こういう感情を味わったことがあるなと思った。感情というより感覚かもしれない。
自分が生きている今が過去と未来に長く連なっているんだ、という感覚。
名前をつけようとするとエモいとか郷愁とかになっちゃいそうなやつ。いいとか悪いとかそういうことではないやつ。こんなところまで来ちゃったんだなあ、まだまだ行かなきゃいけないんだなあ、みたいな感覚。
主人公は子育て中の父親。区画整理で潰してしまった実家近くに家を買い、家族3人で暮らしている。
子どもの頃の記憶がそこら中に残っている。自宅のローンはまだ35年も残っている。
ずっと同じところにとどまっているつもりでも、時は流れ人も変わっていく。出会いも別れもあったし、これからもある。
当たり前のことしか描かれていないけれど、だからこそ感動がある。なんとなく生きてきたつもりだけど、いろんなものを積み重ねたり抱えたり落としたりしてきたんだなあ。
娘との時間のなかでふと思い出す、この家ができる前のこの場所のこと。 過去と未来の思い出がこの場所でつながる。 17ページで描き出す、今ここにいることの不思議。