『神々の山嶺』フランスでクソかっこいいアニメ映画に!にコメントする

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名無し
1年以上前
フランス版アニメ映画、見てきました。 とても面白かったです。 特に登山シーンでは手に汗握るよううなシーンが多々ありました。 アニメなので当然だといえば当然ですが、 実写とくらべて、そこにカメラを設置するのは無理に きまってるじゃん、という角度からの映像化が出来ていること、 小説や漫画に比べて動きのある絵を使うこと、 BGMとの相乗効果が発揮できることなど、 アニメ化する・した事は正しかったなと感じました。 そういうアニメの良さは凄くいかされている感じでした。 一方で小説・漫画・実写にくらべてストーーリー的には かなり大胆に取捨選択をしている内容でした。 羽生や深町や涼子の人間関係や、細かい感情の機微とか かなり割り切って無くなっていました。 羽生の狂気な部分とか深町の葛藤とかもっと描いてほしかった ところですが90分という尺では無理な話だし カットしたのも正解と言えば正解でしょう。 正解と思うのにはもう一つ理由があって、 作品全体から、原作小説や谷口版漫画に対する敬意が あったからゆえにカットしたのかもな、とか感じたのです。 下手に原作に徹底的に忠実にアニメ化したり 逆に自分たち流に手を加えたりするよりは アニメ化できることで活かせる良い面だけに絞って アニメ化をしようと思ったのではないかと。 見終わって、そう感じました。 たとえて言うならば、 夢枕獏先生の傑作小説が料理で言うマグロなどの素材 だとしたならば、 谷口ジロー先生は、高い調理技術と感性で マグロを素晴らしい和風料理フルコースに仕上げた。 フランスアニメ版はあえて中トロだ赤身だ刺身だ煮物だと 手を広げずにアニメという抜群のソースをかけて 極上の一皿の料理に仕上げた、という感じでした。 そう例えるならば日本で制作された実写版は、 マグロを使ってコンビニの期間限定商品を作って売り出した、 という感じですね。 現実的に実写を制作し提供する側に色々な事情が絡むのは 推測できるけれども、 そもそもそんな推測なんかさせないでほしかった、 という感じ。 アニメ版、面白かったしお勧めしますが、あらためて 谷口ジロー先生の、小説を漫画化する能力の高さに 感服もしました。 キャラの感情の掘り下げ方や、マロリーのカメラを中心にしての 話の構成力の高さを改めて感じました。 アニメの観賞と、その後の小説や漫画の読書を 皆さまにオススメしたい気持ちです(笑)
神々の山嶺
「これしかない人生」を歩む
神々の山嶺 谷口ジロー 夢枕獏
名無し
僕の地元・長野県には、中学校集団登山という拷問のようなイベントがありました。一学年240人がみんなで3000m級の山に挑むという荒行です。しかも、登る予定の山で起きた遭難事故を描いた新田次郎の「聖職の碑」の映画版を見せられるという、嫌がらせとしか言いようのないオマケもついていました。とはいえ、このイベントで山に目覚めた人もいないわけではなく、それなりに意味のある行事な気もします。僕は下山中に便意に襲われ、6時間死ぬ思いで我慢するという、これまでの人生で一番の苦行を味わったので、二度と山には登らないと決めています。  とはいえ、山ものの作品を読むと、山もいいかもしれないと思ってしまうのです。『神々の山嶺』は数多い名作を生み出し、海外でも評価の高い谷口ジローのまさに最高峰だと思っております。   『神々の山嶺』には羽生丈二という一人のクライマーの姿が、カメラマンの深町誠の視点から描かれます。  この羽生丈二、初登場シーンから圧倒されます。「その時…むっと獣の臭いが店内にたちこめたような気がした」。この存在感がどこからくるのか、深町は彼の過去を調べていくのです。  羽生を関係してきた様々な人に取材していくうちに、彼の孤高としか言いようのない半生が明らかになっていきます。  羽生は可愛げのない、根性はあっても鈍重で無口な男でしたが、クライマーとしては抜群の才能を発揮。しかし、全てを山に集中する羽生は、普通の生活を送る人間と温度差がうまれ、山岳会でも孤立していきます。誰もが登れなかった壁を登り、山岳界の話題をさらうものの、羽生自信は不遇のまま。海外の山に挑戦することができません。  誰よりも山を想っているのに資金や人脈や名声がないだけで、挑戦できない苦しみを味わい、自分を慕う人間の死があり、やがて羽生は自分から孤立していきます。そして消息を断った羽生がなぜカトマンズにいたのか?彼がなにをしようとするのか、物語は加速していきます。  羽生の姿は、新田次郎の小説ではないですが、まさに「孤高の人」なのです。孤高の人は、人の共感は求めません。自分でも言葉にできない衝動に突き動かされるまま、「これしかない人生」を送るのです。  羽生はいいます「いいか。山屋は山に登るから山屋なんだ。だから山屋の羽生丈二は山に登るんだ!!」また、なぜ山に登るのかという問にこう答えます。「そこに山があったからじゃない。ここにおれがいるからだ」  「これしかない人生」を送る男の寂しさと美しが同時に描かれ、僕もこのような生き方に強く憧れるのです。  いや、既に僕は僕にとっての「これしかない人生」を歩んでいるかもしれない。この、マンガとゲームにあふれた人生は。
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