sinkで出来ていたことが出来ていない
漫画家としての作者の実力はここで記述するまでも無い程に圧倒的なのは周知の事実である。しかし、この作品においては、その実力を発揮しきれていない。サスペンスにも関わらずコマ割りが細かくテンポ良く進むため、サスペンスが必要な箇所でなんてこと無い日常の様に進んでいってしまう。ましてや大ゴマにする必要の無い箇所で大ゴマにしてしまっている。絵の造形も不気味な雰囲気が失われギャグのキャラ造形になっている為、ここでもサスペンスが失われる。sinkで出来ていたことが何故出来ていないのだろうか?
改めて読んで、感じたのだけれども
試合のシーンでの時間的な描写が凄く上手い。
私的に嫌いな格闘技漫画だと
残り試合時間数秒なのにどう考えても
数分レベルのやり取りがあったりとか
セコンドが「よけろ」「かわせ」とか声を出すと
選手がソレを聞いてよけたりかわしたりとか
ありえない展開があったりする。
その点「廻」は動きのある絵と静止画的な絵を
組み合わせたり、セコンドや観客の
「声」とか「感想」「判断」「直感」とかを
ちゃんと描きわけていて、
時間の流れ的にも、試合のリアリティからしても
凄く上手く描かれていると思った。