スキップとローファーの高松美咲さんがSFを描いていたとは知らなかった
部活と進路に悩む普通の女子高生である主人公の日常が描かれていると思ったら、いきなり得体の知れない生命体が人類を襲ってきて、目が覚めると地球ではない場所にいた…から始まる物語。スケールはハリウッド並みに壮大ですが、一番の魅力は繊細な人物の心情表現です。あり得ない状況でも主人公に感情移入できるのはここにリアルがあるからだと思います。ある意味で期待を裏切る展開なのがいい!全1巻でまとまりも良くめちゃくちゃ面白いです。
高校生の宇高ユリは、ある日の帰り道、空を覆い尽くすほどの巨大な飛行体と遭遇する。破壊される街、次々に殺されていく人間──気を失ったユリが意識を取り戻したのは、日常とかけ離れた異世界だった。そこで唯一出会った人間は、北沢千宙という男性。他に人間はいないのか、あれから友だちや家族はどうなったのか──帰りたい場所はまだ残っているのか。ふたりぼっちのサヴァイヴァルが始まる!
作者がスキップとローファーの人だから面白くないことはまずないだろうと思って軽率に読んでみましたが、短編集とかではなくて通しできれいにまとまったSFでした。びっくり。
線が細かくて書き込みが美しい。植物だったり街並みだったり建物だったり、コマ割りひとつとっても主張しすぎす画面がまとまっていて、ああ、この作者は本当にセンスがいいんだな…月刊誌掲載時から画面はこの完成度だったんかな…とか、ストーリー以前のところにとても感心してしまったのでした。すごいなあ…。
話の筋書き、なんとか分かった(と思う)。登場人物の感情の機微、そういうのを読み解くのが得意でない自分でもなんとか追えた(と思う)。全く共感することなく読み進んでしまいましたけど、淡泊でさらりとした味わいが作品の雰囲気にぴったりだったと思いました。
何度も読みたいかと聞かれたらノーです。でも読んで良かったです。高松美咲さんという人にとても興味がわきました。