心があたたかくなる、冬に読みたい1冊 #完結応援
連載時から読んでいて単行本を心待ちにしてました。タイミングを逃して最終話だけ読んでなくて、単行本で無事に最後までしっかり見届けられました。 物語のメインは「あかり」という女性とステンドグラス作家の篝が出会ってからの話ですが、あかりや篝(と息子)の過去の話がとくに印象的です。ステンドグラスですから多くの色が話の中にも出てきます。白黒の紙面からどんな色だろう、きっとこんな感じかな、とイメージするのが楽しいです。終盤にあるフルカラーの見開きで表現している場面では、今まで自分の頭に思い浮かべていたものが目の前に現れたような気持ちになり感激でした。 余談ですが白にもいろんな色がある、というところで某「白って200色あんねん」が脳裏をよぎってしまったことは紛れもない事実である。
ステンドグラス職人のおじいさんは最愛の妻を亡くしたショックでスランプになっていた。疎遠になっている一人息子は葬式にも来ず、孤独によって卑屈になってしまったおじいさんはこのまま職人を辞めようとしたところに…息子が離婚してから会っていなかった孫娘のあかりが訪ねてくる。ステンドグラスに興味を持った孫娘との交流によって元気になっていくおじいさんだったが、実はあかりには秘密があって…というお話。あかりの秘密がなかなかの衝撃だったのでハラハラしましたが、結末はステンドグラスの灯りみたいに優しくてホッとするものでした。
ステンドグラスを通した光の描写が美しくて本当に感動しました。いつもと使われている画材も違うような気がしてこだわりを感じました。後書きによると小日向まるこさんのおじいさんが実際にステンドグラス職人だったそうで、セリフやストーリー以外でもそういうところに想いが込められているのかもしれません。