よげんしゃぴっぴ
あらすじ
「つまりぼくら、人類の未来をすべて計算しつくしちゃったんだ」究極の頭脳が紡ぎ出す預言は福音か、それとも……?鬼才が描く長編ストーリーが、満を持して登場!ピッピは地震を予知し、災害から人類を救う為に開発されたロボット。親友・タミオとともに成長していくピッピは、衝撃的な事件をきっかけに自ら活動を停止してしまう。そして再び目覚めたピッピが語る畏るべき預言とは……傑作SFコミック!
ひきだしにてらりうむ
あらすじ
ようこそ、ショートショートのワンダーランドへ。笑顔と涙、驚きと共感。コメディ、昔話、ファンタジー、SF……新進の気鋭、九井諒子が描く万華鏡のようにきらめく掌編33篇。―Web文芸誌マトグロッソでの、2011年8月~2012年12月の約1年半の連載分全篇のほか、「えぐちみ代このスットコ訪問記トーワ国編」「神のみぞ知る」、描き下ろし作品も収録。
りゅうのがっこうはやまのうえ
あらすじ
勇者は孤独な里帰り、女子中学生の天使は進学に悩み、ケンタウロスは馬車馬のように働く、今日も大学の上空には竜が飛ぶ……あたりまえのように、そこにある非日常。現実(リアル)と幻想(ファンタジー)が入り混じる「九井ワールド」へご案内!ウェブや同人誌即売会で発表された7編に加筆修正を加え、描き下ろし2編もあわせて収録。ウェブや同人誌即売会で作品を発表し、広い世代から注目を集める新星、初の作品集!【収録作品】『帰郷』『魔王』『魔王城問題』『支配』『代紺山の嫁探し』『現代神話』『進学天使』『竜の学校は山の上』『くず』
ぷりんたにあにっぽん
あらすじ
プリンターから生まれた新種の生物と同居はじめました。いつかどこかの未来で、生体プリンターから出力されたすこしふしぎ(SF)な生物と暮らすショートコミック。 【目次】第1話/第2話/第3話/第4話/第5話/第6話/第7話/第8話/第9話/第10話/第11話/第12話/第13話/第14話/第15話/第16話/おまけ1/おまけ2/電子限定特典
となりのようかいさん
あらすじ
「ウチの猫、猫又になるかもしれんくて……」 妖怪と人と神様が、ふつうに暮らす田舎町の日常は、のんびりほのぼの、ときどき不思議。ある夏、二十歳の長寿猫・ぶちおは、突如進化して猫又になる。「自分が妖怪になった理由」を探して思い悩むぶちおは、化け狐の百合に、「化け学」を習いはじめるが…。お山を守る脱力系カラス天狗・ジローと少女むーちゃん。「天狗の仕事」をこっそり覗き見していたむーちゃんは、別人のようなジローの姿を目にする。そんなとき、町には不吉を呼ぶ「鵺」が現れたと噂され―― Twitter発の「異類日常譚」、待望の書籍化! 第一巻では、猫又・ぶちおの前途多難な未来を描く「猫又ビギニング」をはじめ、ここでしか読めない描き下ろし新作エピソードを30P以上収録。電子書籍限定特典を収録。
あらすじ
ちょっと元気が出る短篇集。この町に暮らすぼくたち私たちの、友達や学校や家族のこと。笑ったり、悩んだり、いろんな事件が巻き起こったり――。 新鋭・衿沢世衣子の初短篇集。「誰かのことを大人だと思っていた子供が、自分で歩き出せる、そんな物語が好きみたいです」(衿沢世衣子)
すぺくとらるうぃざーど
あらすじ
戻りたい、孤独を言葉でしか知らなかったあの頃に… 危険な魔導書を多数有した魔術師ギルドは、テロ組織として認定され、その彼らと戦うために科学技術の粋を集めて騎士団が結成される。多くの魔術師が次々に逮捕・処刑され、残された者たちは指名手配犯として逃亡生活を強いられることに。そのうちのひとり、ゴースト化の能力を有するスペクトラルウィザードは―― 『金魚王国の崩壊』などWEB漫画界で注目の模造クリスタルが描く、魔術師たちの物語。同人誌として発表されたシリーズに、加筆修正・描き下ろしを入れて書籍化。
じゅうごでしょうじょはあれになるでんしげんていとくてんつき
あらすじ
すべての少女は15歳になると地球外生物から身を守るために左手に“パクニマ”と呼ばれるエイリアンを移植しなければならない世界。そんな架空の日本を舞台に、思春期の少女たちのせつない乙女心を瑞々しいタッチで描く意欲作。Pixiv/同人誌で発表したものに描き下ろしの新作とプロローグを加えた全4話、4人の少女たち。
じんばでんしげんていとくてんつき
あらすじ
古来よりこの国に住まう、半人半馬の種族「人馬(じんば)」。時は戦国。人は彼らを「戦の道具」と見なし、その尊厳を奪った。「赤毛の岩虎」の異名を持つ雄々しき人馬・松風は、捕らわれんとする息子を庇い、縄にかかる。人馬を売買する領主のもとへ、松風を引き連れる隊列…… その中に、人間に使役される俊足の人馬・小雲雀の姿があった。この出会いが、ふたりの運命を大きく動かしていく――【電子書籍限定の特典を収録】
せかいちずのま
あらすじ
不穏な男たちが不穏な街に集結し不穏な「世界地図の間」へといざなわれる。そこで目の当たりにする不穏な光景とは。謎の不穏感がドローンのように持続する、横山裕一の新ジャンル「ネオ劇画」
きんじられたあそび
あらすじ
デビューから20年を数えた著者が、自身にとって重要な初期作品を厳選。詳細な解題を書き下ろし再編した、アーリー・ベスト。著者15歳(中学3年生)当時の同人誌作品も初公開! 「これらの短編の後『Marieの奏でる音楽』『πーパイー』『ライチ☆光クラブ』『インノサン少年十字軍』『人間失格』『帝一の國』『女子高生に殺されたい』等の中編、長編へと移行していきましたが、それも当時の葛藤が生んだものであるということを、未熟さも含めて今の若い読者に伝えたく、この本を出すことにしました」──古屋兎丸
がーでん
あらすじ
古屋兎丸全身全霊!幻想、快楽、目覚め、葛藤、科学、後悔、破滅、……。7つの庭が配置された、天才作家・衝動の初短編集!かつて未完のまま連載を終えた超問題作「エミちゃん」、鬼気迫る114枚の描き下ろし全ページ完全収録。「Wsamarus2001」では味わえない、古屋兎丸のアナザーサイドかつエッセンシャル・クオリティ。
あふたーめるへん
あらすじ
「めでたし」のその後のご不要品、どんなものでも回収いたします――。おとぎの国の各地で役目を終えた「モノ」を回収する ベテラン職員で面倒見のよい兄ヤコブと、新人職員で兄を尊敬している弟ヴィルヘルム。彼らが訪れる先々には、廃品に悩む依頼主がいて……。白雪姫、シンデレラ、ラプンツェル、裸の王様、いばら姫―― 不思議なメルヘンの世界を舞台に描く、ダークファンタジー、開幕! 単行本でしか読めない 描き下ろしショートストーリー4本+描き下ろしイラストを収録!! 【担当編集より】 『ヴィクトリアの電気棺』(スクウェア・エニックス刊)著者・田島生野による最新作、おとぎの国で役目を終えたモノを引き取る、とある兄弟の廃品回収物語がはじまります! 見所が満載すぎるため短く語ることが難しいのですが、登場するキャラクター(メインキャラの兄弟以外にも登場するゲストキャラの魅力)、各話のストーリーと構成力(先が読めないアフター話や深まる謎など)、精緻な筆致で描かれるイラスト(すべての線画、背景、飾りフキダシも手描き)など、惹きこまれる舞台の世界観と複数の気になるの要素満載で構築されています。また単行本ならではの描き下ろしのエピソードも各話ごとにあり、加えて童話感を演出する作品の雰囲気に合った描き下ろしイラストも各話に収録されています。連載時とはまた違った読後感を得られること、間違いなしです!! 昔話やメルヘン、王子様やお姫様、主人公に悪役、お仕事もの、ヒューマンドラマ、ダークファンタジー…など 1話ごとに物語の毛色も違うのですが、メインキャラの兄弟と一緒に作中で各地へ訪れ、メルヘンの世界をお楽しみいただけましたら幸いです。※カバーを外した本体表紙にも素敵な描き下ろしイラストで彩られています^^ 【目次】 第1話 白雪姫 描き下ろし After the story 第2話 シンデレラ 描き下ろし After the story 第3話 ラプンツェル 描き下ろし After the story 第4話 裸の王様 描き下ろし After the story 第5話 いばら姫 前編
あらすじ
人外美女とのめくるめくおとぎ話 表題の「OLと人魚」をはじめ、吸血鬼、ハーピー、鬼、天狗、鶴、雪女…など、おとぎ話に登場する美女と、現代日本に住む普通の女の子との刹那的な触れ合いを描く。生きる世界が違う“ふたり”が、時に共鳴し、時に反発しながら、唯一無二の時間を紡いでいく──。人外美女と人間女子のはかなくて美しい、7つの尊い物語。【目次】 OLと人魚 ゆびきりげんまん 巣立ちの季節 鬼さんこちら 天狗のうちわはヤツデの葉 あの子の恩返し 雪やこんこ
うさまるずにせんいち
あらすじ
兎丸博士のマッドな新発明!イラスト・ショート・パロディ・ストーリー・2コマ・4コマ・怪談・女子高生・エロ…。バラエティに富んだファイルの数々を、あなたの脳に直接インストール!世界の見え方が変わる、ハード不要の新ソフト・Wsamarus2001が遂に完成!!(MacOS/Windows/Linux非対応…ていうか本作品はPCソフトじゃありません)。
あらすじ
「おちこんだときには ほかの人をはげましなさい」 『金魚王国の崩壊』、『スペクトラルウィザード』の模造クリスタルが描く珠玉の4篇。【目次】 カウルドロンバブル毒物店 スターイーター ザークのダンジョン ネムルテインの冒険
あらすじ
『きみを死なせないための物語』の吟鳥子の初期の傑作が、大幅な加筆&修正を行い完全新装版として復刊!! 壮麗なる「生命(いのち)」の叙事詩が今ここに──。奇跡的に生き延びていた種族「古鳥人類たち」と「人間」の刹那的邂逅(かいこう)──。戦火を逃れ、山奥で一人暮らしていた軍医ジャックは、行き倒れていた少年を助ける。その少年の背中には、美しく大きな「翼」が生えていて……。「我らの未来はないかもしれない。それでも我らは生きてゆかねばならない。最後の一人まで、豊かにひそやかに、翼を閉じられるように」 ──古鳥人類たちは滅びる運命か、それとも……。完全新装版『架カル空ノ音』。【目次】 第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 第六話 第七話 第八話 第九話 第十話 あとがき
あらすじ
入社したての福子は、会社でストレスのたまる毎日。今日も残業してお腹ペコペコ……。心も体も耐えきれず、ずっとガマンしてきた夜中のケーキやカップ麺を解禁したら……!? 少し疲れた人間のもとにひっそり現れる、くいしんぼうのこびととおいしいものたちに心癒やされるヒーリング・ストーリー。【目次】 第1話 今日もご無事で 第2話 僕の食べたいものは 第3話 思い出さくさく 第4話 午前2時の散歩 第5話 午前2時ののっぺい汁 第6話 本音とつくね 第7話 夏の夜のひかり 第8話 ふわふわの心 第9話 ふわふわのにおい おまけ 今日もふたりで
はかせのしっぱい
あらすじ
我がクローンベイビーよ、世界征服のため、すくすく育つのだぞ。孤独な魂を癒すのは、純粋な命―― 七野ワビせんが紡ぐ、愛しさとせつなさが織り交ざった異色の子育て奮闘記。自分を害してきた他者を憎み、復讐のため世界征服を夢見るハカセは、野望のパートナーとして生み出したクローンベイビーを育てることになるのだが…… 【目次】 第1話[悪の科学者とクローン] 第2話[泣く人間 笑う人間] 第3話[言葉] 第4話[お金と人間] 第5話[子どもな大人 大人な子ども] 第6話[天才ベイビー] 第7話[もしも] 第8話[猿のゴクウ] 第9話[世界征服の未来] 第10話[ハリスとハカセ] 第11話[悲しみと笑顔の答え] 第12話[風邪引き] 第13話[遠回り] 第14話[弱虫のベン] 第15話[ちびっこハリス] 第16話[犬猿の仲] 番外編[ビデオレター] 第17話[魔女と香水] 第18話[イライラハカセ] 第19話[ハリスのたくらみ] 第20話[ハカセと香水] 第21話[ハカセとクローン町へ行く] 第22話[夜の公園] 第23話[ハリスの失敗] 第24話[ちいさな助手] 第25話[クローンとハリス] 第26話[遠足] 第27話[魔女のビデオレター] 第28話[困った時代] 第29話[偽クローンとの24時間] 第30話[クローンの失敗 前編] 第31話[クローンの失敗 後編] 第32話[大切な] 第33話[歳と髪] 第34話[小さな王子様] 第35話[きまぐれクローン] 第36話[クリスマスイヴの日] 第37話[地震と自信] 第38話[町の少女] 第39話[大切な人] 第40話[走り出すクローン] 第41話[闇のとびら] 第42話[さみしい日] 第43話[孤独の科学者] 第44話[ハカセの失敗] あとがき
しょたっこをやしなうつもりがおれさまいんまにくいものにされていますたんわばん
あらすじ
陰気な外見のせいで、子供に怖がられ保育士の夢を諦めた蔵井。葬儀屋で働きながらも、可愛いものへの憧れは日々募る一方だった。そんなある日、道端で倒れていた男の子・たいしをやむなく保護することに。「おまわりさんやだ!」と言う彼にご飯を食べさせ、お風呂に入れ…久々の子供との触れ合いに癒される蔵井。だが、突然子供だったはずのたいしが大人の姿に!? しかも蔵井の体をまさぐりはじめ――。(単話版 第1話) ※この作品は『Splush Vol.46』に掲載されています。
きばなしきゅうけつきとしょくようにんげんどれい
あらすじ
「食べちゃいたいほど、愛してる。」身寄りがなく、貧民窟で暮らしていた少年・ソルを買ったのは、牙がなく、人間から直接血を吸わない吸血鬼・アウロラ。人ならざる彼女は、ソルを自分の館に連れ帰り、自分専用の体液提供者=「食用人間奴隷(しょくようにんげんどれい)」になるよう、籠絡(ろうらく)してくるのだが……!? 吸血鬼が統治し、人間と吸血鬼が共存する国ニュー・ドーンを舞台に、新鋭・極楽鳥(ごくらくちょう)が描く、官能的な純愛ファンタジー。
からすのかちょうさまっ
あらすじ
スパダリからす×天然ドジっ子の異種恋愛! 不慮の事故に遭ったニトリは、鳥が好きすぎるあまり鳥の天国「鳥黄泉市」に迷い込んでしまう。そこで出会ったのは、からすの姿をした烏丸課長。黒々としたクチバシに気高く艶やかな濡れ羽――。一瞬で恋に落ちたニトリは「人間の天国に行け」と追い出されそうになるものの、鳥への情熱を評価され課長のもとで働けることになり――!? 【特典】電子書籍限定描き下ろしペーパー&連載時のカラーとびらページをそのまま収録! 【目次】第1羽/第2羽/第3羽/第4羽/第5羽/描き下ろし/あとがき/電子限定特典
おえろでござるじくうをこえてこいせよしょうねんでんしげんていとくてんつき
あらすじ
巫女さん目当てに訪れた神社で、池に落ちてしまった俺といち。目が覚めると、なぜか江戸情緒あふれる町並みが広がっていた! 「もしかしてあの世!?」成績優秀・スポーツ万能の幼馴染を死なせてしまったと狼狽える俺の前に現れたのは、俺たちにそっくりな市之助と正太郎。お前ら、恋人なの? ちょ! 俺たちの顔でキ、キスしてんじゃねえーーー!!! 「俺たちの姿でナニしてんのーー!?」 【特典】電子書籍限定描き下ろしペーパー&連載時のカラーとびらページをそのまま収録!
からすのかちょうさまったんわばん
あらすじ
不慮の事故で死んでしまったニトリは、鳥が好きすぎるあまり鳥の天国「鳥黄泉市」に迷い込んでしまう。そこは、生まれ変わる鳥が天寿を全うできるよう魂を育成する施設らしい。施設を管理する烏丸課長に一目ぼれしたニトリは、鳥への情熱・知識を評価され「鳥黄泉市」で働くことになるが――? (単話版 第1話) ※この作品は『Splush Vol.27』に掲載されています。
一体、これは何なのか。 ページを捲り、フキダシの中の台詞を追う度に、脳髄を殴られるような衝撃。 初めて『預言者ピッピ』を読んだ時、あまりにも面白過ぎて目眩がしました。 私はマンガソムリエ活動の一環として、日々漫画のレビューを行っています。 その中で100点満点で80点を超える作品は稀で、90点台ともなると年に1冊出るか出ないかという位です。 しかし、この『預言者ピッピ』には1巻90点、2巻95点という最高の評価をしています。 今世紀刊行された漫画の中でも個人的ベスト1候補の、最高に物凄い作品です。 『預言者ピッピ』が掲載されていたCOMIC CUEという雑誌を知っている方は、かなりの漫画好きでしょう。 マイナーではありますが、大友克洋先生、松本大洋先生から安野モヨコ先生、羽海野チカ先生まで実に幅広く錚々たる大家が寄稿していた、特濃の漫画雑誌です。 1999年に出たその6号目。 『火の鳥』のロビタを表紙に据えた、「手塚治虫リミックス」という特集号から『預言者ピッピ』はスタートしました。 実際、初めて単行本で読んだ時に「手塚治虫作品クラスの圧倒的な領域に達している」と感じたので、この表紙を見た時は感慨深いものがありました。 そう、今作は『火の鳥』で描かれているような、人間や生命、社会や世界に対する深い洞察に満ち満ちているのです。 それまでギャグ漫画をメインに描いてきた地下沢中也先生が、こんなにもシリアスで重厚なSFを描くのか! と非常に驚愕しました。 手塚治虫先生の諸作品も、何かが取り憑いて描かせたのではないかと思うような超越性を半ば感じますが、それに似た印象をこの『預言者ピッピ』からも受けるのです。 同じ99年開始の『愛人[AI-REN]』以上の曰くつき作品でもあります。 CUEに五話目が掲載されたのが、2001年。 そして、そこまでを収録した単行本第一巻が出たのは、2007年。 何と、実に六年の歳月を要しました。 その段階で未掲載分が二話分ありながらも、連載が止まってから四年も経っていては続刊は絶望的かと思われていました…… が、2011年10月に奇跡の2巻が刊行! しかも、84ページの描き下ろしを伴って! これには私を含むファンが熱狂的な喜びを以って迎え入れました。 そして、4年ぶりの新刊、実に8年ぶりとなる続きが、また想像を超えてくる出来でした。 息もつかせぬ、とは正に『預言者ピッピ』の為にあるような言葉。 途方も無い領域まで話は突き進んで行き、ただただ圧倒されます。 アイザック・アシモフが50年前に想像した2014年の様子が現在に照らしてみると驚くほど的中しているように、この作品で呈示されているものも本当に実現するのではないか、と思わされます。 今、世界で一番続きが読みたくて狂おしい漫画です。 それにしても、岩手県出身である地下沢中也先生が、2011年にこの物語の続きを刊行したことは、大変に意義深いことです。 3.11から今日で丸三年。 あの災禍、そして断続する余震や原発事故。 私も、親しい人を喪いました。 世界の関節が外れ、当たり前が当たり前でなくなり、それまでとは理が一変してしまったように感じました。 ともかくもう二度と、こんな悲劇が起こらないで欲しい…… そんな願いがある種実現されているのが、現代を舞台にした『預言者ピッピ』で描かれる世界です。 ピッピは地震予知の為に開発された予言ロボット。 彼のお陰で3ヶ月前に大地震が起こると予知された地域の住民は避難し、死傷者ゼロという快挙を成し遂げます。 しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるように、予知できるようになった災害はやがて世界的な見せ物へと変貌して行きます。 人口350万人都市ロサンゼルスが一瞬にして滅び行く中継映像を狂騒的に見つめる者達と、故郷が瓦礫の山へと変わって行く姿を涙を流して悲しむ者達の対比は、非常にそら恐ろしいものです。 「忘却も能力」と作中の科学者が言いますが、辛い記憶と共に大切なことすらも忘れてしまう愚かさ。 どんなに科学技術が進歩しても、変わらず自分の信じたいものだけを信じる愚かさ。 自らのポジションに利することにしか興味のない政治家やマスコミの愚かさ。 作中では、様々な人間の愚かさが抉り出されて行きます。 そして、地震予知のみに制限されていた能力を、そんな人の愚かさ故に解除されたピッピは、やがて人間や世界の全ての未来を演算してしまいます。 そこに使える技術があるのに使わない、救える命があるのに救わない、人間にはそんな選択はできません。 その結果として全ての運命が予め判明してしまった世界で、人はどう生きるのか、生きるべきなのか…… 先の見えない未来こそが、逆説的に人の希望その物なのだということも、本を置いた時に実感として噛み締められます。 一つ一つの会話も哲学的で味わい深く、読むことで自らの深淵と向き合うことをも可能にする稀有な書です。 かといって難解になり過ぎることもなく、可愛い絵柄とのバランスが絶妙と言えます。 こういう作品がある限り、私はこれからも漫画を読み続けるでしょう。 「第3巻は、そこまでお待たせしない予定です」 という担当編集者の言葉に期待を高まらせつつ、今年で3年目を迎えますが…… 是非とも読んで、そして「早く3巻を」という声を一緒に発して欲しいです そして、地下沢中也先生になるべく早く続きを描いて頂きましょう。 この作品は間違いなく現代漫画界の掛け替えの無い財産です。 3月11日ということで、『預言者ピッピ』とは関係無いですが、以下の作品も推薦します。 売上の一部が義援金に回されるので、募金と思って購入するのも良いのではないでしょうか。