しんどい話に出会うことが増えた
根拠があるわけではなく肌感覚だけどこういうヤバい人が増えたように思う。ついでに肌感覚どころかめちゃくちゃ主観だけどこういうヤバい人のところまではこの作品は届かないし刺さらないんだろうなとも思う。 環境が悪いからといってみんなこうはならんよね〜やってることは最低だから同情はできないよね〜という正論だけ述べて思考停止するのは楽だけど、それじゃ解決にならんよねと思う。だからといって何ができるわけではなく、こういう人に会わないように自衛しよ…という意識だけが高まっていく。 そして世界は分断されていくんだなあ……。 ラストも含めてどう受け止めていいかわからない。後戻りのできないモンスターになってしまった方が生きやすいような気もする。
いや、すぐれた漫画だと思う。とても。
いろんな人がいろんな感想を書いている。どれも納得できる(できないのもある)
連作『ようきなやつら』の延長線上に成り立ったこの境地を深めていくことをきっと多くの漫画読みが期待するだろう。自分だって読んでみたい。
その一方で、アンチマンを読んだ後に『鬼死ね』や『マザリアン』等の過去作を読んでいたら・・・ある種の寂しさと不安を覚えもした。
つまりは岡田先生のこれまでの漫画に常にあった得体の知れない『広さ』というのが、ふと弱くなっている気がしたんだな。
岡田先生の持っていた語り得ないものが既知の図式というか、言説に回収されて行く感じ。そこを、政治的正しさと切って捨てられないぐらいのうまさや解釈の幅がまだまだある分(たとえば主人公がぶつかり男的行為に及んでいたのは単なる妄想かもしれない等)、なにかモヤモヤが残ってしまう。
この、『面白さが既存の図式や言説に回収されていってしまう感覚』は、本作に留まらず、いろんな漫画に最近感じる。
時代の流れなのか、自分がアップデートできていないだけなのか。
どうなんでしょう?