あらすじママの凄絶な深淵に、迫る。人生の終焉をようやく掴みかけた静一に、警察から「ママを保護した」と一報が。20年ぶりに対峙したママは、静一が誰なのか、己は何者なのか分かっておらず要領を得ない受け答えを繰り返すが、静一との会話の中で突如記憶が戻る。その時、静一の心に抑えきれぬ激情が迸り、ママに拳を振り上げるも、殴打できずにその場を立ち去る。しかし心に刻まれた「感情」は日に日に大きくなり、静一は再びママの家へ… そこに待ち受けていたのは、ママの凄絶な深淵。二人の永い永い夜が、始まる。
一言で言えば、毒親の話です。主人公にとって、生きている限りつきまとってくるレベルのトラウマです。 母親にも生い立ちの過程で何かがあったのかな。結婚した時点で既に病んでいた可能性は高いと感じました。穏やかな日常の歯車が突然狂ったのではなく、なるようにしてなったと思います。 主人公の男の子が気の毒で、心が痛いです。物語の序盤では、あの母親を持っていてもせめて学校では友達や彼女と明るい青春を過ごすことができたであろう立ち位置にいたのに、あの日、崖で母親が決定的な行いをしてしまったために、どうやっても自分の心のひずみを治せなくなってしまった。 主人公は長く苦しむことになります。そして母親はどんどん崩れていきます。もう、悪夢のようにどんどんと。それが気なって読んでしまいます。