贖罪の歌、優しく響く。

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幸せになりたいけれども、それを得ることは許されない……そんな苦しみや罪の意識罪の意識を抱えながらも、寄り添わずにはいられない人達を描いた、三つの物語。

羅川先生が過去の連載で駆使してきた、お気楽コメディに苦しみを隠す技を封印。剥き出しにして突き付けてくる状況と感情は、生々しく、痛々しい。

三つの季語に詩情を託し、様々な「救い」の形を謳い上げる、これらはそんな「贖罪の歌達」。目を背けなければ、最後には必ず、優しさに出会える。

●葦の穂綿
ふと出会った男性に、心惹かれる。どこか壁のある彼の、向き合っている「罪」を知った時……。
とてつもなく重い物を背負った、赦しを得られない人に、それでも支えたいと思う人が、ほんのひと時、寄り添う話。

●半夏生
カメラマンになりたい女と、女装したい男子高校生。秘密を共有するうち、惹かれ合い、一線を超えるも……。
やましさと、どうしようもなく惹かれる気持ちを、互いの閉塞感の中で育んでしまった二人の、精一杯のけじめのつけ方の話。

●冬霞
ネグレクトネグレクトされた幼い双子を、若い男が誘拐する。何かから逃げる男逃げる男は、一方で双子には、真っ当な愛情を注ぐ。彼は一体何をしたいのか……。
大きな負の連鎖に連なる、男と双子。双子を真っ当にしようとする男の動機を知ると、そのクソッタレな状況と、それに抗して足掻く男、そして彼に愛情を貰って始めて、自らの感情を出すことを覚える双子に、本質的に幸せを求める人の性を見て、切なくなる。
この作品については名作『赤ちゃんと僕赤ちゃんと僕』を描いたことで得た物が、反映されているのかもしれない。虐待の実態など、極端な事例のようでいて、実際に報道で触れる痛ましい事件のリアリティがある。

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