白泉社マンガの感想・レビュー762件<<1819202122>>カワイイ男子と観察する視点おはよう楽園くん(仮) 中村明日美子あうしぃ@カワイイマンガかずまこを先生の『純水ルミネッセンス』に掲載の『楽園まで、あと…』に登場する二次創作の元ネタが、この『おはよう楽園くん(仮)』。BLである。 『楽園』誌のマスコットである楽園くん(仮)。単行本の全編通じて、姿をしっかり描写されるのは彼だけである。楽園くん(仮)の「カワイイ」所がたっぷりと、美しい描線で描かれる。エロスは仄かでグロくないのはありがたい。 中村明日美子先生の絵が好きな方は、買って間違い無いのだが、『純水ルミネッセンス』読者の方にはここ迄の説明で、疑問点があるだろう。 楽園くん(仮)しか出ていないなら「視点くん(仮)」はどこに行った? これはもうネタバレになるので、読んでみていただいて、この作品がいかに楽園くん(仮)の為にあるか、そしていかに楽園くん(仮)が「観察される」対象であるか。その描き方の妙を面白がっていただきたい。 この描かれ方を見れば、いかに「視×楽」が正統であるか、分かるはず! これを読めば『楽園まで、あと…』が三倍面白くなる!……本当にこの『楽園』って雑誌は、面白いですね!爽やかな箱庭ファンタジー読切花ゆめAi 迷路庭園に死を 草川為無用ノスケ子ガラガラ声を持つジェマと、庭に囚われた妖精のお話。タイトルにある「死」を連想するような雰囲気はなく、爽やかで幻想的なファンタジー作品です。 結構昔に描かれた読切(2014年のLaLa7月号掲載)を花ゆめAiレーベルで電子書籍で販売したもの。ページ数は40pと少ないですが買って正解でした。 名前や設定から察するに、草川為先生の新作「もっけの箱庭」のベースになってる作品なのでしょうか。そちらも読んでみたくなりました。料理と笑いとイケメンと!キッチン パレット~小麦の恋愛風味 修行仕立て~ 高田りえソラ料理がテーマの作品でありながら、哲理を始めイケメン揃いの男達。そして大富豪令嬢でありながら給料8万で自立を始める、近くに居たら楽しいに違いないちょっとずれている26歳小麦。美味しそうなイタリア料理が次々出てきて、読みながら食欲がそそられる。小麦の絶妙な褒め方は、厳しい哲理の怒りも消してしまう。恋バナ、イケメンという少女漫画要素がたっぷりだけど、料理もしっかりと描いている。お嬢様らしからぬ小麦の行動に思わず笑ってしまう、とても楽しくて元気が出る作品。楽園までどのくらい?いや、目の前に。純水ルミネッセンス かずまこをあうしぃ@カワイイマンガこの単行本の後半は『純水アドレッセンス』の追加エピソード。養護教諭×生徒のカップルの、生徒が卒業まで逢瀬を止めようと悩んだり、結婚式とその先を考えたり、卒業後に学校に残される教師を想ったり……次々と訪れる「区切り」と向き合い、精一杯に恋を生きる物語が、爽やかに鮮やかに描かれている。 『純水アドレッセンス』を読んでいる人は、これは絶対読みたいはず! そして前半は『楽園まで、あと…』という作品。『楽園』誌で中村明日美子先生が連載されていた『おはよう楽園くん(仮)』の二次創作に勤しむ同人作家とその恋人の百合。因みに『おはよう楽園くん(仮)』はBLである。 二人の「区切り」は同人誌即売会。印刷所の締切を巡ってアレコレしたり原作の新展開に萌えたり推しカプで微妙な感じになったりと色々あっても、怒涛の即売会を乗り越えて二人は……という感じのお話だ。 ♡♡♡♡♡ 遠い将来を考えると、同性カップルでなくても、不安になる。だからまずは目の前の「区切り」を一つひとつ、精一杯に満たされる。それの積み重ねが、確かな将来なのかもしれない……そんなメッセージが全体を貫いていると感じた。 楽園まであと、どのくらい?という問いには「先ずは目の前のオアシスで喉を潤そう」と答えたい。 ♡♡♡♡♡ そしてもし興味がおありなら、『おはよう楽園くん(仮)』も一緒に読んでみると面白い。二人が何を見て悶えていたかとか、二人の繰り出すセリフの元ネタなど……色々分かって面白い。そして中村明日美子先生の引く美しい曲線と、カワイイ楽園くん(仮)の、微妙に醸し出されるエロスが癖になりそう。 BLは守備範囲外の私でも楽しめた、愛らしい小品! 養護教諭が生徒に貰う、恋の熱純水アドレッセンス 完全版 かずまこをあうしぃ@カワイイマンガ教師を呼び捨てにする、不躾で、でも真っ直ぐな女生徒。養護教諭はその怒り顔と、愚直な愛を気に入る。密かに付き合い始める二人だが……。 ♡♡♡♡♡ この作品で印象深いのは、教師の松本律子のスカした表情に対する、女生徒・奥村ななおの真っ直ぐ見つめる怒りの表情だ。 そこにあるのは、どこまでもブレない恋心。 年の差百合の、『星川銀座四丁目』『草薙先生は試されている。』等でも見られる、気の強い年下女子の突破力……なのだが、それにしても、ななおの目力と言葉の強さが凄い。見ていると目眩がして来るその圧力で、ななおは二人の恋を強力に主導していく。 一方松本は、大人っぽくななおを翻弄するようでいて、実は先行きを考えすぎて、恋に二の足を踏む。二人の恋愛で起こる、力関係の転動が面白い。 真っ直ぐな心が、考えすぎて混乱する心を救う図式は、幾つかのサブストーリーの中にもあり、特に過去の恋を引き摺る女教師の話など、切ない。 サブストーリーも含め、『純水ルミネッセンス』という単行本の後半に追加ストーリーがあるので、併せてご覧いただきたい。お茶の合間に…紅茶王子 山田南平名無し紅茶の中から出てきた紅茶王子こと、アッサムとアールグレイ。願い事を3つ叶えてくれるのに、奈子も美佳もなんですぐに願い事を言わないのかが不思議だった。自分なら願い事3つぐらいすぐ浮かぶのだけど。でも願い事を叶えて貰ったら紅茶王子は消えてしまう、それは寂しい。紅茶王子には、いつまでもお茶会同好会の仲間として奈子のそばに居て欲しい。紅茶のウンチクなどもあり、楽しい学園ファンタジー作品なのですが、内容の割には全25巻と長巻です。一気に読み通すよりも、お茶の合間に少しずつ読みたいマンガです。これは最高に熱い漫画家マンガだ…!描かないマンガ家 えりちんかしこ漫画専門学校に通っている渡部勇大(26歳)こと、描かない漫画家・器根田刃(きねだ・やいば)先生が主人公。とにかく言い訳ばかりして描かない!のですが、漫画愛は人一倍ある厄介な男です。しかし悪い奴ではないので友達は多いし、なぜか才能ある女性漫画家にもモテたりします。実は中盤から主人公以外は学校を卒業してどんどん漫画家として活躍していくので、そこから漫画家マンガとして熱い展開になっていきます。例えば20代前半で連載デビューすることの苦労だとか、6500万部売れた少女漫画家とか(ちなみに6500万部はキングダムレベルです)、ネタが細かくて面白いんです。キャラも個性的な人ばかりなので笑いっぱなしだし、脇役達にもラストがちゃんとあるのがすごくいい。肝心の器根田刃先生が漫画を描いたのか?描かなかったのか?はとても大事なところなのでネタバレはしないことにします。全7巻あっという間なのでぜひ読んでみて下さい! 夏目友人帳スピンオフ4コマニャンコ先生が行く! 緑川ゆき カネチクヂュンコ名無し表紙のかわいらしさに惹かれて読んでみました。私たちの世代でニャンコ先生といえば、いなかっぺ大将を思い出すのですが、こちらのニャンコ先生はなんともほんわかした気分にさせてくれるかわいらしい作品です。夏目友人帳本編を読んでいない私でも楽しく読めました(読んでいればなおのこと楽しいはず)。 世の中が心配ごとや不安が多い昨今、頭の中をふんわりと空にして、気がついたらくすりと笑ってしまって、あたたかい気持ちになりたいときにおすすめです。誠実な二人の恋は臆病、でも優しい。ディアティア かずまこをあうしぃ@カワイイマンガ周囲の女子が次々と告白しては振られる、先輩の成田秋人に疑問を持って近づいた桐ヶ谷睦子は、彼の重い内情を見てしまう。一方、傷つけるのが怖くて女性を避ける秋人は、強く真っ直ぐに自分を見つめる睦子に、初めての恋を覚える。 互いに初めての恋の戸惑いと、相手への思い遣りと、止められない感情を不器用に交わし合う、とても純粋な恋物語。この物語の魅力は二人の誠実さ、真っ直ぐさにある。 高校生にもなれば、恋人同士ならキスのひとつや……くらい、と思ってしまうが、この二人は恋人らしいこと一つするにも、相手の立場や気持ち、そして周囲の事まで、あまりにも生真面目に考えてしまって、なかなか進展が無くてヤキモキさせられる。 しかしその誠実さは、周囲と読者に安心感と、応援したい気持ちを与える。二人の遣り取りと、悶々とした感情にハラハラしながらも、きっとこの二人なら大丈夫だと思わせてくれるのだ。 問題は、秋人の「優しさ」が「怖れ」の裏返しであること。睦子や周囲との関わりで、彼が本当の優しさと「安心」を得ることが出来るのか……。 それにしても、睦子の真っ直ぐな瞳と、二人の嘘の無い遣り取りは、どこまでも眩しい。出来るならば、彼らを見習って真っ直ぐな恋をやり直したくなる。そんな作品だ。 □□□□□ 1巻が出た時、内容とリンクしたカバーニス加工に、やられた!と思ったものだが、これも名和田耕平デザイン事務所の仕事だった。明るく楽しく笑えるグルメ漫画食と薔薇の日々 松苗あけみ名無し「純情クレイジーフルーツ」で有名な松苗あけみさんのグルメ漫画です。貧乏な家に育ち、食べることが大好きな女の子・米(まい)ちゃんが、お金持ちのお嬢様の和菓子(わかこ)の家のレストランの売り上げを上げるべく奮闘するストーリーです。 専門的なグルメ漫画ではありませんが、恋愛とグルメが混じった松苗ワールドが楽しめます。明るく楽しい気分になれる漫画です。 お馬鹿男子との恋は成り立つか? #1巻応援メビウスハート ―ディアティア外伝― かずまこをあうしぃ@カワイイマンガこの作品は、かずまこを先生が『楽園』誌で連載した、高校生男女の恋愛漫画『ディアティア』のスピンオフ。主人公・桐ヶ谷睦子の友人・諏訪環の物語である。 行動の早い環の恋は睦子の恋を刺激したが、環の恋の実際は、本人の報告からしか分からなかった。そこを環の高校入学時から描いているのが、本作だ。 環の恋の相手・佐久間は、典型的な「お馬鹿男子」。ガサツでバカばっかりやって、見てる分には面白いが、時に真面目な女子が腹を立てる様な。読む前は彼の恋愛話が、読み応えのある物語になるという気が、あまりしなかった。 しかし、佐久間の心理描写、とりわけ「女子嫌い」が描かれるうちに、物語は深みを増していく。 佐久間は女子の、自分への評価を、どこまで分かっているのか……彼の内面描写が、かなり丁寧になされる。男子らしい自意識で苛立ち、女子への感情を拗らせている佐久間の内面は、同じ男子の私には結構、共感できる。 一方、佐久間の男子ノリが好きな環は、女子のノリや、女子達の佐久間への態度に違和感を感じる。この環の心境は、「同調圧力」に覚えがある人は、理解できるのではないだろうか。 環に芽生えた佐久間への恋は、彼の友情との取り引きになる。恋を告げた瞬間、友情は失われるのか……? 1巻では1年生が終わり、新学年、環が睦子達と出会う所まで。 2巻以降、ある程度二人の進展は『ディアティア』で知っている訳だが、そこでの二人の心理描写や対話の細部がどの様に描かれるのか……1巻は瞬間の思考と、繊細で丁寧な心理描写に心動かされた。2巻も期待して待つ!少女がたくましく成長していくお話暁のヨナ 草凪みずほ名無しすっかりアニメ化などの流行に乗りそびれ、つい最近無料キャンペーンで初めて読んで、どハマりしました。 初めは、か弱い夢みがちなヨナだったのが、物語が進んでいくにつれただ周りの男性に守られるだけじゃなく、自分から戦いに行くかっこいい女性に成長していきます。スウォンに裏切られつつも、好きな気持ちを断ち切れない。旅が進むごとのハクとの関係性にもキュンキュンします。また、シリアスな場面もクスッと笑わせてくれる、大好きな作品です。 元々古代中国系のお話が好きですが、少女漫画でそういった描写はそこまで期待していませんでした。ですが、街並みから服装といいとても凝っていて素敵です。大切なことが詰まってる青春物語キラメキ☆銀河町商店街 ふじもとゆうき名無し人情味あふれる商店街に住む男女6人組の幼なじみたちの交流に、心から温かい気分になれたり、時に涙して、笑顔になれる物語です。成長していくにつれて普通は離れていってしまう心を、しっかりとつなぎとめていく主人公たちの姿に何だか救われる思いがしました。友情も愛情もただ楽しいだけでなく、一筋縄ではいかない色々な問題が起こるけど、みんな相手のことを心から思いやっていて何度も泣けました。 イケメン兄弟と同居!きょうだいごっこ 安斎かりん名無しイケメン兄弟といきなり同居することになった女の子のドタバタ劇。 主人公は一人っ子なので、いままで兄弟と一緒にくらした経験がないため、いろんな場面であたふたしてしまう。そんな彼女がとても純で思わずキュンとしてしまいました。 それにしてもイケメン兄弟と暮らせるなんてラッキーだな…2巻で終わってしまったのが非常に惜しい。疲れたな~ってときに読みたい微ラブコメうたかたダイアログ 稲井カオル名無し毎日忙しくてイライラしている人におすすめです。コンビニでバイトする高校生男女のなんてことのない日々ですが、二人の会話がとにかくテンポがよくてクスっと笑えます。発展するのかしないのか微妙なラブコメ要素がちょいちょい出てくるところも癒しポイント。気持ちがリラックスする作品でした。サッカー界の闇を暴く代理人マンガ #1巻応援フットボールアルケミスト 12Log 木崎伸也ANAGUMAスター選手がクラブを渡り歩くたびに巨額の資金が動くプロサッカー界。そのカネの流れを操るのが「代理人」です。 実際に2019年の夏の欧州市場では1シーズンで7000億円近い金額の取引があったそう。 参考:https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=63688 クラブからクラブへ選手を移籍させて金を生む…代理人はまさしく「錬金術師」といえます。 一方でファンからすれば代理人は選手の未来を導く天使にも、あるいはどん底に突き落とす悪魔にも見える存在です。 本作の主役の一人、先崎も凄腕の代理人ではあるものの「金の亡者」なんてあだ名を付けられています。代表監督への口利き、クラブオーナーへの圧力など、選手の価値を釣り上げるためなら手段を選ばないダーティな側面はなかなか衝撃的。 一方で純粋に選手を想っての行動やサッカーに対する真摯な姿勢も共存していて、代理人という謎に満ちた仕事を紹介するのにふさわしい魅力を持ったキャラクターです。 主人公リサの兄をめぐる陰謀じみたドラマも読み応えがあり、「フットボールとカネ」という刺激的なテーマに踏み込む気迫を感じました。 サッカー界の闇のドラマをどう描いてくれるのか楽しみな連載です! 王道のヤンキーバトル漫画VF-アウトサイダーヒストリー- 林崎文博名無し一時のヤングアニマルの看板作品だった、ヤンキーバトル漫画です。 内容はこのご時世ですから、真面目な人や、女性などが読むにはあまり薦められないかもしれませんが、しかしそれも序盤だけ、中盤から後半にかけては王道のヤンキーバトル漫画路線を行っています。行き違い空回る恋のパラドックスうそつきパラドクス きづきあきら サトウナンキ名無し遠距離恋愛中の彼氏持ちの同僚を好きになった男と、その好意に気付きながら煮え切らない女の、恋になりそうでもう一歩の所でならないすれ違いにドキドキします。一線をこえるかこえないか、きわどい駆け引きに伴う背徳感がたまりません。女の子のボディがむちむち肉感的なのもセクシーです。 女性向けの絵柄をしていますがお色気シーンも多く、内容はわりと男性向けです。ドロドロしてる面もありますが面白いです。ある意味で主人公がぶれてないのでそこまで嫌な感じがしないのも良いです。。キャラクター達の名前が面白い。 少し古めの漫画ですが、アプリ等で全話公開していたのでそれで読んだ人も多のではないでしょうか。 なんと現在は続編が連載中です。相変わらず美しい。秘密 -トップ・シークレット- 清水玲子名無しシビアなSF少女漫画好きの方に、是非ともお勧めしたい漫画家さんです。この作品は一編ずつ独立したお話が多いので、読みやすいと思います。舞台は近未来、死亡後に取り出した脳で、記憶がモニターで再生されるようになっている世界(死んだ後に脳内丸裸ですよ)と、非常に恐ろしい設定なのですが、描かれる1コマ1コマが美しく、少々グロい世界も幻想的に昇華してしまいます(笑) 全巻買い揃えたい彼方から ひかわきょうこ名無し何度も読み返しても、飽きない!! 主人公とヒロインの信頼関係が本当に好きです。世界観がしっかり作られていて、本筋のお話も凄くダイナミックでどんどん激しい展開になっていくのに、2人の変わっていく関係がとても丁寧に描かれていて、読む度に新しい発見があります。 まだ電子版でしか読んでないんですが、書籍購入もしたいです。10年振りにハチクロを読み返したハチミツとクローバー 羽海野チカかしこハチクロの連載終了時が高校1年生だったので、私も大学生になったらこんな青春をしたいな〜と憧れながら読んでいました。気の合う仲間達と遊覧船に乗ってお弁当を食べたり、クリスマスパーティーをしてツイスターで遊んだり、笑ったり泣いたりしたかったのですが、実際にそんな感じの大学生活を送れるはずもなく…。月日は流れ流れて、あの頃大好きだったハチクロをこのたび10年振りに読み返してみました。 まず衝撃的だったのは、どんだけダサダサな服でも見事に着こなしてしまうおしゃれチャンプの山崎さんが年下になってしまったこと!彼27歳なんですって。若造ですやん。そんな感じで主要キャラの大学生5人も自分より年下になってしまったので、今回改めて読んでみたら大人キャラ達にとても共感するようになりました。例えば、野宮さんの山田さんに対するアプローチを見た山崎さんが「何でお前の恋愛ってさキズつけるのが前提なの?オレは好きなコができたらうんと大事にしよう…ってずっと思ってきたぜ?」と言ったことで、野宮さんがとうの昔に脱ぎ捨てた青春スーツをもう一度着ることになるこのシーン。これを読んで私は…ハッ!青春と呼ばれる時代が遠く過ぎ去ったとしても、あの甘酸っぱい感情とエネルギーは再び装着できるんだ!と目からウロコでした。(山崎GJ!あなたと一緒に大人になったって壊れない友情があるってコトを証明したいです!)ラストでは花本先生も青春スーツを再装着するのがいいですよね〜!むき出しの感情が人生を変える瞬間はキラメキに満ちています。大人になったことでようやく気づけた物語がありました。 ちなみに一番カッコいいと思ったのは美和子さん。私もまぜご飯番長になりたいです!強くて表情がよく変わる主人公の出てくる漫画はいいスキップ・ビート! 仲村佳樹む懐かしい〜!と思いつつ読んだことあったかな、と記憶が怪しいです。 昔も今も強い女子、強い主人公は読んでて気持ちがいいですね! あと表情がコロコロ変わって、次のコマでいきなりデフォルメになったりするのは昔の漫画は多かった気がします 今読むとここまで1ページに情報詰め込まれていたのかと驚きます。 今だと15冊も読めるそうなので是非! 空気な存在でも「味方」にはなれる理不尽のみかた 柳原望名無し誰もが「理不尽なしうち」は経験する。 仕事でも、私生活でも。 そして漫画やドラマの中では、それらの理不尽を スカッと解決してくれるヒーローが多数登場する。 頼れる家族や仲間、プロフェッショナルな弁護士や医者。 仕事人や魔法使いやドラえもんなど。 だがこの漫画「理不尽のみかた」の主人公・佐倉縁は、 凄腕だとか敏腕だとか豪腕だとかの解決人ではない。 検察審査会事務局員。 ザックリ言えば裁判所の事務員さん。 不起訴になった案件について、その判断が適当だったか 再検討をする場の運営に携わる公務員だ。 佐倉自身が理不尽に白黒をつけるわけではない。 はなからそんな裁量や決定権がない。 むしろ、徹底して第三者でいなければならず、 被疑者側・被害者側、どちらにも利益を提供しては いけない立場の人間だ。 あえて言うなら問題に対して無力だ。 その場の空気でいなければならない存在だ。 普通ならドライな感覚に徹して、 仕事を事務的にこなせばいい。 いっそ、他人の不幸は蜜の味、と楽しむことも可能。 だが佐倉は自身も過去に体験した理不尽を引きずっており、 毎日毎日、目の前で繰り広げられる理不尽群像劇を 見せつけられ、かなり疲れていた。 そんな佐倉のアパートの隣の部屋に、 イケメン外国人留学生が越してきて、 成り行きでボランティア的に観光案内をしたり、 天然ボケに振り回されることに。 より疲れてしまう佐倉だが、偶然の作用もありながら、 迷惑をかけたりかけられたりしたときの 心の持ち方など色々なことを考えるようになる。 そして「なにもしない」とか「できない」とか、 「仕方ない」ということにたいしての、 自分なりの答えを見出していく。 主人公は理不尽に対してオールマイティな解決策や 必殺技を持っているわけではない。 だからといって無気力無関心には逃げない。 空気の立場で出来ることを模索し、 カン違いや結果オーライなだけなこともあるが 理不尽なめにあって心臓がいたい人を 空気な立場で「味方」になって支える。 また、その空気感が適度に(自虐的だったりもするが) 明るくて前向きで良い。 理不尽話を少しだけれど笑い飛ばせる。 ちょっと独特な「理不尽の見方」をする個性的な漫画。 OLが異世界で大健闘薫子 イン ワンダーランド 唐沢千晶名無しごくごく普通の企業OL・大和薫子が、なぜか異世界へまぎれこんでしまうというファンタジックな作品です。始まりはいわゆる異世界転生的な展開です。薫子が会社の制服のまま、異世界で活躍してなじんでいくのがシュールで面白いです。題名で示されているとおり、ところどころ『不思議の国のアリス』のパロディもあります。異世界に行っても自力で生きていく薫子が、健気で逞しくて読んでいて楽しかったです。<<1819202122>>
かずまこを先生の『純水ルミネッセンス』に掲載の『楽園まで、あと…』に登場する二次創作の元ネタが、この『おはよう楽園くん(仮)』。BLである。 『楽園』誌のマスコットである楽園くん(仮)。単行本の全編通じて、姿をしっかり描写されるのは彼だけである。楽園くん(仮)の「カワイイ」所がたっぷりと、美しい描線で描かれる。エロスは仄かでグロくないのはありがたい。 中村明日美子先生の絵が好きな方は、買って間違い無いのだが、『純水ルミネッセンス』読者の方にはここ迄の説明で、疑問点があるだろう。 楽園くん(仮)しか出ていないなら「視点くん(仮)」はどこに行った? これはもうネタバレになるので、読んでみていただいて、この作品がいかに楽園くん(仮)の為にあるか、そしていかに楽園くん(仮)が「観察される」対象であるか。その描き方の妙を面白がっていただきたい。 この描かれ方を見れば、いかに「視×楽」が正統であるか、分かるはず! これを読めば『楽園まで、あと…』が三倍面白くなる!……本当にこの『楽園』って雑誌は、面白いですね!