モノクロイエスタデイ

今井先生に傷つけられたい

モノクロイエスタデイ
野愛
野愛
1年以上前

物語ごとにセルフライナーノーツというか、作者自身のコメントがあるのが好きです。 読者を傷つけたいという今井先生の言葉に思いを馳せながら作品を読み返してみると、胸の痛みも愛おしく感じます。 一生忘れられない記憶があるというのは素敵なことだなあ、一歩踏み出すきっかけは良くも悪くも痛みが伴うなあ、空が眩しいなあ…などなど甘い痛みも苦い痛みも味わえました。 真っ白と真っ黒の対比が鮮やかで印象的でした。

両片想いな双子姉妹

双子百合ミニマリズム! #1巻応援

両片想いな双子姉妹
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

双子百合が強いのは、二人の絆だけで全てが完結する瞬間。男は勿論、友達すら入る余地ないでしょ?究極の閉じた関係性が成立する時の強い斥力と、目を惹く眩しさ。 本作の双子JKは、お互いに恋してしまっている。けれども相手はそんな気ないだろうし……と二人して片想いに悶々とする、恋の行き違い状態。 そっくりな双子。少しだけ積極的な妹が仕掛け、姉がドギマギし、それを見て妹がドキドキする……という最小単位を1巻通して繰り返す。他の登場人物も友人が一人、軽く出てくるだけ。とにかくソリッドに二人の遣り取りだけ描いて、一話の破壊力が余りにも大きい。 ソリッドさが音の魅力を際立たせる、ミニマルミュージックの様な一冊。難しく考えないで、まずは一話。触れたらずっと、ドキドキを繰り返したくなる。

カネが泣いている

やっぱり辛い内容だった...

カネが泣いている
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
1年以上前

15年くらい前モーニング連載中に読んでいたが読み返した今回の方が圧倒的にきつかった。内容は消費者金融マンガで「ナニワ金融道」と同じようなジャンルにはなるが「ナニワ金融道」のユーモアを無くしたストーリーがずっと続く。所々良い話もあるのだが登場人物の言動や上司から追い込みの連鎖などの会社のきつさもさることながら主人公の頑張りを見ているとどんどん辛くなってくる... 内容はほとんど覚えていなかったが最後のコマだけは完璧に覚えていたのでよっぽど印象深いシーンなんだな

ゆるおやこ

近親百合、軽やかさと衝撃 #1巻応援

ゆるおやこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

一瞬、あれ私は何を見ているんだっけ?……と混乱する。 中学3年生の女子が、母親にしがみ付いている。母親に恋を告げ、関係を迫り、結婚願望をぶつける彼女。しかし最後に甘えしがみ付く姿に、脳がバグる……完全に母を信頼し切った幼児の甘え方。それは恋人からは遠い。可愛いけどあれ……? 彼女は娘としての距離感を上手く利用して、スキンシップし、母親に意識させていく。近親相姦という高い壁を「近親者」の立場を利用して乗り越えようとする矛盾と軽やかさに眩暈がする。 マザコンであり恋する乙女でもある中学生(ちょっとアホ)の様々な表現が見ていて飽きないし、それに振り回されて何なら陥落しそうになる母親の慌てぶりも愛らしい。更に母方の祖母の存在も関係性に説得力を増し、もうこれは運命だな!と納得。 禁忌をかる〜く乗り越えた先にある甘い衝撃に、クラクラするのを楽しみたい!

ラストジェンダー ~何者でもない私たち~

"多様性"の中で生きる教科書のような作品 #1巻応援

ラストジェンダー ~何者でもない私たち~
sogor25
sogor25
1年以上前

"どんな人でも"受け入れる、多種多様な性自認や性的指向・嗜好の人々が集まるハプニングバー「BAR California」を舞台にしたオムニバス作品。 個々の登場人物それぞれが自分の人生に大切なことを見つけていく過程がドラマチックに描かれ、なおかつそれぞれの話が密接に関わる連作短編のような構造になっていて、全てが一連の物語のように読める作品です。 それでいて、"セクシャルマイノリティ"についての描写がとても丁寧な印象を受けました。セクシャルマイノリティはいわゆる"LGBT"だけではないし、「トランスジェンダーでレズビアン」のように複数の要素を併せ持った人もいるし、性自認・性的指向・性的嗜好などはそれぞれ異なる概念で…というベースとなる知識を押さえつつ、"セクシャルマイノリティ"という枠組みとしてではなく、"セクシャルマイノリティの特徴を持った一個人"として描いていて、まさに"多様性"、そして多様性が存在する中での"生き方"を描いた、教科書のような作品だと思います。 1巻まで読了

新訳罪と罰

弱者の魂なんぞ救ってやらんとでも言わんばかりの

新訳罪と罰
野愛
野愛
1年以上前

柳沢きみお先生にとっては格差社会も資本主義も大した問題じゃないのだろう、強者の理論で生きてる人だ、と思わせる作品。 原作を読んだのは数十年前なのではっきりとは覚えていないが、ドストエフスキーは強者の理論の人だと思った記憶はない。つまりこれは柳沢きみおオリジナルだ。 舞台は現代の東京に置き換えられているけれど、ストーリーはほぼ原作通りである。でもオリジナルだと言いたい。 苦悩の果てに殺人を犯す主人公・龍一がひたすら醜悪で傲慢で、とても有能な人物には見えない。やれ貧困だ不幸だと言うが、同情する気にはとてもなれない。 ラスコーリニコフが強迫観念に囚われ、狂気に取り憑かれていく様とはまた違った印象を抱いた。 雑な言い方をすると、龍一はただのちょっとヤバいやつ程度の描かれ方だと感じた。 それでこそ柳沢きみお先生だよなあ、と思った。 弱者に寄り添うような視点なんて、格差社会や資本主義に対する疑問なんて、描かれなくていい。いつまでもマッチョで家父長制の権化みたいな作品を作り続けてほしい。 そんな人じゃないのかもしれないけど、そんな人で居続けてほしい。 価値観や常識は時代に合わせてアップデートしていくべきものだと思っているけど、表現活動についてはその限りではないとも思っている。 良くも悪くも人の心に棘を刺せる作品は、凄いものだ。 このまま魂の救済されないまま終わらないかな。それぐらいのことをしても柳沢きみお先生なら許されるのでは。

坂の途中の小鳩荘

それぞれの人生が交差するアパート

坂の途中の小鳩荘
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

じんわりと沁みる作品に触れたくなった時、お薦めしたい作品です。 タイトル通り、坂の途中にあるアパート小鳩荘の住人、そして大家さんを1話完結のオムニバス形式で描いていきます。 101号室のお父さんがいない幸子ちゃん。 103号室の野球でそこそこ有名だった大学生タケシ。 104号室のサーカスで育ったターニャさん。 201号室の駆け出しイラストレーター早川さん。 202号室の宇宙人の山本さん。 204号室の妻に実家に帰られた村上先生。 そして太極拳教室に通う大家さん。 ジェラートが美味しかったり、友達の何気ない言葉に傷付いたり、相手の気持ちを考えられず傷付けてしまったり、ちょっとした親切が嬉しかったり…… そんな彼らのそれぞれの日常の悲喜交々が穏やかで優しい筆致で彩られ、そして時に交錯します。 それぞれの営みが今日も明日も続いて、変わらぬ速さで回っていくこの世界の不思議さと面白さ。 何の変哲もないけれど、特別な物語です。

GOAT HEAD

アフターコロナのウイルス駆除バディアクション

GOAT HEAD
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

コロナ禍になり、世界中の人々が外出する際にはマスクを着用するようになると、マンガの中でマスクをしていない姿が非現実性を際立たせる要素になってしまうのではないかという話もありました。 『バタフライ・ストレージ』安堂維子里さんの最新作であるこの『GOAT HEAD』では、現実と同様にウイルスに脅かされた人々が外では常識的にマスクをする世界が描かれます。 ただし、この世界のウイルスは現実のコロナよりも凶暴で、物理的に巨大化して襲ってきて命を脅かしてきます。 そんな未知の「ゴートウイルス」に組の親兄弟を殺されたヤクザの九頭(くず)が、復讐のため民間初のゴートウイルス退治会社を立ち上げて対峙していく物語です。 喧嘩が得意な九頭と、その舎弟で口が回り詐欺が得意な五味(ごみ)。得意分野を生かして、元ヤクザであることは巧妙に隠しつつ新たなシノギに取り組む彼ら二人の「ゴミクズ」コンビがまず良い味を出しています。 そこに、厚生省ゴート対策課の隊長であり家族をゴートに殺された美人の吉月も加わって凸凹なキャラクター関係が楽しめます。 「密」という言葉が常用されていたり、交通機関でソーシャルディスタンスを空けるようにしたり、またウイルス検査をしていても陽性者が出てしまう様子や、陰性者であっても都会から来た人に厳しい田舎の感じなどは現実と地続きです。 一方で、「非接触握手」という新習慣や、ゴート専用採集キットがフリマサイトで闇取引されている様子などは、現実にはなくとも非常に有り得そうと思えるリアルさがあります。 シリアスなメインストーリーがありながら、各話のラストでは思わず笑ってしまうような勢いの良さも。ゴートウイルスとのバトルシーンのアクションは前作に引き続き派手で気持ちよく、深刻になりすぎず楽しい読後感が残ります。 喧嘩で手榴弾からロケットランチャーまで出てきてしまう「(ピー)」の治安の悪さも好きです。

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい(ガルドコミックス)

私も転職希望です

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい(ガルドコミックス)
六文銭
六文銭
1年以上前

■募集要項 「おかえり」というお仕事 ■対象  隣に住むお姉さん(スタイル抜群)  仕事以外は幼児化する ■条件 ・月30万 ・休日手当あり こんなんあったら、応募が殺到して、サーバパンクするでしょう。 なんというホワイト企業。 内容はタイトルのとおりです。 バリキャリで、バリキャリゆえに生活力皆無な早乙女ミオに、主人公が雇われた話。 条件は、帰ってきたら「おかえり」というだけ。 ミオは仕事以外に興味がなく、趣味もなく、友達もいないため、月収53万あっても使うアテがない、なんとも寂しい生活。 なので、30万で雇っても問題がなく、むしろそれに喜びを感じるという話。 全体的にギャグ展開多めで、バリキャリのときと、家に帰ったときの幼児化のギャップがたまりません。 まだ、恋愛感情はなさそうですが、ラブコメなのかな? 2巻ではミオの過去に踏み込んでいくあたり、 少なからぬ感情があるように見えますが、今後どうなっていくか楽しみですね。 そして主人公の名前は「まつとも」です。 「まつもと」ではありません。何度も読み間違えましたのでご注意を。

静かなるドン

【朗報】『静かなるドン』さん1年で6億円売れる

静かなるドン
名無し
1年以上前

108巻で計4000万部を超えるコミック、新田たつお「静かなるドン」が、電子ストア「ピッコマ」での仕掛け販売をきっかけにヒットして大きく貢献した。その売上げ(実業之日本社への入金額)は、当期だけで6億円を超えたという。 【ソース】「実業之日本社、過去最高益の決算」 https://www.shinbunka.co.jp/news2021/05/210524-02.htm

ホームルーム

すごいスピード感で進んでいくストーリー

ホームルーム
干し芋
干し芋
1年以上前

なに?!なに?!これズゴック面白いんですけど。 画もめちゃくちゃ上手いし、コマ割りもいいし、文字も大きいので、サクサクすぐに読めます。 登場人物皆病んでるのがまたスゴイ!! こんな学校あったら怖すぎるんですけど。 でも、ハマります!! 次に何が起こるか予測不能な作品♬ 最終巻のみ未読なので、早く読まなきゃ❤

探偵物語カブ

タフ&エコノミーな探偵のド派手アクション! #完結応援

探偵物語カブ
たか
たか
1年以上前

日本が舞台なのに当たり前のように銃が出てきてロシアンルーレットするわ、馬に乗って逃走するわ、元力士のストーカーとバトルするわで最高にエンターテイメントしてて面白い! 出版年は1998年らしいですが、作中の時代はどう考えてもそれよりかなり前の80年代って感じ(営団地下鉄とかプッシュホンとか電気屋のパソコン(?)とか聖徳太子の1万円札とか)がして懐かしい。 具体的にいつごろが舞台なのか気になる。 仲のいい不良刑事に売れっ子女優の彼女。やる気に溢れてるわけじゃないけど仕事はキッチリこなす。 探偵ってやっぱカッコいいよなぁと憧れる気持ちを思い出させてくれるいい作品でした。

ホワイトアルバム

初々しい安達晢

ホワイトアルバム
かしこ
かしこ
1年以上前

密かに憧れていたちょっと不良な女の子からテスト中にカンニングさせてと言われて応じてしまいバレた事件が元になり、第一志望に落ちて地元の底辺高校に入学することになってしまった主人公。俺は本当はこんなとこにいるはずじゃなかったんだ…と最初は絶望していましたが、地元で有名な美女や因縁の不良女子とも同じクラスになり退屈な学校生活が一変していきます。 ここ最近安達哲の作品をよく読んでいるんですが、この人はどんなに下品な話題が続いたとしても「ああ、なんていいこと言うんだろう…」ってシーンが必ずありますね。連載デビュー作の『ホワイトアルバム』は全体的に初々しくて爽やかで、過激さに慣れちゃうと退屈なくらいなんですが、最終回で高校を卒業した主人公が3年間の総括としていいこと言ってました。どうってことない言葉なんだけどそういうとこが上手いな〜と思わずにいられない。 私が読んだKCコミックスの第2巻には描き下ろしの「In His Own Words -安達 哲の高校生日記-」も収録されてたんですが、電子書籍版には収録されてるのかな?これもめちゃめちゃよかったです。ずっと片思いしてた女の子と同じクラスになることは一度もなかったんだけど、高3の時に入った美術系予備校に彼女も通っていたという淡い思い出のエッセイ漫画で、ちょっと「さくらの唄」にも通じるというか、本人も「好きなヒロインの絵をこっそり描く主人公ってプロットはワタシの漫画によく見られますが出所はこのあたりの実体験による」と語ってました。

弾(アモウ)

気づいたら新装版はアダルト作品指定に…

弾(アモウ)
さいろく
さいろく
1年以上前

出版社が自主規制したのかな…? 昔読んだ山本貴嗣センセーの「弾(アモウ)」ですが、どうやら何度も出し直しされている様子。 こちらでストアへリンクがあるのは少し古い版なのかなー 内容はアダルト指定されてしまうだけあってそういうシーンがいっぱいあります。ただし、ほとんどが痛い系です。。 ナイスバディないい女で凶暴っていう天羽弾(あもうはずみ)が主人公なのですが、凶暴というか撃ちまくり撃たれまくり刺されまくりやりまくり。。。 山本センセーのやりたい放題系マンガでございます。でも人気はあったんじゃないかな…? 「エルフ・17」の新刊通知が来たので(なんで今さらって感じですが新装版だったぽい)懐かしんで先生の作品一覧を見ていたら思い出した、というキッカケでした。

人魚姫オーバーキル

びしょびしょ入学式で心を掴まれた

人魚姫オーバーキル
野愛
野愛
1年以上前

少女漫画の絵柄でちゃんとハイテンションギャグをやられると無条件で笑ってしまう。 「人魚は陸に上がると不幸になる」という迷信を覆すべく陸に上がった人魚の少女・凪と、うっかり人魚の肉を食べたせいで不老不死になってしまった(見た目は)少年・藤丸のボーイミーツガール…?的な作品。 とにかくハイペースで藤丸が死にそうになるのがめちゃくちゃ面白い。死にそうになるけど絶対死なないので安心して笑えるし、人魚であることをバラされたくない凪に定期的に殺されそうになるけど死なない。安心感。 死にたいのに死ねないキャラクターの苦悩はどちらかというとシリアス作品でよく見る気がするけど、ここまでポップに描かれると清々しい。 何も考えずに笑いたいときにおすすめです。

錬金ブライカン

美麗な裏社会×ファンタジー

錬金ブライカン
mampuku
mampuku
1年以上前

絵はかっこいいんですが、反面セリフ回しが下手っぴすぎてすごく読みにくいので一長一短な漫画ですね。ワードセンスが悪いのでシリアスな場面でも笑っちゃいそうになるのと、セリフに血が通ってないというか「置いてるだけ」に見えるので人物の感情についていけないときがあります。 一長一短といいつつ悪口ばっかになっちゃいましたが充分に補えるだけの推しポイントもあります。ヒロインがめっちゃ可愛いです。

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