掲載誌情報ビッグコミックオリジナル小学館2024/10/19ミワさんなりすます/黄昏流星群/フレデリック/昭和天皇物語/深夜食堂/セシルの女王/バックホームブルース/サテンdeサザン/父を焼く/本の虫 ミミズクくん/出かけ親/風の大地/没有漫画 没有人生/まるさんかくしかく/んば!/マザー クライシス/わたしの証拠/人のために働く/父を怒らせたい/れむ a stray cat/アンチリーガル ROCK AND LAW/釣りバカ日誌/卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-/さよならごはん/看護助手のナナちゃん/神様のカルテ/ひげとパンダ/ほらあなレコード/シリーズ「諸島物語」/特別のEGOIST/テツぼん/三丁目の夕日 夕焼けの詩/
作品情報著者齋藤なずなarrow_forward_iosカテゴリ青年マンガarrow_forward_ios出版社小学館arrow_forward_iosレーベルビッグコミックオリジナルarrow_forward_ios掲載誌ビッグコミックオリジナルarrow_forward_ios
ぼっち死の館の齋藤なずな先生の最新作。 まず何十年も前にダムの建設現場で同僚と交わした何気ない会話を思い出すところから物語が始まるのがいいですね。不思議と記憶に残ってる会話って誰にでもあると思います。 アフガニスタンに用水路を建設した医師の中村哲さんを山の斜面を登っていく巨石だとすれば、自分はただの小石だけど丸くならずに尖ったままでいようとする男が主人公です。 息子を事故で亡くしてから自暴自棄になり独居老人となった男ですが、迷子のインコを飼い始めたことが転機になります。 ラストで川に落ちそうになったインコを助けようとして溺れる男と、中村さんの最期、そして巨石が粉々にされ小石となりダム建設の一部になる様子が重なります。 中村さんは偉人ですが、この漫画の主人公は特別に褒められるような人生を送っていた訳ではありません。しかし男が身を投げ出して小さな命を助けたことにスポットライトが当たることで、前作のぼっち死の館と同様に普通の人の人生への肯定を感じました。 もしかしたら彼ら二人とも人類誕生以後の大河のような歴史においては同じ小石なのかもしれません。そうなると本来なら火の鳥レベルの壮大なスケールで描かれるべきところを、こうして短編にまとめ上げられた齋藤なずな先生の力量に驚くばかりです。