餓狼伝の感想 #推しを3行で推す
・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 久しぶりに全巻読み返したが梶原一騎と中城健の四角いジャングルを思い出した。最初主人公が強くなる内容と思っていたが途中から空手とプロレスの話になっていき主人公の影がどんどん薄くなっていく感じのが同じように感じた ・特に好きなところは? もちろん久我重明 あと長田弘 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 板垣恵介のマンガが好きならオススメです。
空手家、プロレスラー、武人…あらゆる格闘技の強者を相手に、抑えきれぬ闘争本能を…抽出に抽出を重ねた格闘成分を…全てその拳に乗せ、叩きつける男がいた!!! 男の名は、丹波文七。「最強」の頂を欲してやまぬ男の生き様をここに記す。不滅の格闘神話、新書判で刊行!! カバーイラストは全巻新たに描き下ろし!!
格闘漫画では、実在した伝説的な猛者をその漫画なりに
アレンジしたキャラが登場することが多い。
空手のマス大山、合気道の塩田剛三、
ボクシングのアリやタイソン。
プロレスの馬場や猪木。
餓狼伝でも松尾象山は明らかにマス大山がモデルだが、
明らかに猪木をモデルにしたレスラーも登場する。
グレート巽。
プロレス団体FAWの社長でありエース。
多種多様な格闘技・格闘者が登場する餓狼伝だが、
比較的、プロレスに対しては好意的に扱っている感がある。
スタイルの違うレスラーが何人も主要キャラとして登場するし。
それらの餓狼伝に登場するレスラーの中でも
最強レスラーの香りを纏った
凄みもありながら華もあるストロング&エレガントなキャラ、
それが明らかに猪木を模したグレート巽だ。
コミックスの4巻あたりからは数巻にわたり、
巽の回想録的な話が展開される。
その内容は、まさに猪木ドリーム。
猪木が力道山の付き人だった時代のエピソードまで
アレンジして取り上げ、アメリカ修行時代等は
地下格闘技の世界で壮絶な戦いを繰り広げていた
最強で最高なキャラとして描かれている。
実際のアントニオ猪木は1998年に引退し、
いまではすっかり、政治家だったり
「ダーッ」や「闘魂注入ビンタ」などの
面白キャラとしてのイメージが強くなっている感がある。
だが、かつて猪木は本当に
一部のプロレスファンにとっては
最強であり神だった。
馬場への挑戦や小林、大木などとの日本人対決。
ゴッチ、ロビンソン、シン、アンドレ、ハンセンらとの激闘。
アリやウィリーとの異種格闘技戦。
そんな猪木に熱狂し、神の様に称えたプロレスファンは多かった。
しかし猪木自身の年齢などによる体力的な衰え、
90年代の格闘技ブームにより反比例して凋落したプロレス人気。
暴露本などによるプロレスの裏側の情報の浸透。
それらにより、かつてのプロレス・猪木の最強伝説が
揺さぶられ翳りが生じたことは否めない。
そういう意味では餓狼伝の猪木(巽)も
古きよき時代の神話でしかないかもしれない。
だが、あの頃に多くのプロレスファンが猪木から感じた熱狂、
猪木に見た最強で最高なレスラーという夢。
時代を経て時代が変わった今、改めてそれらを
良くも悪くも思い出させてくれるのが
餓狼伝でのグレート巽の物語だと思う。
恐らくは、原作者の夢枕獏先生が
抱いていた猪木に対する夢、憧れを
フルパワーで熱く面白くキャラ化した、
それがグレート巽なんじゃないかと思う。
餓狼伝を今になって読み返すと、
初めてマス大山を知った頃に受けた極真空手の印象、
プロレスファンになった頃に猪木から受けた
プロレス・レスラーの印象。
それぞれに最強感とロマンが溢れていた印象。
当時に感じたそれらの印象を今更ながらではあるが
思い出させてくれるものがある。