
地球儀
この漫画、なんと冒頭に地球儀が出てくる。ギリシャの哲学者で地球が丸いことを証明したアリストテレスが、地球儀をエウメネスに見せていたのだ。アリストテレスは、数学者が「40万スタディア」と算出したことを述べた後で、「私はもっと小さいのではないかと考えている」と述べた。 ちょっとおかしな話で、いま知られているのは、地球の大きさを初めて測定した人物は紀元前275年生まれのエラトステネスと言われている。アリストテレスは紀元前384年生まれで、100年以上早い。つまり、エラトステネスより前に算出した人がいることになる。また、エラトステネスの算出した値は約25万スタディオンで、値も大きく異なる。地球儀についても、紀元前150年前後に作られたものが最古と考えられており、アリストテレスよりもずっと後のことである。おそらく漫画上の演出であろうし、バルバロイであるエウメネスの有能ぶりを示すことに成功している。
「薬屋のひとりごと」が話題になってますね。なろう原作の大ヒットからのコミカライズですが、2019年現在、別々の雑誌(「月刊ビッグガンガン」「月刊サンデーGX」)で同時期にコミカライズを連載するという事態になってます。これはまぁ、色々とメディアミックスに関わる事情があってこういう事が起きてるんでしょうか。
で、過去にも同時コミカライズパターンあったな〜と思い出したのが、この「武士道シックスティーン」です。2009年に、「アフタヌーン」と「マーガレット」が同じようにコミカライズを展開していたのですね。結局どっちの方が売れたのか?今更ながら気になるところですが、とりあえずここではアフタヌーン版の感想を書こうと思います。
作画は安藤慈郎。「しおんの王」のコミカライズを経験し、次の作品で今度は武士道シックティーンの作画を手掛けています。他作品と比較してみて、特に違いを感じるのはキャラの性格付け。個人的にはアフタ版の方が地味…いや、落ち着いた雰囲気があって好きです。逆に、「地味なのは嫌!」という人はマーガレット版を読むのがいいかと。
キャラの性格の違いについて。剣道エリート・磯山香織に関して言うと、表情の変化こそ少ないものの、武士のような真剣味や生真面目さ、気迫のこもった表情が良いんですよね。これは、青年誌だからこそ磯山の「男っぽい」部分をより上手く引き出せたのかなと。
対する西荻早苗についても、ウザくなりすぎない天真爛漫さ(←ここ大事)と、舞踊の経験から来るしなやかさ、芯の強さを感じます。磯山と西荻、どちらも過不足なく、対比の描き分けが秀逸です。
メディアミックス化作品の場合、小説、映画、漫画のどこから触れるかで、作品の印象は変わるものだと思います。そういう意味では、最初にこの漫画から読めたのは自分にとって幸せなことでした。