今までの今日マチ子さんの作品の中でも、個人的に特に刺さった作品です。

セキ☆ララ中学受験 経験者だから描けた、ホントの中学受験&中高一貫校ライフ!』から10年と思うと月日の流れの早さに戦慄しますが、自身も中学受験を経験して中高一貫校に入学したという今日マチ子さんが改めて物語として描く中学受験。

小学校高学年の頃、私は受験とは無縁で近くの公立中学にのほほんと進学する予定でしたが、周囲の半数以上の同学年の子たちは受験戦争に駆り立てられていました。私が小学校1年生の時から最も仲の良かった親友は、某有名幼稚舎に落ちて公立にきた社長の息子で、せめて中学からはそこへと連日猛勉強で特に高学年になってからは遊ぶことが少なくなってしまいました。

この『すずめの学校』で描かれるのは、私立小4年生のめだかと公立小4年生のすずめ。そして、そのふたりを取り巻く親類や友人知人たちが織りなす中学受験にまつわる群像劇です。とりわけ、厳しい教育ママであるめだかの母親の様子を見ていると、自分の小学生時代を思い出さずにはいられませんでした。

日々、習い事や塾で忙しくしていた親友が疲れ果てていた時、習い事をサボって我が家で一緒にマンガを読みゲームをした日がありました。それが親友の母親に発覚した時、きっとめだかの母と同じような表情で同じようなことを考えていたんだろうなと今考えて思います。家の経済状況も違いすぎ、私の親の職業も合わせて心の中では嘲笑されていたかもしれません。

子供の人生を良くするためというのはもちろん一定の割合であるはずですが、世間の熱心な教育ママの裡には世間体や自尊心が大きな理由になっている人もおり、そういった大人の機微、今で言うマウント合戦のようなものが行われている様を私は子供心に醜く忌避したいものだと感じていました。

マンガもゲームも友達と遊ぶことも禁じられ、勉強して、いい大学に入って、いい会社に入ったり公務員になったりする。そこにちゃんと幸せがあればいいのですが、残念ながら受験戦争に明け暮れた友人たちが大きくなってから発露した歪みのようなものも複数目にしてきており複雑です。

ただ、それぞれの母親たちにも幼い頃からの人生があり、それに基づいた考え方になっていることも本作では丁寧に描かれます。憧れとコンプレックスという表裏一体の感情や、自分がした苦労や辛い思いを子供にはさせたくないというプリミティブな思い。子供たちも大人たちも、いろいろなものが綯い交ぜになって形作られている。そんなリアルさが、かつての自分の記憶を喚起して胸を刺してきます。

ただ、あとがきで今日マチ子さんは「しんどかったけど友達もできて楽しかった」「自分がのびのびとしていられるのが塾でした」と書かれており、少し救われる思いがしました。

あの頃、死ぬほど我慢を強いられて勉強に明け暮れていた友人たちが今幸せに暮らしていたらいいなと思います。

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20歳JKの甘い受難 #1巻応援

Re:blue
兎来栄寿
兎来栄寿

加瀬まつりさんの初連載作品。 中卒の工場労働者だった主人公が、缶ビール片手に高校に入学する方法を調べながら20歳で初めて高校に通い始めてJKになるという少し異色の設定ではありますが、別マ色全開のラブストーリーです。 自分が20歳で、何なら同級生よりも新卒の教師の方が年が近いという状況であるため自分から男女問わず一線を引いてしまうものの、それをどんどん突き崩されていく攻防に思わず顔が綻んでしまいます。 ヒロインの吉野さんは黒髪ロングの清楚系美人で見た目では20歳とは判らず、個人的に応援したくなる要素しかありません。加瀬まつりさんの作画が良くシンプルにかわいい上に、絆されていく場面のかわいさは尚更です。1話最後の表情とか、私服のときの表情とか最高ですね。 高校生の時分の1歳差って極めて大きいので、ましてや5歳差があると相当意識はしてしまうところではあると思いますが、半世紀少し経とうものなら75と70でほぼ誤差ですからね。末永く幸せに爆発して欲しいです。 良い少女マンガは脇役も良い法則から見ると、同じクラスで早々と友達になってくれる美山さんや小村崎さんら、友人キャラもいい感じです。個人的に好きなのは、若宮くんを追いかけて高校に入学した謎のオタク系ぽっちゃり男子。 初連載作品とは思えないほどの安定感があり、単行本発売を機に今後ますます人気が出ていきそうだなと感じます。今後も楽しみです。

シャングリ=ラ

緻密に美麗に描かれる宇宙のディストピア #1巻応援

シャングリ=ラ
兎来栄寿
兎来栄寿

『テヅコミ』にも『メトロポリス』の二次創作を寄稿していたマチュー・バブレ氏が2016年に出版したディストピアSFです。先月に邦訳版が発売され、その電子版もこの度配信され始めました。 太陽が超新星爆発を観測しようとする青年からスタートするプロローグ。そこから100万年後のお話としてストーリーが始まるスケールの壮大さにまず惹かれます。 広大無辺の宇宙空間における、ちっぽけな人間にとってはあまりにも巨大すぎる現象も含めて、美しいヴィジュアルで物語られていきます。 バンドデシネらしい緻密な画風で、ほとんどのコマが背景までみっちり描き込まれているので物語への没入感を強く高めてくれます。コロニーの中の小さなユニットでの生活が見てとれるような描写など、好きです。 「音楽は? 文学 芸術…学問は? それは無から心の奥底から立ち現れる恩寵の輝き 人間は消費のみの存在ではない」 といったセリフに見て取れる言葉選びも好きです。 とある衝撃的なシーンと、そこで爆発する感情には大きく心を動かされました。どんな遥かな未来となりテクノロジーが進歩しようとも、人の人たる所以ら変わらないのはSFらしいテーゼを感じられるところです。 反物質、ホモ・ステラリス、アニマロイドなどさまざまなSF的単語が飛び交いながら、ドラスティックに進んでいくドラマに、気付くと夢中になってページを捲っていました。 ハードで骨太なSFを楽しみたい方にお薦めです。

それでも天使のままで 【単行本版】

仄暗い底で剥がされる心と魂の瘡蓋 #1巻応援

それでも天使のままで 【単行本版】
兎来栄寿
兎来栄寿

小骨トモさんの2冊目となる短編集です。 それぞれ発表時に話題になった「リカ先輩の夢をみる」、「それでも天使のままで」、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」の短編3作に加え、今回の単行本で先行収録となる「先生のクモのイト」の4篇が収められています。 「先生のクモのイト」は、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」に連なる作品となっています。 全体的な読み味としては、1作目の『神様お願い』と同様です。表紙絵のようにベースの絵柄は丸っこくてかわいらしいのに対して、剥き出しの″人間″が顕にされる中身の鋭利さたるや。 最初の「リカ先輩の夢を見る」からして、精神的に余裕があるときでないと食らいすぎるので読む時分とコンディションは選びたい作品です。果てしなく深い共感と、そこに隣接する絶望的な感情。読みながら魂が汗をかき血涙を零します。 1篇だけでも抉られるのに、1冊を通読したときの痛痒感といったら。 心の瘡蓋をガシガシと剥ぎ取られ、傷口をグリグリと穿られるような、そしてそれが痛みだけではなく何か他の感情をも催してくるような。 同じ経験をした訳ではないのに、どこか記憶の奥底にある罪悪感を喚起され撫ぜられるような部分もあります。 鋭敏なセンスが昏い輝きをもって溢れている短編集で、ダウナーな気分に浸りたい方やそうした作品が好きな方にお薦めです。

賭龍

52枚の札が見せる虚実 #1巻応援

賭龍
兎来栄寿
兎来栄寿

現在ラスベガスで世界最大のポーカー大会であるWorld Series of Poker(WSOP)が開催中です。毎年開かれているこの大会ですが、昨今は世界的なポーカー人気も高まっておりメインイベントの参加者も年々増加し、優勝賞金は今のレートだとおよそ16億円にもなります。 かくいう私もポーカーは好きで国内最大の大会でも好成績を残しており、その内WSOPにも挑戦しに行きたいと思っています。 そんなわけで、今までに描かれたポーカーマンガはほぼすべてチェックしており、新しいポーカーマンガが出たと知って喜び勇んで1話から楽しみに読んでいました。 山本神話さんは、前作の『グレイテストアンダードッグ』にもボクシングマンガでありながら数話にわたるテキサスホールデム回があり、またそれが面白かったので、今回新たにポーカーマンガを描くと聞いてとても納得感がありました。 何しろ、山本神話さんの描くキャラには色気があり、カッコいいし、美しいし、かわいいのです。鉄火場でのアツい駆け引きを描く際にも、クールなキャラたちが興奮を高めてくれます。 ポーカーはルールを知らなくても一瞬で覚えられる上に世界共通なのが長所で麻雀と違うところですが、本作もルールは解らなくてもまったく問題ないように作られています。 極端に言えば、ポーカーの駆け引きは「嘘」か「本当」かの二択。その緊張溢れるドキドキ感を読んでいてたっぷり味わえます。 解りやすく描かれているが故に、玄人からするとプレイラインなどは物足りなく感じる部分もあるかもしれませんが、それは現役の医師が医療マンガを読んで重箱のすみをつつくようなもので、大半の読者には問題ないでしょう。 個人的には、こうした作品がどんどん増えて行って、ポーカー文化が隆盛していくことで玄人も満足できる麻雀マンガにおける『ノーマーク爆牌党』のような作品もいずれ出てくることを期待しています。 この作品でポーカーに興味を持って始めてみようという方もきっといると思いますので、将来そういう方と楽しく卓を囲めたら良いなと思います。 なお、この作品に登場するCasino Live Tokyoは実在するお店で私も行ったことがあり、手軽に聖地巡礼もできるようになっています。興味があれば足を運んでみるのも良いでしょう。

アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿【電子単行本】

面白いWeb記事のネタを求めて #1巻応援

アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿
兎来栄寿
兎来栄寿

先日新たに「比嘉姉妹」としてカドコミでの連載も始まった『ぼぎわんが、来る』に端を発し映画化もされた「比嘉姉妹シリーズ」の澤村伊智さんによる小説を原作として、『十五魔女の最後の旅』や『レインコートキッズ』、また『宇宙よりも遠い場所』のコミカライズも担当した宵町めめさんが漫画を担当する作品です。 本作は、面白ければ何でもありのエンタメWebマガジン「アウターQ」でライターとして活動する駆け出しライターの湾澤陸男(わんざわりくお)が主人公。「新人ライターが食わず嫌いを克服する」シリーズを書き始めて3ヶ月経った彼が、新たにさまざまなネタを追っていく物語です。 私は原作は未読なのですが、あらゆることをテーマにすることができるこの設定がまず良いなと思いました。これが探偵などであれば、行く先々で事件が起きる体質が必要になります。しかし、Webライターなら自らさまざまなところに能動的に飛び込んでいける、しかもネタのためにどんな場所にでも行く必然性もある。如何ようにでもお話を膨らませることができて、各エピソードごとに違った味わいを生みながら楽しませることも可能で何とも美味しいなと。 Case.1の「笑う露死獣」では、都市伝説の正体に迫っていくことになるのですが、暗号を次々と解読していって真相に迫っていく展開にワクワクしました。読者も解読に挑戦できるようになっているのが面白いです。また、明かされる真実にも心動かされました。 そうかと思えば、Case.2の「歌うハンバーガー」ではまた違ったテイストで魅せてくれます。ナイフとフォークで食べる大きくて美味しいハンバーガーが食べたくなりました。綾辻行人さんにも絶賛されたホラーエンターテインメントの名手としての魅力が、本作にも溢れています。 一見カタギに見えないものの中身はとても良い人な編集長の八坂さんや、先輩ライターで顔も性格も良いものの会話においては指示代名詞連発でちょっと残念さを醸し出す井手さんなど脇を固めるキャラたちも魅力的です。陸男を初め、宵町めめさんのかわいくも少し影が見え隠れする画風とも絶妙にマッチしていると感じます。 個人的に特筆すべきはCase.3の「飛ぶストーカーと叫ぶアイドル」に登場する篠原亞叉梨さん。良き黒髪ロングストレートキャラです。ファンのことを「衆生」と呼称し、浄化・昇天させ極楽浄土へ送る仏教系アイドルグループ「ぱ☆GO!陀」、推せます。金剛杵型のペンライトとか振りたいですね。 今後もバラエティ豊かな調査対象に、いろいろな感情の揺さぶられ方をしそうで楽しみです。ホラー、ミステリー、オカルトなどが好きな方にお薦めです。

N

「N」へのカウントダウン #1巻応援

N
兎来栄寿
兎来栄寿

最初は中学生男子たちの肝試し。 その次は少女の授業参観。 暇を持て余したニートや、就活が終わった大学生など1話1話は独立していてありふれた日常から始まる、オムニバス形式で描かれた作品です。しかし、その日常はある瞬間から一変していきます。 すべてのお話に共通するのは、謎の存在「N」。バラバラの物語が、「N」に収斂していきます。 第1話「A」 第2話「B」 第3話「C」 と、アルファベット順に進行しながら、 第5話「E」 の次が 第7話「G」(7とGは鏡文字、目次でもこの部分だけ反転) で、その次が 第6話「F」 という構成で、その最後には 【第14話「N」まであと7話】 という死へのカウントダウンのような予告。 更には、単行本の最後に入っているおまけの部分も背筋が凍るようなものです。こうした演出も含めて、非常に良いミステリーホラーとなっています。 罪を犯したり禁忌に触れたりする瞬間の、胸の鼓動が早まり冷や汗をかくような心地が的確に描かれており、にことがめさんの作画も話に非常にマッチしていると感じます。 果たして、Nとは何なのか。 14話で一体何が起こるのか。 急激に夏感が出てきた最近ですが、こちらで涼を取ってみてはいかがでしょうか。

うちの母は今日も大安

素敵で前向きで偉大なお母様 #1巻応援

うちの母は今日も大安
兎来栄寿
兎来栄寿

私がありまさんを認識したのは、Twitterで公開されていたこの本のChapter1 第1話にある 「アメリカで事故ってハッピーバースデーを歌ったうちの母」 でした。 アメリカのスーパーの駐車場でバックしていたら、ショートカットしようとしたおじさんと衝突してしまい烈火の如く怒鳴り散らされたものの、「It′s my birthday」というフレーズを聴き取った筆者の母君が店員さんたちと一緒にバースデーソングを歌うと途端に機嫌が良くなり謝ってくれたというほっこりエピソードです。 本書は、そんな素敵な母君様の心温まるエピソードや人生を生きる上で大切にしたいことが詰まった1冊です。 夫の仕事の都合で行った慣れないアメリカで、言葉が解らないときにどうやって英語を覚えていったのか。 介護でしんどくなってしまったときにどう対処したのか。 子どもが元気がなくて学校を休んだときにはどうしたか。 さまざまな、身近にあるシチュエーションで輝く母君の言動に読んでいて心が解れ前向きになっていきます。 バイクの免許を取ったりフルマラソンを走ったり、いくつになっても新しいことに挑戦し続ける気概や、実家での本格的な擬似縁日開催を全力で楽しむ様子を見ていると「人生の達人」と呼ぶのが相応しい気がします。 私もどちらかというと全力で物事を楽しむ方で、そこに一緒になって楽しんでくれる人が集まってくれることが多くて感謝しきりなのですが、母君様には似た気質を感じて共感します。 他方で、 「好きなものをちゃんと持っておく」 「自分の人生を生きなきゃ」 「そもそも人に謝罪と感謝を求めてはなりません」 といった言葉は、心に留め置いて大事にしておきたいものです。 ありまさんが母君様の言葉や存在によってどれだけ助けられ感謝しているかも伝わってくる内容でした。 心を前向きに持っていきたい方にお薦めです。これを読んで、人生を大安にしていきましょう。

わたしって害悪ですか?~お花畑声優厨の場合~

推し活の光と闇の相転移 #1巻応援

わたしって害悪ですか?~お花畑声優厨の場合~
兎来栄寿
兎来栄寿

推しを推す。 それは、人の営みの中でもとりわけ尊いものです。しかし、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。その行為や付随する感情も、行き過ぎてしまうとむしろマイナスに働いてしまうことが往々にしてあります。 本作は、新米声優・土岐野カエデ(23)を推す会社員・美花(26)の推し活の物語です。 初めてアニメで主役を得たことで、露出が増えファンも増えていくフェーズにあるカエデ。しかし、そうなると必然的にアンチの声も目立ってきます。 本作ではSNSや配信コメント、現場などにおけるアンチの描写がかなりしっかりと描かれており、非常にリアルです。美花は大好きなカエデの活動に支障が出ないよう推し活の延長線上として、そうしたアンチに対する″駆除″活動を行っていきます。ファンは原義を辿ればfunではなくfanatic。光と闇は紙一重です。 ただ正直、美花の行為自体はやり過ぎであるとしても、そこで生じるモヤモヤとした気持ちには誰かや何かを強く推した経験がある人なら大なり小なり共感できるのではないでしょうか。 また、美花のそうした行為が生じている原因のひとつに会社のブラックさがあるのは現代社会の暗部だなと感じます。他の人より仕事が早いと待遇は変わらないのに労働量が多くなるので、生産性を下げることが最適解となる矛盾。昼休みまるまる使っても愚痴を言い足りない部長。そこで溜めたストレスが、推し活での快楽をより大きいものにして依存性を高めてしまう。 そんな美花の愚痴を嫌な顔ひとつせずに聞いてくれて、推し活の応援もしてくれて、抽選にも付き合ってくれる友人のゆずちゃんのような存在は大事にすべきです。主人公が幸せになるのは難しいかもしれませんが、ゆずちゃんには幸せになって欲しい……。 推す熱量の軽さの割に美味しいポジションを確保していてモヤっとするまりんちゃんや、同担で戦友感のある蘭之介さんなど、味のあるサブキャラクターも豊富で今後も楽しみです。 推しは推しても害悪にはなるな、という反面教師的な役割を担ってくれる作品です。

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夜の大人、朝の子ども

夜の大人、朝の子ども

大人でいることにひと息つきたくなったら読んでほしい。愛しい思い出がくれたのは、未来の希望でした。朝の純真さを忘れ、切ない夜に自分を閉じ込めていた女性の成長を描く感動作。今日マチ子さんの漫画「夜の大人、朝の子ども」の1ページ目は、土曜日の家族連れは大きな花束みたいだ から始まります。離婚して、息子の親権を夫に渡し、ひとり暮らしをするゆいにとって、休日に見かける家族の姿はとてもまぶしく見えるからです。うっすらとした不安や焦りを抱える彼女にとって、「無邪気でいられた子どもに戻りたい」という願いは浮かんでは消えますが、夜見る夢の中で叶います。引っ越してから音信不通だった親友、寂しいときに大切な1冊を教えてくれた図書館司書の先生、意地悪をされてもどこか嫌いになれなかったクラスメイト……。あたたかい子ども時代に、大人になって感じた傷を癒されて過ごしていくうちに、また夢の中で願うのです。「はやく大人になりたい」と。子どもの頃の思い出が、大人のわたしに勇気と自由をくれる全12話の漫画です。

ぼくのおひめさま 親指姫 白雪姫

ぼくのおひめさま 親指姫 白雪姫

新たな視点で語られていく、美しくて残酷なお姫様たち。童話「親指姫」と「白雪姫」をベースに、今日マチ子が文章とイラストを担当。小鳥や魚たちの証言を元に語られていく「親指姫」と、後妻である妃の目線で語られる「白雪姫」。今日マチ子とやくしまるえつこによって、広く知られてきた童話が、新しい物語として生まれ変わりました。※本電子書籍はCD付き書籍として発売したものの書籍部分のみを電子化したものです。CDおよび音声データは付属しておりませんのでご注意ください。白雪は王子にいいました。「あそこにいるのがわたしのおかあさまよ」 呆然とするわたくしの前に 真っ赤に焼けた鉄の靴がはこばれてきました。 「おかあさま、わたしたちのために踊りをおどってくださいな」 白雪がいうと、音楽がはじまりました。 (「白雪姫」より) 電子書籍・アプリ2021.02.22 発売予定電子書籍 『ぼくのおひめさま 親指姫 白雪姫』 電子書籍1,400円+税 ネット書店で購入する 新たな視点で語られていく、美しくて残酷なお姫様たち。童話「親指姫」と「白雪姫」をベースに、今日マチ子が文章とイラストを担当。 小鳥や魚たちの証言を元に語られていく「親指姫」と、後妻である妃の目線で語られる「白雪姫」。 今日マチ子とやくしまるえつこによって、広く知られてきた童話が、新しい物語として生まれ変わりました。 本電子書籍はCD付き書籍として発売したものの書籍部分のみを電子化したものです。CDおよび音声データは付属しておりませんのでご注意ください。※本電子書籍はCD付き書籍として発売したものの書籍部分のみを電子化したものです。CDおよび音声データは付属しておりませんのでご注意ください。

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ぼくのおひめさま 人魚姫 灰かぶり

ぼくのおひめさま 人魚姫 灰かぶり

誰も見たことのない新しいお姫様たち。グリム童話、アンデルセン童話をベースに、今日マチ子が文章とイラストを担当。作品ごとに、フルーツや文房具などの斬新なモチーフで、誰も見たことのない新しい「おひめさま」を描いていきます。※本電子書籍はCD付き書籍として発売したものの書籍部分のみを電子化したものです。CDおよび音声データは付属しておりませんのでご注意ください。著者:今日マチ子著者プロフィール:漫画家。東京都出身。思春期の心の機微を捉えた、叙情的な作風が高く評価される。漫画誌、装丁、広告など、漫画家の枠を飛び越えて、様々なジャンルで活躍中。代表作は『センネン画報』(太田出版)、『みかこさん』(講談社)、『COCOON』(秋田書店)など、著作多数。「今日マチ子のセンネン画報」http://juicyfruit.exblog.jp/。

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メゾン・ド・ねこ

メゾン・ド・ねこ

かわいい、ほほえましい、奥が深い……ねこ漫画とイラストの「集合住宅」。描いた人は有永イネ、大川ぶくぶ、今日マチ子、黒田硫黄、コンノトヒロ、櫻井エネルギー、桜井のりお、左藤真通&市丸いろは、真造圭吾、高浜寛、竹内佐千子、たむらあやこ、土塚理弘、中川いさみ、ひぐちにちほ、深谷かほる、藤沢カミヤ、松本救助、やまだないと、横山キムチ、はらだ(イラスト)。『夜廻り猫』単行本未収録のカラーイラスト掲載。

かみまち

かみまち

名門学校に通う高校1年生のウカは、母親の束縛に耐えられず、ある日、家を飛び出してしまう。「ママのことは嫌いになりたくない。でも、ママの顔をみたくない」。ウカは街で知り合った大学生カゲロウの家に泊まり、もう一人の家出少女・ナギサと出会う。ナギサから、今夜泊めてくれる人を探す「神待ち」のやり方を教えられ、家出を続けるウカ。そして「神の家」に辿り着く。

もものききかじり

もものききかじり

もも、26歳。夢、半ば。週3で派遣の事務をしながら、小さな劇団で女優をしているもも。職場の同僚には演劇をやっていることは秘密。なぜなら一番大切なものだから。そして失うのが怖いから。美しい友人、活力ある劇団主宰、迷いのない看板女優の中でからっぽな毎日を生きるももの不安と焦り。このまま変わらずにいていいのだろうか--。夢にむかって進もうとする26歳の女の子の心情が風景と結びつき、著者ならではの美しい色使いに魅せられる、オールページフルカラー!ウェブ「花椿」の人気連載、待望の書籍化!

ときめきさがし

ときめきさがし

人生の「一回休み」何しよう!?24時間働くことが大好きなOL遠藤さん。気がついたら病院で、おなかには縫った痕。仕事を休んだ1年間、ちゃんと考えた自分の人生。働くこと、生きること。今日マチ子が描く、働く女子の仕事と自分探しの物語。

センネン画報 +10 years

センネン画報 +10 years

『センネン画報』(単行本版)発売から祝10年を記念して、オールカラー増補改訂版が発売。 ●糸井重里さんから10周年コメント 今日マチ子さんは、最初からうまかったんだよ。ちょっと反則じゃないかというくらいで。絵もだけれど、描こうとしている雰囲気もね。――糸井重里 ●森見登美彦さんから10周年コメント 10周年、おめでとうございます。ちゃくちゃくと世界を広げてこられましたね。10年前のワタクシに『センネン画報』は強烈でした。カーテン! ニベア! 女の子! 文房具! 冬の朝! 鮮烈なるデビューに立ち会うことができたことを光栄に思っております。一足先に「10周年」を通過した人間として言えるのは「ほどよく怠けましょう」ぐらいです。それでこそ次の10年を乗り越えられるのです! おたがいに長く続けていきましょう。――森見登美彦 ●辻村深月さんから10周年コメント 今日マチ子さんの作品を初めて見たとき、衝撃を受けました。初めて見たのにものすごく懐かしい。自分がこの景色を知っている、と心の深いところに触れられたように思ったのですが、今、時が経って振り返ると、それは実はとても図々しい感覚だったのかもしれないと思います。今日さんの描く風景は、学校も青春も、私の中にある思い出以上に思い出。見る人の記憶を、実際以上に鮮やかに塗りかえてしまうような、恐ろしい魅力を感じます。表現者として、畏怖を込めつつ、大好きで、敬愛しています。10周年、おめでとうございます!――辻村深月

みかこさん

みかこさん

将来も恋愛も、全部が“未定”。残りわずかな高校生活は、噛むとがりっと音がする。――市村(いちむら)みかこ、17歳。席替えで隣に座った緑川(みどりかわ)はいまどき赤えんぴつを使う変な奴。最初は何とも思ってなかったみかこだが、たまたま二人とも同じバンドが好きだったことから、二人の関係は少しずつ変わり始める…。新鋭がオールカラーで紡ぐ人生17年目・女子高生みかこの日々。

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