青年マンガの感想・レビュー15397件<<346347348349350>>「幸っちゃんさん」と呼ばれる幸子の幸せ幸っちゃんさん 柳内大樹兎来栄寿2019年の暮れに出た『儚いくん』に続く、柳内大樹さんの「SUBARASHIKI KANA JINSEI」シリーズ2冊目。1冊で完結する短編で、シリーズ物ですがこの作品単体でしっかり楽しめます。 『ギャングキング』や『セブン☆スター』でヤンキーマンガのイメージが強いであろう筆者ですが、このシリーズを読むとその引き出しの豊かさに感銘を受けずにはいられません。 本作は、4人の女子大生とミスターキャンパスに選ばれたものの実は少しオネエの気がある男性を中心にした群像劇です。 ヒロインの幸子は豪放磊落な性格で、喉仏が動く男がタイプであり日々イイオトコとの出逢いに飢えている女性。 「人間なんてしょせん自分のことを好きになってくれるやつが好きなんだよ!」というモノローグを仁王フェイスでかます彼女はデンジくんに通ずるものがあります。 巨乳でクールビューティだけど処女のマリコ。 ちずるはドMで天然の不思議ちゃん。 カズ美は一番真面目だが一番4人の中でエロくてS。 優しくて真面目で顔も良く薙刀は全国ベスト4の腕前だけどオネエの蜂須賀。 そんな個性的なキャラたちによるそれぞれの恋愛模様が描かれますが、大人だからこそのビターさもあり味わい深いです。幸子の顔芸を始めとしてふんだんにギャグも交えながらも、シリアスなシーンはしっかりとしっとりとキメてきて人生を生きる上での含蓄に富んだセリフも沢山登場します。 恋愛も人生も必ずしも上手くいくことばかりではないですが、そんな時には寄り添い支え合う4人の友情がまた美しいです。幸子の人生がこの後どうなろうと、こんな素晴らしい友人ができたことは一生の幸せだろうと思います。 幸子の母&祖母や、「とっととどっかのカラオケでも行ってでっかいパンにアイスでものっけて女子会でもするよし!」「帰りましてよ!パンピーども!どきよし!」とのたまうお嬢様など、サブキャラも強烈で楽しいです。 酸いも甘いも溢れる人生はそれ自体の素晴らしさを力強く謳う一冊です。今後もこのシリーズを続けていきたいそうなので、『セブン☆スターJT』ともども楽しみにしたいです。あの黒沢が新たに始動する話新黒沢 最強伝説 福本伸行名無し最強伝説 黒沢を好きで読んでいたのでこちらも読みました。 黒沢の人問くささががとにかく好きです。 がんばって下さい!悪意の介在しない"たった2人だけ"の日常 #1巻応援アエカナル 笹倉綾人sogor25サラリーマンの定井光臣は自らの命を絶つために山の奥深くに足を踏み入れていました。 彼がしめ縄の巻かれた大樹の側を死に場所に選んだそのとき、高い木の枝に縄を掛けようとする少女を発見します。 「彼女が首を括ろうとしている」と咄嗟に思った彼はその少女を助けようとしますが、実はその少女は単に干し芋を作ろうとしていただけでした。 ただしその少女・アエカは自分のことおただの人間ではなく、その土地の山の神に嫁入りしたため800年間生き続けている"八百比丘尼"(やおびくに)だというのです。 この作品はそんな2人の出会いから始まる異類婚姻譚のような物語です。 『ホーキーベカコン』を描かれていた笹倉綾人さんの新作。 仕事の多忙さに疲れて死を決意した定井でしたが、天真爛漫で朗らかなアエカに接するうちにいつしか生きることに対し希望を見出していきます。 一方のアエカも、山の神が去り、元いた村も滅び、150年もの間たった1人で過ごしていて、久々に接する人間であり、謎多き彼女にも優しさを見せる定井に徐々に絆されていく様子が描かれています。 作中で描かれていく、悪意の介在しないたった2人だけの日常は何気ない日々ながら心に染み入るものがあります。 ただこの作品、2人の日々を描くにはやや変則的な導入をしていて、それが今後の物語にどう関わってくるのかも気になるところです。 1巻まで読了主夫なめたらいかんで~ 世のイクメンの「神」的存在誕生腐っても父親 森藤渉極主夫道世の中のお父さん達で育児もしている、いわゆるイクメンはあるいみ社会の荒波にもまれて体も心も傷だらけになって一生懸命に戦っている。 疲労困憊で家庭で育児をして、「何のために頑張っているんだろう」とその意味さえ見失いかけている時も弁当をバッチリ仕上げ、社会悪に「なめんなよ」と根性で頑張っている彼らに、傷だらけの主夫が頑張るこの話は、自分の姿を重ね合わせ、共感できる一服の清涼剤のような作品である。 終盤で物語が解決したとき、ほっとなで下ろした胸の向こう側に、明日の仕事に向けて頑張っていこうと思える作品である。 今後の話の展開がとても楽しみである。 ☆すごいぞ☆ コロナ禍でゾンビの概念変わるかも♡腐っても父親 森藤渉こむぎとおおむぎ今や夫婦共働き当たり前、イクメン、育休をとる男性、働き方改革等々。 コロナ禍でいろいろな常識が覆される時代のまっただ中、ゾンビの概念が変わる作品になるかも。 安定して読めるページ構成、一つの話で登場人物の人となりが丁寧に描かれていて、最後に読者をほっとさせ、次回への期待を持たせるストーリーのつくりをする作者は、編集者が「ハートフルな奇跡を紡ぐ期待の超新星」と呼ぶにふさわしい。 次回作に期待したい。 心地よい混沌と狂気の成長物語空の巻き貝 逆柱いみり名無し※ネタバレを含むクチコミです。お知らせガイシューイッショク! 色白好名無し※ネタバレを含むクチコミです。 まさかの子持ちゾンビ!腐っても父親 森藤渉天沢聖司面白かった!ゾンビって良いですよね…エモいです。 とてもいいショタの息子くんは、特に語られることはありませんが人間とゾンビのハーフなんですよね。こんないい設定があるのに読切で終わるのはもったいない…! ぜひ連載でこのほのぼの家族をもっと見たいです。 https://tonarinoyj.jp/episode/13933686331732810810『腐っても父親』森藤渉先生 いいね! 面白い!!!腐っても父親 森藤渉超電子バイオマンゾンビと人間の家族と言う設定が面白い。 ゾンビなのだが、通常のゾンビとは違う設定でゾンビの特質を生かして難題を解決するという流れがさらっと読めて、すーっとストーリーが入ってくる。 ゾンビと人間のハーフの息子が、結構しっかり者で、気も効いているから、キャラとして確立している。顔もかわいい!まちで起こる数々の事件をこの父と息子で解決していくといった展開で続編が読んでみたい。父が「ゾンビなんで」といちいち説明しなくても、うまくごまかしたり、流したりしてうまく解決に結びつけてくれそう。キャラクターグッズにしてもかわいいかも。 母も仕事で家にいない間、父と息子で出かけた先でなんだかんだあって、まちの事件を解決して、家に帰ってくるとみんなで晩ご飯と言った展開でも面白いだろうし、晩ご飯に間に合わないというときには、冷蔵庫に作り置きをしていると主夫としての力量が垣間見えたりするのも良いかもしれない。 ゾンビだけど、みんなが思うゾンビのイメージと違うという設定も「ゾンビはこういうこともできるのか」と読者に想像させる猶予が残されているので話の展開もそこから望めるかも。 ゾンビは何をされても効かないから、まちの社会悪を全部受け止めることも可能。それと家族愛のコラボが読者をほっこりと包み込んでいく。 今後の展開に期待しています。つづきが読みたい! 完成度のたかさパナイ外天楼 石黒正数狐優曇華全く無駄なく計算されて作られた映画のような漫画。 それぞれ関係ないような短編を並べて1つのストーリーを削り出す手腕はこの人以外あまり思いつきません。 料理は化学!院生オタク語り飯 #1巻応援研究棟の真夜中ごはん 神岡鳥乃 夏河もかあうしぃ@カワイイマンガこの漫画は、料理漫画?百合だかロマンシスだか言うやつ?いやいや、この漫画一番の見所は…… 「オタク語り」! 農理学部の修士1年女子・鳥見川さんは、料理上手だけれどコミュニケーションに難ありの様子。彼女は化学好きで、オタク語りが止まらなくなる気質。 そんなオタク語りを受け止めるのは、同じ学部で研究室の違う博士課程の塔山さん。彼女は「何故?」という好奇心が止まらない気質。それ故、鳥見川さんの料理化学のウンチクが楽しくて仕方ない。 鳥見川さんが作る夜食を共に食しながら、お互いの欲を満たし、受け入れられる関係性はどう見ても〈運命の人〉。盛り上がる二人の様子を眺めるだけでも楽しいですが、実は化学の解説がかなり分かりやすく、文学部卒の私でも楽しく理解できました。 レシピを知るのでは無く、レシピの「理由」を知ることが出来る、今までに無い料理漫画?化学漫画?これを読んでも料理マスターにはなれなさそうですが、知的好奇心を満たしながら、一人のオタクがありのままで受け入れられる様子を喜びたい、そんな作品です。読後感は▶︎プリッツ サラダ味獣医さんのお仕事in異世界 hu‐ko hu-ko 蒼空チョコ漫画の海獣医が疫病対策や食糧問題の解決を担う救世主...という設定がいい。読後感は▶︎ピザとコーラマージナル・オペレーション キムラダイスケ 芝村裕吏漫画の海テーマは重いのに、スピーディーで読みやすく、アクション映画のよう。夢中になれる。 読後感は▶︎オフィス街の定食僕はどこから 市川マサ漫画の海他人の文字を書き写すことで、その人の頭の中をトレースできるという主人公の能力が面白い。4巻で上手に完結してるのもいい。池上遼一×山本英夫アダムとイブ 池上遼一 山本英夫かしこスペリオールでトリリオンゲームの連載が始まりましたが、そういえば池上遼一先生の異色コラボって他にもあったような、そうだ!山本英夫先生とのアダムとイブだ!あれ読みたかったんだ〜と思い出したので読んでみました。池上先生って何でも描いてくれるんですね。NGナシかよ!!山本先生としては「池上遼一とやるならこれぐらいやらないと面白くないだろ」っていう感じなんでしょうか。『明らかな凸と凹。』のシーンとか冷静になると「一体、私は何を見せられているんだ…?」と思えてこなくもないのですが、圧倒的な絵力によって「カッコいい!名シーンだ!」と思ってしまいました。どちらの作風も活かされてて面白かったです。対談とかしてないんだろうか?『誰にとってもどうでもいい人』誰にとってもどうでもいい人 石田和人名無し顔に張り付いたような彼の笑顔が軽くホラーである。最後がよくわからない。彼はどこへ消えたのか。工場をやめたにしては寮の部屋の布団は敷かれたまま。ノートなどの持ち物も残っている。彼女が勝手に彼の部屋に入っているのは何故なのか。そして極めつけは、彼がノートに書いていた「だれにもなりたくない」という言葉。何故そんなことを書くのか。彼は、彼女の言葉に対して「ひどいこといいますね」と言ったのだから「だれにもなりたくない」とは思っていないはずではないか。 女の子と汚い部屋とカップラーメン呪いと性春 文野紋名無しいやー名作ですね。 短編ものなんだけど恋愛に悩んで振り回される女の子が主人公 どの女の子も汚い部屋で下着で地べたでカップラーメンを啜っている。 なんかその姿がすごいリアルです。 あれがしたい、これがしたい、愛情がほしい!という欲が前面に出ててどの話も魅力的 自分に同じ経験がなくてもなんとなくわかるって思っちゃうのですごい孤独な老人と少女風街のふたり カシワイnyae全ページ淡くてやさしいカラーが美しい。海辺の街に住む画家のおじいさんと、最近引っ越してきたひとりの少女が出会い、物語が始まります。 おじいさんは無邪気な少女に対して少し冷たくてぶっきらぼうな態度。 なんとなく町田洋さんの砂の都を少し思い出しました。 https://comic-action.com/episode/3269632237242904443幸せたっぷりライフ!ふたり明日もそれなりに すずゆき名無し片思い、両思い、駆け引き諸々全てすっ飛ばして同性恋人からスタートする漫画です なるほどね、見せつけてくれる! 恋人通しなのにふたりで赤面したり、プリンで喧嘩したり。 幸せいっぱいすぎでしょ… キュンともします。 ほのぼのした気持ちにもなります。 安定した幸せの供給だ! ショタが可愛いスタイリッシュな令和の狂四郎2030六道闘争紀 小田世里奈たか今日からgood!アフタヌーンで始まった『童子軍鑑』小田世里奈先生の新連載。相変わらず世界観が壮大ですごい。人間が地下に住むようになった未来っていうのはかなりベタな設定だけど、その猥雑で混沌とした世界を魅力的に描く画力は流石。 ・環境汚染により人類が数百年間にわたって地下に掘った巨大な縦穴で暮らしている世界 ・主人公は最下層にあるスラムに住む少年 ・機械を体に埋め込む「番装義凱」という技術を用いて殺し合う六道トーナメントが最大の娯楽 ・信じていた人に利用されて捨てられる とまあ1話に魅力が詰め込まれまくり。 主人公・縁の純粋な好意と尊厳をフルスイングでズタズタにする凄まじい1話で徳弘正也と同じ匂いを感じた…。続きが無茶苦茶楽しみ。残酷青春絵巻さくらの唄 安達哲狐優曇華同作者のキラキラの延長にあるかのような漫画だと思います。 残酷を超えた何かを感じるこの感覚はなかなか他の漫画では味わえないですね。なんだろうこれ・・・。傑作。バカ姉弟の続編総天然色 バカ姉弟 安達哲狐優曇華最高に面白いながらも惜しまれながら完結したかに見えた「バカ姉弟」の正統な続編。 時系列的には結構バラバラですが、完全に同じ感覚が味わえる傑作です。前作が好きなら鉄板。 始皇帝が中華統一する過程キングダム 原泰久山口Netflixでアニメを見てストーリーの面白さを知ったことで読み始めました。 主人公の大将軍になるまでの成長や、周囲に関わっている人々との交流から、明確な作者のメッセーが伝わってきます。 恋愛診断アプリで「保証された運命の人」を探すラブスコア LEN[A-7] LENA[A-7]名無しモーツーで連載してるiメンターと題材が近いですね。 ひとりは寂しい、でも失敗は絶対したくない。そんな人達の間で大流行中の恋愛相性診断アプリ「ヴィス」。 主人公は学校の後輩との相性を診断した結果、78.2%と出る。このなんとも言えない微妙な数字はすごいな。 この物語のポイントとしては、相性診断は無料で3回まで。そして主人公は1話の時点で2人の人と相性診断をする。3人めでも見つからなかった場合にどうするか、というところなのかな?<<346347348349350>>
2019年の暮れに出た『儚いくん』に続く、柳内大樹さんの「SUBARASHIKI KANA JINSEI」シリーズ2冊目。1冊で完結する短編で、シリーズ物ですがこの作品単体でしっかり楽しめます。 『ギャングキング』や『セブン☆スター』でヤンキーマンガのイメージが強いであろう筆者ですが、このシリーズを読むとその引き出しの豊かさに感銘を受けずにはいられません。 本作は、4人の女子大生とミスターキャンパスに選ばれたものの実は少しオネエの気がある男性を中心にした群像劇です。 ヒロインの幸子は豪放磊落な性格で、喉仏が動く男がタイプであり日々イイオトコとの出逢いに飢えている女性。 「人間なんてしょせん自分のことを好きになってくれるやつが好きなんだよ!」というモノローグを仁王フェイスでかます彼女はデンジくんに通ずるものがあります。 巨乳でクールビューティだけど処女のマリコ。 ちずるはドMで天然の不思議ちゃん。 カズ美は一番真面目だが一番4人の中でエロくてS。 優しくて真面目で顔も良く薙刀は全国ベスト4の腕前だけどオネエの蜂須賀。 そんな個性的なキャラたちによるそれぞれの恋愛模様が描かれますが、大人だからこそのビターさもあり味わい深いです。幸子の顔芸を始めとしてふんだんにギャグも交えながらも、シリアスなシーンはしっかりとしっとりとキメてきて人生を生きる上での含蓄に富んだセリフも沢山登場します。 恋愛も人生も必ずしも上手くいくことばかりではないですが、そんな時には寄り添い支え合う4人の友情がまた美しいです。幸子の人生がこの後どうなろうと、こんな素晴らしい友人ができたことは一生の幸せだろうと思います。 幸子の母&祖母や、「とっととどっかのカラオケでも行ってでっかいパンにアイスでものっけて女子会でもするよし!」「帰りましてよ!パンピーども!どきよし!」とのたまうお嬢様など、サブキャラも強烈で楽しいです。 酸いも甘いも溢れる人生はそれ自体の素晴らしさを力強く謳う一冊です。今後もこのシリーズを続けていきたいそうなので、『セブン☆スターJT』ともども楽しみにしたいです。