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可門良、27歳。元バンド・ボーイ。女を狂わせる妖しい魅力を持つ男…。元競輪選手で、足の不自由な街のゴロツキ、八村。元会社員でバーのマスターをしている野々村。三億円事件の追及に異常な執念を燃やす刑事の白戸。この三人が絡み合い、三億円強奪事件の時効までの日を数えながら、物語は展開して行く…。大型ピカレスク・ロマン!!収録作「春の雪」ほか「錆びた海」「狂い咲き」「4月馬鹿」「重荷」「反逆のブルース」「傷」「日蝕」「男3人」「静かな日々」「乱れる」「もう一人の女」の全12話を収録。
作詞家・阿久悠が原作。沢田研二主演でテレビドラマ化もされている。
それらしく作中には要所要所で「時の過ぎゆくままに」の歌詞が記されます。そのたびに頭の中で曲が流れるのは必至。
こちらの記事きっかけに興味が湧いて読みました。
あと〇〇日、という謎のカウントダウンがつきまとい常に何かに追われている登場人物たち。それは三億円強奪事件の時効である昭和50年12月10日です。
マンバ通信の記事にもあるように、第3章までは正直何の話で誰が主人公かもよくわかりません。しかし4章の冒頭で「序章はおわった」とモノローグで語られます。いわゆる「役者が揃ったところで本題に入ろうか」、「ここからが本番だぜ!」的な演出。粋だ…
ざっくりとしたストーリーは、三億円事件の容疑者とみられる主人公・良とそれをとりまく、ときに醜く汚い、ときに淫靡な人間模様が描かれます。
前述の記事に
とあり、なぜ時効まで描かないのか?という疑問があったのですが、途中「もしやそういうことか!」という展開がありその謎が解けた気でいたんですが、終わってみると「やっぱりわからん」という結末でした。スッキリしないといえばそうですが、納得いかないというわけでもない。ある意味、ずっと心に残る強烈なキャラクターとストーリーです。これも記事にありますが、自分が生まれるよりも前の昭和が舞台で、今では考えられない描写が多いので、若い方にはその辺踏まえて読んでほしいです。