
ギュッと来る、ハートフルでコミカルなロスタイム
これは良い。すごく好き。 母子家庭で母が交通事故で逝去、残された中2の娘(ニコ)は母が縁を切っていた爺ちゃんと共に暮らすことに。 ニコの心情の描かれ方や表情がとても魅力的。 おじじを見ててイラッとする(自分がおじじ側だからだと思う)ところもありつつ、彼の考えや行動はすごく愛に溢れているなと感じて、読んでいてジワジワと温かくなってくるような作品。 スピリッツっぽい画風でもあるけど、展開とかテンポとか全体のまとまりが上手くて、講談社もこういうの求めてたんだなぁーって勝手に思いました。 まだ始まって2ヶ月の2025年ですが個人的TOP5には入りそうなぐらいイイです。 中庭ちゃんもすげえいいのよねえ…世界平和を目指してこ、みんなで。
テーマ、キャラデザ、もう何もかも最高でした…。入学したばかりの1年生の担任になったのは、怒りをコントロールするのが難しい女性教師・久瀬。そんな彼女を生徒たちは遠巻きにするが、主人公・岩倉は「仲良くなりたい」と彼女に近づいていく…というあらすじ。
(画像は『ルナティック・パレス』安居 本編より)
あからさまに生きづらそうな(感情の制御だけでなく、他の精神的特性を抱えてそうな様子も見て取れる)久瀬先生を見るのは辛いのですが、岩倉の絶対的「陽」ぶりと、ちょっと懐かしい感じの絵のデフォルメ(アニメのウテナっぽい)がその辛さを上手く包んでくれて読みやすかったです。
作中のキーワード「月の宮殿」の絵も素敵ですし、表題の「ルナティック」と合わせてその意味がわかった時はゾクッとしました。久瀬先生にとっての「絶対安全な場所」は、未成年の生徒の腕の中…パレス・オブ・ルナではなく「ルナティック(狂気の)」なのも納得…。
こんなに短いのに、重くて暗くて、でもどこか幻想的で…すごいものを読んでしまったと圧倒され、ちょっと虚脱感に襲われました。
公式サイト化から応援メッセージを送りました。新連載でも読切でもいいので、ぜひまた安居先生の作品を読めることを願っています!
http://www.moae.jp/comic/shikishoshinjinsen/11