pennzou
pennzou
1年以上前
冷や水を浴びせるようで恐縮ですが、海街「蝉時雨のやむ頃」の単行本は2007年4月発行で、Tweedeesの「蝉時雨の止む頃に」が初収録されたアルバム『The Sound Sounds.』は2015年3月発売なので、順序としてこの曲が元ネタであることは考えにくいです。その他の曲についても(調べてはいないのでパッと見の印象ですが)時系列が合わなそうに感じるものもあり、精査が必要かと思います。またネタ元があったとしてもそれが音楽以外の例えば映像・文学作品であることや、他国語タイトルの日本語訳であるという線も十分考えられます。 さて、ここからが本題なのですが、Tweedees 「蝉時雨の止む頃に」はむしろ海街の方がネタ元では?と考えています。というのも、この曲の作詞者である清浦夏実さんは以前好きなマンガ家を問われて「吉田秋生」と答えているんです。(https://www.ageocci.or.jp/ageo-machi-fes/2017/artist.html#a13) これだけで元ネタだと言い切るのは乱暴ですし、心の奥底にあった記憶が無意識に発露しただけかもしれません。ただ、自分は清浦さんの歌詞を読むと先のインタビューで挙げられていた人たちの影がうかがえ、文化のバトンはこうやって継がれていくのだなぁと勝手に思っています。 Tweedees、好きなバンドでしたのでついつい返信させて頂きました。お気を悪くさせてしまっておりましたら申し訳ございません…
兎来栄寿
兎来栄寿
3ヶ月前
桃聖純矢さんの新刊が2冊同時発売しました。こちらは『恋は妄毒』でも見られたような、独特の持ち味をたっぷりと味わえる短編集です。 かつて松本零士さんから千之ナイフさんへ受け継がれ進化したような、下睫毛バッシバシで虹彩まで描き込む耽美系の画風は最近はあまり見ないですが、個人的にはとても好みです。黒髪の美しさが映えるツヤベタの感じも良いですね。 そんな絵的にも内容的にも古屋兎丸賞受賞がとてもしっくりくる2019年の短編「花に憧れた」から始まるこの短編集。美醜と毒親の呪いを描いた「花に憧れた」は、トップバッターとして申し分のない感情を描いてくれます。 その次に載っているのが、最も古いものは2018年7月の「ヒロくんの知らない」なのは短編集の構成として秀逸だと思います。桃聖純矢さんの多面的な魅力を味わえる並びです。 最も新しい作品、はこの単行本発売と同時に公開されたばかりの「あの子のシザーは誰のもの」と、5年半の軌跡を堪能できる内容となっています。その年月は画力を更新するには十分で、1冊の中で画風の変化を楽しめるのもこうした短編集ならでは魅力ですね。 個人的な好みで言えば、女の子の泣き顔を見るためだけに生きているイケメンを描いた倒錯的な「まっすぐな僕と生きる糧」の扉絵とか最高なんですけれども。お話も好きですし、ヒロインのすみれちゃんもかわいくて好(ハオ)です。 嘘をつくと鼻血が出てしまうので嘘をつけない主人公を描いた「スカルラット」は、構成力の高さが光ります。 犬の言葉を聞けるようになる機械を手に入れた特殊な夫婦のお話「ワン♡と鳴けない君のために」は、犬を飼っている身からすると羨ましさとかわいさといじましさが溢れました。夫婦が結婚に至るまでの独特の超速っぷりや、その後の関係性が面白いです。サスペンス風なお話も多い中で、コメディにも適性があることがはっきり伝わる1編です。描き下ろしはただただかわいいです。柴犬かわいい。犬はかわいい。 コメディ好きの方には、同時発売の『慎みなさい篠宮くん!』もお薦めです。 ダークさやブラックさを基調としながらも、それだけに留まらないユニークな紋様を見せるオニキスのような短編集です。