諸星大二郎の代表作であり異色作『マッドメン』。文明とは縁の遠いパプアニューギニアの奥地を舞台に、少数民族ガワン族の少年・コドワと、人類学者の父を持つ日本人少女・波子の運命を描く。作品全体を通して文化人類学・民俗学の要素が散りばめられており、現地専門員や研究者からの評価も極めて高い。著者の想像のみで描かれたフィクションが、読む人を圧倒するリアルさで迫ってくるという傑作。読後、神話世界と現代世界が結ばれる不思議な感覚を味わうことができます。
世界中で愛されるスヌーピーたちが活躍する漫画『ピーナッツ』。その全作品を初出順に収録した待望の全集がついに刊行開始。第1回配本の15巻は、1979~1980年発表作を収録。ピッチャーマウンドの勝利なき英雄チャーリー・ブラウンが入院!哲学者ライナスがハロウィーンにカボチャ大王の到来を待つ。音楽家シュローダーはおもちゃのピアノとともに音楽キャンプへ旅立つ。スヌーピー隊長とともにハイキング中のビーグルスカウトの1羽が警察に捕まった!…平日版627作、日曜版104作、全731作。
スピン
あの頃、わたしにはスケートの才能があった。それが煩わしかった。そして、ひそかに女の人に恋をした。何度も何度も。わずか22歳にしてイグナッツ賞&ブロークンフロンティア賞受賞、アイズナー賞候補!グラッフィック・ノベル界を震撼させた新たな才能が描く、スケートと同性への恋に目覚め、喜び、泣いた、ひとりの少女の青春メモワール。
まさに現代の「遠野物語」。伝説的コミックを復刻!このたび長らく入手困難だった五十嵐大介さんの作品集『はなしっぱなし』を、河出書房新社から上下巻で復刻させていただくことになりました。この作品は、漫画ファンの間ではすでに伝説と化していたもので、一遍一遍が独立した幻想綺譚の傑作になっています。近年、ハイレベルな新作を次々と発表し、再評価の高まる五十嵐さんですが、この『はなしっぱなし』には、デビュー作ということもあり、彼の作風のすべてが含まれているように思えます。切ないメルヘンから背筋のゾッとするような怪奇物まで、様々なファンタジーが収録されたこの希代の作品集を、ぜひ、御一読ください。上下巻ともに描き下ろし短編が掲載されます。
学校帰りはジャンクフードで頭の中がいっぱい。大人になった今では味わえなくなった「ごちそう」エピソード集。ダイエットよりも食欲を!そんなかわいい女子高生たちの青春の日々を描く。
実母との関係に悩む女性が、「女の子のママ」になったら一体どうなる!?『母がしんどい』『ママだって、人間』の田房永子が今度は自分が母として、娘との日々を描くコミックエッセイ!
フォロワー8万人超えの人気Twitter「こまりくま」、初のオールカラーイラストブック。あなたの心に寄り添う、ひとりぼっちのくまのぬいぐるみのつぶやきをかわいいイラストで紹介。
ネットで話題沸騰の「パグで振り返る世界の昔話」の作者が贈る、“犬あるある”4コマ漫画。パグのめーの無邪気で愛しい日常に犬好きさん共感必至!カラーイラスト&描き下ろし漫画も収録!(※閲覧環境は端末、ビューワーによって異なります)
天才漫画家・赤塚不二夫が生んだキュートな少女マンガの大傑作!「りぼん」掲載時のオリジナル・バージョンで、ついによみがえる!カラーページも収録し、これまで未収録だった挿話も多数発掘。乙女のための天才・赤塚、決定版!!「かがみの国のおつかい」(「りぼん」1962年6月号/きんらん社版第1巻)から、「カン吉くん家出する」(「りぼん」1963年1月号別冊ふろく/きんらん社版第2巻)まで10話を収録。
ページをめくる幸福が、ここにある。単行本未収録9作品を一挙収録!描きおろし新作を含む、ファン垂涎の短編集。アイドルになりたい少女たちの葛藤と未来。ある屋敷の坊ちゃまの初恋と、お手伝いさんの密かな企み。喫茶店に居合わせた客と従業員に芽生えた“明日の決意”。ちょっとビッチな男の子と一途な幼馴染み、二人の忘れられない失恋と次の恋。男子高校生の夢に現れた“ネコ”たちのメッセージ。色とりどりの魅力があふれる珠玉の9作品を収録!★電子限定特典として、描きおろしおまけマンガ付き★●収録作品●「不機嫌ゲシュタルト」「太めの女」「朝歩く」「散る散る満ちる」「卒業」「転校」「隣人」「猫のことわり」「まじわる中央感情線」(※描きおろし)「電子限定特典おまけマンガ」(※描きおろし)
「アイドルを探せ」の吉田まゆみが紡いだ抒情の新境地! 姉妹・親子の愛情を描いた表題作「夏の妹」100pほか、長編2作を含む計3編。2大描き下ろし=表紙イラスト&あとがきマンガ。「大好きなお姉ちゃんがいなくなった」「お姉ちゃんがあたしの居場所だったの」「アイドルを探せ」「れもん白書」の吉田まゆみが紡いだ抒情作の最高峰!姉妹、親子の愛情を描いた100ページ長編「夏の妹」ほか2編を収録したマスターピース!<収録作品1>「夏の妹」(原題・金魚のおねがい)<収録作品2>「ロックウェルが笑ってる」<収録作品3>「雨音にワルツを踊ろう」【スペシャル】本書のための描き下ろしマンガ3ページ「EPISODE 1 久保ナツチャリ」「EPISODE 2 笑うアナタに福来たる」「EPISODE 3 雨音のネタを語ろう」★カバー表紙イラスト描き下ろし!
諸星大二郎といえば、民俗学的であったり、神話的であったり、異界的であったり、幻想的であったりと語られ、じっさいに柳田国男の研究書やクトゥルー神話を愛読している一面があったり、扉絵や表紙の絵などからはたしかにシュルレアリスム作家ダリの影響を彷彿とさせずにはいられない。しかし、これら数多の要素は諸星大二郎について何か説明するひとつひとつの所以にはなりえようが、漫画家・諸星大二郎を語るさいの言葉としてはどれをとっても全てを合わせてみても片手落ちになっているような気がしてならない。 さきほどシュルレアリスムという言葉を出したが、これを日本語に訳すと超現実主義となるらしい。超現実とはすなわち、現実を超えるということであり、これを画家という立場に合わせて言うなれば、目に見えない何かを描くということになるだろうか。まさしくそのようにして幻想画家としてのダリが生まれている。ところで、ある種の民俗学にしても、神話にしても、異界にしても、幻想にしても、それらはひとしく目には見えないもののはずだが、じっさいのところ諸星大二郎の漫画ほどよく目に見えるものもないのではないか。衝撃の連載デビュー作となった『妖怪ハンター』では民俗学的な切口から、いきなり異界がひらけて、ヒルコなる怪物との遭遇が為されるが、本来ならば目には見えない異界なるものが、これでもかというぐらい目に見えるように描かれている。さらなる衝撃の長編デビュー作となった『暗黒神話』では、よくよく読んでみればふざけているのではないかと思うぐらい唐突に、これまた異界がひらけて、神話の怪物がしっかりと目に見えるように描かれている。諸星大二郎という作家は、目には見えないはずの、手では触れられないはずの幻想的な何者かとの遭遇をあまりに唐突に意図も簡単に描いてのけ、しかも、それらの怪物たちはふつうの現実の人間であるところの登場人物に、まるで自身の存在が幻想の産物ではないこと示すかのように、抜け目なく傷まで負わせてゆくのである。 まさに『暗黒神話』は主人公の少年が異界の怪物と遭遇するたびに四肢のひとつひとつに傷を受ける物語であったし、『壁男』では壁男が壁ごと人型にくり抜かれて倒れてきてアパートの住人に傷を負わせるし、『鎮守の森』では男がいきなり異界に迷いこみ目に怪我を負いながら十数年も放浪したのちに汚れたそのままの姿でいきなり現実に戻ってくる。 さらには異界やその怪物ばかりではなく、諸星大二郎の真骨頂とも言うべきは、本来は目に見えるはずもない人間の内面の感情のようなものをあっけらかんと視覚的に描いてしまうことにある。まさしく『不安の立像』では不安という名の目に見えない感情が外套の影のような姿で描かれ、『夢の木の下で』ではひとの内面での変化が植物が枯れることで如実に描かれ、『遠い国から』のとある惑星ではひとがもの凄く感動したときにすぐその場で自殺をするように描かれ、『感情のある風景』にいたっては感情がそのまま目に見える文様として描かれている。 諸星大二郎の漫画はこのように幻想的であったり超現実的というより、むしろ、視覚的過剰によるきわめて体験的なものとして私たちの目に飛び込んでくる。そこで私たちは何かの幻想や超現実に想いを馳せる必要などまるでなく、向こうの方からすでにいきなり唐突に、視覚的現実としてそれが目に突き付けられている。 あるいはマッドメンや縄文人をはじめ、身体に傷を負う(入れ墨を負う)という行為は、神や異界の存在を現実のものとして視覚的に示すものだったのかもしれない。