あらすじ

比類なき物語は、遂に「本章」へ!! 「ありがとう。ひとごろしになってくれて。」そう吐露したママの首を、思わず法廷で絞めた衝撃の少年審判から約20年―― 静一は、生きていた。ママに翻弄され、挙句、人を殺めた。でも彼女に何も響くことはなかった。それでも、生きてきた。なぜ――?
血の轍 1巻

「惡の華」「ハピネス」「ぼくは麻理のなか」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」など、傑作を次々と世に送り出してきた鬼才・押見修造氏が、ついに辿り着いたテーマ「毒親」! 母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へと! 読む者の目を釘付けにせずにはおけない、渾身の最新作!!

血の轍 2巻

暴走する母性という狂気… 愛に殺される! ママ、なぜ「あんなこと」をしたの!? 母・静子の突然の“異常行動”息つく間もなく静一の自我を粉々に打ち砕く次なる“事件”が起こり… 幸せだった家庭は、静かに、逃げ場のない地獄へと変容してゆく… 「惡の華」「ぼくは麻理のなか」「ハピネス」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の押見修造が満を持して描く最新作!! 「究極の毒親」待望の第2集!!

血の轍 3巻

そして、「究極のマザコン」が生まれる… 自我を吸い取られた静一はママの玩具としての生活を受け入れる。わずかでも自己を主張すれば思いもよらぬ「攻撃」が待ち受ける そんな“母親地獄”の日々の中で静一の精神は徐々に蝕まれてゆく… メディアでも大反響!「惡の華」「ぼくは麻理のなか」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の押見修造が更に深化した最新作! 「究極の毒親」第3集!

血の轍 4巻

最愛の息子にカノジョが… 毒母、悶絶!? “母親地獄”の中で、ますます精神的に追い詰められる静一。以前ラブレターをくれたクラスメートの吹石さんは その様子を心配し、静一を気遣い、二人は急接近する。淡い初恋。だが… それさえ木っ端みじんに打ち砕かれるのか!?

血の轍 5巻

毒親VSカノジョ… 静一を巡り大激突! 「お前なんかいらない」… 初めてママに反抗した静一はそのまま吹石さんの部屋にコッソリ泊まることになる。初めての女の子の部屋… そして迎える二人きりの夜… これで何も起こらないはずがない!? しかし、当然ママも黙っているはずがなく… 修羅場必至!!

血の轍(6)

静一がママとの棲み家へ、恐怖の帰宅!? 「女」として自分に迫りくる吹石さんをすんでのところで拒否した静一。それは脳裏に数多のママが過ぎったから… 「ママを…ママを裏切るわけにはいかない!」しかし帰宅した静一にはママの凄絶な告白と追及が待ち受けていた!!

血の轍(7)

目を覚ました甥のしげる、その時ママは!? ママに崖から突き落とされた甥のしげるが遂に目を覚ました―― しかし記憶障害により、事故の記憶どころかママや静一のことすら覚えていなかった。そんなしげるの姿に安堵するどころか、ママの精神は一気に荒み始める――!?

血の轍(8)

咎(とが)の追及がママと静一に迫り来る! 家で転倒したはずみで、失われた記憶がしげるに戻った!? そんなしげるがママに対して動揺する姿を見て、伯母さんはママを疑い出すも静一はそれを全否定する。そんな静一の姿にママは感動し、二人の仲はより強固で濃密なものとなる。しかし、伯母さんがママに抱いた疑念は増幅しついに2人へ牙を剥き始める――!!

血の轍(9)

大増ページ! 毒親と息子の壮絶すぎる記憶! 家に乗り込んで来た伯母の追及に対し遂にしげるを崖から突き落としたことを認めたママ。狼狽する父、激昂する伯父、修羅場と化す居間… 頑なに謝罪をせず出頭しようとするママに静一は必死に追いすがる… しかしその先に待っていたのは、静一の“心”の思わぬ覚醒だった―――!?

血の轍(10)

ママの圧倒的抑圧から解放された靜一は!? 警察に出頭したママが逮捕され捜査が始まった。あの日のことを実況見分で回想していた静一は、自分が幼い頃に従兄弟のしげると同じようにママに高台から 突き落とされた衝撃の記憶が蘇る――! それから徐々にママの呪縛から心が解放され、再び吹石さんと接触をはかり、安らいでいく静一。このまま、新しい希望の日々が訪れるかと思ったとき 静一のもとへ思わぬ訪問者が――!?

血の轍 11巻

ママ。もう僕は、迷わない。「あの山に行ご」―― 真夜中に突然現れたしげるは、そう言いながら静一を誘(ルビ:いざな)った。静一が連れて行かれたのは、かつて静一が幼い頃にママから突き落とされた町の高台だった。「ママがよんでるよ」しげるが放つ言葉が、静一の深淵に潜んでいたママを呼び起こす。ママに対する激情を吐露する静一。しかし、静一は再びママに取り込まれてゆく… そして導き出したひとつの“答え”が、静一を衝撃の行動に!?

血の轍 12巻

少年審判、開廷…裁きの行方は!? 高台で向き合った従兄弟の“しげる”は、かつてママに高台から突き落とされた“自分”だった―― 僕が消えることが正しいこと…そう思った瞬間、静一は“自分”を葬るためしげるを突き落とし、殺めた。それは、己の中のママとの決別の儀式。罪悪感を一切感じることなく、静一は鑑別所に収監される。そこで静一を待ち受けていたのは「内省」の日々。深淵に意識が向かうなか、心の隙間にスルリと入って来たのはしげるを殺してまで決別を試みた「ママ」だった――!!

血の轍 13巻

比類なき物語は、遂に「本章」へ!! 「ありがとう。ひとごろしになってくれて。」そう吐露したママの首を、思わず法廷で絞めた衝撃の少年審判から約20年―― 静一は、生きていた。ママに翻弄され、挙句、人を殺めた。でも彼女に何も響くことはなかった。それでも、生きてきた。なぜ――?

血の轍 14巻

死へ向かう僕を止めたのはママだった!? 「もうこのまま…一生会わないでいいんかい?」 それは生前、父からの最期の問いだった。逝去した父の遺骨を埋めるため久しぶりに故郷を訪れた静一。「これで、もうこの世に何も思い残すことはない…」 そんな時、偶然にも目の前に吹石さんが現れる。蘇る記憶と感情―― 一瞬、時が止まり、空気は張り詰める。静一は、己の人生を、“無事”に終わらせることができるのか!?

血の轍 15巻

ママの凄絶な深淵に、迫る。人生の終焉をようやく掴みかけた静一に、警察から「ママを保護した」と一報が。20年ぶりに対峙したママは、静一が誰なのか、己は何者なのか分かっておらず要領を得ない受け答えを繰り返すが、静一との会話の中で突如記憶が戻る。その時、静一の心に抑えきれぬ激情が迸り、ママに拳を振り上げるも、殴打できずにその場を立ち去る。しかし心に刻まれた「感情」は日に日に大きくなり、静一は再びママの家へ… そこに待ち受けていたのは、ママの凄絶な深淵。二人の永い永い夜が、始まる。

血の轍 16巻

母子に新たな“関係性”が産まれる!? 静一が初めて知るママの過去。訥々と彼女は語る…己の人生がどのように積み重ねられ、どのように失われていったかを。そして静一が抱き続けた疑問―― 「なぜママは、ぼくを“ころした”のか?」 その核心に、彼女は、遂に触れる。永い永い夜は明け、二人の関係性は新たな局面へ――

血の轍 17巻

母子の壮絶なる「轍」の物語、完結。転落事故の影響で生きる気力を失ったママを、自宅に連れ帰った静一。ママはもはや静一が誰かを認識できず、日に日に衰弱していく。そんな“解(ほど)けていく”ママを、静一はじっくり観察する。毎日、毎日。やがて夢の中で始まったのは、静一とママの「最期の会話」。今、彼女と僕の世界は消失し、物語は終焉する。