすべてのウソがまとめられていた! 「みっちゃんのママがみっちゃんに教えた嘘一覧」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%98%E3%81%88%E3%82%93%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AD%E3%81%88%E3%82%88 中学生の恋愛事情って・・・。スゴイ!!うみべの女の子 浅野いにおstarstarstarstarstar干し芋読んでいて、人に見られると本を閉じてしまいます。 そのくらい、性描写がスゴイです。 中学生ってこんなに・・・。 磯部君の家庭環境が複雑で、孤立してしまうのも分かる。 小梅は、好きだという気持ちをいつから感じ始めたのだろうか? もしかしたら、最初から感じていたのかも? そして、確信に変わった時には、相手が自分以外に好意を寄せていた。 このすれ違い感が、どうにももやもやします。 学校生活とプライベートを全く別人格で過ごす小梅も、将来スゴイ女性に成長しそうで怖い!! 沙村さんの画はロシアっぽい?!春風のスネグラチカ 沙村広明starstarstarstarstar干し芋登場人物の名前が難しい・・・。 ロシア人の名前は何でこんなに覚えずらいのか? でも、文末に登場人物の紹介がありますので、ご安心を。 ただ、ネタバレもありますので、必ず、読了後、読みましょう。 お話自体は、分かりやすいと思います。 内容は、最後まで読んでのお楽しみ♬ 初めて読んだデメキング 完結版 いましろたかしかしこ巻末のインタビューでラスト間際はネームが間に合わなくて編集者がデタラメの次回予告を書いてたって語ってたのにびっくりした!しかも本当にデタラメだからすごい。編集者ウケは相当悪かったんだなとインタビューを読んでも思ったけど、読者は何も思わなかったんだろうか。そういうことも受け入れてもらえるような作者とファンの間柄ってことなんだろうか。描き下ろしエンディングはさらに煙に巻くような終わり方ですよね…。あまりにも完結を熱望されて嫌になっちゃったのかなと思っちゃった。少年探検団の中に一人だけ高校生がいるのがなんか好きです。ほとんど初めていましろ作品を読んだので、もっと思い入れがある人の感想が読んでみたいな…。魔女かわいい悪魔 志村貴子starstarstarstarstar干し芋きっと、志村貴子は、魔女が好きなんだ。 確かに、魔女がいたらいいこともたくさんあるけど、 どれが現実か分からなくなりそうだ。 因みに、私は見た目で魔女に似ているって言われるけど、 皆は、魔女に会ったことがあるのだろうか?やっぱり小田扉すげえと思わせる味わい深い短編集男ロワイヤル 小田扉starstarstarstarstarひさぴよ2002〜2003頃の複数の出版社で描いてた短編を集めた一冊。十種類近い雑誌の特色に合わせた作風になっていて、それぞれの違いが楽しめた。 例えばエロティクスFの短編では小田扉作品では貴重な(?)下ネタも見られる。 正直、小田扉ファン以外におすすめ出来る本かというと微妙だが、ファンならずとも、読んで損はないと言える良い短編があると思う。 その一つが「私のおじさん含み笑い」で、家出した少女が親戚の叔父の家に泊まるだけの話なのだが、今まで感じたことのない感情になれる非常に不思議なストーリーながらグッとくる話である。 もう一つ飛び抜けてよかったのでは「平介の思い出」。こちらもストーリーこそ素晴らしかったが、ページ数が短すぎ、あっさり終わってしまったのが勿体なかった。これらの短編を読むだけでも、小田扉という漫画家がいかにストーリーテラーとして優れているかを体感できる。 やっぱり名作BLUE 山本直樹starstarstarstarstarかしこもともと「BLUE」ってビッグコミックスピリッツに掲載された読み切りだったんですね。知らなかった〜。なんか単行本になった時に色々あった印象が強いのと、今じゃ絶対載せられないだろうなってのがあるから、普通に青年誌に載ってたなんて信じられないですね。でもすっごい名作だよなぁ。復刊ドットコムから出てるやつだと定価で2300円もするし、もう5回も単行本化されてるっていうのも驚くけど、それだけの価値のある作品っていうのは間違いない。エロ抜きにしてもカッコいいよね!ピーチクアワビが好きなのでこっちも読んでみたキナコタイフーン 渡辺ペコ はと実鶴nyae※ネタバレを含むクチコミです。寝る前に読みたくなる漫画です深夜0時にこんばんは 冬川智子猫あるく寝る前に読みたいささやかな物語。深夜0時に始まるラジオにリスナー3組の日常を描いた作品です。特にカホちゃんの話はすごく優しくて残酷。冬川智子先生の描く切ないのにあたたかい空気感大好きです。 殺人鬼に会いたくて警察官になった男ミッドナイト・ウォーク 榎屋克優名無し日々ロックの作者の初期短編集。ほとんどが雑誌に掲載されたものではなく、大学の卒業制作や同人誌の為に描かれたもの。なので荒削りな部分は多少ありますが、初期衝動が詰まった作品集になっています。 特に表紙にもなってる『夜半』がいいですね。正義感ゼロの男が人間の悪意に興味があるという理由で警察官になって、いつか本物の殺人鬼に遭遇したいと思いながら夜の街をパトロールしていたところ、暗闇の写真ばかりを撮っている大学生の男の子と出会って仲良くなります。しかし大学生が殺人事件の犯人を撮影してしまって…という話です。この内容が元になって短編集のタイトルが「ミッドナイト・ウォーク」になったんですね。なんとなく買ってみたら当たりでした。美しい少年たちの秩序ライチ☆光クラブ 古屋兎丸野愛最初はエログロのインパクトに持っていかれたけれど、読み返すたびに「よくできてるなあ」と感心してしまいます。 ライチに美しいとは何かを教えるシーンがとても好きです。 知識や情報で教育しても理解できないのに、人間の心を与えた途端芽生える感覚。物語の主眼である「美しさ」とは実は曖昧なものなのでは?と気づかされます。 美しくありたい、特別でありたい、拒絶されたくない。 根底にあるものは理解できるだけに、人を殺さずに人を愛した上で貫けたらよかったのにね、と思ってしまいます。 王のように振る舞っているけれど、カノンに拒絶され「け…け…螢光中だからって馬鹿にするのか?」と狼狽えるゼラはちっぽけな少年のように見えました。 エログロ・耽美・サブカルといった見方をされることが多い作品なのかもしれませんが、寓話的な面も持ち合わせている作品だと思いました。<<12345>>
マニアックなAVの撮影を仕事として楽しそうにしてるのが印象的でした(自分は漫画で読むだけでも結構キツかったので、元気な時に読むことをオススメします)。でもそんな卯月さんがエロに開眼したルーツが某少年漫画のハードコアやおい同人だったのはすごく意外でした。 エロ話の合間に息子さんとか旦那さんの話も出てくるんですが、特に最後の旦那さんの話がすごかったです(たまたまその日がクリスマスイブだったので、ものすごくタイミングがいい日に読んでしまったなと思いながら今クチコミを書いてます)。壮絶な内容なのにテンションが普段と変わらなくて、お互いに「いってきます」「いってらっしゃ〜い」で見送り合えるのがすごい。お似合いのカップルだったんですね。