ひさぴよ2020/12/23マンガ賞選考の裏側<さいとう・たかを賞>最終選考の過程を書き起こしたレポートブックで、たまたま検索で見つけて読んだところ、非常に勉強になる本でした。 さいとう・たかを賞をご存じない方は、公式の動画を観てみてください。 https://www.youtube.com/watch?v=5Tqi5eQB5EU&feature=emb_logo 主な選者は、やまさき十三、池上遼一、佐藤優、長崎尚志など。受賞作を決めるにあたっては、候補作品がリストアップされた状態から始まり、座談会形式で、各作品の品評がはじまります。 重視されるのは分業システムによる作品創り、また、社会的なリアリズムや歴史モノにチャレンジしている作品ほど評価が高いようです。 各人の意見はいずれもマンガ史の重みを感じさせるものばかりで、読み応えがありましたが、最終ジャッジは、さいとう・たかを先生が退席して残りの選者だけで決定されます。 こういった選考過程をきちんと公開することは、貴重な記録であると同時に、とてもフェアな態度であると思います。 電子書籍で無料で公開されており、誰でも読めますので興味のある方はぜひ。さいとう・たかを賞レポートブックさいとう・たかを劇画文化財団
ひさぴよ2020/12/082020東京オリンピック開催前の空気感東京オリンピック開催の3年前に連載をスタートした作品。 あまりスポーツが得意でない朝倉世界一先生が、色々な競技の体験や、関連施設を訪れた日々の記録を綴ったエッセイ漫画です。 激しいスポーツであっても、朝倉先生のほんわかした絵柄でれているので、スポーツが苦手な人でも気負わずに読めます。タメになるオリンピック豆知識も盛り沢山です。 振り返ってみると、オリンピックへの期待感だったり、高揚感といった感情はもはや自分の中で忘れかけてましたがこの漫画を読むことで当時の雰囲気を追体感できました。コロナ禍の今となっては貴重な時代の記録となるのではないでしょうか。(そういえば、チケットの抽選とか頑張って応募してたなあ… 紙の単行本は発売されておらず、電子書籍のみです。 ページ数は2巻あわせて160pほどの長さになります。俺輪 ~めざせ!東京オリンピック~朝倉世界一1わかる
ひさぴよ2020/12/01けっこう楽しそうで、すこし悲しい主人公の三姉妹は、子供時代に母親を病で亡くし、後年は父親が失踪して捨てられてしまうという家庭事情を持つ。 それでも楽観的な性格の長女を中心に、一つ屋根の下で楽しげに暮らす様子が描かれている。 長女も次女も社会人として働いているので生活の心配はなさそうだが、三姉妹がそこに至るまでの苦労は幾つもあったはず。時折あらわれる過去の回想が、悲しみを誘う。 親を亡くしたものの、三姉妹の周りには良い友達が多く、とても人の縁に恵まれているのだと思う。 全体的に独特のテンポ運びで、それがタイトルの「三拍子」と良く合っている。三拍子の娘町田メロメ2わかる
ひさぴよ2020/11/22鳥人と一緒に喫茶店を切り盛りするマンガ空き物件の喫茶店を引き継ぎ、立派なお店を目指して頑張るリンとスズのトリビト(ハーピーのような亜人)姉妹と、偶然出会った冴えないサラリーマン・ヒロカズとの交流を描いた、ほのぼの4コマ漫画。 トリビトって何なの?とか、ヒロカズは人間社会に戻らなくて大丈夫なの?などの疑問はいったん取っ払って読むといいと思います。 とにかく、みんなで良い喫茶店にしよう!という雰囲気が素敵で、健気に頑張るスズたちの姿を見てるとほっこりします。可愛いさとギャグだけの4コマでなく、心あたたまるエピソードを経て、物語は少しずつ進んでいきます。 表紙を見てもらうと分かりやすいですが、巻を重ねるたびに常連のお客さんが増えて、どんどんにぎやかになっていきます。 喫茶店が好き、鳥が好きという方へ「とりきっさ」オススメです。 とりきっさ!ノブヨシ侍
ひさぴよ2020/11/22ちょっとマニアックでKAWAII恐竜ギャグまんが2012年の少年ジャンプで連載していた、恐竜と古生物が主人公一家と暮らすギャグ漫画。 「恐竜の飼いかた」のクチコミを見て、恐竜マンガは数あれど恐竜と一緒に暮らす漫画って意外と少ないかも…と考えてたら、パッキーっていたよなあと久しぶりに思い出しました。 コミカルな恐竜達から繰り出される豪快なシュールギャグが好きでしたが、子供向け過ぎると見なされたのか、短命で打ち切られてしまったのが残念です。 人間の家族たちも含めて、キャラクターはみんな良かった上に、恐竜・古代生物の知識が豊富で、各生物の特性を活かしたギャグが素晴らしかったのに…。いま考えると、結構マニアックな漫画だったのかもしれません。 出る時代が早すぎた気もします。令和のジャンプならもっと人気が出たかもしれませんし、コロコロなどで連載しても人気になったかもしれません。いずれにせよ、もう少し面白さが再評価されても良いのになあと思う作品です。現存!古代生物史パッキーレツ
ひさぴよ2020/11/20深まる業数々の古典コミカライズを自己流で手掛けてきた、二階堂正宏先生の山月記。 原作の山月記が好きなので、コレ系の漫画は手に取るようにしてるのですが、把握しているものでは、 ●『柴門ふみ傑作選』 (虎を豚に変えたコメディ。面白いオマージュだけど原作の原型はあまりない) ●『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。』 (あっさりと読みやすい。ただ、虎の迫力が足りないなど淡白) ●『草子ブックガイド』 (最上級に良い。けどアーティスト的な自意識が過ぎる部分も) などがあり、いずれも一長一短があるように思います。 しかし本作は、原作を忠実になぞりつつ、李徴が虎になった後の核心部分に独自解釈を加え、物語の業を大きく広げるという離れ業をやってのけており、他作品を上回って素晴らしい完成度であると言えます。 長さはわずか34ページ。価格は660円。商業レーベルの価格帯と比べると、決して安くはありませんが、一読の価値ある作品でした。 山月記二階堂正宏 中島敦1わかる
ひさぴよ2020/11/19編集者T・Kさんの圧倒的キャラ立ち📷数多くのカラスヤ漫画の中でも、これは出色の出来だと思ってる作品で、趣味スポットに遠足と称して取材しておもしろおかしく紹介するという企画なんですが、同行する編集者「T・Kさん」(表紙の中央にいる女性)が、主役であるカラスヤ先生を凌ぐ勢いで、圧倒的にキャラ立ちしているのが面白いのです。 ゴスロリ服で毒舌を吐き、好き嫌いがハッキリしていて物事の捉え方もなんか独特。人間関係は不器用だけど手先は器用だったりと、掘れば掘るほど面白い。 通常モードのカラスヤ先生は、独りボケツッコミスタイルですけどTKさんが入ったことで面白さが何倍にも増してるように感じました。 二人の息の合った掛け合いが楽しくて、読み終わったら取材先の事は印象に残ってなかった…なんて事もありましたが、興味深いスポットは沢山出てきますので、大人の遠足ガイドとしてマジメに参考にしてみても良いのではないでしょうか。 参考画像: 取材スポットの目次 第10話のガイナックスコスプレパーティーの回には、チャンピオン作家の木々津克久先生が登場しますのでファン必見です。カラスヤサトシの37歳の遠足ガイドカラスヤサトシ
ひさぴよ2020/11/18普通のOL4コマと思いきや・・・?4コマ王子こと小坂俊史先生による、普通そうで普通じゃないOL4コマ。 中途入社の主人公・志咲笑子(しざきえみこ)は転職元の会社がことごとく倒産することから「座敷わらし」の異名を持つOL。しかし、この座敷わらし設定は即座に捨て去られ、タイトルの意味はどこへやら、日々の仕事を”いかにサボるか”に話が変わっていきます。 ヒロインの体型も徐々に変化し、最初は気のせいかと思いましたが、どんどん太っていきます…ドラえもんの逆バージョンみたいな感じでしょうか。 そして、サボっていた仕事も次第にそこそこ出来るようになり、普通のOLへと変わるのですが…。これだけ話に変化がありながら4コマ漫画としての面白さは一貫して変わらないのです。普通のOLマンガを目指そうとした結果、普通じゃない漫画になってしまった感じがします。脇を固める同僚たちもおかしな人材ばかりで読んでいて飽きません。作者コメントで「会社勤めの経験が一度もない」というのは驚き。オフィスのあるあるネタは本当に共感できるものが多いかったので。 連載時期が2010年〜2011年頃という事で、リーマンショック後の時期のはずなんですけど、不況を感じさせない、ほのぼのと明るい気分にさせてくれる漫画です。オフィスのざしきわらし小坂俊史
ひさぴよ2020/11/17心温まる駄菓子屋マンガ1970年代に流行った駄菓子類や遊びがたくさん登場する全18話のショートストーリー。 自分と世代は違いますが、駄菓子に通ってた頃のオモチャや駄菓子が沢山出てきてとても懐かしい気持ちになります。 ミニコーナーのコラムも充実しており、駄菓子情報がぎっしり詰まった一冊です。 駄菓子屋のもう一つの主役といえば子ども達ですが、この漫画に出てくる子たちは、怖いくらい自然に描かれています。お小遣いをやりくりして、考えながら遊んでる様子など本当にリアルで自分の思い出の記憶そのままでした。 ちなみに、作中で駄菓子が大好きな「かよちゃん」という女の子が登場します。東元先生は「ほな、また明日!」とは別の駄菓子屋マンガ「かよちゃんの駄菓子屋」を描かれてますが(現在、週刊漫画TIMESで連載中) 主人公の名前と雰囲気が似てますので、この子がベースとなっているのでは?と思ってます。ほな、また明日!東元2わかる
ひさぴよ2020/11/17吉本浩二先生の幻の青春恋愛作イーブックジャパンのリニューアル前に読んだ覚えがあるのですが、今はもう公開されておらず読めなくなってますかね…。 一度読んだきりで内容はうろ覚えですけど、主人公を慕って後輩の子が上京してきて、イイ感じになったけど最後は…みたいなストーリーだったかと。たしか舞台は上野駅。信じられないくらいマジメで純情な青春漫画だった印象あります。何となくもう一度読みたくなりました。東京の兄貴吉本浩二
ひさぴよ2020/11/10異世界マンガ…なのか!?おじさんがファーストクラスのCAに転生してスケベ椅子の化身に出会う所から始まる異世界マンガ。 誰も見たことのない異世界モノというか、そもそも異世界って何だっけ…?と既成概念が崩れそうになります。 異世界モノが氾濫してる今の時代だからこそ面白いと感じる部分がありますね。 和田ラヂヲ先生には珍しいストーリー仕立ての長編作品でもあるので一見の価値アリです。 これが電書ストアで話売りされてる状況というのも何か面白い。 はたして単行本は出るのでしょうか。和田ラヂヲの異世界無双和田ラヂヲ
ひさぴよ2020/11/05本格派でエンタメもしてる諜報(スパイ)漫画の良作日本はスパイ天国などとよく言われてるそうですが、実は世界各国からの工作活動をギリギリのところで防ぎ、陰で日本を守り続けてきた一族がいたのです。(という設定) その名も「阿賀一族」。800年にわたり日本の諜報活動を担ってきた一族の末裔である、父とその娘が主人公。一族の誇りを持ちながら娘には手を焼いてる父親ですが、いざ政府から仕事の依頼を受ければ、各国のスパイたちを相手取り、情報戦や派手な戦いを繰り広げます。次第に娘の方もスパイの才能が開花して…。 原作は真刈信二氏ということで、設定やストーリー構成は言うまでもなく本格派。しかし落ち着いた展開ばかりでなく、映画のようなエンタメ要素(アクションやお色気シーン)もバランス良く盛り込まれています。作画も非常に洗練されていて、重厚感のあるストーリーにふさわしいカッコ良さがあるのです。 何かきっかけさえあれば、もっと人気が出たはずの作品だと思うのですが、6巻という微妙な巻数で終わってしまいました。せめて10巻くらいまで続いても良かったのに…。最新の情勢を取り入れて、いつか続編とか始まったら面白いと思うのですが。スパイの家真刈信二 雨松
ひさぴよ2020/11/03おすすめの短編集 #お買い得本ウチヤマユージ先生の短編集。2007〜2011年にかけてコミティアで発表された初期の5作品が収録されています。 「受賞歴なし、雑誌掲載経験なしのまま初単行本化」という売り文句が書いてありますが、同人誌でのみ発表されていた作品だけで、単行本を出すという事実が、この短編集の良さを証明しているようです。 表題作「夏の十字架」が全部で130ページあり、本の約半分を占めていて、短編としては少し長めですが、ストーリー構成が素晴らしく、あっという間に物語に引き込まれる面白さです。鬱々とした部分もありますが、読み終えたあとは何かモヤが晴れたような気分になる短編です。 他の4編も珠玉の作品ばかりで、時期によって作風・絵柄のバラつき等はありますが、単行本化にあたり加筆修正を結構されたそうで、全体を通して読みやすくなっています。 ちなみに本の価格ですが、紙の本より電子書籍(550円)で買うほうが大分安いのでお買い得です。夏の十字架ウチヤマユージ3わかる
ひさぴよ2020/11/03めちゃくちゃ可愛い小さな猫のものがたり親指ほどの小さな小さな猫が自然の中でほのぼのと暮らす漫画。セリフのない4コマ漫画で、どこか絵本のような雰囲気が漂っている作品です。 小さい生き物ってやたらと可愛く見えてしまうものですが、元から可愛い生き物がちっこくなると、これはもう反則級のカワイさになります。 小さな目に映る世界は、不思議と広い世界にいるかのように感じて、たくさんの動植物と出会いがあり、読んでいて飽きません。大人だけでなく、小さな子どもが読んでも楽しめる作品ではないでしょうか。なによりも自由奔放に生きるねこの暮らしを眺めているだけで、誰もがほっこりとした気持ちになってしまうと思うのです。 補足:「ふたまん」というサイトで連載されていましたが今でも全話が公開されてます。試し読みするのにどうぞ。 https://futabanet.jp/list/futaman/tag/%E3%81%93%E3%81%B3%E3%81%A8%E3%81%AD%E3%81%93こびとねこ相原コージ
ひさぴよ2020/11/02心あたたまる駄菓子屋マンガ週刊漫画TIMESで連載中の、とても心あたたまる駄菓子屋マンガです。たしか、連載開始は2016年頃からだったと思います。不定期連載なので、毎週読めるわけではないですが、たまに読むたびに子供の頃の駄菓子屋の思い出がよみがえってきます。東元先生の過去作「ほな、また明日」がベースになってます(そちらもおすすめ)が、今作では店番を小学生のかよちゃんが勤めています。子供が子供に駄菓子を売るというのも面白くて、しっかり者のかよちゃんの大人顔負けの発言にドキリとさせられっぱなしです。連載話は単行本化されていないので何とか本になるのを待ち望んでいます。 かよちゃんの駄菓子屋東元2わかる
ひさぴよ2020/11/01名作を超えてしまった漫画浅田次郎の短編小説「鉄道員」「ラブ・レター」の2作品を、ながやす巧先生が漫画化して1冊にまとめた作品。 究極的に美しい表現、真に迫った人物描写により、原作や映画以上の感動があります。(小説版は良くも悪くも、いつもの浅田次郎節で読んでしまって、そこまでの感動はなかったのと、映画版はもちろん良い映画なのですが、高倉健さんの存在感が強すぎるのと、広末が苦手だったのでちょっと…) 巻末あとがきにて、浅田次郎氏から作品への惜しみない賞賛が送られており、「芸術観が覆った。神ですらこれほど美しい風景は容易に造れぬであろう。」と芸術性の高さを論じています。また、「後世に残るとすれば漫画作品の方であろう」とまで言わしめてしまうから凄い。そして後年、「壬生義士伝」でもタッグを組むことになります。 電子書籍になっていない為、読むなら手に入りやすい文庫本を買うのが良いですが、できることなら単行本サイズで読みたい作品です。 鉄道員/ラブ・レター ながやす巧 浅田次郎3わかる
ひさぴよ2020/10/30×××の部分が知りたい「血だるま剣法」がずっと読みたかったのだけど、古本価格がやや高いため、なかなか手が出なかったのだが、三軒茶屋の漫画喫茶ガリレオに行った際にお店に置いてあるのを見つけたので、そこで読ませて頂いた。 実際に読んでみると凄まじく面白い作品だった。 主人公・猪子幻之助が、剣術道場で師匠を殺害するシーンから始まり、門弟たちに次々と復讐をしていく話。その理由は、幻之助の生い立ちにより差別を受けていた過去にある。 中盤までセリフには「×××」で伏せられた箇所が数多くあり、ほとんどバツで埋まっている場面もある。「×××」の部分は差別問題を表現する上で、読者に伝わらなければ理解も及ばないと思うのだが、なぜこういう事態が起きてしまうのだろうか…。 その疑問に対しては、呉智英さんによる監修&解説文が答えてくれた。時代背景や出版事情に関して、網羅的かつ切れ味鋭く説明がなされており非常に読み応えがある。Wikipediaを読んで理解した気になってたが、普通にこちらの文章を読んだ方があらましを理解しやすいと思う…。 また、山上たつひこが「血だるま剣法」のパロディをやったのが「鬼刃流転」という漫画。興味のある方はこちらも読んでみるといいだろう。 鬼刃流転―孤高の天才剣士柳左近 山上 たつひこ https://www.amazon.co.jp/dp/4838701454/ref=cm_sw_r_tw_dp_0ztcGbC84DN7K @amazonJPより 血だるま剣法・おのれらに告ぐ平田弘史1わかる
ひさぴよ2020/10/25王道の風格を感じる面白さタイトルで内容はぜんぶ説明されてますね。あらゆる人間の能力パラメーターが見えてしまう「鑑定スキル」を用いて、優秀な人材をスカウトしながら領主を目指すというお話です。 主人公は、領主を継ぐまでに優れた人材を掻き集めなければなりません。鑑定スキルを使えば楽勝〜♪と思いきや、闇雲に鑑定しても良い人材が見つからない、見つけても簡単に自分の部下にすることなどできないし、対人間同士の関係性を構築しないといけない、といった苦労があります。この人材獲得までの過程がとにかく面白いわけです。 普段あまり読まないジャンルですが、なぜここまで面白いのだろうと考えると、原作に加えて、作画の井上菜摘先生の力量が大きい気がします。 逸材”が持つポテンシャルの描き方、互いの心理描写など細かな感情表現が本当に上手くて、なによりも説得力があります。 単なる”異世界系”で括るにはもったいない、王道マンガの風格漂う作品です。転生貴族、鑑定スキルで成り上がる ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~JIMMY 井上菜摘 未来人A
ひさぴよ2020/10/23ユルく切れ味鋭く #完結応援童話や昔話をモチーフにして新しい解釈を加えたショートストーリー集。柘植文先生の絵のタッチがテーマによくハマってます。 こういう風に、昔話をサンプリングっぽく再構築するやつ大好きですね。 シニカルな笑いと変なオチばかりなので、タイトルの通り「子供に読ませなくてもいい」漫画なのは間違いないですが大人に限らず、おませちゃんな子供が読んでもいいと思いますね。 昔話のおかしな点をツッコんだり、現代人の生活に置き換えたりと話のバリエーションがとても豊かです。ただ、各原作のオチを意識しながら読まないと、漫画のオチの意味がわからなくなる回があったり…。その場合は最後の、”このお話のポイント”を読めば「ああ、そういうことか」となるので安心。 2巻の最後には、おまけ昔話「桃太郎と犬」が収録されていて、これがまた秀逸なお話なのでした。むか~しむかしの 子供に読ませなくてもいいお話集柘植文
ひさぴよ2020/10/23第29巻 ネコが表紙の<動物虐待編> 📷カバチ!!! -カバチタレ!3- (29) https://manba.co.jp/boards/10905/books/29 29巻は動物虐待編ということで、なんとネコが表紙に! 表紙に動物がいること自体、カバチシリーズ(というか東風孝広作品)では非常に珍しくないですか?中身的にも、ネコ好きにとって関心の高い内容なので、とてもナイスな表紙だと思います。また、東風孝広先生の描くネコが不思議なカワイさがあって、何とも味わいのある表情なのです。 今作では、ネコ好き女子高生・根子亜衣(ねこあい)と、重森さんのコンビが虐待犯を追い詰めるという、私立探偵のような展開。田村は脇役になっちゃいましたが、普段は堅物キャラの重森さんの奮闘が光り、意外な優しさが垣間見える回でした。 例によって相手側には、胸糞悪い性格の人物が登場するわけですが、動物虐待を防ぐには、器物損壊罪・動物愛護法といった法律を知らなければ、一筋縄ではいかないことが分かります。ネコ好き・動物好きの方は、興味があればこの巻だけでも読んでみてはいかがでしょうか。 カバチ!!! -カバチタレ!3-東風孝広 田島隆
ひさぴよ2020/10/05「Y氏の隣人 完全版」に期待作品のクチコミは以前こちらで書いた通り。 https://manba.co.jp/topics/25396 「幸福ノ學習社 完全版」と同様、通常版と収録内容は変わりません。 次々と吉田ひろゆき先生の作品が復刻されていますが、集英社版の「Y氏の隣人」など電子書籍ストアから消えていってるので、これはいずれ新たに完全版が出るのでしょうね。 ※もし出すなら表紙絵の色使いを何とかしてほしい所です…。 だるま心療譚 完全版吉田ひろゆき1わかる
ひさぴよ2020/10/05通常版との違いはほとんどなし紙の単行本も通常版の電子書籍も持っているので見比べてみましたが、完全版との違いは特になく、収録内容は同じでした。 価格設定は440円とお買い得です。また、KindleUnlimitedに対応しているので、そちらで読むのも良いでしょう。 作品のクチコミはこちらに書きました。 https://manba.co.jp/topics/24603 幸福ノ學習社 完全版吉田ひろゆき
ひさぴよ2020/10/03忘れてたけど、また読みたい良作思い出せない漫画コーナーを見て、「そういえば一度読んだけど忘れていて、また読みたいなぁ…」と最近思い出したのがこちらの作品。 2019年だったか、Dモーニングの連載獲得マッチにて勝ち上がり、Dモニのアプリで連載されてた漫画です。なので読んでた人は殆ど見かけないですが…。 タイトルの通り、西東京の地方新聞社を舞台に新入社員・飯盛光(いさかりひかる)が体当たりで仕事に挑む、新聞記者のお仕事を描いたマンガです。 全国ニュースになるような大事件を扱うわけではなく、地元で起きた事柄を地道に取材して記事にするのですが、取材を重ねる中で次第に地方の新聞が担っている役割を意識するようになります。 地域密着というのはこれからの社会において重要なテーマだと思いますので、そこに対しても真面目に取り組まれている漫画なのです。 「西東京」が舞台というのも良かったですね。西東京のおだやかな雰囲気がとても良く出ていました。まるっきり田舎というわけでもなく、ひたすら発展し続ける都心に近いようで遠いので「東京」と一括では語れない問題があると感じます。 主人公が何かと世話になる警察のお兄さんや、渋い上司のオジさんなど、脇を固める人物たちも記憶に残る人ばかりで、ふともう一度読みたくなる魅力がありと思います。 単行本はいまのところ出てませんが、WebサイトのコミックDAYSで読めます。 https://comic-days.com/episode/10834108156689989899むさしの新聞日記春田りょう1わかる
ひさぴよ2020/10/02ネタバレハッタリだけじゃない侠気のある勝負師ヤンマガで2006年頃に連載していた、幕末の江戸を舞台にした博打マンガ。歴史×ギャンブル漫画という感じでしょうか。勧善懲悪でスカッする作品が好きな方におすすめの漫画です。 勝負事はサイコロ、双六といった単純な勝負が多いので、細かい心理戦などは気にせず読めます。この漫画における勝負は、一にも二にもハッタリがすべてと言ってもいいほど重要なのです。 主人公の麒麟は、実に粋で気持ちの良い男で、飄々としていながら、熱い義侠心があり、命を賭けた勝負に大胆かつ冷静なハッタリを仕掛けます。麒麟がなにか仕込んでると判っていても、勝負をひっくり返す瞬間は何度見ても面白いです。終始、ドスの利いた関西弁で相手をまくしたてるのも痛快。 「人はビビッたそのときから 何が正しいかわからんようになりますねん」 という麒麟のセリフには、博徒としての生き様だけでなく、幕末という混迷の世における人間心理をも捉えているように感じます。 江戸時代の背景もきっちり描かれており、劇画ほど濃い描き方ではないものの、薄くもなく絶妙な上手さの絵柄で、そこも好きな理由の一つですね。 途中までは非常におもしろかったですが、最後の方は麒麟の良さがやや薄れてしまったのが残念でした。5巻で唐突に<第1部完>として終わります。第2部へ続くと書いてありますが…。諸刃の博徒 麒麟土屋多摩 村尾幸三