吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
一話完結でタイトル通り、男女のワンナイトとそのあとの朝ごはんの話。 読切の第一話が読めていないのだけど、連載開始の2話から読み始めた。 面白い。 奥山ケニチさんのこちらの読切『磯辺くんとパンツ』も読んですごくよかったので今後追っていきたい。 http://www.moae.jp/comic/thegate_isobekuntopants 本当にワンナイトこっきりもあれば、二人の続きを想像させてくれるものもありニヤニヤする。 それにしても、なんだろう、ワンナイト明けの朝ごはんがもう美味しそうで美味しそうで。 前日から漬けておいたフレンチトーストみたいなもので、ワンナイト→朝ごはんの時間経過で、二人の間の親密性という甘い隠し味が読者によく沁みていて食事単体よりも美味しそうに見えるのかもしれない。 不思議だ。 これは発明なんじゃないだろうか。 その朝ごはんにはなにか儀式や通過儀礼にも似た神聖ささえあるような気がしてくる。 暗黙の了解、無言の約束事みたいな気持ちの良いものがそこにはある。 そういえば、映画『モテキ』で森山未來と長澤まさみがベッドで目覚めて、水を飲むか聞いた長澤まさみが、口に含んだ水を森山未來に口移しで飲ませるシーンなんかはもう最高だった。 これは僕の人生ベスト朝ごはん賞に入れたいシーンだ。水だけど。 一晩明けたあとの男女の少し曖昧で甘くて気持ちのいい関係に浸れるいい漫画。 これからはどんなパターンで見せてくれるんだろうと楽しみになってくる。 普段ヤングキングはあまり手に取らないのでこれがきっかけで他の作品も読むことがあるかもしれない。
鳥人間
鳥人間
1年以上前
軌道エレベータが建設された結果、沸き起こる宇宙バブル。数多くの建造物が宇宙に作られ、そこに移住する人々が増えた時代。冒頭で、若い夫婦が宇宙へと旅立つ。その先にある夢が語られると思ったら……そういうのはすっ飛ばして、まさかの老後が描かれている。 老夫婦の暮らす場所は、宇宙バブルの頃には最先端だったホテルが老人ホーム化され、老朽化に耐えながら運用されているようなところ(低重力環境は老人ホームにちょうどいい)。医療の進歩で高齢者の肉体的な若返りはある程度、実現している。しかし脳についてはまだ未知数な領域で、認知症は解決されていない。そんな状況で暮らす、認知症を患った妻と、その夫のお話。 なるほど自分たちが年老いた場合、こういう環境に身をおくことになるのか……そんな想像をしてしまうほど近未来の世界観がすごく興味深かった。そして、ほとんどのSFが寿命を超越したり、心身共に若さを保ったものな気がするが、この作品は「わりと普通に老いる」という視点で描かれていてとても新鮮に感じた。 作中、リハビリを受ける高齢者たちが描かれている。認知症になっても手先を使うことは覚えているということで、キーボードやゲームコントローラーをガシガシ使っている姿にちょっと笑った。 自分が老人になっても……ゲームはしてそうだなぁ(笑)