ビームコミックスの感想・レビュー493件<<7891011>>定食屋を"推しごと"する百合 #1巻応援くちべた食堂 梵辛あうしぃ@カワイイマンガ五年間もスルーし続けた定食屋さんに初めて入ったところ、美味しさに惚れ込んでしまった高校教諭の女性。美味しさを伝えたいのに語彙がない! 一方お店を切り盛りする女性は、やっと来てくれた彼女とコミュニケーションしたいけれど、なかなかできない。もじもじしたり、すれ違ったり、同時に話しかけたり……中学生か!というもどかしさに笑ってしまう本作は、次第にこのお店の良さを伝えたい女性教師の、妙な情熱と迷走を描きます。 味は良いのに微妙に流行らないこの定食屋。何故?……お店に通い詰めながら何かと協力するうち、相手の言動にときめいてしまう二人。 そこにある女性教師の感情は「思い入れ」でしょうか。 味への信頼、好みの環境、そして店員への好意。大切に思い、その人のためになりたいと思う結果……ネギ配布ですよ。 "推しごと"って本当に楽しい。それはマンガでも定食屋でも同じです。そこまで出来る程思い入れられる出会いを祝福したい、そんな作品です。すばらしすぎて泣きそうです! #1巻応援いえめぐり ネルノダイスキnyaeクチコミのタイトルは主人公が本編内で発するセリフを借りました。読んでいる時まさにそんな気持ちでした。 実際のところは何もわかりませんけど、著者が描きたいものを描いてるな!と感じられる漫画を読むと、読んでよかったな〜という気持ちになりますね。ネルノダイスキさんがこの作品を描いている姿を想像すると、さながら何かの職人のように原稿と向き合っていそうです。とくに8話目なんて一体どうやって描いてるのかめちゃくちゃ気になります。 この作品は、タイトルそのまま主人公が不動産屋に連れられて様々な家を内見する話です。あまりにも想像の斜め上をいく物件ばかりで、主人公と不動産屋のテンションの差がだんだんと開いていくさまが笑えます。しかし最後は読者の想像の斜め上高度5000メートルくらい上空をいくものでした。 気になった方にはもれなく読んでほしい、いや、体験してほしい!!! ちなみに、集合体恐怖症の方はゾクッとする場面が多くあるかもです。お気をつけを。コンバットドールはいま読んでもカッコイイCOMBAT DOLL うすね正俊 Extra Works うすね正俊starstarstarstarstarひさぴようすね正俊先生の週刊少年ジャンプ時代のデビュー読切『サムソン』を含む、80年代〜90年代に描かれた短編集。秋元治先生のアシスタントを経て、新人の頃からメカ・ミリタリー描写が圧倒的であることがわかります。SF作品としては古く感じてしまう部分もあるものの、それでも『コンバットドール』などは今読んでもカッコイイ。砂漠にパワードスーツがとんでもなく映えること…。砂ぼうずの原点を感じます。デビュー単行本『Zとうちゃん THE No.1』(1984年)はExtraWorksに含まれてないですがそちらもハードなサイバーパンクな世界観に家族ドラマをかけ合わせた雰囲気で面白い作品でした。そっちは電子書籍になってないのが残念。天竺を目ざす高丘親王の幻想的な旅高丘親王航海記 近藤ようこ 澁澤龍彦名無し高丘親王航海記とても面白いです。美とエロスの人というイメージがあった澁澤龍彦ですが、ストーリーの奇想天外さに驚かされながら楽しく読んでおります。近藤ようこさんの絵のタッチが合ってますよね。ユーモアと色気があってうっとりします。この近藤さんのツイートを見てから毎号すごいものを目撃させていただいてるんだなという気持ちになりました。 https://twitter.com/suikyokitan/status/1243929971392835586 あんなに不思議な物語のすべてのエピソードを同じページ数で書くのはもちろんですが、それを漫画にするのも神業ですよね。 人生最後に誰と何を食べたい?星のさいごメシ おおひなたごう野愛人生最後に何が食べたい? 寿司や高級肉みたいな贅沢品、お茶漬けやインスタントラーメンみたいな日常食、母親や恋人が作ってくれた思い出の味などなど。 たわいもない話なのに、その人らしさが浮き彫りになって絶対盛り上がるテーマ。 主人公は編集者として働く星乃。 婚約者の一平と幸せな日々を過ごしていたが、衝撃の告白をされ結婚は破談に……。 抜け殻になってしまった星乃が、さまざまな人の「さいごメシ」を取材しながら再び前を向いていくというお話。 さいごメシを問うことで、その人の生き方や価値観が見えてくる。 人生の最後に誰と過ごしたいか、一番幸せだった時はいつか、どんな自分で在りたいか。 気軽に読める飯漫画の顔してるくせに、おおひなたごうらしいギャグも満載のくせに、人生に想いを馳せながら泣いてしまった。 自分の作った料理をさいごメシに選んでくれる人がいたら、幸せだよなあ。凶悪宇宙人集団が、"アイツ"に出会った…!! #読切応援ノストロモ対ブラックエンペラー 宮川舟nyae※ネタバレを含むクチコミです。新しい「パパ」は女性 #1巻応援 #推しを3行で推すマーブルビターチョコレート 幌山あき天沢聖司バナー広告で1話読んですぐに単行本買ってしまったのですが、女性のパパである東さんが小説家なだけあって作品自体も小説的な読み味ですごくグッときました……。 最後の終わり方はまさに「マーブル《ビター》チョコレート」という感じだけど、りこがああしたのは東さんに小説を書かすためだったんじゃないかな……作品さえこの世に出れば本を通じて繋がっていられるから。 めっちゃ面白いとかではなく、2人の関係性の良さがジワっとくるタイプの1冊です。 ↓1話 https://comic-walker.com/viewer/?tw=2&dlcl=ja&cid=KDCW_EB01202642010001_68&utm_source=gdn&utm_medium=banner&utm_content=marblebitter_336_d01&utm_campaign=marblebitter&gclid=EAIaIQobChMIg4S5-YeU9AIVzw-9Ch25yQXEEAEYASAAEgL4bfD_BwE ↓Pixiv版 https://www.pixiv.net/artworks/82757200 いつだって外野は歳相応に私を大人にしたがる #読切応援モモノユメ 新田章starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)※ネタバレを含むクチコミです。とちう私の好きな週末 三好銀たべみとちう今までなかった落ち着いた大人のカッコイイ漫画。ロスト・ラッド・ロンドン シマ・シンヤstarstarstarstarstar干し芋おしゃれなんです。 大人の落ち着いた作品。 言葉は、少ないのにキャラクターそれぞれの背景が見えてくる。 零れ落ちる言葉たちもシンプルだけど心にグッとくる。 カラーの色使いも素敵♬ 独特のタッチの画も最初こそクセが強いのでどうかと思ったが、読み進めていくうちにこの画でないと物足りなくなってくる。不思議さ。 3巻完結。 魅力にハマりあっという間に読み終わって、何度も読み返したくなる。 女子高生同士の睡眠を介した奇妙な共依存! #読切応援夢見列車のかいぶつ 山北東starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)女子高生同士のすこし不思議で歪な依存関係! 模試の結果が振るわず、夜更かしして勉強する毎日で寝不足な女子高生が電車に揺られ居眠りをしてしまう。 そんなとき、たまに見かける後輩の女の子が、電車で一緒に寝てもいいかと聞いてきて、いざ一緒に寝てみると目的地までのたった10分で何時間も寝たかのような感覚ですっきりしている。 こうして電車で一緒に寝るのが日々の習慣となっていくが…。 好きです!! 互いに名前も知らずに共に寝るというだけの利害関係のみで繋がっていた二人が、少しずつ関係を深めていき共依存のようになっていくのですが、 よく分かりもせずに続けていたその行為によってどんなことが起きてしまうのか深く考えていなかったし、考える気にもおきないように深みにハマっていく描写がとてもよかったです!! 取り返しのつかないことをしているんじゃないか、でももう離れられない、という罪悪感、背徳感も相まってめちゃくちゃいいっす!人生のさいご なに食べる?星のさいごメシ おおひなたごうnyaeまた男女が揉めて始まった新連載。 今のところ「人生の最期になに食べる?」がテーマっぽい。そして「自分のさいごメシが他人のさいごメシにも成り得る!?」という予想外の展開。これはよいギブアンドテイクな百合夢見列車のかいぶつ 山北東nyae試験勉強で根詰めすぎて通学中の電車でうとうとしてしまう主人公が、たまに見かける後輩の女学生に「自分も一緒に寝たい」と言われる。そしてその後輩と一緒に寝ると、不思議と何時間も寝たかのように頭がスッキリしているという不思議な現象が起こる。後輩は主人公の"夢"を食べているらしいのですが、良い睡眠がとれることで成績もアップしいい事ずくめ。 そして後輩は、人の夢を食べ続け、大きくそして強くなってゆく。どんどん人間離れしてゆく(そもそも人間じゃないのかも)姿に恐ろしさと同時に執着が生まれてゆく。そんな愛しきかいぶつから、もう離れられない。という話でした。 最初は後輩の方からグイグイ距離を縮めてきていたのに、気づいたら立場が逆になってしまっていた…という構図は大好物です。よいギブアンドテイク。 気になる世界観…トリ わだちずnyaeもし、これどういう話?と聞かれても説明できない。あらすじにもあるけど、不思議、でちょっとなんか怖い、という感じです。でもこの人他にどんな話描くんだろう…と気にはなってしまいます。無邪気なことは恐ろしい。おんさのひびき 新装版 伊図透名無し小学生の時って、無邪気に人を傷つけていたよなぁと、思い出した。 本当に、ちょっとしたことで仲間はずれにしたり、自分たちと違うっていうだけで悪口言ったり、何も考えてなかったにしても、いじめられて方は、後々引きずりそう。 そして、その代表が、この本に出てくるエト。 外人で、両親は、強制送還されて一人で木の上に秘密基地を作って生活している。自立した、小学生。そして、誰よりも思いやりや気遣いができるエト。何か、問題が起きるとすべてエトのせいにされるが、決して、それを否定せずに淡々と生きている。スゴイ小学生だ!! そして、引っ越してきたばかりの弱虫で運動音痴で自分で何もできない順基は、飼い猫を探している時にエトと出会い、徐々に距離を縮めていく。 学校とは、別の顔を見せる順基。 特別な、二人だけの関係。 そして、新たな秘密基地。 このまま、成長して二人の関係はどうなるのか? 地元を離れると小学生の時の同級生に会うこともなくなるので、懐かしい気持ちで上下巻読了。2021年の百合でトップクラス #1巻応援マーブルビターチョコレート 幌山あき兎来栄寿イブニング新人賞やちばてつや賞を受賞、そしてジャンプ+ に載った読み切り「二番目の運命」も最高だった注目の新鋭・幌山あきさん。待望の単行本が遂に発売されました。 端的に言って素晴らしかったです。 苦労して生きるのが嫌で、パパ活で収入を得ていたりこの下に新しく現れたパパは何と女性。 「女性のパパはダメですか?」 というアラサー女子の東には、秘めた目的が……という導入から始まる百合です。今年読んだ百合系作品の中でも屈指の良さでした。 まずテーマとされている「消費」の描き方が、非常にリアルで心に迫るものがありました。形は違えど誰しも消費したり消費されたりした経験があるであろうこの現代社会。そこに宿された覚悟や祈り、りこや東の背景にあるものも含め恐らく多くの人に色々な形で感情移入できるポイントがあるでしょう。 そして明示的に悪役として描かれたキャラが登場するのですが、彼の言っていることは露悪的ではありながら現実的には合目的的であり、誰かを傷付けてしまう雑な消費の仕方を望む大衆がいるというのも事実。彼はその象徴のようです。そうしたものに触れると生きるのが辛くなってしまうこともあります。 しかし、本当は世界にはもっと美しいものも溢れているはず。それこそこの本を読んだ後にもらえる気持ちのように。そうした美しいものをこそ大事に生きていきたいと思える物語でした。 幌山あきさんは、ありふれた素材を使っていても独自の味付けと盛り付けで美味しさを提示できる稀有な描き手です。名前を見たら今後も全部読みたいです。 恋をしない人を好きになったら1%の恋 榎屋克優starstarstar_borderstar_borderstar_borderかしこ※ネタバレを含むクチコミです。このタイトル、最後に「あー!」ってなる座ろうじいさん スズキスズヒロnyae笑えるし、いい話だな〜って読み終えたんですけど最後までこのタイトルの意味がどうも気になってしまったんですが、よく考えてみると「あー!」ってなる仕掛けがありました…そういういう意味だったかぁ〜伊図透の短篇連載伊図透のスペクトル 伊図透nyae※ネタバレを含むクチコミです。 台湾在住の作者による、映画のような新連載緑の歌 - 収集群風 - 高妍nyae※ネタバレを含むクチコミです。心霊モノだけどほっこりするいい話 #読切応援真夜中の訪問者 ハトリアヤコ名無し転職をきっかけに一人暮らしを始めたら霊が出た!しかも見覚えのある顔のヤツ!ていうか会社の同僚じゃん!ていうことは生き霊…?オレに何の恨みがあるんだよ〜!から始まるコメディーです。最近コミックビームが読み切りに力を入れてるけどその中でも特に面白いと思った。実は主人公と同僚は子供の頃は友達だったけどあるきっかけで疎遠になってしまい、社会人になって再会した微妙な関係なんです。だから同僚が無意識に生き霊を飛ばしちゃった気持ちに共感できるんだよなぁ!大人あるあるだと思う。読んでほっこりする話でした。友情は雑じゃなかった雑な生活 中憲人野愛だらしないゆう子としっかり者の佐々木のお話。 冬は下半身がこたつになるし、部屋が汚くても死にはしないし、ひとつくらい電球が切れててもそんなに困らない。 ゆう子めちゃくちゃわかるよ〜でも佐々木みたいなひとも結構いそうだな〜 って感じでゆるく楽しめます。 正反対でお互いのすることになんやかんや言い合う2人だけど、不思議と居心地が良さそうで微笑ましいです。 雑な人・雑じゃない人あるあるを楽しむ漫画かと思っていたけど、最後まで読んだら2人の友情にグッときてしまいましたね。 ゆるい絵柄にゆるいストーリーなのに、ゆう子と佐々木の関係性が尊い! 90年代後半~00年代前半の空気感BAMBi remodeled カネコアツシhysyskストーリーはシンプルで、主人公であるバンビが誘拐した子供を「ジジィ達」に届けるため、追ってくる刺客とひたすら戦う。「ジジィ達」は何者なのか、何故この子供を取り合っているのか、その謎が明らかになるにつれ、どんどんスケールが大きくなっていく。 当時活躍していたミュージシャン達がこぞってコメントを寄せているように、あの頃は音楽の影響力が強くて、ファッションやマンガ、映画などのカルチャーも彼らが牽引していた。その中でもカネコアツシ作品は「お洒落マンガ」と呼ばれ、気になる存在だった(私はお洒落じゃないので読んでなかった)。 リモデル版には作者本人の解説が載っていて、この作品でやろうとしていたことやインスパイア元が明かされている。当時を知っている人間ならすごく共感できるし、知らない人はここを頼りに色んなものを辿っていくと発見があるんじゃないかと思う。不幸につけ込む悪夢の「偽装家族」ナイトメア・ファミリー 七野ワビせんnyaeポップな絵で救いようのない悪夢を描きますよね。 主人公の美月はどこかで拾った子供のキキとぺぺと引き連れて、不幸せな家を狙って宗教の勧誘。自身が崇拝する月人様のために言葉巧みに入会まで誘います。 美月の正体はゲスい宗教家ですが、キキとぺぺのことは道具くらいにしか思ってないのかと思いきや、まだ幼いふたりを献身的に世話する様子はとてもじゃないけど悪夢とはかけ離れている。まるで本物の家族のよう。 胸糞とは言い切れない、なんともいえない空気だけど魅入ってしまう漫画です…!<<7891011>>
五年間もスルーし続けた定食屋さんに初めて入ったところ、美味しさに惚れ込んでしまった高校教諭の女性。美味しさを伝えたいのに語彙がない! 一方お店を切り盛りする女性は、やっと来てくれた彼女とコミュニケーションしたいけれど、なかなかできない。もじもじしたり、すれ違ったり、同時に話しかけたり……中学生か!というもどかしさに笑ってしまう本作は、次第にこのお店の良さを伝えたい女性教師の、妙な情熱と迷走を描きます。 味は良いのに微妙に流行らないこの定食屋。何故?……お店に通い詰めながら何かと協力するうち、相手の言動にときめいてしまう二人。 そこにある女性教師の感情は「思い入れ」でしょうか。 味への信頼、好みの環境、そして店員への好意。大切に思い、その人のためになりたいと思う結果……ネギ配布ですよ。 "推しごと"って本当に楽しい。それはマンガでも定食屋でも同じです。そこまで出来る程思い入れられる出会いを祝福したい、そんな作品です。