バード-砂漠の勝負師-

青山広美の漫画は読みやすさと面白さが洗練されている

バード-砂漠の勝負師-
さいろく
さいろく
10ヶ月前

絵柄の好き嫌いはあるだろうけど、この『バード-砂漠の勝負師-』は序盤の引き込み方が映画的で面白い。 ヒロイン(般若組)が蛇と戦う理由、天才マジシャンの正体などなど最初の展開が尋常じゃなく早い。 この詰め込み方でどうなっていくんだ!?と思ったが、近代麻雀だから麻雀にさっさと行かなきゃいけなかったのかもしれない(笑) 麻雀の対局になってからは重たい空気の中1つ1つイカサマの戦いの正体が暴かれていく。これもまた面白かった。 すごい漫画だ。全2巻でサクッとスッキリ終わるのもちょうどよかったかもしれない。

力道山がやって来た―はるき悦巳短編全集

力道山がやって来た―はるき悦巳短編全集の感想 #推しを3行で推す

力道山がやって来た―はるき悦巳短編全集
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
12日前

・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ この短編集は何回読んでもいいな。確か劇画村塾メンバーが描いていた THAT'Sコミックに掲載された「政・トラぶっとん音頭」やマンガ少年に掲載されたじゃりン子チエなどとは作風が違う「待つ戦士たち」が読める。表題作の力道山がやって来たは読むたびに面白く感じるし、個人的には俺が読んできた読切の中でも特に好きな「オッペラ甚太」だな ・特に好きなところは? 「オッペラ甚太」中学生ぐらいの時にビッグコミックで読んで無茶苦茶面白かった記憶しかない。あらすじとしては声があり得ないくらい大きい少年が出世して故郷に帰ってくるという派手さがほとんどないマンガですが無性に好きなんだよな。 マンガを好きになったきっかけの一作であることは間違いない ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! はるき悦巳の長編のじゃりン子チエは面白いですが、短編も面白いのでぜひ読んで欲しいところです。

地層の女

#2023年読切ベスト

地層の女
寸々
寸々
10ヶ月前

2023年良かった読み切り。 表題作と別に連作になっていて、賞を取ったこの短い4本でひとつになっている(と思われる)。 全編が自由律俳句のような。回文とか各話に登場する動物のモチーフを掘っていけばおそらく作者が狙った読み方はあるのかもしれないが、分からなくても良い。 審査員講評では黒田硫黄に似てると言われてるけど、平方イコルスンとかも感じた。 コミティア発表作等もまとめて早く一冊の短編集にして欲しい!

走り出す花びら

走り出すきっかけ

走り出す花びら
野愛
野愛
10ヶ月前

漫画家を目指す中国からの留学生の女の子。日本語も完璧ではない、携帯電話もすぐに契約できない、家具も家電もない部屋で1から生活しなければならない……。 別に日本と中国の違いを描いた作品ではない。留学生だから大変ということを言いたいわけでもない(おそらく)だろう。 地方から1人で東京に出てきた人ならきっとわかる。 誰も知らない、誰にも頼れない場所で、自分に何ができるだろう?というあの感覚。 それでもだだっ広いだけの家に物が増えていって、目的地や欲しいものが見つかって、自分今ここで生きてる!っていう熱を感じることだってできる。 夜中に必死で家具を組み立てる、ただそれだけのことが前を向くきっかけにもなる。 何気なくて所在ない日々をキラキラ描いた素敵な作品でした。

走り出す花びら

#2023年読切ベスト

走り出す花びら
寸々
寸々
10ヶ月前

2023年良かった読み切り。 例えば主人公を地方出身者の漫画家ワナビとかにしても描けそうだけど、中国からの留学生にしたことに意味があるというか。 外国人だと携帯の契約が簡単に結べない→家具が揃わないことの不便さ・切実さ。 だからこそ、サビの見開き家具組み立てページがグッと来る。 家具を揃える=新生活を送る上での最低限の準備 が「新しい自分になっていく」ことに繋がっていて、このプロットだけで50p読ませるのがすごい。 でもフィーヤンぽくは…無い?どうなんだろう。

L.A.猫物語 the walking cat

となりの猫さん #1巻応援

L.A.猫物語 the walking cat
兎来栄寿
兎来栄寿
10ヶ月前

アニメ化も話題となっている『となりの妖怪さん』のnohoさんが『ねこぱんち』誌上で2018年から不定期連載されていた猫マンガが遂に1冊の本になりました。 1950年代のロサンゼルスのダウンタウンを舞台に、1匹の大きな猫を通してさまざまな人間模様を描いていく作品です。 「ブラシくん」「パンケーキちゃん」「ニッパー」「ウィリアム」「ヒッチコック」など、街の人々からは思い思いの名前で呼ばれている猫。『耳をすませば』などでも「ムーン」と呼ばれている猫が他の人には「おたま」「ムタ」などと別の名前で呼ばれるシーンがありましたが、動物が色んな人からたくさんの名前で呼ばれるのはあるあるですね。「あだ名が多いのは人気者の証拠」という話は人間にもありますが、呼び名が多いのは愛されている証拠でもありましょう。 本書の中では「探偵事務所のヒッチコック」と認識されているお話の占める割合が多いので便宜上ヒッチコックと呼びますが、猫ならではの気まぐれさでケーブルカーの中でも警察署でも教会でもどこへでも自由気ままに闊歩するヒッチコックは行く先々でたくさんの人々に出逢い、可愛がられます。 『となりの妖怪さん』でも見せるnohoさんならではの何とも言えない穏やかで優しい空気感の良さは本作でもたっぷり味わえます。その上、何せ主役が「猫」ですのでヒーリング効果は抜群です。 後半は少しサスペンス混じりのお話もあり緩急はありますが、全体を通して暖かさが沁みる物語たちです。 基本的な画力が高い上に、猫に対する解像度も高くある程度のリアルさを持った上でとてもかわいいという絶妙なバランスです。 猫好きの方はぜひ読んでみてください。

おこじょさんと家飲み家ご飯

かわいい動物の言うことは聞ける

おこじょさんと家飲み家ご飯
野愛
野愛
約2ヶ月前

疲れた人でも簡単に美味しいおつまみとお酒が楽しめる&かわいい動物がレシピを教えてくれる、なんてちょうどいい漫画! 家飲みがテーマなだけあって、酒に合う簡単レシピを紹介してくれるのがいい!と思ったら結構しっかり日本酒について教えてくれるのもいい! しかもかわいいおこじょさんから教わるんだから最高です。 人の言うこと入ってこないときでもかわいい動物の言うことは聞けるからね……。 詳しく教えてくれるけど、お酒は楽しいのがいちばんだからね!っていう寛容さも好き。レシピ本としても優秀!

ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット

実力行使で駆除できない理由 : かわいいから。

ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット
ゆゆゆ
ゆゆゆ
10ヶ月前

人が猫になるホラーのはずが、猫かわいいがあふれている。 猫化と襲い来る猫たちに戸惑い逃げつつ、劇中の人たちも猫かわいいと思わず目を奪われ、写真を撮ろうとしてしまう。 さらに、国からの救助隊が猫対策として、ペットボトルとかトゲトゲのシートとか、絶妙に効果がないやつを出してくる。 内部に猫派スパイがいるだろうと疑うレベル。 そして当然のごとく、対策は効かず、人びとは猫になっていく。 もう抵抗せずに、猫になったほうがいいんじゃないか。 読んでいてものすごく、そう思ってしまった。 ゾンビだとそんなこと思わないのに。 やっぱり猫だし、作中では、嫌悪されてないし、大事にされてるし。ゾンビと猫の違いを見せつけられた気分。 なにを言っているかわからないかもしれないですが、そんな猫化パンデミックのお話です。 ちなみに、猫と猫対応に意識を奪われすぎて、私はヒロインどころか主人公の名前も覚えきれていません。

守娘

守娘

守娘
寸々
寸々
3ヶ月前

原典の台湾怪奇伝説はもちろん知らないけど、「そこそこ裕福なお家の世間知らずお転婆女がオカルティックミステリーに巻き込まれていく」とまとめてしまえばかなり現代漫画ナイズっぽくもある。 「生きてる女にはできないことが悪霊になれば簡単にできる」というセリフが凄くて、これだけ見ればホラーバトル漫画の限定解除っぽい(?)。 画力すげえ〜けどカロリーが高い感じではなく、レイヤーの重なりは長い時代に渡って積み重なった怨念のようにも。 電子で買ってしまったけど紙で買い直そうかな。

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