(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
1年以上前
『A-A'』が好きだ。 名作・傑作・問題作だらけの萩尾望都作品群でも、なぜか特に好きだ。 クチコミに投稿しよう…と思って、一応読み返してみて、驚いた。 これ、40数ページしかないのか…。 SF的設定や物語展開の「濃度」が濃すぎて、あきれた。 そこは、今の読者にとって、ちょっとハードル高いかも。 しかし、思い返せば『ポーの一族』も『トーマの心臓』も『11人いる!』も『銀の三角』も『百億の昼と千億の夜』も、70年代の萩尾望都は、ムッチャクチャ濃かったよなあ。 『メッシュ』から始まる80年代は、『半神』や『マージナル』など傑作が目白押しで、男性である自分は、この時期の一連の作品で萩尾望都ワールドに完膚なきまでにノックアウトされるのですが、それでもまだ全然濃かったんだなあ。 (『イグアナの娘』や『残酷な神が支配する』の90年代は、インパクトがわかりやすく強烈です。個人的には、少し情緒が勝っているように感じるけれど) とにかく『A-A'』。 惑星開発、クローン、一角獣種…豊穣で重層的な予見に満ちた表象を、ごく短いページ数にこれでもかとぶち込んでいて(当時でも、最低この倍の尺が必要だと思いますよ)、この「濃さ」に付いていった当時の少女漫画読者のリテラシーの高さに感動してしまいます。 未読の漫画読者は、大変かもしれないけど、絶対読んだほうが良い。 この「濃さ」は、物語の「贅沢さ」なのですから。