お前はまだグンマを知らない

焼きまんじゅう食べて死にたい

お前はまだグンマを知らない 井田ヒロト
野愛
野愛
関東地方に住みついて長くなったものの、群馬を訪れたことはない。 高速道路で通過したことはある。下仁田を横目に「ネギのとこか」と思った記憶がある。花火大会に行ったら中止になって予定が潰れたと知人から聞かされたことがある。 それくらいの認識しかなかった。 こんな危険な場所なんて知らなかった!!!!焼きまんじゅう旨そうって思ってたけど県外なので食うと死ぬ!!!! 和算の大家関孝和!!!!誇る文豪田山花袋!!!!上毛かるたガチ勢と一戦交えたいなんて思ってごめんなさい。 でもね、故郷への誇りって素敵なものです。 わたしもど田舎出身なので自虐として出身地のお話をすることはあるけれど、やっぱりそこには愛と誇りがあるのです。 きっとグンマの人達もそう。だから栃木とバチバチしちゃうんだね。餃子もレモン牛乳も美味しいけど井森美幸も中山秀征も好きだからグンマ自信持ってねグンマ。焼きまんじゅう食べたいよ。グンマがなけりゃ静かなるドンの実写ドラマはなかったんだよ。 生まれ育った地に対してプラスでもマイナスでもどっち向きでもいいから、アイデンティティ抱えてる人って幸せだと思いますよ。帰る地があるということ、人に語るべきことがあるということ、幸せでしょ。 死んでもいいからわたしは焼きまんじゅう食うぞ。
クマ撃ちの女

生死をかけた狩猟の現実と善悪を問う

クマ撃ちの女 安島薮太
六文銭
六文銭
3巻目になって、自分好みに面白くなってきた印象。 主人公はライターで、女性猟師チアキと一緒に狩猟現場の取材をするという話。 1巻は、狩猟の現実とか銃の扱いとかがメインだったが、2巻の最後チアキ(と、その姉)の過去の話からグッと奥行きがでて、3巻では、いわゆる違法行為を平然とするが狩りのスキルは高い師匠の話で、じわじわと自分好みに面白くなってきた。 こういうアウトローな強キャラが好きなんですよね。 なんで、出てくるとテンションあがります。 主人公たち(得てして正義、正論)とは違った独自の美学をもっていたり、キレものだったり、強さにブレがなかったりするので、謎のカッコよさがある。 主人公たちとは違う価値観で己の正しさを見せつけてくれるんです。 (るろ剣の斎藤一みたいな) そんな、チアキの師匠もすごい。 獲物がいないのに銃に弾を込めてる状態は違法なようですが、そんなものは無視。 山の中で、急に襲われて誰が守ってくれる?法律が守ってくれるのか? と言わんばかり。 確かに正論だ。 安全のために法があるはずだが、狩猟現場で安全はどっちなのか? 誰にとっての何の法なのか? 考えさせられるフレーズだ。 野生動物たちが相手の常識が全く通用しない世界に、何でも利用すると豪語する師匠。 銃、車、知識、経験を使いこなし、手際よく効率的に狩りをこなす。 邪魔な法律は無視。 目的のために、手段を選ばない男。 どっちが正しいとか言えない。 結局、ルールを守っても、死んでしまえば意味がないからだ。 ライフルとか狩猟の現場が中心で、クマを撃つとか撃たないとかの話で終わるかと思ったが、こうした法の遵守的な善悪の話もでて、ストーリーに深みがましてきた。(これも現実といえば現実だが) 3巻最後が衝撃的で、師匠どうなるんだろう…。
恋せよキモノ乙女

着物は大人の変身ドレス!

恋せよキモノ乙女 山崎零
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
OLの野々村ももの趣味は、祖母の形見の着物で外出すること。四季折々の柄を取り合わせ、特別な自分に変身!友達と、家族と、そして素敵なあの人と……軽やかに情緒を纏って巡る、関西周遊記。 ----- 週末になると、ももは外出先を選び、そこに似合った着物を選ぶ。そして、着付ける手順が毎話2〜3ページ費やして、丁寧に描かれる。 楽しい時も辛い時も、気を取り直して、すっと背を伸ばし、着物に袖を通す。ゆっくりくるりと帯を締めると、不思議と気持ちが華やいでいる。その瞬間、ももは「特別な女の子になる」と言う。 これは……「変身物」だ。 そう、魔法少女とかのアレ。 派手さはないけれど、確かに非日常の衣を身に纏うことで、奥手なももは、恋に新たな目標に、前向きに頑張れるようになる。毎話の着付けシーンは、特別な自分になる「変身シークエンス」のようだ。 勇気をもらえる、綺麗で落ち着く「魔法のドレス」としての着物。 この物語は、休日に日常を離れ、着物という法衣を着て世界を彷徨う、大人の恋の冒険譚……と言えるかもしれない。 ままならない恋模様に、ももが健気に頑張る姿を追いながら、ももが訪れる、着物が似合う関西の素敵スポットをチェックして、楽しみたい。 その内に着物の専門用語も、何となく耳慣れてくるので、大丈夫! 第5巻が2020年1月9日発売!