理解できたかできてないかで言えばできてないかもしれない、わかりやすい作品ではないと思う。でも好きだ。

リアルタイム自動翻訳機が普及した世界。
世界中の誰とでも違和感なく意思疎通ができるから、声帯は退化し独自の文化や言語も淘汰されていく。
最後の日本語話者であるモヒメも、漫画や落語を理解できているかはわかっていない。

言語や文化は変容していくけれど、変容しているからこそ遡ることができるのかもしれない。思いを馳せることができるのかもしれない。
言語や文化は眠るだけで、失われることはないのかもしれない。

将来的にはこんな世界になって全部失っちゃうんです悲しいですねという投げっぱなしのメランコリックではなくて、ちゃんと在るよというメッセージを受け取った。
作者の意図かどうかはわからないけれど、優しい作品だと感じた。

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見た目も収入も申し分ないけどモラハラ気質で古い男が、恋人にフラれたことをきっかけに自らをアップデートしていくストーリー。 恋人が仕事終わりに作ってくれたご飯に、色味がどうだ出汁がどうだバランスがどうだとケチ(アドバイス)をつけ、そりゃプロポーズしてもフラれるわ!ざまあみろ! と思うものの、ちゃんと傷つきちゃんと学ぼうとする姿を見るとだんだん応援したくなってくる。 そして変わろうとするのは何も男ばかりじゃない。勝男をフった鮎美も、自分が本当に好きなものを見つけ人生を変化させていく。 読んでいくと2人はお似合いのカップルだったんだなあ、と皮肉じゃなくて本当に思う。 理屈じゃなく惹かれあった男女が、結婚という目的や男と女という役割に縛られてお互いが見えなくなっていく、なんて悲しい話。 そうさせているのは世間の空気や常識や今まで歩んできた人生など要因は様々だけど、「わたし」と「あなた」だけをしっかり見ていれば起こらないはずなのになあ……。でもそれが難しいんだよね。 勝男と鮎美の人生が再び交わるかどうかはさておき、2人もわたしもみなさんも、自分と相手の好きを大切にして人間関係を築いていけたらいいなと思った。
サピア=キッズ・モノローグ
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