無敗の統一世界ミドル級チャンピオンの美しい狂気
松本大洋の描くボクシング漫画。『ピンポン』と同じかそれ以上に激しい試合展開と、試合のクライマックスの瞬間まで織り交ぜられるZEROこと五島の過去や心理が邪魔にならないどころか、五島という狂気的な存在を地に足ついた人間としてうまいバランスを持たせることに成功している。 あまりにも強すぎるチャンピオンが求めた最高の相手とともに行き着く先は理解の及ばぬ孤独。そして、ボクサー五島と、トレーナーの雅この2人の友情や師弟愛では言い表せない人間模様が合わさって、ボクシング漫画の枠に収まらない作品になっている。
強すぎるために理解されない孤独なファイター五島の救われるのだか救われないだかの物語
ピンポンは見事にハッピーエンドに到達させたのと裏腹にピンポンより前に書かれたこの作品はハッピーエンドなのかどうかわからない、と言うかバッドエンドだなこれって思える結末へ落下してしまったと言う感じ。
先にZERO読んでたのでピンポンも最後まで同じ結末を恐れてドキドキしてたのを思い出す。
読めば読むほどラストで泣いてしまう傑作です。