桐谷一路との運命的な出会いが、臆病なみのるに勇気を与えてくれた。もう一度彼に会いたい、そう想い続け、再び東京に出てきたみのるは、東京中のライブハウスを探し回り、ついに一路と再会する。彼女と一路の想いが重なるとき、2人の間に奇跡が起こる!?
洋裁学校に通う林千麻は、学校の近くにあるプールバーでアルバイトを始めた。3階建てのビルの2階にあるビリヤード場のオーナー・緒方は、いつもロシアン・ブルーという品種の猫を抱えている。だが、バイトを始めて1週間、毎日顔を合わせている千麻を覚えようともしない緒方。そんな変人で強運の持ち主・緒方と、愛の初心者・千麻の恋愛ゲームが始まる…。
郊外の町へと引っ越してきた「わたし」とその一家。「わたし」の娘・志保は、なかなか新しい環境に溶け込めないでいたが、ある日、のり子という友達ができる。仲のよさそうな二人をみて「わたし」はのり子を気に入り始めるが、ある時、のり子の意外な一面を目撃してしまう──。子どもたちのみずみずしくも不安定な心情を、日常風景から切り取り描いた珠玉の短編集。
女性社員80%の会社に入社した田中くんは、社内の女性にモテモテ!のはずが、実際は憧れの美人・吉田さんに相手にされないどころか、女性社員にも男として見てもらえず、島田部長(42歳)に逆セクハラを受ける毎日。そんな冴えない田中くんの仰天サラリーマン生活!
髪をピンクに染めたから、もう学校へはいけない。もともと赤いこの髪を、黒くするよりピンクのほうが、髪も喜ぶと思ったから。もう学校へなんかいかない――。岸辺野ばらはろくに学校にも来ない。成績は底辺、友達も皆無。それでも彼女には美しいものが似合って、望むものはなんでも持っている――。マジメだけがとりえの上荻と正反対の野ばらの、奇跡みたいな学園生活!
実の両親と愛する夫、二人の子供にも恵まれて、家族6人で幸せな生活を送っているはずの舞子。だがある日、突然頭の中で声が聞こえる。毎日が少しも満たされない…と。すぐに自分の独り言だと気付くが、幸せだと思っていたのに、何が不満だというのか…?そんな話を夫にしたところ、それは話し相手がほしいからだと、久し振りに友人に会うことを勧められる。そして舞子は、中学時代の友人・林京子に会うことにしたのだが…?
花のように可憐に、鳥のように自由に、風のようにさわやかに、月のようにひそやかに、そうやって、女たちは生きていく。料理学校を卒業し、それぞれ違う道を選んだ4人。彼女たちは悩み、傷つきながらも、自分自身の幸せを求めて歩き始める――。<がんばる女の子>を描いた、オムニバス青春グラフィティー!元気が出ます!!
「性悪猫がおりまするそろそろ恋に慣れた年頃なので恋を手柄と勘定します」――日々生きる中、湧き起こりぶつかり合う感情たちを、猫の体、猫の目を通して詩的に描いた傑作――。
ダイエットと恋とSEXに思い悩みつつもだらだらとすごす女子大生の夏の日々を描いた表題作をはじめ、1984年~85年まで「ガロ」誌上ほかに掲載された12編の短編集。解説・斎藤慎爾。
1年間の交際期間を経て結婚した、まち子と靖夫。3年目を迎え、まだ子供なし。いくら愛し合って結婚しても、他人であった男女が一緒に暮らすと、見えなかった部分が見えてくるのは当たり前。最初は新婚ということで見逃していても、時が経つにしたがい、理想と現実のギャップが広がっていくことを痛感するまち子だが…。
名門・芙蓉学院美術部の瀬名生燁姫は校内では目立たない存在。だが、彼女は若くして有能な画商で贋作の天才。画家だった父親の出世作で、唯一、燁姫を描いたという絵を探し求めている。ある時、美術部部長で売れっ子画家・橘の一人娘、新進の天才画家と称される花梨親子の描いた絵に不審を感じた燁姫は…? 絵画の世界を描いた大河ロマン!
紫陽花の咲くオフィス街にある広告代理店に面接にやって来た深雪は、身寄りのない高校中退の17歳の少女。彼女の身の上話を聞くうち、所長の倫子は自分の生い立ちと重ねてしまい採用するが、ミス連発の深雪。そこへ事務所始まって以来の大仕事が…。表題作「花雫」他、「蒼の鬼翔」「クリスタル・エイジ」「キャンパス・シンデレラ」「スリー・ドッグ・ナイト」の全5編収録。
大学受験を控えた淳一郎、真紀子、裕介の周囲で次々と起こる投身自殺。その数は淳一郎たちの住む市だけで1週間に10人、日本国内で1日に100人以上と異常な数。だが、それはほんの序章で、自殺した人は死ぬ前に「進め、進め…」とつぶやいていたことが判明し…。表題作「黄泉からの声」他、「アリスの13時間」「ジムニィの箱」の全3編を収録。
ある日突然、願ったことが現実になるという能力を持った少女・光子。成績はトップになり、幼馴染みで好意を寄せている史郎の成績も大幅にアップ。その光子を妬んだ少女・東に対し、光子は「死んでしまえばいい」と願ってしまう。果たして東の身に何かが起こるのか!? 表題作「午後5時1分前…!」の他、「割れたカップ」「黒い聖夜」を収録したサスペンスホラー集。
天才バイオリニストとして脚光を浴びていた母親の血を受け継いだ少女・螢は聖サルビア女学院期待のバイオリニスト。だが、父親が事故で急死し、母ではなく娘の螢に手紙を残していた。その手紙を読んだ母親の顔が真っ青に…。表課題「紅いG線」他、「マルチ・インセクト」「炎の伝説」「白い時間」の全4編を収録したミステリーサスペンス傑作集。
ライトとシャドウの2匹のヒョウと共にロンドン空港に降り立った少女・ベルベット。彼女の目的は、10年前に住んでいたロンドンで生き別れとなった母親を探すこと。ベルベットの持っているダイヤと対のダイヤを母親は持っているはず。だが、彼女にマダム・ゴードンの魔の手が迫る…。表題作「ダイヤモンド・チェイサー」の他、「アラビアン・チェック・メイト」「マジカル・らぶ・ストーリー」の全3編を収録。
プレイボーイで何人もの女性を泣かせてきたと噂の先輩に、Cまで経験させてと頼む少女・京子。彼に連れられて入ったラブホで大人の女になることを覚悟した京子だが、二人っきりになった時…。表課題「いけないC気分」の他、「きまぐれABC」「ささやかな真実」「ピロートーク」「風もよう」「キャンパス・シンデレラ」の全6編を収録。
熊本の山奥で出会った少女・流火の目に圧倒されたカメラマンの光一は、彼女をモデルとして東京へと。人を魅了してやまない雰囲気を持つ流火の周囲に起こる不思議な出来事。流火とは何者なのか…。表課題「炎の伝説」他、「ラブオーディション」「世界一幸福な男の話」「地球最後の男の話」「午後5時1分前…!」の全5編を収録した傑作集。
【最後まで描き続けたかった】約10年にわたり電子発のボーイズラブコミックを描き続けていた作者。コミックスも発売し人気も上昇、順調だったある日“舌”に違和感を覚える。「喋りにくく、咽やすい」。内科、脳外科、歯科、耳鼻咽喉科。いくつかの病院を受診しても原因が分からず、辿り着いた市立病院で告げられた病名は「筋萎縮性側索硬化症」略称:ALSだった。ペンを持つことができない現実を受け止め、進行する病と闘いながらも前向きに生きる作者の渾身のエッセイ。
好奇心旺盛な主婦、涼子たちの話題は主婦売春連続殺人事件。ある日、美人でエリート意識の高い里花に誘われ、彼女の部屋を訪れた涼子が見たのは、里花の死体だった。第一発見者の涼子に疑いの目が…。/ 専業主婦の亜希子は仲の良い主婦仲間から黒蝶貝クラブという謎の会に誘われる。大金が得られるという、願ってもないおいしい話なのだが…。
優しかった夫・葉一と自分の名前、奈々子をくっつけた、葉奈屋という名の花屋を一人で切り盛りする奈々子。彼女を残し、勝手に天国へと旅立った葉一を思い出す度、涙があふれる…。夫のいない初めての冬を迎える奈々子の店に現れた裕二は、7歳の娘に花をプレゼントしたいと言うのだが、その顔はなぜか寂しそうで…。愛があふれる珠玉のストーリー。
チンピラだった男を幹部候補までのし上げた千雪は女神と呼ばれる特別な女性。千雪を抱いた男たちは運をつかみ、出世する。彼女を抱き、その力を利用しようとした医師の仁科だが…。/ 3年前、看護師の真笛は研修医の柴崎と結ばれ、結婚を夢見ていた。だが、手術に失敗した柴崎はその事実を隠すため、真笛に恐ろしい要求を…。
19歳で結婚して10年間を日々の生活に追われるように必死に過ごしてきた貴子は、ある日、テレビで橋田牧子の姿を見る。牧子は、貴子の夫・勇二の元恋人で、周りからは結婚するかもと言われていた仲だった。勇二が肩を壊し、野球を諦めなければならず、それとともに牧子との関係が終わった後、貴子はそんな勇二と共に人生を歩む決意を固める。来月30歳を迎える貴子は、ふと「あの日、牧子と勇二が別れなければ……。あのとき妊娠しなければ……」と思うのだが……。表題作「三十路まえのアリス」のほか、「でびゅー!」、「スペシャルデー」「立花センセの適齢期」の4編を収録。「この短編集に収録した作品すべてに通じているのは、“自分で選ぶ”ということです。『三十路まえのアリス』を描いた頃は、思いがけないことが立て続けに起きていた頃だったと思います。そんなときに、自問自答した答えを描いたような気がします」(福田素子)
専業主婦の上野舞子は、同居の実父母の分も含めた家事を一手に引き受け、忙殺される毎日です。 夫の高男との間にふたりの子どもにも恵まれ、幸せなはずなのに、どこかが、何かが、満たされない。 そんなある日、疎遠にしていた中学生時代の友人、水島麻子に連絡を取ったことから物語は動き始めます。 「好きな人、いるわよ。 男の人ではないけれど」 独身のイラストレーターである麻子の恋愛事情を問うと、返ってきたのはこんなカミングアウトでした。戸惑いながらもそれを受け入れる舞子と麻子は頻繁に会うようになります。 麻子の想いびとは舞子ではなく、ふたりの間に恋愛感情は生まれません。 けれど会うたびにふたりの会話は深いものになっていき、心をえぐるような言葉を投げかけ合う時さえあります。立場が違うからこその優越感、または相手への嫉妬心もあるようです。ここまでズケズケ言い合える友だちがいたら心強いような…いや、恐ろしいような。 そんな丁々発止とも言えるやり取りの中で、ふたりは自分の心の奥底に潜む知らない方が幸せだった真実に気づきます。舞子は、資産家の母に建ててもらった広い家に暮らす自分は、ひとりの自立した人間ではなく、「母親の娘」でしかないことに。そして麻子は、望むように愛してくれなかった母への想いから、女性を求めてしまうという自分の幼児性に。彼女もまた、母という存在に囚われたままの「母親の娘」だったのですね。 1984年連載の作品ですが、舞子と麻子の会話は「専業主婦VS独身キャリアウーマン」の典型のような、今でも十分に通じるものもあります。 昔から人の言うことに大した変化はないということなのか、樹村みのりさんがとても新しい目を持つひとなのか。 さて、舞子と麻子は「母親の娘」だけの自分から脱却できるのでしょうか。 この人間臭いふたりの結末を、是非見届けていただきたいと思います。 (正直、舞子の選ぶ道は共感できないのですが…)