あらすじ少年審判、開廷…裁きの行方は!? 高台で向き合った従兄弟の“しげる”は、かつてママに高台から突き落とされた“自分”だった―― 僕が消えることが正しいこと…そう思った瞬間、静一は“自分”を葬るためしげるを突き落とし、殺めた。それは、己の中のママとの決別の儀式。罪悪感を一切感じることなく、静一は鑑別所に収監される。そこで静一を待ち受けていたのは「内省」の日々。深淵に意識が向かうなか、心の隙間にスルリと入って来たのはしげるを殺してまで決別を試みた「ママ」だった――!!
一言で言えば、毒親の話です。主人公にとって、生きている限りつきまとってくるレベルのトラウマです。 母親にも生い立ちの過程で何かがあったのかな。結婚した時点で既に病んでいた可能性は高いと感じました。穏やかな日常の歯車が突然狂ったのではなく、なるようにしてなったと思います。 主人公の男の子が気の毒で、心が痛いです。物語の序盤では、あの母親を持っていてもせめて学校では友達や彼女と明るい青春を過ごすことができたであろう立ち位置にいたのに、あの日、崖で母親が決定的な行いをしてしまったために、どうやっても自分の心のひずみを治せなくなってしまった。 主人公は長く苦しむことになります。そして母親はどんどん崩れていきます。もう、悪夢のようにどんどんと。それが気なって読んでしまいます。