「蟹」

蟹を食べる

「蟹」
野愛
野愛
1年以上前

蟹が嫌いな女子高生、蟹を食べさせたい先生、蟹。 若い子が思い込みで食わず嫌いするのはもったいないよね、だからといって課題だ食えと食べさせようとするのはよくないよね、という話ではなかった。 漫画に教訓を求めるべきじゃない、これはエンタメ! たった10ページで女子高生と蟹にほっこりさせてくれた上に、さらなるエンタメも与えてくれるなんて素晴らしい。

55歳の地図

すべてを捨ててお遍路さんをする元漫画家

55歳の地図
かしこ
かしこ
14日前

若くして漫画家デビューしてから連載と読切を合計100タイトルほど描いてきたけど、55歳で仕事が途絶えたことをきっかけにアパートを引き払い、家財道具も処分し、大切に保管していた原稿まで捨てて、お遍路の旅をしたことを綴られた自伝漫画です。 いくら四国とはいえども真冬のお遍路さんは超過酷ですね…!死んでも構わないからと何もかもを捨てて来たけど人との出会いに助けられて達成することが出来たと最後に述べられていましたが、家でぬくぬくと漫画を読んだだけの私もその境地に達した感覚になっていました。 出発前に「漫画家を辞めるのをやめろ!!」と何人もの漫画家仲間達から引き止められるんですがそれでも旅立つんですよね。続けようと思えば漫画に関する仕事はいくらでもあったんだと思いますが、中途半端なことはしたくないストイックな方なんですね。仲間達の似顔絵をそれぞれの作品のタッチで描かれているんですが、高橋よしひろ先生は犬でした。

ヤリマンになりたい。

この道をイけばどうなるものか #1巻応援

ヤリマンになりたい。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

「今のダメな自分から脱却して変わりたい」「一度きりの人生を自由に楽しみたい」という人は多いでしょう。 本作では「そのためにヤリマンになりたい」という主人公が描かれます。一見、飛躍しているように思えるかもしれません。が、読めばとても理解できるお話です。 DVを受けていた祖母と、浮気をされた母を持ち2代続く母子家庭で「男なんてダメ」と小さい頃から言い聞かされて育ってきた32歳の市川ももは、母たちからの言葉が呪詛となりHをすることに罪悪感が湧き人生で一度もイケたことのない女性。 そんな彼女が変わる契機となるのが、学生時代は「地味〜ず」仲間だったはずが再会したらヤリマンになっていた友人のひまわりでした。 性に奔放で自由を謳歌するように変貌していたひまわりに憧れるももが、ひまわりを始めとするヤリマンたちに伝導され奥深きヤリマン道を歩んで行く作品です。 「ももちんの人生は、誰のものでもない。変わりたいなら、変われるんだよ」 「自分の、イキたい、ようにヤれ!」 は蓋し名言ですね。 ももの悩みは深刻で、ハプニングバーに行ったり出会いバーで会った男性の家に行ったり、経験値を積み重ねながら何とか自分の人生を解放しようとしていきます。 ただ、悩みの深さに反してかなりコメディ色も強く描かれており、楽しく読むことのできる作品でもあります。 「主導権を握って楽しむ!」 ここに振られた秀逸なルビは、ぜひ読んで確かめてみてください。冨岡義勇もびっくりです。 特にコメディ色が強まるのは、300人と関係を持ち現在は野球選手専門で食っているヤリマンプロの25歳、みゆみゆのパート。 「一回ハメたちんぽは、応援したくなりますよね…」 「明日役立つ、ちんぽ統計学」 などのパワーワード満載。 ズルムケの人より仮性包茎の人の方が好きであるというみゆみゆの言葉には、救われる男性もいるのではないでしょうか。 ヤリマンというと自分の欲望に忠実なイメージが強いかもしれませんが、相手を楽しませることに心を砕いたり、普段から初対面の人にも気を遣い会話を盛り上げようとしたりと自分にない所を持っていることに気付かされ、成長していくももが良いです。 巻末の「まんまん新聞」のちんこぺちぺちダンスなども振り切れていてとても良いです。 リアルな絵だと生々しくなりそうなところも、まおいつかさんの可愛い画風が程よく中和してくれていてちょうど良い塩梅になっています。 果てしなく続く長いヤリマン道を、あなたも本書を読んで知ってみてはいかがでしょうか。

気になってる人が男じゃなかった

次にくるマンガ大賞2023 Webマンガ部門1位

気になってる人が男じゃなかった
ゆゆゆ
ゆゆゆ
1年以上前

男だと思っていた推しが女で、さらに隣の席で。 挙げ句に音楽の趣味まで合って。 女同士だから百合でいいのか。 いや恋愛感情を超えた友情? 「友情」なんて、そんな言葉でおさまらない「何か」のような気もする。 「何か」が何だと言われると、「青春」? なんかちがうな、なんだろう。 恋愛なのか友情なのか青春なのか、うまく表現できないけども、二人の何気ないはずの日々に起こる、ちょっとした、でも当事者にはビッグイベントの数々。 「わー、いいね!すごくいい!!」と言って、バンバン机を叩きながら読みたくなるそんなお話。 黄緑と黒のイラストが独特な雰囲気をもたらしていて、さらに良いです。

モテたいので俺をパーティーから追放してください!【単話版】

キャラクターの名前が

モテたいので俺をパーティーから追放してください!【単話版】
ゆゆゆ
ゆゆゆ
1年以上前

モテたい魔法使いイツカがモテたいから最近流行りの追放展開を望むものの、勇者シャーユは許してくれません。 はてさて…という読み切りです。 山田肌襦袢先生、テンポよくておもしろくて、さらに予想外の展開もおもしろいのです。 ファンタジーの中の人が追放されたらモテるという考えになるのは無理もありません。 あの人もこの人も、追放されたら大切さを噛み締められ、そしてかわいい、もしくは美しい方々にモッテモテ。 そしてこちらでは、モテたいという気持ちを遮る、見た目も言動も美麗な勇者。 パーティーの方々をよく見たら、勇者以外の方々も見目よく。 美しい魔法を使う魔法使いイツカのモテたい願いは叶うのか。 そこは読んでからのお楽しみ。 2023年8月末から連載版も始まったそうです。 こちらもぜひ。 https://twitter.com/jujujuban/status/1697020146655834237

日出処の天子(完全版)

美しい作品だなと思いました

日出処の天子(完全版)
あいざっく
あいざっく
1年以上前

子供の頃に呼んだのですが、その時は 「厩戸皇子はきれいだなぁ」とか、BL漫画だ!くらいにしか思いませんでした。 しかし、歳を重ねて何度も読み返すうちに、 まず作者の歴史への明るさに関心しました。 史実に基づいている部分も多いので、結構勉強になります。 また、絵がとても綺麗で、 蘇我蝦夷の前でだけ子供っぽくふるまってしまう皇子の可愛らしさや、 身分や性別を超えて思い合う二人が美しく描かれていて、 美しい作品だなと思います。 BLが好きな人にも、そうでない人にもおすすめしたい作品です。

伊賀野カバ丸

初めて読んだ、思い出のギャグ少女漫画

伊賀野カバ丸
あいざっく
あいざっく
1年以上前

作中に登場する学校名から既にわかると思うのですが、くだらないギャグのオンパレード作品です。 でも、設定もしっかりしていて、ストーリーもキャラクターも大好きです。 あと、下ネタなどもちょくちょく出てくるのに絵がとても綺麗で、そのギャップがまた良いです笑 主人公のカバ丸はとってもおバカなのですが、 おバカで無邪気な男の子って可愛いなぁと思います 何年経っても、何度でも読みたくなる作品ですので、ぜひ皆さんにも読んでほしいです!

メメメメメメメメメメンヘラぁ…

メンヘラ女子を扱うギャグ漫画

メメメメメメメメメメンヘラぁ…
六文銭
六文銭
8ヶ月前

メンヘラ女子ってリアルだと、どちらかというと怖いイメージですが、 本作は面白い。 最初、男である山田がキモイ(毎日同じ時間のバス停留所で待っているとか)かと思ったが、告白して付き合いだしたら相手の佐々木さんのほうがヤバかった感じ。 即OKするあたり地雷臭がしたが、案の定付き合いだしてからヤバイ。 コミカルな会話劇で、山田もうまく受け流していて(添付)これが小気味よいのが、クセになります。 佐々木さんも、彼氏(山田)を友人には、盛ったスペックでホラ吹いているあたりも面白い。 そこらへんは、一応世間体気にするんだと。 メンヘラの人って、自分が好きだったら何でもいい、むしろ他の人にわかってほしくないかと思ってました。 なんにせよ、ギャグ漫画なので、メンヘラ女子が出てきても刺されたり、怖くないので安心して読めます。 クスリと笑いたいときにおすすめします。

レイリ

武田家の滅亡を描く

レイリ
六文銭
六文銭
1年以上前

大河ドラマ『どうする家康』が好きで、武田家の話がメインになったとき、本作にたどりつきました。 武田家の滅亡を武田側の目線で描いた作品。 正直、信玄以後、長篠の戦いで織田・徳川連合にフルボッコにされた後は、どう滅ぼされたのかあまり知らなかっただけに、その点も興味深く読めました。 主人公・レイリは、織田兵に家族を殺され、襲われているところを、武田家家臣・岡部元信に救われる。 武田領で剣技を磨き過ごしていたところ、武田家の嫡男・信勝に似ていることから影武者として教育をうける。 そこから、織田・徳川による甲斐征討に巻き込まれる・・・という展開。 個人的には、歴史モノとしては珍しい、非常に読みやすいのが特徴だと思います。 文章による説明が多くないのにも関わらず、問題なくストーリーが入ってくるのが、巨匠・岩明均だとうなりました。(もちろん背景となる歴史をある程度知っておく必要はありますが・・・) レイリという名前の由来とそこから派生する最後の描写は非常によかったです。 何より、後で調べたのですが、 最終的に家康に士官し、レイリによって育てられた土屋惣蔵(土屋昌恒)の息子、その母親は岡部元信の「娘」だと知って、岡部元信のあのセリフがフラッシュバックしてグッときました。 歴史モノとしてでなく、歴史の流れに翻弄されるヒューマンドラマとしても楽しめる作品でした。

神田ごくら町職人ばなし

溜息が漏れるほどの凄まじい描きこみ #1巻応援

神田ごくら町職人ばなし
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

先日『今村翔吾×山崎怜奈の言って聞かせて』というラジオ番組に出演させていただいたのですが、その際にパーソナリティのお二方が共に歴史好きということで、まだ単行本は出ていないものの是非ともお薦めしたいと思っていた作品がこちらです(なお本番ではバトルマンガや知識になるマンガを求められたため紹介できず終いでした)。 2020年の末に行われたマンガプレゼン大会では、作者である坂上暁仁さんの『火消しの鳶』を紹介された方がいました。 https://note.com/manba/n/n62e97c7ae279 プレゼン者に「ボクはこの見開きに惚れて今この場に立っています」と言わしめるほど、圧倒的に精緻な絵で描かれた打ち壊される家屋の見開きが視聴者の中でも話題となりました。その描き込み力は本作でも存分に、いえますます魅力的に発揮されています。 描かれるのは、タイトル通り江戸の街で活躍する職人たちの業と、それによって生み出される品々。 出来上がった品は現代でもその辺で意識せずに見られるようなものが多いのですが、染め物をする工程の荘厳さであったり、木桶のひとつひとつの木目や刀の凍えるような美しさであったり、その製作過程や出来栄えの圧巻のヴィジュアルに呑まれ、見惚れます。職人芸の美しさを、絵で語ってくれる一冊です。 他方で、「畳刺し」の話のような人間味溢れるエピソードもまた良い味わいを醸し出しています。読んでいると、まるで賑やかな江戸の地の喧騒の中にタイムスリップするような錯覚に陥らせてくれます。 ある種、アートブックのようにも楽しみめる作品です。森薫さんのような、微細で美麗な描きこみが好きな方には強くお薦めしたい作品です。 百聞は一見に如かずで、まず1話だけでも試し読みしてみてください。余談ですが、海外に持って行ったら日本の3倍以上の値段でも喜んで買う方がたくさんいるのではないでしょうか。

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