レッツゴー武芸帖

「…お主の名は?」「読売…勧誘之介…」

レッツゴー武芸帖 よしもとよしとも
名無し

1988年に漫画アクションに連載された江戸時代初期を舞台としたおちゃらけ剣豪もの。 全体的にはギャグ寄りな雰囲気なんだけど法人の過去や幕府の陰謀など所々シリアスなトーンも垣間見える。主人公・吉本良明の 世の中ナメ郎な豪快さ好き。「スリーマイル・吉本」とか「げんぱつ」は笑うわ。ヒロインの笹月さつきもかわいいしエロいし。 ヤケクソっぽいメタネタも味わい深い。 唖然としか言いようがないTHE☆投げやりなラストも必見です。封建的な江戸の世に中指を立てるロックさ、カッコいいぜ。 よしもとよしともの数少ない長編作品。 この時剣豪ものを描いたのは一緒に呑んでた白山宣之の勧めで時代小説をいろいろ紹介してもらったらからと何かのインタビューで答えてました。 あと、2chの古いよしもとスレによるとアクション連載時は現代の日本に坂本と良明がタイムスリップする…って展開だったとか。いずれ国会図書館行ってそこんとこ確かめてみたいところ。 マンバに登録された1988年に出たものと1999年に復刊された版の違いだが、 前者は表紙が自筆で極めて短い一言コメントが巻末にあり、後者は表紙が細江道義でいしかわじゅんの辛口な解説が載ってるというのがそれです。 じゃ、股。

京都寺町三条のホームズ(コミック版)

説明しすぎな骨董品屋

京都寺町三条のホームズ(コミック版) 秋月壱葉 望月麻衣
名無し

骨董品や美術品はを言葉をしゃべらない。 けれど名品は見るものが見れば多くのことが伝わる。 しかし世の中は目利きの人ばかりではないので、 ときに鑑定人による説明が必要となる。 説明をしてもらうのならばわかりやすくしてもらうのに 越したことはない。本来ならば。 「京都寺町三条のホームズ」はまだ第一巻しか読んでいない。 この先に二巻以降を読みたいかと言われれば複雑ではある。 第一巻のなかでとても面白いと思った話もあるのだが、 話の中には、こういうのは好きじゃないな、 と思える部分もあったので。 もしも第二巻以降が、 犯人はだれだ、みたいな話じゃなくて 色々な骨董品の様々な意味や価値を、 読んだ人間がそれぞれに自由に想像して楽しめる、 みたいなそんな話が多いのなら読んでみたいと思った。 主人公が語りすぎるように感じた。 物言わぬ骨董品や美術品にかわって名鑑定人の主人公が語る。 語り方には品があるし内容に説得力もある。 ちょっとした洒落っ気もある。 しかし骨董品には語らない良さもあると思うのだ。 骨董品自体がしゃべれないからこそ感じられることや、 見てわからない人には説明してもしょうがないことや、 むしろ説明しないほうが良いことすらあると思う。 主人公・ホームズには殆どそういう考えはないようで、 その品の故事来歴から価値価格、作者の意図まで とてもわかりやすく説明する。 鑑定人や探偵としては名人だし有能なのだろう。 しかし商売人とては儲からんことしかしていないし、 趣味人としては野暮なレベルに感じた。 またページに限りのあるミステリ漫画だからしょうがないが、 絵に雰囲気や情緒を出す役目をふりすぎていて、 セリフや文章に、物語の説明の役目を振りすぎな気もした。 さらに主人公以外も登場人物が殆ど 素直すぎるレベルで心中を詳しくわかりやすく吐露する。 わかりやすいし話はやいけれども、 そのへんはもうすこし抑えて、秘するが華というか 各人の心の中に収めて終了、とかのほうが 良かったんじゃないかと思ったりした。 そもそも犯人捜し、みたいな話になると、 限られたページ数で登場人物も少ないのに 伏線も張りつつ意外な結果だと演出しなければならず、 言葉でのはしょったような説明が多くなり、それでいて こいつしか犯人はいないよな、と早々に分かりやすい。 最後になって、それまで登場していない人物を犯人として 登場させるわけにもいかないのだからしょうがないが。 「漫画文化論」みたいなことを主人公が語る話もあって、 それはすごく興味深かった。 けれども同時に 「いやいやいくら何でも漫画の業界人でもないのに  どこでそんな知識を習得して理解して  説明できるようになったんだよ」 とも感じてしまった。 あなたホントは骨董品屋じゃなくて漫画業界人じゃないの、と。 二重の意味で面白く感じたけれど(笑)

やっちまったよ一戸建て!!

家を建てるという自虐プレイ

やっちまったよ一戸建て!! 伊藤理佐
名無し

世界に一つの自分の家を建てるのが昔からの夢だったの、 その夢をついに実現させる時が来たの、 という話かと思ったら 実は、今がおトク!の言葉にフラッときて、 気が付いたら1年半以内に家を 「建てなければならない」 という立場になってしまった話だった。 大慌てで自分に合った家を考えるはめになり、 それは自分はどういう人間か、を考えることになり、 結果、徐々に具体化していく家の設計図はなぜか 「一人用三階建て一軒家」 アレこういう家でいいのか、という思いは そんな自分でいいのか、という思いにつながり、 家が出来ていくにつれて自分の心が傷ついていくような、 まさに「やっちまったよ!」な、 ノンフィクション・エッセイ漫画。 成功した人ってよく「御殿みたいな家を建てた」とかの 話を聞きます。 漫画家でも小林まこと先生とか西原理恵子先生とかが ナントカ御殿を建てた、みたいに言われていたし。 伊藤理佐先生もヒット作を生み出しているし 売れっ子漫画家と言っていいと思います。 だから30歳バツイチ独身という立場であろうとも なんだかんだ苦労しつつも新築一戸建てを建てる財力もあり、 けして自分を卑下する必要はないし 自分は成功者だ、と胸を張って豪邸を建てもいいと思います。 それにこうして漫画ネタになったのだし。 まあ少しくらいは「どう転んでも漫画ネタになるし」 という目論見も最初にあっての家造りだったかも、 とも(それで数千万円かけるか?とも)思いますが・・ 一方で、これは読後に知ったのですが、 家を作り始めた時には 「30歳バツイチ独身女子」だった伊藤先生ですが、 この漫画を描いて数年後に同業の漫画家の 「吉田戦車先生」と結婚したそうです。 この漫画の伊藤先生と、あの吉田先生がご結婚って、 さぞかし楽しい幸せな家庭を築いているでしょう。 私は伊藤先生と知り合いでもなんでもないけれども 「人生いろいろあったみたいだけれど、  良かったねえ、伊藤先生。」 と誠に勝手ながらではありますが思ってしまいました。

クモノイト~蟲の怨返し~

「虫」というハードルはあるが先が気になる作品 #1巻応援

クモノイト~蟲の怨返し~ 荒巻美由希
なかやま
なかやま

作品のタイトル通り「虫」です! 全話余すところなく「虫」!苦手な人は生理的に受け付けないはず そこを無理に「虫は出てくるけど、いいですよ!」で読んでもらうのはちょっと違うと思うので、虫は嫌いだけどちょっと気になった人は、作者さんの過去作 時忘の捨姫 をどうぞ あらすじ 主人公の恩田は子供の頃から虫が好きだった ただ、誰しもが持っている子供時代の無邪気な無残さによって多くの虫を興味本位から殺してしまっている 大人になった恩田にその虫たちが【怨】を返しに来る・・・ 私の感想ですが「虫」が出るは出るのですが、イメージとして"グロい"というのは感じませんでした、どことなくギャクテイストです。 これが意図したものなのか?それとも読むハードルを落とすためのものなのか?が個人的に非常に気になっています。 この作者さんの作品を読むとなかなか知的な主人公たちが登場するので、現状「虫」たちにかき回されている恩田くんがバケる可能性も大いにあるかと思っています。 先の展開も気になる作品です。 そしていい感じに着地点が見えないのも個人的にポイント高いです。 完全に「怨」で終わるのか、それとも「恩」が出てくるのか? 完全にバッドエンドで終わることも、この主人公だったらみんな納得はできるけど、もう少し足掻く部分を見てみたい気もする! そしてタイトルの クモノイト ですが、1巻時点では蜘蛛は出てきていません・・・ 二巻が気になる注目作です

じょしまん。

これはnice yuri. #1巻応援

じょしまん。 吉田丸悠
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

前の方のクチコミでこの作品が「百合」かどうか断定されてなかったのですが、1巻最後まで読んでみたら、とても良い百合でした。 1話では、接点の無かったギャルと地味メガネ、二人のJKが漫画の師弟関係となり、更には苗字呼び捨ての友人関係へと進みます。私はここまでで、この作品は「女性同士の尊い関係性物語=百合」になると信じて購入(勿論恋愛関係になるとは限らないので、かなり距離の近い親友=ロマンシスの可能性も高い)。 少女漫画家志望のギャルは、エロ漫画家である地味メガネのアシスタントをしながら、ネームのダメ出しをされる日々。創作に本気になればなるほど、互いを認めてゆき、心許す。いいですねエモいですねぇ……。 そしてラストのアレですよ。 もうこの物語、漫画家物語としても百合物語としても、尊いものになる予感しかないわけです。 漫画を「好き」という気持ち、プロの拘りと本気で取り組む事、真剣な創作現場と同志への思い……百合漫画としてでなくても、熱いものが充満しているこの作品、1巻にして至高。 それにしても、恋と性に踏み込めない二人がぶつかり合ったら……やっぱりそれは、百合なんでなかろうか?

入浴ヤンキース

男子高校生2人の趣味は…銭湯巡り!

入浴ヤンキース 奥嶋ひろまさ
たか
たか

読む前からわかってたけどやっぱ面白れ〜〜…!!新連載のたびに「ヤンキー漫画の名手」と表現される奥嶋ひろまさ先生ですが、今回読んでやっぱりヤンキーをかっこよく描く天才だなとあらためて思いました。 タイガー&ドラゴン(懐かしい)と呼ばれている主人公2人のよく喋る方・竜哉の、畳み掛けるような銭湯レポートがたまらない…!成り飯でファンになった自分は「これだよこれ…!!」と思わずニッコリしてしまいました。奥嶋先生の描くギャグシーンは毎回ボケがいいんですよね…かわいくて優しい。 そして「イケメンが風呂に入ったときにやってほしいカッコいい仕草」と言えばアレしかないと思うんですけど、それをバッチリ見せ場を作ってやってくれて「は〜〜!もう最高…!」という感じ。 しかもそのカッコいいシーンの見せ方がやりすぎてない、自然なところもまたいい。露骨に描きすぎると意図的なサービスシーンになってしまい「媚びてる」と感じるものですが、それがない。あくまでキャラの「カッコいい見せ場」というレベル。その匙加減が素晴らしい…! 2人が次にどんな銭湯に行くのか、今からメチャクチャ楽しみです。 【追記】現在、奥嶋先生が作画を担当しているBL作品『同棲ヤンキー赤松セブン』1巻の表紙も銭湯ですごく素敵です。こちらもヤンキー高校生が主人公ですが、生活描写がとにかく生っぽい実写ドラマのような作品ですのでこちらもぜひ…! https://comic-action.com/episode/13933686331613282934

ふらら一人でできませんっ

ふららちゃんかわいい、だけでいいものかどうか

ふらら一人でできませんっ 渡邉ポポ
野愛
野愛

ふららちゃんは女子高生ですが何にもできません。自販機でジュースを買えないし美容室にも歯医者にも学校にも1人で行けないしパンツも履けません。 大抵のことはお母さんと幼なじみの錦ちゃんが全部やってくれます。 というように1人でできない具合がとんでもないです。どうして何もできないのか特に語られる様子もありません。最初から最後までほのぼの可愛いコメディのノリでふららちゃんは何もできないままです。 ふららちゃん何もできなくて可愛い!錦ちゃん不憫で可愛い! っていう受け止め方で合ってるんですかね…?それだけ受け止めればいいんですよね…? と不安になるレベルでふららちゃんは何もできないのです。 弱いものは守りたくなるし、可愛い子のわがままに振り回されるのは楽しくもあるし、この人はわたしがいないと何もできないと思うのは割と気持ちいいものだったりします。 ふららちゃんは高校に進学し、普通の可愛い女の子のビジュアルを保ち、ゲームをしたり映画を見たりするような知性と常識はあるはずなので、できないのではなくやりたくない気持ちが強いのだと個人的には感じました。 ということはお母さんや錦ちゃんが保護しすぎたせいでこうなってしまったのか、世話する喜び、振り回される喜びがあるのか…などと考えを膨らませてしまいます。 ふららちゃんかわいいねえ、で読み方は合ってると思うんだけどなんだか倫理観を問われているような気がしないでもないのです。 ふららちゃんはさておき、ふららちゃんのお母さんがかわいい。