ネタバレ

ヤンマガで2006年頃に連載していた、幕末の江戸を舞台にした博打マンガ。歴史×ギャンブル漫画という感じでしょうか。勧善懲悪でスカッする作品が好きな方におすすめの漫画です。

勝負事はサイコロ、双六といった単純な勝負が多いので、細かい心理戦などは気にせず読めます。この漫画における勝負は、一にも二にもハッタリがすべてと言ってもいいほど重要なのです。

主人公の麒麟は、実に粋で気持ちの良い男で、飄々としていながら、熱い義侠心があり、命を賭けた勝負に大胆かつ冷静なハッタリを仕掛けます。麒麟がなにか仕込んでると判っていても、勝負をひっくり返す瞬間は何度見ても面白いです。終始、ドスの利いた関西弁で相手をまくしたてるのも痛快。

「人はビビッたそのときから 何が正しいかわからんようになりますねん」

という麒麟のセリフには、博徒としての生き様だけでなく、幕末という混迷の世における人間心理をも捉えているように感じます。

江戸時代の背景もきっちり描かれており、劇画ほど濃い描き方ではないものの、薄くもなく絶妙な上手さの絵柄で、そこも好きな理由の一つですね。

途中までは非常におもしろかったですが、最後の方は麒麟の良さがやや薄れてしまったのが残念でした。5巻で唐突に<第1部完>として終わります。第2部へ続くと書いてありますが…。

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特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」

「ヒロシマのおばちゃん」を読みたくて購入

特装版「女が叫ぶとき~戦争という地獄を見た~」
ひさぴよ
ひさぴよ

https://www.shogakukan-cr.co.jp/book/b110795.html 『漫画が語る戦争 焦土の鎮魂歌』(小学館クリエイティブ)で読んだ曽根富美子の短編「ヒロシマのおばちゃん」が衝撃的だったので、もう一度読みたいと思って電子書籍版を探してたら、この短編集に収録されていた。 「ヒロシマのおばちゃん」以外の短編は、戦争の話というよりちょっと昼ドラっぽい話が多いものの、それでも表題作を読むためだけに買っても損はないと思う。 作品の詳しい時期は分かってないのだが、状況からして1990年代頃の設定と思われる。広島での戦争体験を語り継ぐの”一人のおばちゃん”を通して、戦時中の自身の半生を振り返るところから物語は始まる。巧みな語り口と、曽根先生お得意の、不幸で陰湿な心理描写にグイグイと引き込まれてゆく。そしておばちゃんは不幸のドン底と同時に、原爆の日を迎えるのだが…。 変わり果てた広島の街を、怨念そのものとも言える鬼気迫るタッチで描き出し、一度目にしたら忘れられないような光景がこの漫画にはある。おばちゃんは最後に「あれは地獄だったよ」とだけ語る。と同時に、この出来事が教科書の中のたった数行に収まってほしくない、と願うのだった。 個人的には「はだしのゲン」と同じく、ぜひ読み継がれてほしい戦争漫画の一つだ。

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幕末喧嘩博徒 諸刃の麒麟

幕末喧嘩博徒 諸刃の麒麟

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右近左乃介

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