トーチwebの感想・レビュー45件人生はフライドポテトのようなものだあみかはポテトになりたかった 小川しらす野愛クソみたいな環境で少しも楽しいことがないまま生きてる子が最終的になんとか前を向ける程度の救いしかない話が最近多い気がする、宇宙人でもポテトでもなんでもいいから思いっきり救ってはくれないものか なんて思わず文句を言いたくなったけど、最後の最後に見える希望にちゃんと救われてしまうんですよね。 悪人が地獄に落ちるとか王子様が現れるとか莫大な遺産を相続するとかど派手なイベントだけが救いじゃないんですよね。 人は自分自身を救えるし、何気ない言葉で前を向ける。現実的で誠実な救いを描いた優しい作品だと思います。 しんどいお話ではあるけれど、素朴な絵柄とあみかちゃんのキャラクターがとても可愛らしいです。スゴイ!グリンメロングリーン 小川しらす名無しスゴイ! ストーリーと絵の入り方、全てのバランスがスゴイ!潔さが最高に気持ちいいです創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊 綿本おふとん名無し※ネタバレを含むクチコミです。すごオムライス・ニュー・マルコ 松井陸名無しどんな漫画か、説明するのがめっちゃ難しい けど一言でいうと「オムライスの中で寝るためにでっかいオムライスを作ろうとする女の話」です。主人公の行動があまりに計画性ないし全体的にアホすぎて逆になにか深堀りしたくなるような雰囲気をまとっている。でもやっぱりただのアホなひとの話かも。 人工知能マキナと暮らす人々。マキナにおまかせ ベン・グッドマンnyae日々人工知能の存在が身近になっていく現代。このマンガではマキナという人工知能が人々のそばで体調管理や仕事などのサポートをしてくれます。マキナは人々にとって等しく便利でも、使う人間によってその存在が生活にどう影響するかはバラバラ。群像劇って感じの話になるのかな。近未来だけど親近感もあるマンガだと思いました。転生したことで人生金だけじゃないことを知る詐欺師の話転生した詐欺師、ふわもこになる 谷口菜津子名無し死に方からしてSFですごい。なんでUFOに襲われたんだろう笑 主人公が転生したのは、商売が下手でいつも貧困に苦しんでいるマ〜ル族という生き物(谷口さんの自画像に似てる)。彼は詐欺まがいのセミナー講師という職業を活かしてマ〜ル族を騙し自分だけ得する生活を送る。しかしマ〜ル族が他の種族たちに理不尽に搾取されていることがわかり、マ〜ル族にお金がちゃんと入るように商売を教えます。そこで前世と同じようにお金にモノを言わす生活を始めるかと思いきや…という話です。主人公がそんな仕事を始めたきっかけもなんとも切なく、前世に残した後悔や確執はそのままだけど、第二の人生をのんびりマ〜ル族として過ごしてほしいなと思います。誰にでも心当たりがある話K君 INAstarstarstarstarstarnyae子供の時は毎日のように遊んでいた友達が、歳を重ねるごとに少しづつ距離ができてきて疎遠になるけど、大人になって再会してみると案外変わらずに話せた。みたいなことって多くの人に心当たりがある話なんじゃないかと思います。特別にドラマティックな出来事もないけど、忘れることもない思い出、というような。自分にとってのこういう思い出が蘇るし、人のこういう話をちょっと聞いてみたいと思った。 人物描写がよかった創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊 綿本おふとんstarstarstarstarstar野愛小説家はとうの昔に諦めてしまったけれど、何者かになりたい気持ちを捨てきれずに集まり続ける3人の女の子。 平和で楽しそうな3人の文芸サークル「キャロット通信」が何をきっかけに崩壊したのかを描く作品。 可愛らしくあたたかみのある絵柄、女の子たちのほのぼのした会話、そこからの残酷で現実的な展開がおもしろいのはもちろんだけど、主人公・川上の人物描写が素晴らしかった。 工場で長年働きながらも工場の人たちをナチュラルに下に見てる感じが節々に現れていてゾクゾクした。ちょっとしたリアルさがいい。 この描写があるから後半の展開がさらに残酷に見えていいんだよな……と感心してしまった。 夢を諦めないのはいいこととされがちだけど、諦めきれないのは悲劇でもあるんだなあと改めて実感させられる作品。 救いと見るか呪いと見るかは読む人次第なのかも。物語られる側にいく豪雨を待つ えさしかstarstarstarstarstar野愛人生で一度くらい、雨でも降っていれば格好ついたかなという瞬間があると思う。雨だったら晴れだったらゴミが一発で入ったら……動き出すきっかけを探しているだけに過ぎないが、あの瞬間自分を見ている何かが確実に存在する。 自分が見ている世界のフレームに自分が入ることはないのに、入っている気がする。 そんなことを考えながら読んだ。 クラスメイトに告白したい女の子。勝負のタイミングを伺うガンマン。漂流するクルーザー。日照りに苦しむアフリカの人々。 違う場所、違う時代を生きる人たちが同じように豪雨を待っている。物語を動かすために雨が降らなければならない。物語は入れ替わりながら、日常と非日常を混ぜ合わせて進んでいく。 今雨が降り出したら自分もこの物語に取り込まれてしまうのではないか。自分も豪雨を待つものに、物語られるものになってしまう。 ガルシア・マルケスとか好きな人は読んでみてほしい。つい豪雨を待ってしまうはず。こういう角度で描く「創作の苦悩」もあるんだな創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊 綿本おふとんstarstarstarstarstarnyae前半は同じ趣味と志を持つ3人組で小説サークルを組みファミレスで楽しそうに話す姿が微笑ましかったのですが、後半ではある出来事によっていかにしてサークルが崩壊するに至ったのか、それによって3人それぞれが自分の人生を見つめ直していったのかが描かれ、最後まで引き込まれっぱなしでした。死の危機に直面したときに自分の心を守ってくれたのは「書くこと」ではなかった。これがわかったときのショックったらなかっただろうなと想像できます。どんなひとも、夢を諦めるきっかけを待っているというのは共感できる部分がきっとあって、そのきっかけを描いたものとしてはすごい漫画だったなと感じます。 正直、絵柄はどっかで見たような…という気がしないでもないですが、次回以降の作品が楽しみです。 ギャルたちはどう生きるかマオニ 意志強ナツ子starstarstarstarstar野愛かなりスローペースな連載だけどストーリーはスピード感があっておもしろい。なんでゾンビにとかなんでマオはとか謎は明かされないけれど、ギャルたちの日常は猛スピードで変化していく。 ゾンビ禍でのサバイバルだけどギャルはギャルの矜持を失わずに生きている。だからこそ信念と信念がぶつかる。 それらをまとめていたのが圧倒的カリスマ・マオだったけど、ゾンビになってしまった。 マオと共に生きるもの、マオニを崇めるもの、愛を求めるもの……なんだかバベルの塔みたいだなあと思ってしまう。 宗教はいろんなところに溶けているんだなあと気づかされる。カリスマとか推しとかアイコンとか全部そうだ!! ゾンビ禍ではないけれど確かなもの当たり前のものが揺らぐ昨今だから、ギャルたちがどう生きるかは自分にとっての指針になっていくかもしれない。まさかのストーブうみべのストーブ 大白小蟹starstarstarstarstar_borderゆゆゆ※ネタバレを含むクチコミです。#2023年読切ベスト地層の女 山中美容室starstarstarstarstar寸々2023年良かった読み切り。 表題作と別に連作になっていて、賞を取ったこの短い4本でひとつになっている(と思われる)。 全編が自由律俳句のような。回文とか各話に登場する動物のモチーフを掘っていけばおそらく作者が狙った読み方はあるのかもしれないが、分からなくても良い。 審査員講評では黒田硫黄に似てると言われてるけど、平方イコルスンとかも感じた。 コミティア発表作等もまとめて早く一冊の短編集にして欲しい! 会えないなら作ればいいじゃない!週刊 元恋人を作る 谷口菜津子starstarstarstarstar_bordernyae※ネタバレを含むクチコミです。なぜ…という思いは置いといてくちのなか やうやうとstarstarstarstarstar_bordernyae※ネタバレを含むクチコミです。最高の漫画が始まった予感緑の予感たち 千葉ミドリstarstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)なんだこれ…。すごい。好きすぎる。 奇妙で現実的で不思議で具体的な夢を見ているような…読んでるうちに引き込まれて実際に手触りを感じられるような漫画だった。 トーチwebで始まった新連載『緑の予感たち』がちょっとスゴイです。 https://to-ti.in/product/midori-no-yokan 短編連載なので、1つ目「カッパの理髪店」を読んだ現時点での感想になる。 どこかで見覚えがありそうな、誰しも馴染みのありそうな風景。 奇妙でありながらファンタジーと呼ぶには地に足がついていて、日常の延長線上に実在するんじゃないかという感覚がしっかりとある。 唐突、だけど必然。 物語は不思議な冒頭から、リアルなバイト事情、そして煮え切らない男女の恋模様へと、主題と場面がコロコロと変わっていく。 そこがミソかもしれない。 どこが話の軸になるんだろう、誰が主役なんだろうと読んでいくと気付けば登場人物たちのギリギリ読み取れそうな関係性のリアリティに絡めとられ、読者の視点は次に何が起こるのか出来事を素直に追うだけの目になっていく。言葉の端々と表情から読みとろうと夢中になる。 それは、現実の男女の関係性に対して巡らせる思考のはずだった。だったのだが、その真っ只中へ唐突に放り込まれた非現実にかき乱されるも、不思議とこいつが妙にしっくりくる。 それは全くの無関係な非現実ではなく、まさにこの心のありようこそが核になった非現実だったからだ。でたらめだけど、そこにはきっちりと心情の筋が通っている。故に納得できてしまう。 ここに持っていくまでの腕力がすごい。 この話の転がし方、派手じゃないのに予想が付かずに最後まで分からない展開の面白さは、映画『スリービルボード』を彷彿させる。 絵も最高に良かった。 コマの中の線の情報量、線の柔らかさ、微妙な表情の変化、光と影の付け方、全てがこの話にしっくりくる。 短編連載でおそらく不定期掲載なので、単行本になるのは2024年だと思うけど、早くも単行本を買いたい。 読んだあとに、これは持っておきたい…棚に並べたい…手に持ちたい…という所有欲が溢れてくる。 なんて複雑で歪んだ愛なんだ #読切応援おちてきて やうやうとstarstarstarstarstar_bordernyae吾妻さんの雷への偏愛もだけど、異常なまでに雷を恐れて、雷を愛する吾妻さんのことも怖いのに、最終的にパートナーになってしまう桑原くんもよっぽどだなと思う。にしても絵が魅力的だな。短編集でないかなー。生きるとは現在地 INAstarstarstarstarstar野愛こういう感情を味わったことがあるなと思った。感情というより感覚かもしれない。 自分が生きている今が過去と未来に長く連なっているんだ、という感覚。 名前をつけようとするとエモいとか郷愁とかになっちゃいそうなやつ。いいとか悪いとかそういうことではないやつ。こんなところまで来ちゃったんだなあ、まだまだ行かなきゃいけないんだなあ、みたいな感覚。 主人公は子育て中の父親。区画整理で潰してしまった実家近くに家を買い、家族3人で暮らしている。 子どもの頃の記憶がそこら中に残っている。自宅のローンはまだ35年も残っている。 ずっと同じところにとどまっているつもりでも、時は流れ人も変わっていく。出会いも別れもあったし、これからもある。 当たり前のことしか描かれていないけれど、だからこそ感動がある。なんとなく生きてきたつもりだけど、いろんなものを積み重ねたり抱えたり落としたりしてきたんだなあ。失くならない、眠るだけ #読切応援サピア=キッズ・モノローグ 白石海空starstarstarstarstar野愛理解できたかできてないかで言えばできてないかもしれない、わかりやすい作品ではないと思う。でも好きだ。 リアルタイム自動翻訳機が普及した世界。 世界中の誰とでも違和感なく意思疎通ができるから、声帯は退化し独自の文化や言語も淘汰されていく。 最後の日本語話者であるモヒメも、漫画や落語を理解できているかはわかっていない。 言語や文化は変容していくけれど、変容しているからこそ遡ることができるのかもしれない。思いを馳せることができるのかもしれない。 言語や文化は眠るだけで、失われることはないのかもしれない。 将来的にはこんな世界になって全部失っちゃうんです悲しいですねという投げっぱなしのメランコリックではなくて、ちゃんと在るよというメッセージを受け取った。 作者の意図かどうかはわからないけれど、優しい作品だと感じた。 世界はえたいの知れない不吉な塊で満ちているこどもたつ あぶらめちかたstarstarstarstarstar野愛大人は子どもを見くびってるのかもしれないし、過大評価しすぎてるのかもしれない。 純真無垢で何もわからないとか、誰よりも大切なことに気づいているとか、どちらにせよ子どもという存在に何かを求めてしまっている。 子どもを主軸に描かれた3つの短編。 何か劇的な展開があるわけではないけれど、生と死が描かれている。 死ぬのは恐ろしい、得体の知れない大きなものは恐ろしい。 死が何かわからないけれど恐ろしいのは、大人も子どもも変わらない。でも、そんな当たり前のことすら大人になると忘れてしまうのかもしれない。 この作品を読んでぐるぐる考えてしまうのも愚かな行為かもしれない。何かを感じなきゃと思いこんでるだけかもしれない。なんか分かんないけど良い地層の女 山中美容室starstarstarstarstarたかセンスの塊というか漫画の原液というか。最近流行りの「でエンタメが極まったストーリーを超画力で描く作品」の対局な作品。 話は筋道も取り留めもなくナンセンスだし、パッと見だと絵はつたない。ただ妙に表現力と味わいがあって引き込まれる。 本当になんだかよくわかんないけど、このわからなさが心地よいと感じる作品。 もう何作品か読むことでいろんな角度からこの作家さんを見てこの方の作風というものを掴んでみたい!学校という歪んだ世界君らのための教室 やうやうとstarstarstarstarstar_border野愛一部の生徒だけに都合のいいように形を変える学校。 中心人物になれないものにとっては、ドアも階段も廊下も歪んで居心地が悪い。 この作品内では比喩ではなく実際に歪んでいるけど、実際の学校もこんなもんだった気がする。 ちょっとひねくれた視点でクラスを眺めている主人公・石井。 いつでも一緒にいた友達・結月が、クラスの中心人物・サカキと付き合いだしたのが気に入らない。 結月だけじゃない、仲良しの楓も幼なじみの竹林も口を開けばサカキの話ばっかりで吐き気がする……というお話。 石井のモヤモヤを丁寧に描きながらも、石井だけに感情移入してしまう描き方じゃないのがいい。 結月の視点がよく効いているし、サカキも別に悪人ではない。好きではないけれど。 大人になればちっぽけな世界だったと気づくけど、あの頃って学校が世界のすべてだったなあ。 学校の歪みを可視化してるのが表現として面白かった。 学校って楽しいめんどくさい!君らのための教室 やうやうと名無し学校という場所の面倒くささとか厄介さ、でも自由で楽しいところ、いろいろ詰まっていて懐かしい気持ちになる漫画でした。自分はむしろ人に合わせてばかりで自己顕示は全くしなかったですけど、でも思い通りにいかなくてひとりで勝手に怒ってるみたいなのはなんかわかります。ハーフの気持ち半分姉弟 藤見よいこ名無し子供の頃に天才テレビ君に出ていたハーフの女の子に恋をして、ハーフって良いな。絶対に得じゃんと思っていました。 ハーフで親が英語喋れるから、二カ国ご使えるとか無双じゃん。とか思ってた。 でも、ハーフの人の気持ちは考えたことがなかった。 多分日本はハーフにとって暮らしづらい。島国だし、BARで隣に座っている人にすら声をかけれられないコミュ障人種だから。 マイノリティなアイデンティティが上手に描かれています。<<12>>
クソみたいな環境で少しも楽しいことがないまま生きてる子が最終的になんとか前を向ける程度の救いしかない話が最近多い気がする、宇宙人でもポテトでもなんでもいいから思いっきり救ってはくれないものか なんて思わず文句を言いたくなったけど、最後の最後に見える希望にちゃんと救われてしまうんですよね。 悪人が地獄に落ちるとか王子様が現れるとか莫大な遺産を相続するとかど派手なイベントだけが救いじゃないんですよね。 人は自分自身を救えるし、何気ない言葉で前を向ける。現実的で誠実な救いを描いた優しい作品だと思います。 しんどいお話ではあるけれど、素朴な絵柄とあみかちゃんのキャラクターがとても可愛らしいです。