年齢を重ねた父子の新しい生活を垣間見れる素敵な作品。
東京で一人暮らしをしていた灰田さん。 サラリーマン、バツイチ、彼女ありののんびりな生活。 母の急逝で色んなことが変わっていく。 独身ということで昇進を諦めさせられ、彼女からもフラれ・・・。 そんな中、東京都下の実家で一人暮らしの父が心配で実家に戻ってみたら・・・。 無口な父との二人暮らしの生活は、今まで知らなかった父を知ることから始まった。 二人の距離感を図りながら、探り合い、生活スタイルの違いを感じ、父と息子の新しい生活が始まった。 母は、父に内緒で息子に残したもので灰田さんは、何を手に入れるのか? 父は、学生時代に体験した、東京オリンピックを懐かしみ、楽しみにしていた二度目の東京オリンピックは、コロナ禍延期に。いつも通っていた図書館にも感染を気にして行かなくなり、日々のマスク生活も息苦しく、今までの生活が変わってしまうことに戸惑いを感じながらも、二人の生活は続いていく。
オカヤイヅミ先生が10周年に出した2冊のうちの一つ。
母が亡くなり、72歳の父との同居を決意した42歳独身男性サラリーマン。
ちょうどいい距離感にいた彼女にも呆れられ別れを告げられてぬるっと新しい生活を始めるが、久しぶりの父との生活でいろいろなことを再認識したり新しく発見したり。
フィクションの中の日々の話かと思いきや、東京オリンピックの話が出てきて、コロナが出てきて…。
「いま」これを描くことに意味がある作品だったように思います。
いまのこの年代の人たちがどう感じてどう生きているのかを地に足つけて描いていて面白かったです。
変化していく毎日をあるがままに受け入れるゆるやかな希望のようなものを感じてじんわりと心に染み込みました。