
ギュッと来る、ハートフルでコミカルなロスタイム
これは良い。すごく好き。 母子家庭で母が交通事故で逝去、残された中2の娘(ニコ)は母が縁を切っていた爺ちゃんと共に暮らすことに。 ニコの心情の描かれ方や表情がとても魅力的。 おじじを見ててイラッとする(自分がおじじ側だからだと思う)ところもありつつ、彼の考えや行動はすごく愛に溢れているなと感じて、読んでいてジワジワと温かくなってくるような作品。 スピリッツっぽい画風でもあるけど、展開とかテンポとか全体のまとまりが上手くて、講談社もこういうの求めてたんだなぁーって勝手に思いました。 まだ始まって2ヶ月の2025年ですが個人的TOP5には入りそうなぐらいイイです。 中庭ちゃんもすげえいいのよねえ…世界平和を目指してこ、みんなで。
流行り的なものの流れをきちんと把握していないので、恐縮ですが、それでもダンジョン飯以降ダンジョン的な題材を取り込む作品が増えてきた(もしくはそれらにスポットが当たるようになった)ように思います。
しかしながら、(ごく個人的で感覚的なものなのでどこまで一般的なものとして共有できるのかは不安ですが)ダンジョン飯的な感じをダンジョン飯以外からはあまり感じたことが、いままでありませんでした。
そこでようやく、『ウチの使い魔がすみません』の話になるのですが、試し読みの1巻を読んだとき、なんとなく「ダンジョン飯っぽい」と感じました。
この作品には、いわゆるダンジョンは出てきませんし、飯を作ることもないのですが、異世界や異世界の生き物に対する細かさと、それらに対するある種の偏愛が引き起こすギャグのテンポが、ダンジョン飯と似てるのかなと思います。
子供悪魔の使い魔になった人間のノーマンは、魔物研究に取り憑かれた暴走機関車のような男で、シリアスな展開であろうとレアな魔物や悪魔がいれば、解説をまくし立て、鼻息荒くサンプル採取を敢行する、常軌を逸したキャラとして描かれています。
この人間使い魔のノーマンの魔物への偏愛とそれ故の細かい魔物の生態分析が、ダンジョン飯っぽさをわたしに感じさせたのかなと思います。ダンジョン飯も異世界生物を飯の材料としてみる細かさがありましたし、味への探求的偏愛も描かれていたように思いますので。
ただ、あくまでも「っぽい」だけで、作品としての類似性はほぼ無いに等しいです。けど、このっぽさが気に入って読み進めてしまいました。
異常な行動力の持ち主に振り回されるドタバタギャグが好きな人なら楽しめると思いますので、どうぞぜひ。