古い作品なのに現代より大人びた恋愛
古い作品だということもあり、絵柄が少し古臭く感じましたが、読んでみるとすぐに気にならなくなりました。いわゆるラブコメで、高校の同級生が同居することになるなどご都合主義なところはありますが、最初は反発しあっている二人が少しずつ惹かれていくところは恋愛の初々しさが楽しめます。ただ中盤以降はドロドロの展開が多いですし、純愛ではなくなったような感じがするので残念だと思います。青春時代の恋愛なので欲望に負けるというのも理解できますが、やはりラブコメなら一途なほうが良かったなと思いました。
柳沢きみお先生といえば「特命係長 只野仁」を筆頭に男性週刊誌の少しお色気の入ったストーリー漫画しか連想できない方も多いでしょう。
今の作風とは真逆の存在がこの『翔んだカップル』であり、「月とスッポン」と並んで80年代のラブコメブームの基盤を作った作品だと言えます。
ドラマ、映画化もされ薬師丸ひろ子さんの初主演作でもあり、当時のマガジンの顔として認知されていました。
今読むとよくある話だなと思う方もいるでしょうが、それはこの作品が“時代の先駆者”だったからだと言えるでしょう。
後年の青春群像劇に大きな影響を与えた作品です。
「新・翔んだカップル」や「続・翔んだカップル」、21世紀に入ってから連載された「翔んだカップル21」と勇介達の後日談を描いた作品も充実しているだけに、まとめて読んでみるのもオススメです。