怪獣になったゲイ
人それぞれのアイデンティティ
怪獣になったゲイ ミナモトカズキ
さいろく
さいろく
大人になった今、振り返ると子供の頃は視野が狭かったことがわかる。 それは色んな生き方を知り、憧れや妄想、時には挫折なんかを味わい、知識を得て世界が広がってきたから今と比べたらそうだ、というだけなのだと思う。 LGBT(Q+)が今では自由として認める風潮があり、良いことであると思う反面、わからないものに対する人の態度までを制限するのは違うんじゃないかという気持ちもちょっとあるんだけど(強く思うわけでも議論したいわけでもないし、擁護したいわけでもないですが)これは自分がもう大人になってしまっているからに他ならない。 実際に"ノーマルではない"ことを苦にしている子たちは視野を広げる事が出来ない狭い世界に閉じ込められてしまっているのかもしれないと思うと、子供の頃の残酷な無邪気さは命に関わるぐらい大きな問題なのだろう。 最近は幸せなBLばかり読んできたんだなーと非常に強く感じる、心に刺さる作品だった。 添付は愚かな男の例としてわかりやすいシーン。最悪である。上の言い方でいうとこいつは視野が広がることも、広げる必要性も感じずに生きてきた大人になるのだろう。
真夜中の訪問者 -ハトリアヤコ作品集-
4月お薦めの解像度高め短編集 #マンバ読書会
真夜中の訪問者 -ハトリアヤコ作品集- ハトリアヤコ
兎来栄寿
兎来栄寿
注目の新鋭、ハトリアヤコさんが近年に『アフタヌーン』、『ビーム』やWeb等で発表された作品を集めた短編集です。 家賃1万円の部屋に移住したら幼馴染の生霊が現れるようになった「真夜中の訪問者」は、切れる縁の一方で、繋がる縁もあるということにしみじみと思いを馳せさせてくれます。 絶妙な距離感の高校生の日常が描かれる「根部くん干垣くん」は、自然体が気持ち良くスッと入ってくる掌編。8人しかいない野球部の試合を休んで、本初子午線を見に行くというシチュエーションが好きです。 小学校の同窓会に行くコンビニバイトの女性を描く「カタツムリ溶かす」に宿る若気の至りや歪んだ感情は、人によっては強く共感し刺さるところでしょう。 学校内カーストでは下の方でありながら、とても仲の良い友達との悲喜交交の日常が切り取って呈される「鈴木と山田。」は、それぞれのワンシーンの解像度の高さが光ります。同じクラスの退学したヤンキーの彼は今どうしているのかな……。 田舎の女子大生に生じる微妙な感情が紡がれる「花のつぼみ」には、言語化し難いところを上手く掬った『ちーちゃんはちょっと足りない』を髣髴とさせる部分もあります。 「ミモザより」は読んだ後に心が軽くなり、そしてもう一度最初から読み返してしまう物語。私も3月にミモザを買ってドライフラワーで家に飾ってあります。 「日常ポリッジストーリー」は一番最近の作品ですが、今だと「タコ○○(ピー)」を思い出さざるを得ない宇宙からの来訪者が登場するお話。読了後の爽快感がとても素敵で、更なるマンガ力の高まりも感じられる作品です。 帯には幸村誠さんの「この方の描く漫画には、人の心をかきみだす何かがある!」というコメントが寄せられていますが、良感情・悪感情どちらのベクトルにも引っ張ってくれる確かな力量があり、今後のご活躍もますます楽しみです。
フィリピンではしゃぐ。
はしゃいで英会話力を上げたい
フィリピンではしゃぐ。 はしゃ
さいろく
さいろく
一番の問題はそんな時間がないということ。 大半の人はそうだろう。でも世界って広いし、常識だと思って働き詰めでやりたいことやらずに幕を閉じるのはもったいないって思っちゃう。 そういう時、こういうマンガ(というかほぼエッセイ)があると代わりになってくれるか、背中を押してくれるかするのだ。 10代だったら、20代だったら・・・とかそんなのは言い訳でしかない。 自分に言い訳しても納得できるわけがない。言い聞かせるのももちろん大人として大事、時間を使うということは代わりに失うものがある。それが長期であればあるほど当然大きい。 本作では24歳のイラストレーターである著者がフィリピンに語学留学し、フィリピンのバギオのカレッジで過ごすフィリピン生活のお話。 日本人の感覚で考えると、東南アジアは物価がとても安い。 消耗品というか燃料が要るものはそこまで極端に安くはなさそうだけど(それでも安い)食べ物やマッサージなんかは本当に安い。 6時間のバスでマニラからバギオ。日本で6時間のバスだと5〜7000円ぐらいはかかるけど、自分でチケットを買っても1500円ぐらいだから大体1/4ぐらい。 90分のマッサージは日本だと10分1000円ぐらいがベースと聞いたことあるけど、フィリピンやタイなら90分で1000円ぐらいのところが多いので日本のをもっと安く見積もっても1/6〜1/9ぐらいの値段。 というのもあって、慣れたら楽しいだろうなーっていうのを実際にレポしてくれているのだ。 数ヶ月スパンで「暮らし」たことはないけど暮らしたいなと思える魅力もあるし、かっちり英語力つけたいなっていうのもあるしで本当に行きたい。 だが日本に家族を残して仕事をほっぽって行くことも出来ない、言い訳が出来ない。つまらない大人になってしまう前に「がんばりゃ行けるんじゃね」って人は是非お試しを!