始まりは、全てが可視化された現代に残る、目に見えぬ記憶から。(ビッグコミックオリジナル2023年23号)
僕の“神様”が死んだ――いじめによる不登校の少年・福田の救いは配信者アマニの実況を視ることだけ。だけど、その人が配信中に死んでしまった…世界に絶望した少年はカースト上位のクラスメイト音羽と、アマニを求めて聖地巡礼の旅に出る…最後、殉教者となるために。苦しくも生々しい感情むき出しの青春ドラマ!
見えてはいけないものを、引き寄せてしまう黒桐まこと。オカルト人生を送る彼の日常が、動き出す! 新感覚のボーイミーツガールをお楽しみに!(週刊少年サンデー2023年16号)
【アフタヌーン四季賞2024冬 四季賞】いじめられっ子の中学生・さやかは、「ずっと友だち」だと誓い合った幼馴染のあゆちゃんに避けられている。寂しい日々を過ごしていたある日。「殺した相手が幽霊となって後ろについてくる」という噂を耳にした…。少女の危うくて鮮烈な衝動に満ちた、渾身の一作。
ぼっち死の館の齋藤なずな先生の最新作。 まず何十年も前にダムの建設現場で同僚と交わした何気ない会話を思い出すところから物語が始まるのがいいですね。不思議と記憶に残ってる会話って誰にでもあると思います。 アフガニスタンに用水路を建設した医師の中村哲さんを山の斜面を登っていく巨石だとすれば、自分はただの小石だけど丸くならずに尖ったままでいようとする男が主人公です。 息子を事故で亡くしてから自暴自棄になり独居老人となった男ですが、迷子のインコを飼い始めたことが転機になります。 ラストで川に落ちそうになったインコを助けようとして溺れる男と、中村さんの最期、そして巨石が粉々にされ小石となりダム建設の一部になる様子が重なります。 中村さんは偉人ですが、この漫画の主人公は特別に褒められるような人生を送っていた訳ではありません。しかし男が身を投げ出して小さな命を助けたことにスポットライトが当たることで、前作のぼっち死の館と同様に普通の人の人生への肯定を感じました。 もしかしたら彼ら二人とも人類誕生以後の大河のような歴史においては同じ小石なのかもしれません。そうなると本来なら火の鳥レベルの壮大なスケールで描かれるべきところを、こうして短編にまとめ上げられた齋藤なずな先生の力量に驚くばかりです。