王様達のヴァイキング
ある少年が天使に導かれ世界を変えてゆく物語
王様達のヴァイキング さだやす 深見真
sogor25
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高いハッキング能力を持ちながらコミュ力が低く、高校を中退、バイトもクビになり、廃墟となったビデオショップに住んでいる少年、是枝一希。彼の目の前に現れたのは"エンジェル投資家"の坂井大輔。坂井は是枝に「お前の手を使って世界征服がしたい」と嘯く。住む世界の全く違う2人の出会いが、やがて世界を大きく変えていくという物語。 一見すると凸凹な2人のバディものっぽいけど、私には是枝が主人公の成長譚のように見える。エピソードを重ねるごとに、是枝のほうは何かしら新しいことを自分の中に取り入れどんどん引き出しを増やしていくけど、坂井のほうは細かい言動には違いがあるけど行動の軸は当初から一貫しているように思う。年齢面もあるかもしれないが、やはり坂井が是枝を導いて広い世界へと引っ張り出しているという印象が強く見えるからじゃないかと思う。ただ、単純な1対1のバディものではないからこそ、是枝は坂井だけではなく、巻き起こった事件に関わる多くの人々と"仲間"となり、文字通り是枝の世界を大きく広げていくことになる。そして最後の最後で是枝は坂井と対等な立場で坂井に問いかける。これによってこの作品が完結するところも清々しい、全19巻で綺麗に最後まで駆け抜けた作品。 全19巻読了
王様達のヴァイキング
三千年紀の新たな神話
王様達のヴァイキング さだやす 深見真
mampuku
mampuku
アメリカ合衆国が定義した、陸・海・空・宇宙空間に次ぐ「第五の戦場」ともよばれる"インターネット空間"を舞台とし繰り広げられるサイバーバトルの漫画。エンジェル投資家・坂井に才能を見出された天才ハッカー少年・是枝は、全く新しい形のサイバーセキュリティを立ち上げ様々な犯罪者たちと対峙していく。 我々の祖先が「集合的想像」による虚構の世界(宗教・国家・貨幣経済など)を獲得したことで核家族や小さな村落の枠を超え数千人、数万人を超える協力のネットワークを生み出すことに成功したことで、彼らはネアンデルタールをはじめとするほかの霊長を滅ぼし地球上の覇者となった。そして2千年紀の終わり、人は新たな世界「情報通信網」を作り上げた。何万年もの昔に生まれた「集合的想像」の虚構は、「情報通信網」によって急速に拡散し共有され、文化という文化を均した。インターネットの出現は、宗教や貨幣が世界を変えたことと等価かもしれない。 急速な変化に苦しむ旧い社会・体制はやがて淘汰され、「第五の戦場」を征服した者が新たな世界の王となる。ロマン主義の思想は人々に自由と幸福の追求を促し、そのために人々は富を蓄え、それを消費した。新しい虚構世界の誕生はそうした旧来の幻想を壊し誰も想像してこなかった価値観をも生み出しうる。 そうした新しい空間の冒険者である是枝そしてライバルの笑い猫やValkyriaと、彼らの手綱を引き、貨幣と法の支配する現実社会に繋ぎとめる役割をする坂井、サイバー空間を征服することで世界の王になろうとしている魔王のようなラスボス──。日本にはハッカーが足りないとは耳にするけど、案外いま一番必要なのは坂井さんみたいな人なんじゃないかなぁ あと一番重要なポイントですが、ヴァルちゃん可愛すぎません?めっちゃ好み。。
ねずみロワイアル
かわいい恐怖の殺し合い #1巻応援
ねずみロワイアル
兎来栄寿
兎来栄寿
『ムムリン』や『オオカミの子』の佐々木順一郎さんのかわいい絵柄で描かれる、残酷なバトルロワイアル。 そう、まさに高見広春さんの『バトル・ロワイアル』と同じようなクラスメイト同士の殺し合いが描かれていきます。1999年に出てリアルタイムで読んだ小説が、四半世紀経った今でもこうして色濃く影響を与え続けてフォロワーを生んでいるのは感慨深いです。 基本的なルールも『バトル・ロワイアル』に準拠しており ・殺し合いは島で行われる ・生徒たちには全員爆発する首輪が付けられている ・島にはランダムで刃物や銃器など武器が配置されている ・1日ごとに禁止エリアが設定され行動エリアが狭まっていく といった具合です。進化しているのは、スマホのような携帯端末でさまざまな情報を得られるということ。ただそれもどこかで充電ができないとずっと使い続けることはできないという制約も面白いです。 殺し合いのゲームが進行する傍らで頻繁にエモーショナルな回想が挟まっていく構成もまた『バトル・ロワイアル』を思い出します。それぞれの同級生たちが、普段の学校生活では見られない陰の姿を持っていたり、非日常だからこそ剥き出しになる感情を表したりといった醍醐味の部分もしっかり描かれていて刺さります。本家も、もちろんゲーム的な部分の面白さもありつつ思春期の少年少女たちが織りなす人間ドラマの模様が名作を名作たらしめた部分ですからね。 同じネズミでありながらそれぞれのキャラクターがしっかり描き分けられているのもすごいです。外見は似ているにも関わらず、それぞれがちゃんと個性的に立てられています。そして、このかわいさがあればこそ本家さながらの酷薄な展開が引き立ちます。 血と裏切りに塗れた島で、彼らの運命はどうなるのか。どのような結末を見せてくれるのか。目が離せません。
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