あらすじ

貸本漫画を描いていた安井は生活に困窮し、A氏の仕事を手伝うことに。そこには英文科を出てアシスタントをしている変わり者の奥田がいた。彼はA氏のもとを辞める時、3年も他人の絵を描き、自己表現ができないことに苦しくなったと嘆く。理想と現実のギャップに悩む、貸本漫画の末期を描いた異色作、ある無名作家の他、池袋百点会・隣りの女 の全3編を収録。※作品は1984年に発表されました。
賭/おばけ煙突 つげ義春作品集 1巻

ある場所では1本。また別の場所からは4本と、見る場所によって本数が違って見える、おばけ煙突。そのおばけ煙突を掃除した人が、立て続けに3人煙突から落ちて亡くなり、祟りがあると恐れられていく。そんな時、子供が病気になり金に困ったベテラン掃除夫は、悩んだ末、おばけ煙突の掃除を…。(おばけ煙突)/ 他、ある一夜・うぐいすの鳴く夜・クロ・鉄路・賭 の、全6編を収録。※作品は1958年~1959年に発表されました。

非情/怒れる小さな町 つげ義春作品集 2巻

関西の殺し屋として有名な鮫島兄弟の兄が、殺し屋サムに殺害され、兄の仇を討つため地下組織に女装して潜入した弟のケン。だが、正体が暴かれ、地下のガレージに閉じ込められてしまう。そんな時、仇のサムが現れ…。(非情)/ ハードボイル劇画、時代劇など、鬼才の初期作品、非情・忍者狩り・恐れる小さな町 の全3編を収録。※作品は1960年に発表されました。

死にたい気持ち/噂の武士 つげ義春作品集 3巻

世の中には一流以上の才能を持ちながら、世間に認められない者もいる。温泉宿で相部屋になった武士は身の丈六尺におよぶ大男で、異相。播州の牢人だと言う彼は、実は名のある武芸者ではないかと思った平田。しかし、相部屋で生活をするうちに…。(噂の武士)/ 他、行ったり来たり・西瓜酒・死にたい気持ち・運命 の、異色作品全5編を収録。※作品は1965年に発表されました。

チーコ/沼 つげ義春作品集 4巻

買い物から帰って来た妻が文鳥を飼いたいと言う。ケンカばかりの生活だったが、文鳥を飼ってからは笑い声の絶えない日々が続き、幸せの青鳥と思うようになった若夫婦。だがある日、夫はふとしたことから文鳥を死なせてしまい、妻には逃げたとごまかすが…。(チーコ)/ 他、下町の唄・不思議な絵・兄貴は芸術家・沼・初茸がり の、全6編を収録。※作品は1965年~1966年に発表されました。

紅い花/海辺の叙景 つげ義春作品集 5巻

タダ同然の家賃で借りた郊外のボロ家に引っ越してきて1年。広い庭でトマトやキュウリを作り、木々には小鳥が遊びにくる理想の生活を満喫していた青年。だが、いつの間にか2階に李さん一家4人が住みつき、奇妙な同居生活が…。(李さん一家)/ 他、鬼才の問題作、古本と少女・通夜・山椒魚・峠の犬・海辺の叙景・紅い花・西部田村事件 の、全8編を収録。※作品は1966年~1967年に発表されました。

ねじ式/二岐渓谷 つげ義春作品集 6巻

ひなびた漁村や岬、白浜が魅力的な景色を展開する素朴な西伊豆は松崎での、人々との触れ合い…。そして紅葉を求め、福島県の二岐渓谷で遭遇した大型台風の恐ろしい一夜など、作者の体験を描いた旅マンガ。読む人を摩訶不思議な世界へと誘う鬼才の代表作『ねじ式』の他、長八の宿・二岐渓谷・オンドル小屋・ほんやら洞のべんさん の、全5編を収録。※作品は1968年に発表されました。

ゲンセンカン主人/夢の散歩 つげ義春作品集 7巻

寂れ、死んだように静まりかえる温泉町にやって来た一人の男。だが、彼はそんな温泉町に昔から知っていたような親しみを感じる。駄菓子屋を覗いた男は、その店バアさんにゲンセンカンという温泉宿の主人にそっくりと言われるのだが…。(ゲンセンカン主人)/ 他、郷愁感を誘う、もっきり屋の少女・蟹・やなぎ屋主人・夢の散歩 の全5編を収録。※作品は1968年~1972年に発表されました。

リアリズムの宿/下宿の頃 つげ義春作品集 8巻

作品ネタを探しに秋田県能代と青森県の五所川原を結ぶ五能線の沿岸を歩く作者。真冬の景色は暗く冷たい。鯵ヶ沢で泊まった商人宿をネタにしようと思いつくが、リアリズムにあまり触れたくない作者に、宿の人たちは生活臭をさらけ出して…。(リアリズムの宿)/ 他、夏の思い出・下宿の頃・大場電気鍍金工業所・懐かしいひと の全5編を収録。※作品は1972年~1973年に発表されました。

義男の青春/枯野の宿 つげ義春作品集 9巻

貸本屋向けの漫画を描いて生活をしている津部義男は、最近スランプに陥っていた。一家7人を兄と共に経済的に支える義男は、母親から催促され、焦るばかり。そんな時、先輩の田山に誘われるまま、湯河原温泉に泊まり込んで仕事に没頭しようとするが…。悩める青春の日々を描いた作者の代表作、『義男の青春』の他、事件・枯野の宿 の全3編を収録。※作品は1974年に発表されました。

夜が掴む/庶民御宿 つげ義春作品集 10巻

同居中の女性に暴力をふるい、彼女はアパートの部屋を飛び出してしまう。だが、帰って来た彼女の体には無数のキスマークが…。(夜が掴む)/ 海水浴帰りの若者が知り合った行商人Kさんは、酒を飲みながら泣き出し、自分は悪い男だと言う。5年前、ある夫婦から、子供が欲しいので妻を抱いてほしいと頼まれ…。(庶民御宿)/ 他、退屈な部屋・アルバイト・コマツ岬の生活 の全5編を収録。※作品は1975年~1978年に発表されました。

必殺するめ固め/会津の釣り宿 つげ義春作品集 11巻

必殺するめ固めを得意とする元プロレスラーに技をかけられ、愛妻を奪われた男は、彼女が目の前で犯されるのを見て絶望を感じるのだが…。(必殺するめ固め)/ 会津只見川の支流・野尻川に釣りに出かけた作者だが、旅人の気持ちを察しない無神経な宿に泊まり…。(会津の釣り宿)/ 他、独自の感性を持つ鬼才が描いた、外のふくらみ・ヨシボーの犯罪・魚石・窓の手 の、全6編を収録。※作品は1979年~1980年に発表されました。

近所の景色/少年 つげ義春作品集 12巻

少年の身ながら、生活のためメッキ工場で働く義坊の夢は、漫画家になること。ある晩、本屋の娘から義坊の漫画が雑誌に載っていると教えられ、その雑誌を手にし有頂天に。だが、義父から漫画で食べていけるのかと言われ…。(少年)/ 他、日の戯れ・近所の景色・雨の中の慾情・散歩の日々 の全5編を収録。※作品は1980年~1984年に発表されました。

隣りの女/ある無名作家 つげ義春作品集 13巻

貸本漫画を描いていた安井は生活に困窮し、A氏の仕事を手伝うことに。そこには英文科を出てアシスタントをしている変わり者の奥田がいた。彼はA氏のもとを辞める時、3年も他人の絵を描き、自己表現ができないことに苦しくなったと嘆く。理想と現実のギャップに悩む、貸本漫画の末期を描いた異色作、ある無名作家の他、池袋百点会・隣りの女 の全3編を収録。※作品は1984年に発表されました。

無能の人/石を売る つげ義春作品集 14巻

やることなすこと失敗続きで、元手のかからない石屋になった男が、自分にはまだ夢があると妻に話すが、まったく相手にされず…。(石を売る)/ 派手な色彩の輸入インコが人気の中、飼育の面倒な和鳥ばかりを扱う店があった。名鳥として育て上げる店主の腕は確かだが、そのプライドのせいで店には閑古鳥が鳴き…。(鳥師)/ 大金を夢見る男の怠惰な生活を描いた連作、石を売る・無能の人・鳥師 の、全3編を収録!! ※作品は1985年に発表されました。

やもり/カメラを売る つげ義春作品集 15巻

終戦直後、食べる物にも困っていた時代を生きる少年たち。裕福で優しい夫婦に自分たちの子供にならないかと言われた春だが、どんなに苦しくても子供たちと離れたくないと母親に泣かれ…。(やもり)/ 相変わらず河原で石を拾って石屋を続けている男は、ある時、家族3人で旅行にでかける。しかし、旅先で感じたのは孤独な寂寥感だった…。(探石行)/ 他、カメラを売る の全3編を収録。※作品は1986年に発表されました。

別離/海へ つげ義春作品集 16巻

どんなに頑張っても貸本漫画の収入では生活でないと悟った男は2年間、生活を共にした女性と別居。だが、一人になっても貧乏生活から抜け出せないでいた。一方、別居し働き始めた彼女は生き生きとし、オシャレになった。ある日、その彼女のバッグの中を見た男は避妊具があるのを見て…。(別離)/ 貧しい中にもユーモアを交えた、蒸発・海へ の全3編を収録。※作品は1986年~1987年に発表されました。